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国際平和拠点ひろしま

折り鶴でつなぐ日本の学生とウクライナの子どもたち
 広島文化学園大学・子ども学科




ロシアによるウクライナ侵攻により、現地では大人だけでなく多くの子どもたちが苦境に立たされています。そんな彼らの力になろうと募金活動を始めたのが、広島文化学園大学学芸学部子ども学科の学生や教員たち約50名のメンバーです。

同子ども学科では、ウクライナ侵攻が始まる前から、現地の子どもたちとのつながりがありました。東日本大震災で被災地支援をしたつながりからウクライナ人と知り合い、現地にも訪問したことがある講師の伊藤駿(いとう しゅん)さんの呼びかけで、ウクライナの子どもたちとの手紙のやり取りや、オンラインでの文化交流会が行われていたのです。ウクライナは親日の国として知られ、日本語を学ぶ学生も少なくなかったことから、通訳にも困らなかったそう。

子ども学科3年生の菅本美紅(すがもと みく)さんは、ウクライナの子どもたちと交流した経験について、こう振り返ります。


ウクライナの子どもたちとの関わりを通して改めて平和について考えるようになった菅本さん


「最初は言葉もわからない外国人の子どもたちにどう接したらいいのかわからず、戸惑っていたと思います。でも、子どもたちがていねいに作ってくれたクリスマスカードを手に取ったり、オンラインでの笑顔を見たりするうちに気持ちが変わりました。皆を笑わせる面白い子がいたり、ちょっと恥ずかしがりやな子がいたり。いろんな個性を持つ子がいて、表情も雰囲気も、日本の子どもたちと何も変わらないのです。」(菅本さん)

ウクライナ侵攻が始まったとき、伊藤さんたち教員が最も意識したのは学生のメンタルケアでした。まずは学生たちが落ち着いて大学生活を送れるようにケアを心がけたといいます。それと同時に、学生たちの「現地の子どもたちのために何かしたい」という想いも大事にしたいと、有志の学生たちと数名の教員が実行委員会を立ち上げ、ウクライナの子どもたちへの募金活動をスタートしました。

募金活動をするにあたり、学生たちが考えたのは、「地域の人や子どもたちと一緒に何かがしたい」ということ。そこで、専用口座を作って寄付金を集めつつ、寄付をしてくれた人に「お返し」として瓶に詰めた折り鶴などを贈ることにして、地域の人々や子どもたちにも鶴を折ることで協力してもらいました。

「私は広島出身なので、小さい頃から平和教育を受け、折り鶴もたくさん折ってきました。その経験があったから、先輩たちが始めた募金活動の話を聞いたとき、友人と一緒に自然と鶴を折り始めたのだと思います。」と菅本さん。


ウクライナの子どもたちから届いたクリスマスカード


大学だけでなく、県内外の小中学校や人々の自宅で、ウクライナ国旗と同じ青と黄色の折り鶴が折られ、実行委員会のもとに届けられました。活動はテレビや新聞で何度も取り上げられるほど話題となり、寄付金は当初の予想を超える200万円以上を達成。そのお金を使って、現地で子どもたちを救出するために消防隊員が利用する長靴や医療器具がウクライナに送られたのです。

「その後、ウクライナから明るい表情をした子どもたちの写真が届きました。現地の人たちは本当に大変だと思いますが、少しでも役に立つことができたなら、やって良かったと思っています。この活動を通して、私自身、見ているだけではなく、小さいことでもできることをしようという考えに変わりました。」(菅本さん)

実行委員会の今後の課題は、今の学生メンバーが卒業して終わりではなく、後輩たちにつなげることだといいます。ウクライナの子どもたちと学生たちの心のつながりが、これからも長く続くことを菅本さんは願っています。


広島文化学園大学学芸学部子ども学科

https://www.hbg.ac.jp/univ/child.html

※募金活動は、現在も実施中。返礼品の送付は行っておりません。

【募金に関するお問合せ】082-239-5171(担当:伊藤・山中)

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