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国際平和拠点ひろしま

戦後すぐの広島で 子どもたちに絵本と笑顔を

5-daysこども図書館(広島市こども図書館)の前身である児童図書館は、戦後の日本が復興へと歩み出して間もない1949年(昭和24年)に開館した、全国でも珍しい子どものための図書館です。そのあゆみと広島にある図書館としての役割について、司書の播磨優子(はりま・ゆうこ)さんと、主幹の島津千枝(しまづ・ちえ)さんにお話を伺いました。

「終戦後、広島を視察したハワード・ベル博士(※)が、広島の惨状と子どもたちの姿に胸を痛め、児童向けの洋書が1500冊あまり広島市へ寄贈されました。また、移民としてアメリカに渡ったカリフォルニア州の広島県人会からの寄付もあり、その二つの善意が子どものための図書館の設立のきっかけとなりました」(播磨さん)。

当時中区小町にあった広島市立浅野図書館内に併設する形で開館。その後、1952年(昭和27年)には現在の場所(中区基町)に移設されます。ガラス張りで円形の特徴的な外観の建物は平和記念公園や原爆資料館も手がけた建築家・丹下健三氏によるデザイン。

「子どもたちで賑わっている様子が当時の新聞にも掲載されていますが、娯楽が何もない時代に、たくさんの本を無料で読むことができる図書館は、子どもだけでなく、大人にも人気でした。1968年(昭和43年)には、車に本をたくさん積んで地域をまわる巡回文庫車「こばと」の活動も始め、多くの子どもたちへ本を届けました」(島津さん)。


「ベル博士から寄贈された本は『ベル・コレクション』として現在まで所蔵され、入り口の特設コーナーで一部が展示され、『郷土作家の本』『原爆の本』は専用のコーナーも設けられています。現在、こども図書館で所蔵しているのは約20万冊。子ども向けの児童書から、紙芝居、絵本、郷土の資料、児童文学を研究している方向けの本まで幅広いです。郷土の作家では那須正幹さんの『ズッコケ3人組』シリーズや、柿本幸造さんの『どうぞのいす』などが人気ですね」(播磨さん)。

原爆ドームと広島城の中間に位置する立地から、外国人や観光客が訪れることもあるこども図書館。毎年8月6日と9日には、『平和のおはなし会』を開催。職員が原爆や戦争に関する絵本を読み聞かせをしてくれるこのイベントには、これまで多くの子どもたちが参加してきました。

「感想をその場で伝えてくれる子は少ないですが、体験を通して、子どもたちの心に平和への想いが少しでも残ってくれたらいいなと思います」(島津さん)

戦後75年が経ち、被爆体験の継承が難しくなるなか、本が平和を伝えるのに果たす役割は今後、ますます大きくなっていきます。

(※)ハワード・ベル博士

第二次世界大戦後、日本を統治したGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の民間情報教育局顧問。広島市への視察では小学校を訪れ、子どもたちが寒空の下、壁のない教室で授業を受けているのを目にしたことをきっかけに、広島市へ本を寄贈。それらの本は『ベル・コレクション』として、広島市こども図書館に保管され、1930、40年代にアメリカで発行された児童書を日本で見ることができる貴重な資料となっている。

5-Daysこども図書館(広島市こども図書館)

電話 082-221-6755

住所 広島市中区基町5-83

時間 9:00~17:00

休み 月曜、祝日の翌日、年末年始。その他整理日など

HP https://www.library.city.hiroshima.jp/kodomo/

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