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国際平和拠点ひろしま

社会課題の解決にデジタルは不可欠 課題の本質を考え抜く想像力を(株式会社エクサウィザーズ はたらくAI&DX研究所)

2022年9月に開催された「2022世界平和経済人会議ひろしま」では、「ビジネスによる積極的平和~世界の平和と安定のために~」をテーマに,経済人たちが議論を行った。参加企業の中から,株式会社エクサウィザーズ はたらくAI&DX研究所の取り組みについて,所長の石原直子氏に話を伺った。 

1) 御社の事業内容についてご紹介ください

エクサウィザーズはAIによって社会課題を解決し、幸せな社会を作ることをミッションとして活動しているテクノロジーカンパニーです。
はたらくAI&DX研究所は、人材・人事関連のサービスも展開している当社が、企業と働く人の間にある問題をもっと深く掘り下げて理解するため、また、世界中の労働と雇用の在り方の変化や人的資本分野におけるデータとテクノロジーの活用の可能性について、日本企業・政府・働く人々に、未来を提示するような情報発信をするために設立された社内総研です。

2) セッションでの御発言に関連した取組等について

21世紀の企業に課された命題は、社会課題を解決する存在であること、そのためには、What(世界が望むことは何か)How(どうやったら実現できるか)を考える必要がある。世界のリアルを理解するには「想像力」が大事、そして、「デジタル」を顧客の課題解決にどのように使っていくかというお話しをいただきました。これについて、わかりやすい例示をいただき、ご説明いただけますか。


Whatは、人々が本当に困っていることは何か、本質的な課題は何かを考え抜いて特定することです。たとえば、コンビニやスーパーの人手不足解消にと、ある企業では、レジを全自動にする実証実験を行っています。一方には、レジそのものをなくし、商品を持って店外に出た人に対して後から課金するという、無レジ化に挑戦する企業もあります。全自動のレジは、店員さんがやるよりも時間がかかりそうですよね。スペースも今以上に必要になりそうです。本質的な課題は、「レジを機械化する」ことではなく、「人手を使わずに精算と会計を実行する」ことですから、突き詰めて考えれば「レジは要らない」というところまで到達できるかどうかが問われています。
どの企業にとってもお客様やクライアントの体験をよりよくしていくことがイノベーションの目的ですので、お客様やクライアントが何を望んでいるのか、何に不満や課題感を持っているのか、何を変えたらもっと幸せを感じてもらえるのかを考え抜く必要があります。お客様の課題をお客様の身になって考えるためには想像力が欠かせません。BtoCの現場では特に、自身の五感を駆使して、目の前にいるお客様の感情をキャッチすること、なぜそのような感情になるのかを想像力を働かせて考えることが大切になります。

Howは、見つけたWhatを実現する手段のことを指しますが、現代における課題解決の手段として圧倒的に強力で優位なのがデジタル技術の力です。脱CO2にあたっても、食糧問題や水問題の解決にあたっても、防疫や難病治療にあたっても、デジタルの活用なくして解決できることはごくわずかです。デジタル技術を駆使できなければイノベーションは起こり得ないと心得て、デジタル技術やデジタルマインドセットの習得に励む必要があります。リスキリングは狭義で「これからの仕事に必要なデジタルスキルの取得」という意味ですが、全社員に対するリスキリングはどの企業にとっても優先度の高い人材戦略となるでしょう。


社会課題を解決できる企業の条件として、
①社員を信頼すること、②若者をリスペクトすること,③社員に時間の余裕を与えること、④失敗を許容すること、⑤全社員にデジタルリテラシーを持たせること、の5点を挙げられましたが、詳しく教えてください。

① 社員を信頼すること
お客様やクライアントの情報に最もよく精通しているのは現場の社員です。現場の社員の発言やアイデアを尊重しない企業(=社員を信頼していない企業)はイノベーションを起こせません。

② 若者をリスペクトすること
デジタルに関しては圧倒的に若者の方が親和性が高く、習得力も高いのは事実です。若者に教えてもらう、若者が先導するシーンはこれから増えてくるはすです。若手社員がリスペクトされない、尊重されない企業は確実にデジタルで出遅れます。

③ 社員に時間の余裕を与えること
デジタルスキルを獲得するには、時間が必要です。めいっぱい働いてもらっておいて、自分でデジタルスキルも習得してください、は通用しませんから、社員が「学びのための時間」を持つためにも、働き方改革は重要になります。また、働き方改革自体にもデジタル化やデジタル活用が大きなインパクトを与えるはずなので、こうした観点から企業内のデジタル実装を始めていくことも有効でしょう。

④ 失敗を許容すること
イノベーションには失敗がつきものです。失敗を責められたり、認められない職場ではイノベーションは起きません。失敗を許容し、失敗から学ぶトライ&エラーのサイクルを回す企業になる必要があります。

⑤ 全社員にデジタルリテラシーを持たせること
どんなイノベーションであっても、それを起こすのに確実に必要なのが、デジタルの力です。デジタルの力を使えない、活用できない、デジタルにできることに何があるのかわかっていないビジネスパーソンは今後通用しません。企業は、すべての社員のデジタルリテラシーを向上させる必要があります。

3) 広島県への期待

真に平和で持続可能な国際社会の実現に向けて、今後広島県の活動へ期待することはありますか。

広島の、世界に対する競争優位性はどこにあるか、と考えたときに、平和に関する発言権が世界ナンバーワンだと言えると思っています。ですので、平和を実現するためのWhatを特定し、世界に先駆けてその解決のための方法論を構築するモデル・ローカルガバメントになってほしいのです。例えば2つの県立大学で平和のための科学利用、平和のための食糧分配とか水分配戦略とか、平和に絡むことであれば、工学から法学から哲学から全部研究していますと言えるくらいに、世界中から研究者を集めてくるのはどうでしょう。平和に向けた対話推進や抗争抑止の方法論が広島から発信されることは世界に向けた大いなるインパクトになると考えます。

株式会社エクサウィザーズ

はたらくAI&DX研究所

所長 石原直子氏




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