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国際平和拠点ひろしま

パラスポーツの支援活動を社員発で展開(MS&ADインシュアランスグループ)

2021年9月に開催された「2021世界平和経済人会議ひろしま」では、「2021年・国際社会のカムバックとより良い復興-パンデミック・差別と格差・自国中心主義の克服のために」をテーマに,経済人たちが議論を行った。参加企業の中から,MS&ADインシュアランスグループの取り組みについて,あいおいニッセイ同和損害保険株式会社経営企画部次長兼スポーツチーム統括の倉田秀道氏に話を伺った。

セッションのテーマ「ダイバーシティ&インクルージョンの促進」に関連して、当社では「スポーツが社会変革のきっかけになる」という考え方のもとスポーツ振興に貢献してきました。特に2014年以降は、一貫してパラスポーツへのサポートを続けています。もともと保険を業務とする中で、自動車事故により障がいを被った方々との接点があることから、2006年より(一社)日本車いすバスケットボール連盟に協賛してきたのです。
そのような中、2013年に東京オリンピック・パラリンピック開催の決定に伴い、社内にスポーツチームが組成されました。組織として活動をしていくために、まず意識したことは社内浸透です。社員でパラ競技の応援に参加。毎回アンケートを実施し、意識や行動の変化が計測できるようデータを残すことにしました。その結果は、経営会議やサステナビリティ委員会などで開示。参加社員数が確実に増えているとともに、社員発でボランティア参加が呼びかけられるなど意識の高まりは着実に進展しています。
ひとつの成果として、各県の障がい者スポーツ協会などと連携・協賛し、地域大会の運営ボランティアにも携わっています。また、自治体との連携により、スポーツに関わる県・市等の事業に携わる活動も展開しました。これは2021年度140回程度おこなっており、「一緒に汗をかく企業」として県庁や各関連団体からも評価をいただいており、パラスポーツに対する社内の理解は確実に感度を上げています。

障がい者雇用の受け皿づくりと企業風土づくり

こうした地域との連携は雇用の面でも積極的に展開しています。その取り組みのひとつが地域の特別支援学校との連携です。具体的には、知的障がいを持つ生徒さんを対象にインターンシップを受け入れ、職場を実際に体験してもらい、採用につなげていく取り組みで、「地域密着モデル」として積極的に社内で横展開しています。また、 MS&ADグループは、 特例子会社「MS&ADアビリティワークス」を2018年6月に設立するなど、グループ全体で、さまざまな雇用の場を創出するとともに、障がい者に適した業務プロセスを開発し、グループの事業展開に活かしています。
こうした、雇用の受け皿の確保・整備とともに注力したことは、障がい者が働きやすい環境や仕組みづくりです。当社では、障がい者と健常者のすべての社員が隣り合って机を並べ仕事をおこないます。普段からコミュニケーションを取りやすくする工夫です。さらに、障がい者が活躍できる場づくりの一環として「事務サポートセンター」を全国主要エリアに設置しました。これは障がい者が不安なく業務を担い、働き甲斐が得られるようにサポートすることを目指しており、こちらも順次全国へ展開していく予定です。
このような取り組みの中では、社員にはさまざまな新しい気づきが生まれます。当社では、こうした気づきの積み重ねのなかにこそイノベーションが生まれると考えています。

共生社会の構築に向けた人財育成を産学連携で


当社では、2018年から「共生社会の構築に向けた人財育成」という共通の理念のもと上智大学と産学連携の取り組みをおこなっています。パラスポーツをテーマにした連携講座の開講をはじめ、アジアパラ競技大会など国際大会の視察および交流会、当社と自治体の連携による小学校出前授業の協働実施など、多彩な取り組みを展開しています。
2020 年度には上智大学に「多文化共生社会研究所」を設置しました。ここでは、障がい者だけではなく、近年の大規模自然災害の被災者や異なる文化的背景を持つ外国の人々などあらゆる領域での共生社会に関する調査・研究をおこなっています。産学連携がこれまでビジネスを目的にすることが多かったなかで、学術的なアプローチで社会への提言、変革の実現を目指しています。
こうした独自の取り組みが、今回「広島アピール2021」の中で示された「真の功利主義」の実践につながるのではないかと考えています。

当社にはアスリート23名(うちパラアスリート16名)が所属しています(2022年3月現在)。とりわけ、トップアスリートは海外遠征も多く、ダイバーシティや共生社会の視点で海外での実情を目の当たりにすると、日本のスタンダードは、まだまだ世界のスタンダードとはかけ離れていることを痛感します。多様な人々が混ざり合い、同じようにスポーツを楽しむことができる社会こそ真に平和な社会でしょう。世界平和の発信地として影響力のある広島で、共生社会に向けた「広島モデル」をつくられ、各都道府県に展開されることを期待します。そのための連携・協力を当社でも惜しみません。
「2020東京オリンピック・パラリンピック」を契機として立ち上げた当社のパラスポーツ支援の取り組みは一定の成果をあげることができました。今後は今の取り組みを一つひとつブラッシュアップし、品質を高めていきたいと考えています。


あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
経営企画部次長兼スポーツチーム統括
倉田秀道




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