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国際平和拠点ひろしま

平和の鐘が繋いだジミー・カーター元アメリカ大統領との縁、紡ぐ平和

 アメリカ合衆国ジョージア州アトランタにある「カーターセンター」には、日本の寺院で見かける梵鐘(ぼんしょう)が展示されています。実はこの梵鐘が縁となり、元アメリカ合衆国大統領ジミー・カーターさんと、広島県の北部に位置する三次市の小さな町・甲奴町との交流が始まりました。この交流は30年以上続いています。

 第39代アメリカ合衆国大統領のジミー・カーターさんは、1924年生まれの97歳(2021年現在)。大統領在職期間である1977年1月から1981年1月には、長年対立していたエジプトとイスラエルの和平交渉の仲介を行うなど、各国の治安維持にも尽力。その後、数十年間にわたって国際紛争の平和的解決への努力を続け、民主主義と人権を拡大するとともに、経済・社会開発にも貢献したとして、2002年にはノーベル平和賞を受賞されました。

 ジミーカーターシビックセンターの井上太さん

 前述のカーターセンターは「地球上のすべての人が平和に暮らさなければならない」という考えに基づき、カーターさんによって設立されました。そこには、もともと甲奴町小童(ひち)の正願寺にあった梵鐘が展示されています。
 「この鐘は第2次世界大戦の時に、砲弾の材料として日本軍に供出されたそうです。しかし、兵器とはならずに終戦を迎え、経緯は不明ですが日本からイギリスへ、そしてアメリカへと渡りました。その後、在米日系人の方たちから、当時すでに平和活動をされていたカーターさんへ梵鐘が贈られたそうです。梵鐘は平和のシンボルとして『ヒロシマの鐘』と呼ばれており、カーターさんは梵鐘に刻まれた『正願寺』の文字をたどり、1990年に甲奴町を初訪問されました」
 説明していただいたのは、カーターさんの訪問を機に甲奴町に開館した「ジミー・カーター・シビックセンター」の井上太さん。

 「そういったことがご縁で、甲奴町とジョージア州のアトランタ市・アメリカス市の中学生たちが、お互いの地元を訪れてホームステイする交流が始まりました。異文化を知り、相手を理解することは平和活動において大切ですね。当館が完成の際には、カーターさんの二度目の来訪も実現しました。ここ2年は新型コロナウイルス感染症の影響で中止していますが、甲奴の子どもたちが訪れると、カーターさんはいつも会いに来てくださいます。子どもたちは貴重な経験をさせていただき、多くのことを学んでいます」
 甲奴町の特産品である『カーター・ピーナッツ』も、カーターさんがピーナッツ農家出身であったことから、友好の証として届いたピーナッツを元に生産が盛んになりました。

 プラネタリウムや図書館、多目的ホール、甲奴平和学習記念館など備え、カーターさんの功績をたたえる展示室を併設するジミー・カーター・シビックセンターは、「平和・人権」を発信しながら、町の方たちの生涯学習拠点として大いに活用されています。
 屋外に建てられた「友愛の鐘記念碑」には、次の碑文が刻まれています。

1990年10月21日

人間一人ひとりが、平和と相互理解のために努力する責任があります。
甲奴町の正願寺所蔵の梵鐘は、現在アメリカ合衆国ジョージア州アトランタ、カーター・センターに永久的に保存されております。
この記念碑とアトランタにある梵鐘は、人類平和のために、たゆまぬ努力を続けることを、常に我々に教えてくれるでしょう。

アメリカ第39代大統領 ジミー・カーター
ジミー・カーター・シビックセンター

電話番号:0847‐67‐3532
住所:三次市甲奴町本郷10940
時間:10:00~18:00
休館:月曜、12月29日~1月3日
HP:https://cartercenter.jp/

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