「核戦争の可能性が再び現実のものになった。」
2022年3月14日,国連事務総長のアントニオ・グテーレス氏は,ロシアのウクライナへの軍事侵攻を受け,核兵器使用の可能性について危機感をにじませました。
また,「この戦争に勝者はいない。敗者がいるだけだ。」と述べ,即時停戦を呼び掛けています。
なぜ世界には核兵器が存在するのか
「核兵器のない世界」という目標に公然と反対する国はありません。
それでも,世界には今も13,000発を超える核兵器が存在しています。
これは,核兵器国/核保有国は国家の安全を守るうえで、核兵器による抑止力を働かせることが依然として必要不可欠であると位置づけ、国際的・地域的な安全保障環境が不安定化するなか、その役割を改めて重視しているためです。
抑止力としての核兵器
核兵器の脅威を核兵器によって抑止するという安全保障の考え方があります。
これは、核兵器を保有することで、核兵器を使用し、壊滅的な破壊を実現できる手段と能力があることを事前に示し、攻撃を未然に防ぐというものです。
脅しとしての核兵器
核兵器という脅威をちらつかせることで、他国との交渉などを有利にしようとする考え方があります。
傘としての核兵器
非核兵器国の中には日本のように、核保有国の核抑止力に頼るという安全保障の考え方があります。
これは、核保有国の同盟国に対し核兵器が使用された場合、報復として核兵器で攻撃するという意図を示し、同盟国への攻撃を思いとどまらせるというものです。
「絶対にない」を保障できる人はいない
世界は核兵器の存在をこれまで容認してきました。
核の抑止力は本当に有効なのでしょうか。
核兵器が存在する限り,「それが絶対に使用されない」という保障は誰にもできません。
そのことはロシアが核戦力を念頭に抑止力を特別警戒態勢に引き上げたことで、明らかになりました。
核兵器を保有している国は,口では使用を否定しながら,その手は核兵器を使用するためのボタンをいつでも押すことができるのです。
私たちは3度目を許してはならない
脅しをもって脅威を制しようとする世界は,果たして持続可能な世界なのでしょうか。
いとも簡単におびただしい数の命を奪い、何気ない日常を奪い、未来を奪う兵器が本当に世界には必要なのでしょうか。
核兵器に脅かされない世界を創るためには核兵器は廃絶されなければならないのではないでしょうか。
私たちは3度目を許してはならないのです。