当サイトを最適な状態で閲覧していただくにはブラウザのJavaScriptを有効にしてご利用下さい。
JavaScriptを無効のままご覧いただいた場合には一部機能がご利用頂けない場合や正しい情報を取得できない場合がございます。

国際平和拠点ひろしま

Hiroshima Junior International Forum【レポート】第5回ひろしまジュニア国際フォーラム(12月6日)

12月6日(日),第5回ひろしまジュニア国際フォーラムが開催されました。
ひろしまジュニア国際フォーラムは,国内外の高校生等が国際平和についての討議や交流等を行い,平和メッセージを世界に発信することを目的に開催されています。
今年度は新型コロナウイルス感染症拡大により,オンラインで開催され日本人高校生15名と外国人高校生15名が国際平和についてディスカッションを行っています。12月6日に2回目のフォーラムが開催されました。

講義:「復興・平和構築」について

キーノートスピーチとして広島市立大学 古澤嘉朗准教授からの講義を受けました。
始めに古澤准教授から三つの質問が参加者に投げかけられました。

Do you think we are living in a peaceful world? (平和な世界に住んでいると思うか?)
Are developed countries at peace? (先進国は平和?)
Are developing countries at peace?(途上国は平和?)

 

古澤准教授から平和の定義として,Peacelessness (平和ならざる状態),Negative peace(消極的平和),Positive peace (積極的平和)※についての紹介があり平和の定義は人によって異なり,消極的平和を平和と定義する人もいれば積極的平和を平和と考える人もいるという説明がありました。皆さんは平和をどのように定義しますか?

 

※消極的平和と積極的平和:ノルウェーの平和学者ヨハン・ガルトゥングが、既存の肉体的暴力、精神的暴力、性的暴力などといった「直接的暴力」(direct violence)と、暴力が貧困や差別、格差など社会的構造に根ざしている場合の「構造的暴力」(structural violence)を提起したことにより、従来の平和学における「平和=単に戦争のない状態」と捉える「消極的平和」に加え、戦争の原因となる構造的暴力がない状態であるとする「積極的平和」[1](positive peace)という概念が確立し、平和学の理解に取り込まれ、一般的な解釈となった。
(出典:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%92%8C%E5%AD%A6

 

その後,平和構築についての講義がありました。平和構築(peacebuilding)と復興(reconstruction)の違いとして次の説明がありました。

復興(Reconstruction)
Reconstruction does not merely concern the repair of physical damage. Instead, it extends to the rebuilding of fractured relationships and communities. (Darby and MacGinty 2003)
(復興は,単に物理的な損傷の修復に関係するものではない。破壊された関係とコミュニティーの再構築まで含まれる。)


平和構築(Peacebuilding)
(省略)postconflict peace-building – action to identify and support structures which will tend to strengthen and solidify peace in order to avoid a relapse into conflict.
(UN SG Report 1992 an Agenda for peace, https://www.un.org/ruleoflaw/files/A_47_277.pdf)
(紛争後の平和構築とは,紛争の再発を回避するために平和を強化・強固する傾向にある構造を特定し支援する行動である。)

 

また,平和構築の役割,平和構築に関わる人(団体),課題などに関する講義がありました。例えば,平和構築の役割に関しては,短期的には消極的平和を達成するために暴力を終焉させ,紛争の再発を防ぐことであり,長期的には積極的平和を達成するために自立した平和を構築することであるという説明がありました。また,平和構築の課題として紛争後の国々への支援が削減されている現状について説明がありました。

最後に古澤准教授から2016年11月に広島を訪問した際のフィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官のスピーチの紹介がありましたので皆さんにも共有します

「ここ広島ほど,人間と戦争の悲惨な関係を象徴し,人間が平和を待ち望む気持ちを伝えられる場所はありません。」
出典:国連UNHCR協会,https://www.japanforunhcr.org/archives/11385

“No place in the world symbolizes humanity’s devastating relationship with war more than Hiroshima. No city speaks to us about humanity’s aspiration to peace like Hiroshima. ”
出典:UNHCR,https://www.unhcr.org/admin/hcspeeches/583c04da7/conflict-displacement-talking-refugees-city-peace.html

 

質疑応答の時間では参加者から「21世紀の紛争やテロの主要因は何か?」,「文化的な対立(Culture Conflict)を解決することは可能と思うか。」,「軍事紛争が近年増加している要因はなにか?」,「言語の違いは平和を築くのに障壁となるか。」といった質問があり,ファシリテーターとして参加いただいている大学の先生方から回答をいただきました。

グループディスカッション

グループディスカッションでは5つのグループに分かれ,「復興・平和構築,広島に期待すること」をテーマに次の事項について議論が英語で行われました。
● 講義の感想や気づきなどをメンバーと共有
● 平和なコミュニティにしていくために,解決されるべき課題は,何か?その解決策は何か?
● 平和なコミュニティの構築のために,私たちは何をしていこうと考えるか?
● 復興・平和構築の推進に向けて,広島に対して期待することは,何か?


その後,グループ発表が行われました。

グループ発表

各グループから復興・平和構築での課題,その解決策そして広島に期待することの発表がありました。課題については,人種差別や無意識の差別などを含む差別,ジェンダーや情報などの不平等,貧困や教育の欠如,人々の傲慢さなどが挙げられました。解決策としては,異なる文化について学ぶ教育,過度な軍事予算を平和分野に再配分する,見えない暴力(Invisible Violence)が存在することを理解すること,教育制度にジェンダー平等を取り入れる,#(ハッシュタグ)キャンペーンを展開するなどし政府に声を届けるなどといった提案がありました。
そして広島に期待することについては次のような発表がありました。

●ひろしまジュニア国際フォーラムのような機会を増やす

●平和教育を他の地域(都市)に展開する

●平和のシンボルとしてあり続ける

●戦争,原爆の残虐を示す

●似た経験がある都市と協力する

●平和構築に関する取組に助成をする

●学校内で国際課題について議論する機会を促進する

12月13日(日)に開催される最終回では,広島宣言の発表があります。新型コロナウイルス感染症拡大により例年とは異なる形での開催となっていますが,高校生たちの平和に対する思いはオンライン上で共有され育っているように思います。

このページに関連する情報

第5回 2020年度 ひろしまジュニア国際フォーラム 【オンライン開催】

広島県は,国内外の高校生等が国際平和についての討議や交流等を行い,平和のメッセージを世界に発信することを通じて,次の世代の人材育成を行うことを目的にひろしまジュニア国際フォーラムを開催しています。

第5回 2020年度 ひろしまジュニア国際フォーラム 【オンライン開催】

第4回ひろしまジュニア国際フォーラム

2019年に開催した第4回ひろしまジュニア国際フォーラムについて紹介しています。

第4回ひろしまジュニア国際フォーラム

world peace junior forum

オンラインで学ぶ平和講座 「広島から平和を考える」

被爆の実相や核を巡る国際動向について学び、平和について自ら考え、発信できる人材育成の充実を図るため、広島県は、オンライン講座「広島から平和を考える」を開講しています。

オンライン学習講座を受講する

このページに関するお問い合わせ先

国際課

住所:〒730-8511 広島市中区基町10-52

Tel:082-513-2361

Fax:082-228-1614

Eメール:h-jif@pref.hiroshima.jp

お問い合せフォームはこちらから

この記事に関連付けられているタグ