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国際平和拠点ひろしま

Hiroshima Business Forum for Global Peace2020世界平和経済人会議ひろしま 「2020広島宣言」

国際平和のための世界経済人会議は,ビジネスのプラットフォームとしての「国際平和」の重要性を改めて関係者間で共有し,企業やNGOなどの各主体の役割を見つめ直し,ビジネスと平和貢献のあり方の関係を多面的に議論することで,真に平和で持続可能な国際社会につなげることを目指して,これまで開催されてきました。

被爆及び終戦から75年の節目となる今年は,COVID-19との闘い/共存の時代となることも踏まえ,平和を脅かす課題が生じない状態を創り出していく「積極的平和」の実現のため,これまで以上に「経済と平和」の連携の重要性についての認識を新たにするとともに,経済人が果たすべき役割を明確にし,行動につなげていくための議論を行いました。

 

民主的で自由なビジネスを行うには,地球環境の維持保全を含めた広い意味での「平和」であることが前提条件であり,「平和」や「安全」が崩れると,ビジネスはその基盤を失います。しかし,「平和」は与えられるものではなく,積極的に貢献し,創り出さなければ得られないものなのです。 

 

SDGsを達成するための活動など,ビジネスには社会的課題の解決や社会の安定に寄与するものがあり,こうしたビジネスが,結果的に,積極的平和の構築に寄与することになります。またそれは,利益獲得と両立可能で,平和な社会が構築されれば,ビジネス環境も改善され,更にビジネスが生まれるというサイクルが生まれるのです。

 

広島が,原爆投下により「草木も生えない」と言われた75年という節目の年を迎えた今年,私たち「2020世界平和経済人会議ひろしま」参加者は,「経済と平和」の連携の重要性を再認識します。その広島だからこそ,日本にとどまらず,世界に何ができるかという視点で,被爆・終戦100年を視野に入れ,民主的で自由なビジネスの前提条件となる「積極的平和」の実現のため,新たな行動を始めることを宣言します。

 

 

「私たちの具体的な行動」

企業活動を通じて,SDGsに取り組み,積極的平和の実現に積極的に貢献することで,物心両面で満たされた人類の恒久的な平和をより深いレベルで実現します。

 

 

[グローバル経済と格差への対応の視点から](セッション1を踏まえて)

  •  活力ある経済活動を通じて世界の人々の厚生を高め得る資本主義。そのメリットを活かしながら,「格差の縮小」「地球環境の保全」といったSDGsの目標を企業経営に組み込むことで,資本主義の潜在的弱点を補い,積極的平和に資する活動を行っていく。ダイバーシティが社会・経済のレジリエンスを高めるという認識のもと,インクルーシブな社会・経済を作るように努める。
  •  経済主体の行動を支える金融・投資活動において,SDGs・ESGの視点に資する企業が認知され,金融機関・投資家の適切な評価を得ることができるように努めて,積極的平和の実現を図る。企業の行動を変えるための顧客の重要性,影響力の大きさに鑑み,消費者へのコミュニケーションに努める。
  •  国内外の経済・貿易活動のルール・規制の設定において,SDGsの観点を組み込んだ企業,金融機関・投資家が,十全にその志を果たすことができるように努め,積極的平和への貢献を行う。

 

 

[都市化,工業化と気候変動等による平和のリスクの視点から](セッション2を踏まえて)

  •  経済人は,COVID-19対応の観点から,これまでの工業化・都市化等の「集中化」から,「分散化」の必要性が議論されていることに留意し,「平和」が担保された社会変容の適切な在り方を見据えた企業活動,金融活動等を行うよう努める。今後ますます複雑化する様々な問題の解決に向けた,全体最適を求めるためには,関係者間のコミュニケーションが必要で,そのためには,規模の適切性(例えば原爆からの復興における広島市・県の規模)が重要であるということを再認識する。
  •  近年自然災害の被害が拡大する中,気候変動への適切な対応が,経済活動の基盤の強化に資することに留意する。その際には大きなイノベーションや官民を含めた新たな金融機能の活用が不可避である。
  •  SDGsの各目標には,時にはトレードオフの関係があると同時に各目標は連関もしている。経済人は,各企業として,その目標の達成を目指しつつも,社会全体がwin-winとなることに努める。個別に行われてきた様々な取組をSDGsの名のもとにまとめるとともに,さらに深い理解促進と経営への組み込みを行う。

 

[グローバル社会における自治体の役割の視点から](セッション3を踏まえて)

  •  経済活動の前提である平和を維持し,SDGsを達成するためには,平和に貢献する視点を持った,グローバルに活躍する経済人の育成が不可欠である。具体的には,科学リテラシー,足元のコミュニティへの関与,偏見の除去と社会格差の縮小といった視点を組み込むべきである。こういった人材を育成する公教育及び民間教育を支援していく。
  •  市民社会やコミュニティと密接な関係がある,自治体レベルで行う「外交」は,国と国との外交を補完し,姉妹都市間協力等自治体ならではの関係構築を通じて持続可能な平和の推進の上で重要な役割を果たす。地方自治体のこのような役割をしっかり認識し,平和の構築に寄与していく。
  •  世界的な格差拡大の中で,教育の効果を広げていくために,デジタル・オンラインの活用を行っていく。

 

 

[人間の安全保障の視点から](スペシャルセッションを踏まえて)

  •  国と国の指導者が安全保障を担う時代から,個々人にとっての人間の安全保障が重要性を持つ時代になり,企業・自治体・NPO・NGO,そして個々人が,積極的平和の構築に関与しなければいけない。
  •  COVID-19は,既に存在している課題やそれに伴う変化の潮流を加速度的に顕在化している。この中で,人類を襲う未知のリスクに対応し,それに起因する平和へのリスクが高まりかねない。我々はこれを認識し,このリスクへの対応を積極的に行っていく。その実行においては,複数の主体間で倫理と価値を共有し,能動的に人類の全体最適を図っていく。

 

 

 

 

2020年8月8日

2020世界平和経済人会議ひろしま参加者一同

 

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