抗　議　文

　貴国が，昨年11月に，ネバダ州で臨界前核実験を実施したとの報に接しました。人類史上最初の原子爆弾による破壊を経験した広島県民を代表して，ここに厳重に抗議します。

　広島は，昨年，原爆投下から75年となる重要な節目の年を迎えました。被爆者をはじめとした多くの人々が，改めて核兵器廃絶の実現を，世界に，そして将来にわたって，訴え続けることを誓った年でもありました。

　こうした年の，さらには核兵器禁止条約の発効が確実となった直後に，貴国が臨界前核実験を実施していたとの今回の報は，核兵器廃絶を強く願う広島県民をはじめとする世界の人々に大きな落胆を与えるものであり，誠に遺憾です。

　貴国においては，今月22日に発効する核兵器禁止条約に込められた核兵器の廃絶を願う国際世論，そして長年にわたり粘り強く核兵器の非人道性を訴えてきた被爆者をはじめとする広島県民の強い思いを真摯に受け止め，今後，一切の核実験を中止するとともに，核兵器廃絶に向け，核兵器国に課せられたＮＰＴ上の核軍縮義務を遵守し，全力を挙げて取り組まれるよう，強く求めます。

2021年１月17日

アメリカ合衆国大統領
ドナルド・Ｊ・トランプ閣下

日本国　広島県知事　湯崎英彦