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国際平和拠点ひろしま

核兵器に投資をしない

国際平和拠点ひろしまには著名人からウェブサイトを訪れる皆さんにメッセージをいただいています。その一つ核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の事務局長ベアトリス・フィン氏からのメッセージの一部を紹介します。

「核兵器の非人道性と違法性について声をあげ,核兵器に投資しないよう銀行に要求しようではありませんか。」

メッセージ全文: https://hiroshimaforpeace.com/comment/beatrice-fihn/

フィン氏からのメッセージにもあるように核兵器廃絶に向けた取り組みは政府だけのものではありません。私たち1人1人にもできることがあります。

2020年8月に開催した世界平和経済人会議ひろしまで水野 弘道氏(国連責任投資原則協会 (PRI Association) 理事,経済産業省参与,米テスラモーターズ社外取締役)は「武器を作っている企業に投資できないような環境が整ってきているのか。」という質問に対し次のように回答されました。

「ESG指数 * において非人道的武器は除外されている。しかし,核兵器を除外できている投資家は少ないと思う。関わっている企業が多い上に,国も関わっており投資のポートフォリオへの影響が大きすぎるため二の足を踏む人が多い。変化を起こせるのは消費者であり,投資家はそれに対してリアクトするため,消費者の行動が重要となる。」

*ESGは環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の英語の頭文字を合わせた言葉です。投資するために企業の価値を測る材料として、これまではキャッシュフローや利益率などの定量的な財務情報が主に使われてきました。それに加え、非財務情報であるESG要素を考慮する投資を「ESG投資」といいます。ESGに関する要素はさまざまですが、例えば「E」は地球温暖化対策、「S」は女性従業員の活躍、「G」は取締役の構成などが挙げられます。(参照:年金積立金管理運用独立行政法人ホームページ)

今回は消費者から企業を変える一つの取り組みを紹介します。

核兵器製造企業への投資

ひろしまレポート2020には核兵器製造企業への投資について次のように掲載しています。

「近年の動きとして、核兵器の開発・製造などに携わる組織や企業などへの融資の禁止や引揚げ(divestment)が提案され、実際にこれを定める国が出始めている。核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)が2019年6月に公表した報告書によれば、主要な核兵器製造企業18社に対して、325の金融機関が2017年1月から2019年1月の間に7,480億ドル以上を投資した232。また、ICANが2019年5月に公表した報告書によれば、フランス、インド、英国及び米国などの民間企業28社が少なくとも1,160億ドル(約12兆円)の契約を結んでいること、中国の核兵器製造関連の国営企業が資金調達のための債券を発行していること、ロシア、イスラエル、パキスタン及び北朝鮮の動向は不透明であることなどが明らかにされた233
232 ICAN and PAX, Shorting Our Security- Financing the Companies that Make Nuclear Weapons, June 2019.
233 ICAN and PAX, Producing Mass Destruction: Private Companies and the Nuclear Weapons Industry, May 2019.

ひろしまレポート2020 : https://hiroshimaforpeace.com/hiroshimareport/report-2020/page-16/

核兵器製造企業への投資を制限する動き

上記で記載したとおり,核兵器製造企業へ投資する金融機関がいる一方で核兵器製造企業へ投資を制限するポリシーを制定している金融機関も存在します。例えば,2018年にPAXとICANが発表したレポートによると日本では,りそなホールディングスと九州フィナンシャルグループが核兵器のための投資を制限している表明がなされていることが分かっています。

また広島銀行も2020年8月に核兵器やクラスター弾等の非人道的な兵器の開発・製造を行う先への投融資を行わないことを表明しました。

このような動きは近年広がっているように思います。

ひろしまレポート2020には核兵器製造企業への投資を制限する動きについて次のように記載しています。

「 77の金融機関が、核兵器製造者への投資を制限するポリシーを制定しているとの調査結果を明らかにした234。スイス及びルクセンブルクでは、核兵器のための投資を制限する国内法が制定された。また、ノルウェー及びスウェーデンの公的年金基金は、核兵器開発・製造に関与する企業を投資先から除外している235
234 ICAN and PAX, Beyond the Bomb: Global Exclusion of Nuclear Weapon Producers, October 2019.
235 IKV Pax Christi and ICAN, Don’t Bank on the Bomb: A Global Report on the Financing of Nuclear Weapons Producers—2018, March 2018. 日本では、りそなホールディングスと九州フィナンシャルグループが同種の表明を行っている。」

ひろしまレポート:
https://hiroshimaforpeace.com/hiroshimareport/report-2020/page-16/

消費者ができること

では,消費者ができることとして何があるのでしょうか?

 

核兵器の使用の実相,現状について知る

1945年8月6日広島に投下された原子爆弾によりその年の内に14万人の命を奪いました。それは当時の広島市の人口の約40%にあたると推察されています。広島に投下された原子爆弾よりも威力の強い核兵器が地球上に13,000発存在するのが現状です。2020年8月に開催されたシンポジウムでウィリアム・ペリー氏( 米国カーター政権で国防次官、クリントン政権で国防副長官・国防長官を歴任)は「 核戦争のリスクは冷戦の最も深刻な時に匹敵する。 そして、多くの人がこのことを理解しておらず核戦争は冷戦の終結とともになくなったと考えている人が大半である。」と述べられました。

核兵器が使用されたらどのようなことが起こるのか。その核兵器が今地球にはどれくらいあるのか。それは必要なものなのか。まずは知ることから始めてみてください。

関連ページ

核兵器の現状について知る:https://hiroshimaforpeace.com/hiroshimareport/report-2020/booklet/

ウィリアム・ペリー氏登壇のシンポジウム:https://hiroshimaforpeace.com/asahi-sympo2020/

被爆者証言を検索する(要会員登録):https://hiroshimaforpeace.com/archives

 

金融機関を調べる

核兵器製造企業に投資している金融機関もいれば投資を制限する金融機関もいます。まずは自身の金融機関がどのような方針をもっているのか調べることから始められると思います。

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