2021年1月27日(水)(米国時間),2021年の終末時計が発表されました。
人類の終末まで「残り100秒」。2021年の終末時計の結果です。
終末時計は, 米国の原子力科学者会報(Bulletin of the Atomic Scientists)が定期的に発表しているもので ,核戦争などによる人類の終末を午前0時とし,その終末までの残り時間を「あと何秒(分)」という形で示されています。
2021年の発表内容について紹介します。
終末時計について詳細はこちら
なぜ「残り100秒」なのか
残り100秒となった理由について,原子力科学者会報はステートメントを発表しています。その中からいくつか紹介します。
核兵器の脅威
- 核兵器保有国は核の近代化プログラムに莫大な金額を費やしている。
- 米露をはじめとする国々では核兵器をより使える兵器にする動きが見られた。
終末時計が発表された数日前に発効となった核兵器禁止条約(TPWN)については次のように記載されています。
核兵器禁止条約は核兵器保有国が核軍縮を確実に行うために圧力を高めることを目的に非核兵器保有国が主導となって成立した。核兵器のリスク,とりわけ核兵器使用の非人道性に注目が注がれている。集団安全保障や検証などの軍縮と拡散の課題に対処するため,全ての国々の具体的な行動につながることを期待している。我々は,全ての国々に対し,真の軍縮の結果を出すよう連携し,歩み寄ることを求める。
さらに,気候変動の影響や新型コロナウイルスで露呈した政府や国際機関などの脅威に対する準備不足なども指摘されました。
そして,ステートメントの最後では次のように締めくくられています。
原子力科学者会報のステートメント全文(英語)はこちら現在までに,新型コロナウイルスで200万人以上が亡くなった。新型コロナウイルスは,紛れもなく世界的な警告である。メッセージはシンプルかつ身が凍るようなものだ。「次はさらに悪くなる可能性がある。」パンデミックの経験を考えると,警告されなかったと合理的に言うことができる人はいない。我々がこれまでに直面した中で最も危険な状況である「0時(終末)まで残り100秒」のままである。我々みんなが,本当に文字通り,地球を救うため,今こそ,必要な行動を起こそう。
原子力科学者会報の終末時計発表イベント全編(英語)はYouTubeからご覧いただけます。
広島県の取り組み
今回の発表イベントにおいて,湯崎広島県知事からメッセージを発信しました。
「核抑止から人類が脱却し,被爆者が存命の一刻でも早い時期に核兵器を廃絶するためには,ローマ教皇が広島で示唆されたように,世界の叡知を集め,すべての国々,すべての人々が行動しなければなりません。
皆さん,今こそ,後世の人々に,その無責任を非難される前に,叡知を集めて行動しようではありませんか。 」
メッセージ全文はこちら
2020年8月に湯崎広島県知事の寄稿文が原子力科学者会報に掲載されました。
掲載文「核兵器使用の現実について広島からのメッセージ」を読む
広島県では国内外の核兵器廃絶などに取り組む機関と連携し,核兵器廃絶に向けた広島からのメッセージを発信していきます。