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国際平和拠点ひろしま

Event Report【Event Report】第7回 Ideas That Matters シリーズ「グローバル時代に生きる日本の若者に期待されること」

皆さんは,広島県に国連機関があるのを御存じでしょうか。
国連訓練調査研究所(United Nations Institute for Training and Research)は,スイスのジュネーブに本部があり,ニューヨークと広島に事務所があります。英語名称の頭文字をとって,UNITAR(ユニタール)と呼ばれています。

さて,今回の記事は,12月5日(土)に,ユニタールとその支援団体ユニタール協会との共同事業として開催された,第7回 Ideas That Matters シリーズ「グローバル時代に生きる日本の若者に期待されること」のイベントレポートです。(報告者:広島県平和推進プロジェクト・チーム職員)

登壇者は,国際教養大学名誉教授で,グローバル人材育成教育学会会長の勝又美智雄先生。

勝又先生のプロフィールは,次のとおりで,新聞記者として32年,国際教養大学で12年教授として勤めた経験を踏まえてのお話でした。

・1947年大分県生まれ。東京外国語大学英米語科卒。
・1972年から2004年まで日本経済新聞社で社会部記者、ロサンゼルス支局長、国際第二部次長、編集委員などを歴任。
・1981年米スタンフオード大学ジャーナリズム研究員、1993~2002年東京外国語大学非常勤講師。
・2004年、秋田の公立大学法人・国際教養大学の開学と同時に教授兼図書館長に就任。

大きく4部構成で,最後に,グローバル時代に生きる若者へ期待することについて,お話がありました。

①グローバル化時代の特徴:「Flat化=Borderless化」

・モノ,ヒト,カネ,情報,難民,疫病が世界中を時差なしで席巻する。
・自然環境の被害(大気汚染,海洋汚染,地震,津波,台風)が世界中に広がる。
・大気圏のオゾン層の破壊と異常気象
・「自分の国さえよければよい」というNationalism ⇔ 地域で守ろうというRegionalism

②第二次大戦(1939-1945)後の日本社会の特徴

・2020年まで戦争の被害を受けたことが一度もない稀有な「平和な国」
  (たとえば,カンボジアでは,300万人以上虐殺があった)
・米国に従属し,米国の核の傘に守られて,「平和」の継続も高度経済発展もしてきた。
・1990年代以降,米国のICT革命による経済復興・中国の台頭の狭間に陥る。
・1990年代までの“平和ボケ”から脱却できていない。

③21世紀の日本の若者たちの特徴

・家族・社会に安住し,社会的問題,地球的問題に関心がない。「内向き」感覚が支配的。
・自己肯定感・自己評価がOECD諸国の中でも最低。自分の夢・ビジョンが描けない。
・「公益・国益・地球益」に対する関心がほとんどない。
・過去の延長で未来を考えるのではなく,「ゼロから挑戦する」意欲を。

④若者よ,グローバル人材を目指そう

・〝Glocal″に考えよう。Localな課題(少子高齢化,地域活性化)を地球規模で。
・多文化共生社会=隣は日本語の不自由な外国人
・自分の発信力を身に着ける。まず日本語の理解力・表現力を鍛えよう。
・英語力はグローバル人材の必要条件でも十分条件でもない。
 必要なのは,世界のどこに行っても異文化の人と対等に話ができる力や一緒に問題解決する協働力。
・英語力=日本語力+理数脳
 割と誰でも大学生になれる時代なので,相対的に,大学生の学力が落ちてきている。 
 まずは日本語できちんと表現できることが大事。
 通訳を介す,身振り手振り,翻訳アプリを駆使する等すれば英語力は不可欠な能力ではない。

そして,最後に,グローバル時代を生きる〝広島の″若者に期待することについて,勝又先生にお尋ねしたところ,次のように回答をいただきましたので,御紹介します。

広島の若者に期待するのは、自分の生まれ育った広島の歴史(栄光も悲惨も含めて)、そこで培われた文化に誇りを持つこと、広島が世界史の上で最初の原爆被災地であることを単なる被害者意識で受け止めるのではなく、その教訓を「戦争のない平和な社会、世界」を作っていくのに自分たちに何ができるかをしっかり考え、それを世界に発信していくことではないかと思います。
実は中央アジアのカザフスタンは旧ソ連時代の原爆実験地にされていて、今でも原爆症に苦しんでいる人たちが大量にいます。そういう人たちに広島の若者として何ができるか、考えることも国際理解を深めるうえで重要なポイントです。核保有国は核実験を繰り返さざるを得ず、少数民族の住む僻地で実験を繰り返しては、現地の被爆者を増やしています。そういう現実から目を背けないで「平和ボケ」状態から、どう脱却すればいいかを考え、日本の若者の「国際貢献」のリーダー役を担うことが期待されます。

勝又先生からの御回答にもあった「自分の生まれ育った広島の歴史」を改めて学習したいという方がいらっしゃったら,是非,このウェブサイトで以前御紹介したオンラインで学ぶ平和サイト4選もチェックしてみてくださいね。

オンラインで学ぶ平和サイト4選

また,この記事でも紹介しているオンライン平和講座「広島から平和を考える」の第4回では,ユニタール広島事務所について取り上げていますので,ユニタールについて興味のある方は,この機会に是非見てみてください。

オンライン平和講座「広島から平和を考える」の第4回

勝又先生のお話にもあったSDGsに関する広島県での取り組みはこちら

広島県のSDGsの取組を知る

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