Leaning from Hiroshima’s Reconstruction Experience: Reborn from the Ashes vol1第2章 戦争と広島,原爆投下の衝撃 はじめに
広島は日本有数の軍都であった。明治維新の激動の中で,広島城は廃城とならず軍の拠点となり,日清戦争を機に,広島は随一の派兵基地・兵站基地となった。広島の軍都としての機能は,戦時にフルに発揮され,戦争のたびに多くの兵士が広島から戦地に向かった。第2次世界大戦末期には,本土決戦に備え西日本の諸軍を統轄する第2総軍が広島に置かれた。その広島が,原爆攻撃の標的となり,筆舌に尽くしがたい惨劇が起こった。多くの命が失われ,人々は逃げまどい,苦しんだ。事前の空襲への備えをはるかに超えた想定外の事態の下で,軍を中心とした救援活動,屍体処理,瓦礫の撤去がなされた。復興への前途は多難であった。