日本における戦後の都市の復興は，きわめて注目すべきものであり，とくに広島の被爆からの復興は，稀に見るような復興がなし遂げられ偉業として評価されている。復興がほとんど不可能と思われたほどの破壊された都市で，復興計画は当時として可能な限りでの理想を追求し，意欲的な道路計画，公園緑地計画，土地区画整理を目指したものであった。それ故に幾多の困難を乗り越えねばならない復興となった。そこには，復興計画・事業関係者と市民の並大抵ではない努力，時にはある種の犠牲も強いるものであったかもしれない。同時に，さまざまな形での諸外国からの支援や励ましもあって，被爆直後数年間の危機を乗り越えていったのである。

日本での復興は，まず戦前からの都市計画制度や一定の人的資源や仕組みといった枠組みがあったこともあり，かなり早い時期からの取組が展開された。とはいえ復興過程は多くの特定の条件のもとに，時代的めぐり合わせによって実現したものであり，ある意味で奇跡のようななり行きであった。日本の復興を成し遂げた過程，広島についてはさらに過酷な条件の中での営為を少しでも明らかにしておきたい。また多くの課題を抱え，持ち越したままでの復興であったことも，明らかにしなければならないのである。

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