Leaning from Hiroshima’s Reconstruction Experience: Reborn from the Ashes vol1第5章 再開発をめぐる諸問題 はじめに
本章は特に復興過程の中で起こった不法建築問題,同時に河岸緑地の形成や再開発計画の実態等に焦点を当てる。戦後の混乱期に住むところもなく,また所有者の不明な土地に住宅を建設して住む事例はよくあることである。広島でも戦後いくつかの場所で不法建築群の立地する場所が発生した。後に平和記念公園となった中島地区,河岸緑地に整備された基町地区である。中島地区では公園建設が進む中で民家が次第に立ち退きを迫られた。河岸では不法建築を強制的に立ち退かせつつ緑地を整備し,基町では戦後公的に住宅が建設されたが,これらに混じるように不法建築が出現し,これらを含めて再開発計画の対象となり,多くの困難をのりこえて基町・長寿園高層アパートが建設された。このような広島の戦後の不法建築と再開発をめぐる復興過程を本章では描く。