昭和20(1945)年8月6日の原爆投下は広島に甚大な被害をもたらした。にもかかわらず，広島の産業経済の復旧・復興はめざましかった。広島の産業経済は，なぜ急速に再建しえたのだろうか。本章では，広島の復旧・復興過程について下記の点から検証する。

1. 主に「工業統計表」に依拠して，戦後復興期から1960年代半ばまでの広島県における製造業の動向を中心に扱う。終戦直後の数年間については，終戦直前の数年間の状況と比較する。
2. 当時の統計は都道府県単位で発表されているため，主に広島県全体の数値をみていくが，可能な限り広島市のデータを取り上げる。
3. 統計データに関する分析を補完するため，当時の制度・政策の影響や社会資本インフラの整備状況と照らし合わせるとともに，『広島県史』『広島新史』などを活用する。

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