Leaning from Hiroshima’s Reconstruction Experience: Reborn from the Ashes vol3原爆被災と行政
安藤 福平(あんどう ふくへい)
1948年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程中途退学。
日本アーカイブズ学会登録アーキピスト。
広島県立文書館名誉館員(元広島県立文書館副館長)
はじめに
広島への原爆投下は、事前の空襲への備えがほとんど用をなさないほどの、想定をはるかに超えるできごとであった。それでも、軍も行政も人々も、事前の備えと現有の機構と機能、リソースの範囲で対応するほかはなかった。それは、まさに原爆被災特有の事象であったが、多くの戦災やあるいは 大規模自然災害にも共通する側面もみられた。
本稿では、原爆投下直前の行政の体制、空襲への備えから説き起こし、壊滅的被害を蒙った行政の体制立て直し、軍主導の戦災処理、応援体制の発動、応急対策、情報統制、常態への復帰などに焦点をあて、原爆被災に対する行政の対応について概略を記す。