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国際平和拠点ひろしま

Leaning from Hiroshima’s Reconstruction Experience: Reborn from the Ashes vol4発刊にあたって

本書は,広島県と広島市で構成する国際平和拠点ひろしま構想推進連携事業実行委員会が,平成25年度に取りまとめた 『ひろしま復興・平和構築研究事業報告書 広島の復興経験を生かすために-廃墟からの再生-』の一層の充実を目的として,広島で学ぶ紛争終結国等からの研修生のニーズの高いテーマを取り上げ調査を行う補完研究の成果を報告書としてまとめたものである。

補完研究は平成27年度から継続して実施しており,平成29年度においては,広島の復興過程における「被爆体験の継承Jと「海外からの支援Jの 2つのテーマを取り上げた。

「被爆体験の継承」については,広島の原爆投下から72年が過ぎ,高齢化によって,その経験を語ることのできる被爆者が減少してきた現実を見据え,被爆体験のうち,なにをいかに次世代に継承していくかという課題を扱ったものである。現在の国際社会では,武力紛争がもたらした街や市民への被害等をどのように客観的に後世に伝え,継承し,紛争当事者間の和解,そして将来の紛争予防に繋げていくかが移行期の課題として問われている。その意味において,被爆体験の継承という課題は,紛争後社会が復興へと向かう際に向き合うこととなる共通の課題解決へ向けた事例研究としての意味付けを有するものである。

「海外からの支援」については,武力紛争後の社会が復興に向けた歩みを進めるに際し,重要な役割を果たしうる国外からの支援について,特に,その支援の形を現代においてもとどめる,フロイド・シュモー氏の「広島の家」の取組を中心に検討したものである。紛争後社会の復興・平和構築へ向けた取組は,そこに生きる人々の生活の再建に向けた取組みであるとともに,紛争後社会そのものの国際社会への復帰という意味付けをも有する。本稿は,紛争後社会への海外からの支援が持ちうる,単なる物質的あるいは経済的欠乏への対処に留まらない重要性,国際的紐帯を通し復興 ・平和構築を成し遂げることの意味を指摘するものである。

本書が,広島で復興を学ぶ人々の関心に応え,紛争終結国における復興・平和構築の取組を後押しし,平和な国際社会の実現に向けた取組が一層促進されることを期待している。

最後に,執筆者の方々をはじめ,本研究にあたり貴重な助言や資料提供などに御協力いただいた関係各位に深く感謝申し上げる。


平成30年 3月

国際平和拠点ひろしま構想推進連携事業実行委員会

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