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国際平和拠点ひろしま

Future Leaders' Program 2019 - Decemberグローバル未来塾inひろしま2019 第4期研修報告 Vol.1(12月15日)

12月15日(日)に行われた第4期グローバル未来塾inひろしまの研修について受講生からの報告書をお伝えします。講師は元国際連合政府代表部特命全権大使 大島賢三氏です。

(受講生からの報告書を編集せず掲載しています。)

【報告書1】

講義名   国連の役割について          
研修講師名 大島賢三 国連大使          
報告者   広島大学附属福山高等学校 瀬尾孝太朗 

 大島国連大使は今回のご講演で、世界における国連の役割や国連内の日本の役割について説明され、これまでの国連での勤務や活動をもとに今の世界情勢の中で国連というものがどのような影響力を持っており、世界規模の問題についてどのように対処しているのかを理解することが重要であるということについてご講義された。
 まず一つ目にポイントとして挙げられたのは国際連合の成り立ちについてである。国際連合は戦前の「国際連盟」の失敗を活かし、第二次世界大戦の戦勝国が1945年に行われたサンフランシスコ会議において組織された国際平和と安全の維持を主要任務とする唯一の普遍的な国際機関である。国連は国際社会の現実を映し出す鏡であり、不可欠な「国際公共財」であるとされている。ここで大島先生は過度の礼讃も無用論も避けることが大切であると説明された。これは現実的な見地から強化することを目的としているためである。
 二つ目は国連の世界の問題への役割である。主に国際テロ、地域紛争、内戦、経済格差・貧富の差の拡大、地球温暖化、大量破壊兵器の拡散、北朝鮮の核・ミサイル問題などに対する国際的条約などを総会や安全保障理事会などで議論している。しかし、そこには問題点もあり、安全保障理事会常任理事国の拒否権についてである。また、安保理での会議は約八割が非公開で行われており透明性の欠如という面においても再度の議論の必要性がうかがえる。元事務総長であるコフィ・アナン氏も「安保理改革なくして国連改革なし」という言葉を残している。
 最後に国連における日本の役割についてである。日本は「国連中心外交主義」を掲げ、国連の優等生を自負している。財政的にも国連通常予算分担率の第三位であり、貢献度も高いといえる。また、平和維持活動(PKO)にも人材を派遣しており重要な役割を担っていると考えられる。しかし、先進国のODA実績はアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスに次ぐ五位と低迷しており、いまだ減少傾向にある。これを踏まえてこれから先どうするのかを考えていかなければならないと思う
 私は今回のご講演を聴くまでは国連や日本の活動に関してあまり興味がなく、深く考えたことがなかったのでおおまかにしか知らなかった。しかし、聴いた後は国連や日本が世界に対してどれだけ貢献をしているのかが分かり興味を持ったのでこれからいろいろな国連に関することを調べていきたいと思う。今の世界は、北朝鮮の核問題であったり、アメリカ・イラン間の緊張問題であったりなど様々な問題が渦巻いている。それらを解決に導くためには個人の力だけでなく集団の力が必要であると思う。それを得るためには自分が知るだけではなく周りにも知ってもらうことが大切であるので、そのような活動を行っていきたい。


【報告書2】

講義名   世界における国連の役割                            
研修講師名 大島先生                                   
報告者   AICJ高等学校 末松 大                                   

国連は主権国家の集合体であって、世界政府ではない。国際社会の現実を映し出す鏡であり、総会決議や国連主導の国際協定など国際世論・国際合意の形成の場であると同時に、加盟国の行動に対する安保理などによる合法性、正統性の付与。加盟国の国益と国際公益との調和である、と大島先生は国連の存在意義について述べられた。また、安保理改革なくして国連改革なし、というコフィ・アナン元事務総長のことばをかりて、国連安保理改革について述べられた。また日本の国際環境の変化のなかでの役割については、ODA実績や日本の国連通常予算分担率の推移をもとに説明して下さった。

このように講義は大きく分けて三つの点についてだった。
一つ目は国連についてだった。一番印象に残った言葉は、「国連は人類を天国に近づけるためではなく、人類を地獄から救済するために作られた」スウェーデン人の第二代事務総長、ダグ・ハマショールドの言葉の紹介だった。大島先生は、多くの人は国連がいけないから世界の状況があまり良くないのだと言うが、このような言葉もある、と例示して下さった言葉だ。
二つ目は安保理とそしてその改革の動きだ。構成は常任理事国5ヵ国と非常任理事国10ヵ国だが、近年拒否権乱用が問題視され始めている。また、ほかに挙げられた改革必要事項は議席拡大や作業方法の改善、効率維持の方法などだ。”The Elders”による国連改革案の提唱では安保理非常任理事国のための新しいカテゴリーの議席(長期任期や再選可能にする)市民社会の声の吸収や国連事務総長の選出方法と人気についてだ。国連事務総長は安保理の常任理事国の承認がないと決まらないそうだ。まず安保理で決められ総会に発議するのだが、そのときにもちろん常任理事国は拒否権を使うことができる。また総会決議は、投票制ではなく候補者は一人なので、そのまま決まってしまうそうだ。
三つ目は、新しい国際環境の変化の中での日本の役割だ。アメリカや中国による世界への影響と日本と国連の関係について述べられた。”American First” という言葉があるように、アメリカでは自国第一主義が台頭している。TPP、気候変動パリ協定の脱退や二国間主義など世界恐慌の後、イギリスやフランスで行われたブロック経済などのように似たような経済政策をトランプ政権は今とっている。それだけではなく、トランプ政権による日本への影響もあげられた。それは、北朝鮮の非核化、日米貿易関係、日米の安保関係だ。また中国の台頭による世界への影響では、中国の国防予算のグラフを例に挙げ、「一帯一路」などよくニュースで聞くワードや米中貿易摩擦の激化などを例に今後の国際情勢についても言及された。国連と日本の役割では、先ほど述べたようにODAや、国連通常予算分担率のグラフをあげて説明していただいた。また、もっとするべきである発信力の強化としては、大島先生は人的貢献の不足を問題視しておられた。
この講義を通じて、私は多くの新しいことを学んだ。今までは正直国連という機関は拒否権のある国とない国があるので完全に平等であるわけではないが、地球単位の政府、という認識だった。しかし先ほど述べたダグ・ハマショールドの言葉にもあるように、国連は世界平和という天国に地球全体を近づけるためではなく、戦争や紛争の勃発という地獄から人類を救済するためにあるのだ、という考え方を持つことができるようになり、今後の将来の夢を考えさせられる講演だった。


【報告書3】

講義名 国連の役割
研修講師 大島 賢三大使
報告者 ノートルダム清心高校 廣田 彩咲

大島大使は、第二次世界大戦後の世界を統括する組織である国際連合についての講義をされ、その役割や、存在意義、国際連合に対する批判や期待について説明された。また世界の秩序や安定を図る機関である安全保障理事会に見られる改革の必要性も強調された。加えて、国際連合が世界大戦後に創設され当時の世界情勢と、今の情勢が大きく異なっていることもふまえつつ、これから日本が世界の中でどのような役割を負う必要があるのかを問いかけた。
1点目に、国連を、組織として分析された。国連は第二次世界大戦の戦勝国によって創設された組織であり、敗戦国に対しての中立性は保たれていないことを強調された。総会では一国一票で世界の「政治」を行う反面、安保理では常任理事国に拒否権が認められているため、全世界に対して平等な政治はなされていない。このことから、国連全体に制度疲労や改革の必要性があると言われた。
2点目に、国連の存在意義を確認された。国連はあくまで主権国家の共同体であり世界政府ではない。世界の不平等さといった国際社会の現実を映し出し、加盟国それぞれが利益を追求する面もあり、国際世論を形成して合意に導く場でもある。このように国連は現実的な措置を行い、不完全ではあるが不可欠な「国際公共財」であると強調された。
3点目に、国連に対する評価を述べられた。“国連は人類を天国に近づけるためではなく、人類を地獄から救済するために作られた”という2代事務総長、ダグ・ハマショールド氏の言葉を用いつつ、世界戦争が起きていないことやノーベル平和賞を多数受賞していることから、この目的を達成していると言われた。しかし、21世紀で頻発する民族や宗教間の紛争や貧困、人道危機の問題を対処できるかどうかで国連の手腕が問われている、と厳しく指摘された。
4点目に、安保理改革の必要性を強く訴えられた。安保理は、常任理事国が拒否権を濫用しているために機能不全に陥っている。それを打破するために、非常任理事国を増やすこと、拒否権の権限を弱めること、メディアの投入で会議の透明性を向上することなど、多くの解決策を提示された。また、世界平和と安全のための組織として、守らなければならない市民の声を聴き、意思をくみ取っていくことの重要性も強調された。
この講義を通じて、私は2つのことを強く感じた。1つ目は、国連改革の必要性だ。国連には世界の問題を解決するための機関が多くそろっている。しかし、新たな問題も日々浮上する中でこれまでの体制を保つことで解決できるのだろうか。大島大使の言われたように1つの機関に様々な国籍の人材を投入し、多角的な視点から物事を見る必要があると思う。専門家がそれぞれの専門領域以外の人と話す機会を持つなど、自身の中に多様な視点を取り込むことで、新たな解決策を見いだせる。私自身も興味の範囲を超えて学びを続けることで客観的な考え方を持てるようになりたい。2つ目は、これからの日本の在り方だ。戦争から復興し世界のなかでも大きな地位を持つ日本は、自らの経験をもっと発信するべきだ。日本の製品を輸出するなどの物理的支援ではなく、教育の質や、介護、医療の分野においても人材の支援や派遣を行う必要がある。日本人特有の顕著さを発揮するところではないと思う。アジアや世界を牽引する国の一人として、私も自分の身につけた技術や経験を必要な場所で共有して行きたいと思う。


グローバル未来塾inひろしまについては以下のURLからご覧ください。

https://hiroshimaforpeace.com/gmirai/

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