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国際平和拠点ひろしま

Future Leaders' Program 2019 - Decemberグローバル未来塾inひろしま2019 第4期研修報告 Vol.2(12月15日)

12月15日(日)に行われた第4期グローバル未来塾inひろしまの研修について受講生からの報告書をお伝えします。講師は湯﨑 英彦広島県知事です。

(受講生からの報告書を編集せず掲載しています。)

【報告書1】

講義名:広島から核兵器廃絶に貢献できる人材を目指して
研修講師名:湯崎知事
報告者:森ひなた
 
  今回の講演は「国際平和拠点ひろしま構想」についての質疑応答という形で行われました。
  はじめの概要説明として、知事は主に二つの事に言及されていました。
  一つ目は、『伝承の大切さ』です。戦後75年近い今、被曝の記憶を鮮明に持つヒバクシャの方々は多くが90代になっており、彼らの記憶を受け継ぎ風化させない必要があります。
  二つ目は、 『力を合わせた取り組み』です。これは換言すれば「核抑止の廃絶」とも言えます。例えば、北朝鮮では国内での恐怖政治が行われていると共に、国外からの批判や追及を畏れ、国家間の約束を後回しにし自らの権力を誇示すべく核ミサイルの開発を進めています。その他、G7に代表される多くの先進国も依然として核兵器を保有しています。これらの問題の根幹はやはり「核抑止」にあります。
  以上の二つが要していることはすなわち『市民社会の力』です。被曝の記憶の伝承であれば、ヒバクシャの方々の言葉を受け、私たち市民はそれを風化させぬよう、何らかの言動に移す必要があります。そのために必要だと知事が強調されていたのは『教育』です。この教育というのは、イニシアチブや批判的思考力を涵養するものです。私は、特に小学校では洗脳教育に近いものが行われがちだと感じており、主体的に考える場が義務教育を通して提供されていない現状に危機感を覚えました。また、思考の際にはその枠組みとして正しい情報が提供されることも大切であると思います。その為にはメディアがより公正で信頼できるものであるべきだと考えました。
  知事は、広島の活動成果、また目標として『多くの人の広島への誘致』を挙げました。近年は特に政治的リーダーの広島来訪から世界的にも注目が集まるようになっていると言います。広島が平和の発信地として多くの人々を勧誘すると言う行為は、いわゆるヒロシマならではの平和という大きな活動に向けた「草の根活動の一つ」であるべきだと考えました。というのも、年々日本へのアジア人観光客が増える中、広島だけはその数が変化していないと言います。平和記念資料館について良い印象を持っていない人がいると言うのです。これには資料館の展示の仕方の偏りが一つの要素としてあげられるかもしれません。世界には様々な立場の人々がいるということ、その多様性に考慮した上で、非・平和のある一つの側面としてヒロシマを主張すべきだろうと考えました。
 また、知事は、問題解決のためにロングランでの俯瞰的なものの見方が必要だとおっしゃっていました。またその際には経済、政治、と言った社会的背景の考慮が本質だと言います。鑑みてみれば多くの国が社会的背景、事情により「核抑止」を利用しているのは火を見るより明らかです。そのような考え方が教育過程で享受されていくようになることが理想です。
 現在、非核保有国と核保有国の架け橋になるべき立場の日本が核の傘の中で核廃絶を訴える姿は、国外からの批判を受けています。日本における真の平和のあり方を猛省し、改変していく一環として、「ヒロシマ」としてのあり方をより良くしていく必要性を感じました。
 知事の座右の銘である「志と覚悟」を我々皆が市民として持つ、そのような社会の模索に貢献できればなと思います。


【報告書2】

講義名     広島から核兵器廃絶に貢献できる人材を目指して 
研修講師名  広島県知事 湯崎 英彦氏
報告者     ノートルダム清心高等学校 山本 絢子
湯崎県知事は講義の前半で先日のローマ教皇来日の際のスピーチに込められたメッセージについて述べられ、その後塾生からの質問に答えてくださった。
 講義の前半、まずローマ教皇のスピーチについて、知事は長崎と広島それぞれの内容を再確認した上でその違いを次のように教えてくださった。長崎では「政治を司る指導者の皆さんに求める。核兵器は安全保障への脅威から私たちを守るものではないと心に刻んでほしい」と述べ、核抑止論を否定し、核兵器のない世界のために国際的枠組みを構築することを求めた、特に為政者により強く訴えるメッセージであった。
 一方、広島では「現在と将来の世代がここで起きた出来事を忘れるようなことがあってはならない」「記憶は将来を築くための保証であり起爆剤だ。全ての人の良心を目覚めさせる力がある」「記憶し、共に歩み、守ること。これらは、まさにここ広島において、より一層強く、普遍的な意味を持つ」と被爆の実相、核の非人道性を次世代に伝え続け、人類が共に歩み世界平和を築き守ろうと、広く世界中の人々に訴えるメッセージであった。
 その上で、広島でのメッセージ内容から二つほど取り上げて、広島での平和への取組やご自身の考えに言及された。まず「記憶」に関する取組の例として被爆者の高齢化に伴う被爆体験伝承事業や、「グローバル未来塾」など平和を希求する若者の育成事業などがあること。また「共に歩み、守ること」について、国際協調を言葉にするだけでは問題解決はない、行動に移すことが重要であること、若者のアクションが必要だが、まだまだ問題意識共有が不足していることなどを指摘された。さらに2045年までに核兵器廃絶を実現させることを広島の目標としている、そのためには現在安全保障の中心的考え方である核抑止からいかに離脱していくかが重要だとの考えも述べられた。
 講義の後半、知事は塾生からの質問に一つひとつ丁寧に、対話も織り交ぜながら答えてくださった。ここではそのうち二つを記しておく。
 その一。「被爆地日本国内においてすら被爆の実相、核廃絶に関して人々の知識に差があるが、日本全体でその差を埋めるため取り組むには何ができるか」という質問だった。知事は「大げさなことではなくても広島に招き、話を聞いてもらうことが一つの手段で、特に外国人や政治リーダーの来訪は注目され、一般に与える影響も大きいので、こうしたことが平和活動へのきっかけとなりうる」と答えられた。
 その二。宗教と戦争の関係、日本人と宗教の関わり方についての質問には次のように答えられた。現代に至るまで歴史上度々宗教を名目に戦争は行われてきた。しかし、宗教・宗派間の対立が政治問題、経済格差・貧困など複雑に絡み合った状況に起因する場合は多い。宗教紛争に限らず対立の背景をしっかり見極め考察する必要があると教えてくださった。
 最後に私たち高校生へ「人生は長い。何かに熱中する、あるいは寄り道をする、どちらも人生の糧となる。様々な経験をしてほしい」とアドヴァイスしてくださった。
 この講義を通じて、ひろしまが国際平和を進展させる拠点というシンボリックな場所であることを私は改めて強く認識した。だからこそこの地に学ぶ私たち平和を担う次世代は平和構築に貢献する責任があると思う。今はそのための力を蓄える時だ。「記憶」を伝え、国際社会が核兵器に依存しない平和の条件を探るため議論のテーブルにつくには工夫が必要だと教えていただいた。相手の立場や背景への配慮、状況を批判的・客観的に分析する力、平和構築に貢献する専門的能力。身につけたいことは山ほどある。まずは私自身が平和に繋がる小さいアクションを起こすことから始めようと決意を新たにした、学びの多い講義だった。


【報告書3】

講義名   広島から核兵器廃絶に貢献できる人材を目指して
研修講師名 湯崎英彦広島県知事
報告者   ノートルダム清心高校2年 山本 栞 

湯崎知事は、前半は、未来を担う私たちが戦争について「記憶していること」に焦点を当て、それに関して広島県が実際に取り組んでいるプロジェクトについて、その後は私達の様々な質問に丁寧に答えるという対話を大切にした講義をされた。

私が最も印象に残っているのは、知事が、講義の冒頭で、11月末に広島を訪問されたローマ教皇について、続いて今や世界のグローバルリーダーとして注目を浴びているグレタトゥーンベリさんについて触れられ、全世界の人々を圧倒し、惹きつけてしまうような雰囲気とは何かについて、研修生に尋ねられたことである。突然の質問だったため、その場で発言することは出来なかったのだが、多くのことを考えさせられた問いだったように思う。今回は、そのことについて書きたい。

私の周りは、身近なところでいうと本や学校など、多くのリーダーに会う機会に溢れている。そして、本であればそのワンフレーズが、学校であれば、その人がきらりと輝く瞬間が、それがその人の一部が外に現れたものに過ぎないにしても、並々ならぬ苦労を自分なりの信念や情熱で以って乗り越えてきている姿を想起させ、私の心を震わすことが最近よくある。一方で自分はというと、そのような存在に憧れ、うらやましく思いつつも、自分には困難に真正面から立ち向かう勇気も、周りを巻き込めるほどのめりこんでいる何かもないような気がして、しかも、それを何かのせいにしてしまっていた気がする。要するに、自分のなりたい姿を思い描きながらも、それに近づくための努力を怠っていたわけだ。

そこで、そんな自分を少しでも変えたいという一心で、私は未来塾に参加することを決意した。その結果、確かに、沢山のリーダーに出会い、オーラを肌で感じて、理想像をよりはっきりさせることは出来たのだが、自分にとってそれ以上に大きな収穫だったのが、これまでに経験したことのない多角的な学びによって、今まで無意識の内に避けてきてしまっていた自らの弱さに直面することになったことだ。自らの弱さというのは、例えば、自分の視野の狭さ、英語の未熟さを自覚しながらも、どこかで見栄を張ろうとするところや、頑固で、自分の意見を曲げようとしないところなどである。

これらは、自分にとって、すぐに直せることでは到底なく、身をもって痛感するたびに心がずきりと痛む。しかし、同時に、ちょっとしたきっかけがあり、それにちょっとした勇気が伴って飛び込んだ未来塾が、ずっと目を伏せ続けていた自分の弱みに、偶然にも向き合うことの出来る状況を作ってくれたことに、私はすごく感謝をしている。そして、自分は理想の姿からなんと遠いところにいることかと心の中では嘆きながらも、自らの未熟さを受け入れようと努力し、次のステップに進むのはどうしたらよいのか考え、実行することは、それほど辛い作業ではないのだとも知った。

 さらに、もう一つ分かった事がある。それは、ありのままの自分に半ば嫌気が差しながらも、必死に頑張り続けていたら、誰かがそれを見てくれていて、目立たないところからでもそっと助けてくれるということだ。

私の将来の夢ははっきりとは決まっていないが、大きく言えば、グローバルに活躍できる人材になることだ。しかし、ゴールのことを語る前に、今やらなければならないことがあるのではないか。卓越したものを持っていないからこそ、等身大の自分を把握して、リーダーに出会ったときに感じる強烈な憧れや感動を心で感じながら、自分自身は何事にも真剣に、謙虚に取り組むこと。
これらのことが、将来の理想の姿への階段を少しずつでも作っていってくれるのだと、私は信じている。


【報告書4】

講義名 広島から核兵器廃絶に貢献できる⼈材を⽬指して
研修講師名 広島県 湯﨑知事
報告者 広島⼤学附属福⼭⾼校 吉⽥侑⽣

湯﨑知事は、広島と⻑崎でのローマ教皇のスピーチを元に、「多くの⼈が核兵器の問題に関⼼を持ち⾏動すること」や「核の抑⽌⼒という課題の向き合い⽅」について、講義された。その後、未来塾⽣の多数の質問に対して、広島県知事という⽴場から私たちにお話しされた。
1点⽬は、先⽇⾏われた⻑崎と広島でのローマ教皇のスピーチにおいて両者の違いは何なのか、ということについてである。湯﨑知事は、⻑崎では政治、政策に携わる⼈たちへのやや専⾨的なメッセージ、広島では⽐較的多くの⼈や被爆者の⽅々に向けたメッセージであり、私たちは微妙に違うこの2つを合わせて読み解いていく必要がある、と仰った。
2点⽬は、核兵器廃絶の課題は、環境問題と同じくらい⼤きな問題であるにもかかわらず、その関⼼や⼈々の⾏動には⼤きな差異が有る、と述べられた。環境問題ではグレタさんのような影響⼒のある⼈物が現れ多くの若者がデモを起こすなどしているが、核兵器廃絶について⾃⾝のこととして考えている⼈は少ない。さらに⾦融世界でもESGなどの環境問題と同様のことが起きている。このことを受けて、多くの⼈が核兵器廃絶について興味・関⼼を持ち共に⾏動をすることの⼤切さをお話しされた。
3点⽬は、ローマ教皇が、過去肯定していた核抑⽌⼒を今回明確に否定したということを踏まえて、核抑⽌⼒がいかに核廃絶に向けてのコアな課題であるかをお話しされた。湯﨑知事を中⼼とした広島県は2045年までに核兵器を廃絶する、という⽬標を掲げており、それを達成する上で⼀番の課題は核抑⽌⼒である、と述べられた。例えば、北朝鮮の⾦正恩は外⼒から国を守るためには核を所有するしかない、という考えのもと核兵器を所有しており、それはアメリカ、ロシアなどのほかの核保有国も同じである。しかしこのようにしている限り、たとえ⼀時的に戦争が無くなったとしても、平和の根本的な実現にはならないのである。⼀⽅で⼈類をも滅ぼしうる核兵器を持って脅しながら、⼀⽅で平和を語ることなど不可能、ということである。
この講義を通じて、僕は核廃絶への思いがより⾼まった。僕が昔から核兵器のことをテーマに議論するときに関⼼があるのは「核の抑⽌⼒」についてだが、この講義で⾃分の中の考えを固めることができた。以前、核の抑⽌⼒が正常に働けば世の中から戦争は無くなるのではないか、と考えていた時期があった。しかしそれは核兵器を保有している国々の⾔い訳であるに過ぎず、結局⽚⼿に恐怖の兵器を持っていながら世界が平和になることはないのである。このことをこの講義やグローバル未来塾で勉強してきたことや⾒てきたものから学んだ。核廃絶は⾮常に難しい課題であると思うが、少しずつ進めていけば必ず達成できると思う。これからも⾃分にできることは何か、よく考えようと思う。


グローバル未来塾inひろしまについては以下のURLからご覧ください。

https://hiroshimaforpeace.com/gmirai/

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