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国際平和拠点ひろしま

核兵器と安全保障を学ぶ広島‐ICANアカデミー2023
参加者インタビュー




広島県は2019年より「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」と共同で「核兵器と安全保障を学ぶ広島‐ICANアカデミー」を開催しています。これは核兵器と安全保障に関する研修を通してグローバルに活躍できるリーダーの育成を目指すもの。今年度も5回のウェビナー・セッションを経て2023年10月24~27日に広島セッションが行われました。今年のテーマは「核兵器とグローバル・リスク」。12か国22名の若者が広島に集まり、被爆者との交流などさまざまなプログラムを体験しました。今回は参加者の中からディラン・バーカーダガンさん(イギリス)とスダンシタ・アローラさん(インド)にアカデミーの感想を聞きました。


スダンシタ・アローラさん(左)とディラン・バーカーダガンさん(右)


●応募したきっかけ

(ディランさん)

私は15歳の頃から核兵器廃絶の集会に参加して平和について考えてきました。イギリス政府はトライデントという核兵器を保有していて、そこに多くの国家予算を割いています。私はそれに疑問を持っていて、広島ICANアカデミーの話を聞いたとき、自分と同じように核廃絶に対する情熱を持っている他国の若者に出会えると思ったんです。





(スダンシタさん)

私は創価学会の会員で、学会の池田大作名誉会長(取材後2023年11月15日死去)は毎年国連で「平和提言」を行っています。その提言をまとめた書籍を読むことで私も平和について考えるようになり、大学の授業や部活でも世界平和に対してどんな活動ができるのか議論する機会が増えてきました。そんな中、大学の2人の先輩が昨年の広島ICANアカデミーに参加して、いろんな考え方を私たちに伝えてくれたのです。先輩の話を聞いているうちに「自分もそんな経験をしたい!」という気持ちが高まり、今回の応募を決めました。


●印象に残ったこと

(ディランさん)

もっとも印象に残ったのは被爆者の方の話です。被爆者の方の話を聞いた後では核兵器に対する考え方が一変しました。被爆者の方は被爆者として差別されることを怖れ、長い間原爆の被害に遭ったことを隠していたと話されました。それには非常に驚きましたし、その事実は共有していかなければならないことだと感じました。イギリスでは反核を訴える人は年配の方という印象がありましたが、ここに来て多くの若者が平和のために活動していることを知りました。それを見て私自身も何かできるのではないかと勇気をもらいました。

(スダンシタさん)

私も被爆者の方の話です。被爆者の方は平和のために活動しているにもかかわらず、多くの後悔も抱えていました。自分だけが生き残ったこと、水を求めていた人に水を与えられなかったこと、核兵器をなくす活動をしていながらそれが果たせていないこと、そして残りの人生で達成するのは難しいだろうこと……。その話を聞いて「この話は絶対周囲に伝えないといけない! それも被爆者の方が生きているうちに早く!」という強い気持ちが芽生えました。





●広島という街に来て感じたこと

(ディランさん)

原爆ドームを見たとき「この建物しか残らなかったのか!」と改めて原爆の強烈さを実感しました。広島平和記念資料館の展示もショックで、資料館を出たときはお腹を拳で殴られたような痛みを感じました。ただ、その後に見た夕暮の空と平和公園の緑が美しくて……。原爆の悲惨さと平和の美しさ、そのコントラストを同時に感じられた気がします。

(スダンシタさん)

私は広島セッションで学んだ先輩の話を聞いて自分も参加したいと思って広島に来たのですが、実際に広島に来て広島平和記念資料館を訪れたことで本当に強い衝撃を受けました。広島平和記念資料館に足を運んで被害の実相を知ることで、核兵器を容認している人も必ず意見を変えることになると思います。





●今後やりたいこと

(ディランさん)

被爆者の方の話を多くの人に知ってほしいです。オンラインで伝えるか、直接プレゼンテーションをするか、大学で興味のある学生のためにイベントを開くか……やり方はまだわかりませんが、とにかく被爆者の方の話は伝えていきたいと思います。あと、ここで多くの仲間ができました。いろんな国から来た人と話したことで、さまざまなものの見方を学びました。将来はICANのようなNGOで働くなど、国際平和に貢献できる仕事がしたいと思っています。

(スダンシタさん)

自分があとどれだけ日本にいられるかわかりませんが、今回広島の方たちと知り合ったことで、たとえば創価大学と広島大学の学生の交流などが行えればいいなと思いました。ディランと同じく、被爆者の方の声はインドにいる私の家族や友達など多くの人に伝えていきたいです。年齢的に被爆者の方がいつまで核兵器反対の声をあげられるかわからないので、少しでもその想いを引き継いでいければと思います。将来的にはジェンダーの視点から平和について考える研究がしたいと思っています。



●ディラン・バーカーダガン(Dylan Barker-Duggan)さん

国籍:英国 

所属大学:University of Bradford (the Peace Studies department)

TPNWのユースMSP(Meeting of State Parties)のイギリス代表。核軍縮キャンペーン(CND / イギリスの反核運動団体)に所属している。



●スダンシタ・アローラ(Sudhanshita Arora)さん

国籍:インド 

所属大学:創価大学 (国際教養学部)

大学でリーダーシップ学を学び、大学の留学生委員会で委員長を務める。


関連記事:2023「核兵器と安全保障を学ぶ広島-ICANアカデミー」開講レポート国際平和拠点ひろしま〜核兵器のない世界平和に向けて〜 (hiroshimaforpeace.com)

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