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国際平和拠点ひろしま

“原子沙漠”の恐怖を笑殺

2020年は広島・長崎に原子爆弾が投下され75年目となります。

「広島県史 原爆資料編」に掲載されている原爆に対する国際的反応:海外の新聞論調を紹介します。1945年8月6日に広島,8月9日に長崎に投下された原子爆弾について海外の新聞はどのように報じたのでしょうか。

本県が進めている国際平和拠点ひろしま構想の趣旨と合致しない論調も含まれますが,原子爆弾投下を海外でどのように伝えたか知っていただくため 「広島県史 原爆資料編」に掲載されている新聞論調をそのまま掲載しています。

“原子沙漠”の恐怖を笑殺

昭和20.8.9 シカゴ・トリビューン紙

[大下応氏蔵]

〔注 atomic ‘Blight’ 原子爆弾による“不毛” “枯凋”,当時のわが国では,これにあたる語として「原子沙漠」という語が使われた。〕

——残留殺傷力なし——

 

ワシントン・D・C,8月8日,AP電——陸軍省は今日,原子爆弾で灰燼となった地域には,殺傷力をもった放射能が今後幾年かにわたって効力を持続する,という一般に流布している諸報道を否定した。

同省はこの発表中,部内原子物理研究調査の関係部面での責任者であるJ・R・オッペンハイマー博士の「広島における地表部には,とり立てるほどの放射能はない。当初多少は残存していたとしても,その後急激に消滅したと信ずるにたる十分な根拠がある」という言葉を引用している。

前の説は,原子爆弾研究参画者の一人,コロンビア大学のハロルド・ヤコブソン博士が,さきに,日本の原子爆弾被爆地域では,今後70年にわたり,地域内に立入る者は死ぬ恐れがある,と語ったことに端を発したものである。

同博士自身も,今日おそく,「去る7月のニューメキシコでの実験結果が,爆発は微量の放射能を後に残すのみで,それも急速に消滅することを示していると聞き,意外でもあり喜んでもいる」と語った。

(片柳 寛訳)


参考資料 

昭和20.8.8 クリスチャン・サイエンス・モニター紙

〔ミシガン州・ユニバーシティ・マイクロフィルム社蔵〕

原子爆弾,世界平和実現に問題を投げかける

ワシントン,8月8日,AP電——陸軍省は,さきの原子爆弾により生じたとされる致死性放射能のため,広島は今後何年あるいは数十年にわたって,居住不可能となるのではないか,という最近の新聞,放送等で流布されている諸説をはっきりと否定した。

このことを言い出した本人とされているハロルド・ヤコブソン博士自身も,また,さきの原子爆弾製造に関係した物理学者たちも,この点について陸軍省と一致して,反論している。

(片柳 寛訳)

出典 広島県史 原爆資料編

 

 

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