2020年は広島・長崎に原子爆弾が投下され75年目となります。

「広島県史　原爆資料編」に掲載されている原爆に対する国際的反応：海外の新聞論調を紹介します。1945年8月6日に広島，8月9日に長崎に投下された原子爆弾について海外の新聞はどのように報じたのでしょうか。

本県が進めている国際平和拠点ひろしま構想の趣旨と合致しない論調も含まれますが，原子爆弾投下を海外でどのように伝えたか知っていただくため 「広島県史　原爆資料編」に掲載されている新聞論調をそのまま掲載しています。

原子爆弾の効用（投書）

昭和２０．８．１６～１８　サン・フランシスコ・クロニクル紙

[カリフォルニア州・ベイ・マイクロフィルム社蔵]

〔１〕

原子爆弾の使用に反対する人たちは，日本人が受けた被害を想像し，非人道的であると主張するが，彼らは一度でも真珠湾のことを考えてみたであろうか。日本が原子爆弾を使用しなかったのは，それを所有していなかったからにほかならない。
私は自分の経験に基づいて発言をしている。私は，戦闘員の１人として負傷し戦線を退いたのであるが，原爆を非難する人たちは，戦場で敵弾にたおれ，微塵にくだけていく同胞の姿をみたことはあるまい。原爆の非難に終始する人は，１日でいいから戦場で教育を受けるとよい。きっと意見が変わるに違いない。「戦争を早く止めるべきだ」と主張するのであれば，その祈りに答えるものこそ原子爆弾であろう。

マイケル・Ａ・ドフィーン
プレザントン在住

〔２〕

鉄砲，焼夷弾，飢餓等による死にくらべ，原子爆弾による死は人間的ですらある。われわれの第一の義務は，アメリカの生命を救うことだ。

ジョゼフ・Ｐ・スターシュ　
バークレー在住　

〔３〕

原子爆弾に対するアメリカ国民の反応は間違っていると信じます。原爆に抗議することは間違ったことです。原爆が人類にとって残酷なことは否定しませんが，原爆によって戦争を終結できるのに，それを使わないでわが国の有為の青年が敵に殺されてゆくのを看過できるでしょうか。

Ｐ・Ｊ・マトビヤ　
サンフランシスコ在住

〔４〕

ベイコン氏の投書においては，ドイツ国民よりもわれわれの方がすぐれているという事実が忘れられ，ジャキュア氏の抗議の背後には，もし，英国および米国の方が多量の毒ガスを所有し，使用しうるという事実がなければ，ドイツは先に毒ガスを使用したに違いないという認識が欠けていると信じます。日本がわれわれよりも先に原子爆弾を開発していたならば，サンフランシスコからボストンに至る都市がその攻撃の対象になったに違いないことは明らかです。

トマス・Ｊ・ワード
バークレー在住

〔５〕

原子爆弾は非人道的であり，日本人殺戮のためにそれが使用されることに抗議しなければならぬという主張がなされておりますが，一体どんな武器が人道的だというのでしょうか。私は新兵器を開発した人たちに神の祝福あれといいたい。日本の降服を早めるものを創り出した人たちに祝福あれ。

ジョン・Ｃ・サンタ・クルツ
サン・ラファエル在住

 

（湯浅信之訳）

出典　広島県史　原爆資料編

　

　

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