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国際平和拠点ひろしま

核兵器と安全保障を学ぶ 広島-ICANアカデミー ウェビナー・セッション

 10月4日(水)、6日(金)、11日(水)、12日(木)、13日(金)、31日(火)の計6回、ウェビナー・セッションが開催されました。

 ウェビナー・セッションでは、参加者は、招待されたNGO組織のメンバーや、 大学教授などから、核兵器の影響やそのリスク、そしてそれを取り巻く市民社会との関連性などについて、 講義を受け、意見交換を行いました。

10月4日(水) 人権を顧みない兵器である核兵器の人道的・環境的結末

 最初のウェビナーセッションでは被爆者の近藤紘子さんと、アメリカの核実験により、放射線の影響を受けたメアリー・ディクソンさんをゲストに迎え、お話をお伺いしました。

 近藤紘子さんは、生後8か月に幼くして被爆した過去のお話や、原爆を投下したエノラ・ゲイ号の副操縦士に実際に会った際に、彼も苦しんでいることを目の当たりにし、それまで抱いていたアメリカへの一方的な憎悪をなくした体験などを話されました。

 お話の後の質疑応答で、戦争によって引き起こされた憎しみを乗り越えるにはどうすればいいのか、 という参加者からの質問に対し、紘子さんは、たとえ憎んでいる相手であっても、それぞれに感情があることを想像すべきであり、お互いに理解する努力をすることが、お互いに分かり合い、引き起こされた憎しみを乗り越える唯一の方法である、と述べられました。

近藤 紘子さん
メアリー・ディクソンさん

 メアリー・ディクソンさんは、アメリカの核実験による放射線の影響で、御家族や御親戚を亡くされた体験や、御自身もがんを患った体験などを話されました。

 その上で、被爆者たちの体験は、過去の過ちを決して繰り返してはならない、核兵器は二度と爆発させてはならないという警告であり、それを語り継いでいってほしい、とメッセージを送りました。

10月6日(金) 核のリスクと新興技術

 この日のウェビナーセッションでは、英国王立国際問題研究所(RIIA、通称 チャタム・ハウス)の ジュリア・クルノワイヤーさんをゲストに迎え、現在直面している核リスクと、新興技術が核兵器問題や安全保障にもたらす影響等について、講義をいただきました。

 新興技術として、サイバー技術を例に挙げ、これらを利用して引き起こす攻撃に対して、これまでの常識では対処ができない事例が発生してきていることや、AIの進化による偶発性について問題を提起し、新技術が核リスクを増大する可能性があることを学びました。また、新しい技術を安定化させるために、政策の変更などをどのように進めていくべきか、参加者同士で議論し、アイデアを出し合いました。

ジュリア・クルノワイヤーさん

10月11日(水) 私たちの社会・経済・環境への核兵器の影響 

 

 この日のウェビナーセッションでは、2名の講師の方を招き、私たちの社会、経済、環境への核兵器の及ぼす影響を学びました。

 まず、マーシャル諸島出身で、フィジーの核関連ユース団体の創立者であるベディー・ラクールさんから、かつて核実験場だったマーシャル諸島を例に挙げながら、核実験による環境及び社会への影響について、講義を受けました。現在、国際的にはほとんど語られることがない、かつて核実験場として使われていた場所の周辺で現在も放射線の影響に苦しむ人が存在することを聞き、参加者は衝撃を受けたようでした。

ベディ・ラクールさん
ヴィンセント・イントンディさん

 次に、米国 モンゴメリー大学教授であり、歴史家、作家であるヴィンセント・イントンディさんから、核兵器とエスニシティ、植民地主義との関わりについて、講義を受けました。

 原爆を投下した際のアメリカ国内世論から、キング牧師をはじめとする公民権運動と核兵器との関わり、植民地と核実験の関わり、それに対しての反対運動など、核兵器をめぐって超大国の政策に翻弄されてきた有色人種や植民地に触れたうえで、現在 核兵器禁止条約(TPNW)をグローバル・サウスがリードしている事実を挙げ、有色人種がこれまで核兵器についてどのように向き合ってきたか、説明されました。その中で、一見実現が不可能なように見えることでも、ひとりひとりが信念を持って継続していくことが大きな成果につながる、と継続の重要性を伝えました。

10月12日(木) 国際安全保障のための市民社会の役割

 この日のウェビナーセッションでは、核廃絶国際キャンペーン(ICAN)のメリッサ・パーク事務局長から、国際安全保障のための市民社会の役割について、講義を受けました。

 核保有国が830億ドルもの莫大な費用を投じて核兵器の開発と核軍備の増強を行っている中で、市民がどのように安全保障にかかわっていけるのかについて、かつてオーストラリアの国会議員だった経験を踏まえ、様々な例を挙げながら、説明されました。特に、アプローチの方法を考え、キャンペーンをより 身近にすること、そして声を挙げ続けることの重要性について強調されました。

メリッサ・パーク ICAN事務局長

10月13日(金) 変わりゆく世界における核のリスク

 

 この日のウェビナーセッションは、サザンメイン大学 政治学准教授である レベッカ・デイビス・ギボンズさんから、世界における核軍縮と核不拡散、核秩序のこれまでと今後について、講義を受けました。

レベッカ・デイビス・ギボンズさん

 1945年の広島・長崎への原爆投下から始まった核兵器の歴史を振り返りながら、核技術の発達とともに増え続けると思われていた核保有国が核不拡散条約(NPT)レジームの確立によって9か国にとどまっていること、また現在のNPT体制に批判の声が多くあることを踏まえ、今後NPTはどうあるべきか、 参加者同士で議論を行いました。

 参加者は議論において、NPTが長期的にどの程度持続可能なものなのか、現在の実際の安全保障状況を反映したものなのか、を検証したり、そもそもNPTが現在の核リスク管理のために機能しているのかどうか、を考えたりするなど、活発な議論が行われました。

10月31日(火) 国連、SDGs、核軍縮について

 この日のウェビナーは、広島セッション終了後に実施されました。国際連合事務次長兼軍縮担当上級代表の中満 泉さんを迎え、国連の役割と国連が現在進めているSDGs、そして今後の核軍縮の方向等について講義を受けました。

中満 泉さん

 その中で、核兵器が戦争で使用される危険性が高まっており、核軍縮に関する議論が早急になされる必要があることや、核軍縮とSDGsの関係性などについて参加者に説明し、今後の国連の役割等について、 参加者と活発な議論を交わされました。

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広島セッション

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