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国際平和拠点ひろしま

被爆樹木の剪定枝を使った熊野化粧筆 「化粧筆で笑顔に、笑顔で平和な世界に」



江戸時代に始まり、100年を超えて継承される伝統工芸品、熊野筆。熊野筆の老舗メーカー「株式会社 晃祐堂」が、G7広島サミットを機に持ち手に被爆樹木を使った化粧筆を製作しました。「化粧筆は笑顔をうみだします。笑顔は平和のもとになる。」と社長の土屋武美さんは力を込めます。平和を祈る化粧筆の開発経緯や思いを聞くため、安芸郡熊野町にある晃祐堂化粧筆工房を訪ねました。

お話を伺った晃祐堂 取締役社長の土屋武美さん

晃祐堂は1978年から書道筆の製造を始め、化粧筆を作り始めたのは2000年のこと。化粧筆では機能性だけでなくかわいさも重視し、ハート形のメイクブラシなど斬新なデザインを発表してきました。熊野筆の未来のために、伝統を守りながら新しさを追求し、新たな価値を創出しています。

前回(2016年)のG7外相会合の際に同社の化粧筆が取り上げられ、その後のG7伊勢志摩サミットでも、熊野筆事業協同組合を経由して化粧筆を作り、贈呈した経緯があります。この度のG7広島サミットの機会にも熊野化粧筆を届けたいと考え、被爆地広島で開催される意義を踏まえた商品を模索してきました。そんなとき、さまざまな出会いやご縁が重なり、広島市西区の三篠神社にある被爆樹木の剪定枝の存在を知ったそうです。

三篠神社のクスノキ

三篠神社の被爆樹木は樹齢約120年のクスノキ。爆心地から1850mはなれた民家で被爆したあと、人々の手によって神社に移植され守られてきた樹木は、今も堂々とした姿を見せてくれています。「この剪定枝を使うことで、乗り越えられない壁はないという、平和のメッセージを力強く世界に届けられるのではないか。」、このひらめきが被爆樹木を使った化粧筆開発のきっかけとなりました。

剪定枝は量が限られますが、出来るだけ多くの人に手にしていただきたいという思いを持っていた土屋社長。そこで剪定枝を持ち手の一部に使うこととし、広島県産のしゃもじの材料に使われる桜木との寄木デザインで仕上げました。全体の雰囲気は、被爆樹木への敬意を込めて、控えめでシンプルなデザインとなっています。

被爆樹木は持ち手の一部に使用されている

毛先には、トウモロコシなど植物由来の環境にやさしい人工毛が使われています。熊野筆は通常、動物の毛を使っていますが、このたびは世界に向けてより多くの方に使っていただきやすいようにと人工毛を選択。伝統工芸品の熊野筆の技術をベースに、動物の毛と変わらぬ高い品質を実現し、化粧箱には、広島平和記念公園の供養塔に寄せられた折り鶴再生紙が使われています。

近年、ウクライナ戦争やスーダン紛争など、世界の平和にかかわる問題の深刻化を危惧する土屋社長。「平和は衣食住が足りていることが大切であり、お化粧は後回しにされるかもしれませんが、お化粧をすると笑顔になりますよね。化粧筆は、笑顔と、喜びと、勇気を与えることができるものだと思っています。この化粧筆で笑顔が増えれば、被爆樹木も喜んでくれるのではないでしょうか。」とこの化粧筆が持つ力を説明します。

化粧筆の持ち手には「2023」と刻まれています。今年分の剪定枝で作ったという印です。この化粧筆製作のきっかけはG7広島サミットだったそうですが、この取り組みを2024、25と継続していく計画です。「ぜひ海外の方にも手に取っていただき、国に持ち帰り、平和の伝道師となって広島のことや平和への願いを周りの人に話してくださるとうれしいです。この化粧筆で笑顔を増やし、平和へのメッセージを伝えていきます。」と熱い決意を語ってくれました。

【平和を祈る熊野化粧筆 チークブラシ】

200本限定、おりづるタワー(広島市中区)やekie(エキエ)広島駅(広島市南区)で販売 1本7700円(税込)

■晃祐堂 化粧筆工房

住所 広島県安芸郡熊野町平谷4-4-7

電話 082-516-6418

時間 9:00~17:00 ※日曜・祝日を除く

URL https://www.koyudo.co.jp/

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