老舗と戦争 御菓子所 高木
創業は1919年(大正8年)。戦争の影響を大きく受けながらも戦後に再開し、100年以上も広島の街と歩んできた「御菓子所 高木」。その企画室・室長の加藤圭祐さんにお話を伺いました。
戦後間もなく再開した「御菓子所 高木」。写真は1951年(昭和26年)ごろの様子
原爆で亡くなった創業者の高木松次郎氏
「御菓子所 高木」は創業者の高木松次郎が広島市左官町(現在の広島市中区十日市町) でしるこ、ぜんざいなどを提供する和風喫茶店として生まれました。当時お店で働いてい たのが二代目となる神谷明雄で、松次郎の甥にあたります。
1945 年(昭和 20 年)8月6日に広島に投下された原爆により創業者の松次郎が亡くな り、1947 年(昭和 22 年)に戦争から戻ってきた神谷明雄が店を再開したそうです。何も 無くなった広島で戦前に学んでいた飴炊きなどの技術だけを頼りに再出発しました。戦後 ですので砂糖を手に入れるのも大変。闇市のようなところを頼ることもあったと聞いてい ます。ただ、甘味料などの安価な代用品がたくさんある中でも、それらに頼らず、本物の 砂糖を使って上質な原料でお菓子を作ることにこだわっていました。当時の写真を見ると、 すでに生菓子や羊羹なども扱うようになっており、お客さまで店内が賑わっています。再 開して間もない 1951 年(昭和 26 年)には昭和天皇皇后両陛下へ生菓子を献上するなど、 広島で和菓子といえば「御菓子所 高木」と広く認めていただいていたようです
現在でも「御菓子所 高木」の代表的な御菓子として親しまれる「鶴亀もなか」。写真右は 1970 年代のもの
戦後、創業者の跡を継ぎ「御菓子所 高木」を再開させ、「鶴亀もなか」の商品開発を手掛 けた二代目・神谷明雄氏
「御菓子所 高木」の看板商品といえば「鶴亀もなか」。これは 1955 年(昭和 30 年)ご ろに誕生したのですが、今でもうちの一番人気の商品であり続けています。原爆からの復 興を願って、「鶴」と「亀」というおめでたいものをモチーフに、皆がつらい時期にだから こそ、慶ばしいものを広島の人に食べていただこうという思いが込められています。暖簾 や紙袋のデザインにもなっている鶴の間に亀の字が入っているロゴも神谷明雄が作り、当 時から変わりません。
企画室・室長の加藤圭祐さんは SNS を使って、和菓子の魅力を若い世代にも知ってもらい たいと精力的に活動。圭祐さんの父・博基さんが四代目の社長を務めている
2019 年(令和元年)には 100 周年を迎え、その記念のイベントの一つとして、子どもた ちへのお菓子教室を開催しました。いろんなものが生まれて消えていく時代に、ずっと残 り続けている文化や、季節に合わせた和菓子があるということを子どもたちにも知ってほ しいという思いからです。初めての和菓子作りとなるお子さんたちが楽しみながら真剣に 作っていたのが印象に残っています。
私たちは、和菓子はもちろん、日本の文化も売っているという自負があります。その大 切な文化を次世代へと継ぐため、若者たちにも和菓子の魅力を知っていただくために、も っと情報を発信し続けていかないといけません。また、伝統を守る一方で時代の流れを汲 んだお菓子を提供していきたいと考えています。
こんな時世ですから、昔ながらの和菓子屋が変わらなければいけないこともあると思い ます。しかし変えてはいけないことは、広島に住む地元の方を、これからも一番のお客様 としてお迎えしてくという思いです。100 年余りもこの町に育てていただいたので、広島の 方たちが和菓子を食べて笑顔になったり少し元気になったり、ほっとしてもらえるような 手助けができる存在でありたいと思います。
会社紹介
御菓子所 高木
1919 年(大正8年)創業。広島県内に 11 店舗展開。2013 年(平成 25)年に、広島商工会 議所主催の『いい店ひろしま』で、十日市本店が 2 度目の受賞。2016 年(平成 28 年)に は、中国新聞社主催の『新!広島みやげグランプリ』で「ひろしま檸の菓」が一般投票賞 受賞。また御菓子所 高木を代表する「鶴亀もなか」は、広島のお茶席には欠かせない逸品
(十日市本店)
電話番号:082-231-2121
住所:広島市中区十日市町 1 丁目 4-26 時間:9:00~18:00(茶寮コーナー10:00~17:00 LO16:30) 交通:広島電鉄十日市電停から徒歩 3 分
Website: https://www.okashidokoro-takaki.com
Instagram: https://www.instagram.com/okashidokorotakaki.info/
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Twitter: https://twitter.com/takaki_info
平和学習
広島県企業の取り組みを知る
国際連合の開発目標である持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する県内企業の取組を紹介しています。2020年に作成した特別編では、「御菓子所 高木」も紹介しています。
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