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国際平和拠点ひろしま

過去を紐解き、今を伝え、未来を構築。発信し続けることの大切さ

1952年、広島初の民放ラジオ局として開局した中国放送(RCC)。1959年にはテレビ放送をスタートし、ラジオ・テレビ兼営局として情報発信を行ってきました。被爆からわずか7年後に県内初の民間放送局として放送を開始し、被爆の実相や復興、平和の尊さについて伝え続けています。中国放送が行う平和への取り組みや想いについてお話を伺いました。


お話を伺った企画部次長兼SDGsラブ・グリーン推進室の松原 芳充(まつばら よしみつ)さん(左)、広報部長兼SDGsラブ・グリーン推進室事務局長の吉田 幸(よしだ こう)さん(右)

「広島家族。」というスローガンを掲げ、ラジオ、テレビ、インターネット、イベントなどを通じ、地域の情報を発信し続けている中国放送。広島で暮らす人たちを“家族”のようにつなげたいという想いを胸に、日々放送活動を行っています。「私たちの会社の経営理念は、『メディア・コンテンツ企業として安心で心豊かな社会づくりに貢献すること』。平和への取り組みは、この企業理念にも通じるものがあると思います。」と、吉田さん。

「中国放送が開局したのは原爆投下後から7年後。当時の先輩社員の皆さんはきっと色々と手探りの状態で、それでも“伝えなければ“という思いで、その時の広島の状況や被爆者の声を発信していたのでしょう。そんな会社のDNAを引き継いで、広島で起こった出来事や、今起きていることを私たちが放送し続けていくのは当然であり、使命だと思っています。そして、広島で起きた事象を伝えるだけでなく、近年多発する自然災害から身を守るための情報発信を行うことも安心安全な暮らし、ひいては平和の礎を築くと考えています。」

さまざまな場で平和についての情報発信を行っている中国放送ですが、そのひとつが「ひろしま戦前の風景」です。市民から提供された、大正時代から昭和時代初期にかけて撮影された映像を、ホームページ上で公開しています。現在の原爆ドームである大正15年の広島県物産陳列館横を散歩する家族連れや、昭和8年に広島湾で開かれた戦艦見学会など、当時の様子をうかがえる貴重な映像を公開しています。「何十年分という各地の映像をご覧いただけます。広島市内だけでなく、備後や県北エリアの映像もあります。映像で見ると、ここはこんな場所だったんだとか、こんなにぎわいがあったんだということが本当によくわかります。町の風景やおめかしして出かける家族の様子、かけがえのない人々の暮らしがあったということが伝わってきます。」


元アナウンサーの吉田さん。生活情報番組やバラエティ番組など、テレビやラジオに多数出演。現在は広報部長を務める

過去に、この映像が学校のSDGs学習で用いられたこともあるそうです。「向島の中学校で、千光寺公園から見たかつての向島の様子などを生徒さんたちと一緒に見ました。町を築いてきた昔の人に思いを馳せて、自分の住む町の特徴を知り、大切に思う心を養うことが、平和へとつながっていくのだと思います。」

また、被爆70年を機に、2015年からスタートした「被爆電車特別運行プロジェクト」は、中国放送と広島電鉄が協同で行っている企画です。被爆電車である653号を当時のカラーに復元し、8月6日前後に乗車体験を実施しています。これまでにのべ約2,800人が参加したといいます。「被爆者が高齢化していく中、被爆の実相を伝えられる人が少なくなっている現状をどう解決していくかという課題で、このプロジェクトはスタートしました。被爆直後、75年は草木も生えないと言われていた広島ですが、実際は緑豊かな町へと復興を遂げました。当時と同じように走る被爆電車の中から今の町の風景を見ることで、平和や復興の力を感じ取ってほしいと思います。」と、企画に携わる松原さんは話します。この被爆電車にはわざわざ県外から訪れて乗車する人も多く、被爆した電車が今も走っていること、車内で流す当時の映像と現在の町の様子を見比べ、平和の大切さを感じられるのだそうです。

「今年は8月6日に1便を運行する予定です。未来を担う子どもたちに平和を感じてほしいという思いから、県内の小学生に乗車してもらう計画です。もちろん、これからも毎年プロジェクトを続けていきます。物を言わぬ被爆電車もまた、被爆の実相を語り継ぐ被爆者の一人だと捉えていますし、“走り続けること”が“伝え続けること”だと考えていますから。」


松原さんは入社後、ラジオ営業、東京支社勤務、報道部での経験を経て現在は企画部次長に

さらに同じく被爆70年のタイミングで作られたのが、『まんがで語りつぐ広島の復興』という漫画本です。この本は、被爆の惨状や被害の大きさを伝えるコンテンツが数多くある中で、“復興”に焦点をあてたものが少ないことから企画が立ち上がりました。制作は小学館と手塚プロダクションに依頼、「ライフライン」「路面電車」「街づくり」「カープ」などの章に分かれており、復興についての話や、当時の資料や社史を元に各企業を取材し、制作されました。漫画本にしたことで、幅広い年代の人だけでなく、海外の人にも読んでもらえたそうです。

完成した漫画本は一般販売のほか、広島市内の小中学校に寄贈。2016年に開かれた伊勢志摩サミットでオバマ大統領や各国の首脳らに英訳本が贈られました。「今回のG7広島サミットでは、G7広島サミット県民会議を通じて国際メディアセンターに300冊を寄贈し、各国のメディアの方に持ち帰っていただくようにしました。それぞれの国の人たちが自国でじっくりと読み、広島の復興の歴史や平和について思いを寄せ、広く情報発信してもらえたらという思いで行いました。」

G7広島サミットの開催にあわせて行われた「Pride of Hiroshima展」。中国放送を含む26社による「戦後復興」「現在」「未来」、それぞれの時代において参画企業が取り組んできたことを示したパネルや、関連する品々の展示を行った企画です。この展示会の着想のヒントの一つになったのは、先述した『まんがで語りつぐ広島の復興』の本だったそう。

「『漫画にあるような各企業の歴史を知っていただけるイベントがあったらいいね』という話になったと聞いています。どのように復興を遂げたのか、その軌跡を各企業さんが後世に伝えていきたいという思いを持つ中で、このような展示会に一緒に参加できたことはありがたく、非常に意義深かったです。」と吉田さん。


Pride of Hiroshima展では『まんがで語りつぐ広島の復興』や被爆後の町の景色と、同じ場所で今の景色を紹介する動画を展示した

今後も“伝え続けること”を軸に、ラジオ・テレビのみならず、インターネットや中国放送が運営するアプリ「IRAW」など、さまざまな媒体を通じて平和を発信していきたいと話してくれた松原さんと吉田さん。「開局以来、音楽番組や娯楽番組で楽しさや明るさを届ける一方、地域に根差すメディアとして、原爆被害を精力的に取材し、伝えてきました。開局して1年も経っていない1953年8月5・6日に8本の原爆特別番組を放送したのをはじめとして、同年8月6日には『平和祭式典』(当時の呼称、現・広島平和記念式典)を実況中継。以降、毎年ラジオ・テレビともに記念式典の模様を中継し、特別番組を放送しています。これからも、より多様なコンテンツを充実させ、平和を伝えていければと思います。」

過去の出来事、今起きていることを伝え続けることで、未来を紡ぐ中国放送。発信の一つ一つが、私たちに平和の尊さを教えてくれています。


2022年開局70周年を迎えたRCC。これからも“事実”を発信し続ける

【問合せ】

株式会社 中国放送

広島市中区基町21-3

082-222-1155

https://rcc.jp/


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