3月8日は国際女性デーです。国連が1975年に3月8日を国際女性デー(Internatinal Women’s Day)と制定しました。今回,核軍縮・平和構築における女性の役割について考えたいと思います。
1 女性はすべての軍縮プロセスに,意思決定者として参加しなければならない。
この言葉は2018年にアントニオ・グテーレス国連事務総長が軍縮アジェンダをジュネーブで発表した際のスピーチで言われた文章です。(*1)
軍縮アジェンダの中で女性の参加について次のように記載されています。
本文(抜粋)の仮訳
~女性の平等,完全,かつ効果的な参加を確かなものにしよう~
軍縮の意思決定プロセスにおいて,女性の平等,完全,かつ効果的な参加は,持続可能な平和と安全保障を推進し,達成するために,必要不可欠である。国連事務総長は「道義的義務と運用上の必要性」の観点から,男女平等に優先的に取り組む。彼はさらに,「意思決定に女性を含めることにより,効果や生産性を高め,新しい観点や解決策を議場にもたらし,より多くのリソースを利用可能にし,私達の三つの柱の取組が強化される」としている。
本文(抜粋)
ENSURING THE EQUAL, FULL AND EFFECTIVE PARTICIPATION OF WOMEN
The equal, full and effective participation of women in all decision-making processes related to disarmament is essential for the promotion and attainment of sustainable peace and security. The Secretary-General has prioritized gender parity as “a moral duty and an operational necessity”. He further recognized that “the meaningful inclusion of women in decision-making increases effectiveness and productivity, brings new perspectives and solutions to the table, unlocks greater resources, and strengthens efforts across all the three pillars of our work”. (*2)
国連が定めた2030年までの目標であるSDGs (持続可能な開発目標)のゴール5は「ジェンダー平等を達成し , すべての女性及び女児の能力強化を行う」(*3)となっています。広島県はSDGsの達成に向けた取組を行う都市として内閣総理大臣からSDGs未来都市に認定され,取組を行っています。
*1 国際連合広報センター,アントニオ・グテーレス国連事務総長軍縮アジェンダ発表に際するジュネーブ大学における演説https://www.unic.or.jp/news_press/messages_speeches/sg/29151/
*2 UNODA, Securing our common furure/ An agenda for disarmament https://www.un.org/disarmament/publications/more/securing-our-common-future/
*3 外務省,https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000101402.pdf
2 広島県の平和に関する事業では多くの女性が活躍しています。
広島県では,若者を対象にした人材育成,ビジネスと平和構築のあり方との関係を多面的に議論する国際平和のための世界経済人会議,核軍縮・軍備管理に向けた多国間協議の場としての「ひろしまラウンドテーブル」など核軍縮や平和構築に関する様々な事業を展開しています。
人材育成においては,多くの学生がグローバル未来塾inひろしま,ひろしまジュニア国際フォーラム,広島-ICANアカデミーに参加し,将来核兵器廃絶や平和構築に具体的に貢献したいという夢を抱いています。
2019年度に開催した国際平和のための世界経済人会議では,同時開催されたポジティブ・エコノミー・フォーラムでフェミニスト活動家のインナ・シェフチェンコ氏から「女性の権利は平和達成の上で,不可欠であり,戦争がないことだけが平和ではない。平和には平等が必要」という意見をいただきました。
ひろしまラウンドテーブルでは,核軍縮や軍備管理の第一線で活躍する女性研究者に参加いただき,緊急アピールや議長声明の策定に貢献いただきました。
広島県では,引き続き,様々な方々からご指導,ご支援いただきながら核兵器廃絶に向けた平和な世界の実現に取り組んでまいります。
3 私たちにできること
- 多くの女性が核軍縮や平和構築の分野で活躍していることを知ってください。例えば,広島県と連携協定を締結し共同研究をおこなっているストックホルム国際問題研究所では多くの女性が活躍しています。2018年に発表した共同研究「核軍縮検証を運用可能なものにする」の執筆者ティティ・エラスト氏も女性です。
- グテーレス国連事務総長が核軍縮プロセスの意思決定に女性が参加しなければいけないと述べたように,事業の意思決定に男性,女性がともに参加しているか見直すことも可能ではないでしょうか。職場に男性がいない,女性がいないといった場合も,身近にいる男性や女性にアドバイスを求めることから始めることもできるのではないでしょうか。