フィリピンへ届け! ~グローバル未来塾inひろしま 修了生の挑戦~
国際平和を希求し、世界で活躍できる若者を育成するため広島県が開催している「グローバル未来塾inひろしま」。2020年夏、このプログラムに参加した高校生たちが海外研修で訪問したフィリピンの支援を目的に「任意団体MIGLAX(Mirai-Global-Pax)」を立ち上げた。MIGLAX発足の経緯、および活動内容について団体メンバーの末松 大さんと森ひなたさんに話を聞いた。
「グローバル未来塾inひろしま」で印象深かった研修は?
末松:僕は8月に行われた「ひろしまジュニア国際フォーラム」です。これは日本に来ている留学生や海外の高校生30人程度と一緒に生活して、核兵器と平和構築についてディスカッションして、最後に学んだことを行動計画としてまとめ「広島宣言」を発表するという内容。意見交換や文化交流できたことも嬉しかったけど、個人的には参加者のみんなと友達みたいにすごせたことが一番思い出に残っていて。最終日の夜は、ほしい本があるという留学生がいたのでみんなで街に買い物に行きました。
森:私は海外研修で行ったフィリピンのスラム街のパヤタス地域です。そこは臭いも様子も予想をはるかに上回っていました。家の中も見せてもらったけど、すごく狭い家に家族5人が暮らしていて、暮らす人の表情も疲れ切ってて……。それまで私は世界平和を抽象的にしか考えてなかったけど、現地に行かないとわからないことがあることを実感したし、私自身も平和な国に生まれて甘ったれているところがあると感じました。
MIGLAXを立ち上げた経緯は?
末松:僕もパヤタスは衝撃で。現地のことは多少は勉強していたけど、本当の貧困がどういうものかは全然知らなかったと痛感したんです。それで日本に帰ってから、パヤタスに暮らす人たちの生活向上の手助けができればと思って、一緒にフィリピンに行った友達3人に声をかけて、団体を作ったんです。団体にしたのは「支援は一度きりでなく、継続的にやらなければいけない」ということをフィリピンで学んだから。これまでメンバーの通う学校の学園祭で現地の写真を展示したり、募金活動をしたりしました。2021年2月にはパヤタスで活動する日本人の方とオンラインでつないで、現地の状況を説明してもらう啓発活動を行う予定です。
森:私は末松さんに誘われて加入しました。最初は「高校生で継続的な活動なんてできるの?」と躊躇したけど、私はこれまで言い訳ばかりで何の行動もしてなくて。今回は心強い仲間がいるので、少しでも役に立ちたいと思って参加を決めました。MIGLAXではホームページを作るとき、団体の指針を考えたり紹介文を書いたりしました。
未来塾の研修やMIGLAXの活動で得たものは?
末松:未来塾を通して一番変わったのは視点。これまで狭かった視点が広くなったし、自分を客観的に見られるようになりました。あと研修でいろんな方の講演をたくさん聞いたんですけど、僕は初めて聞いた内容や考え方をずっとメモしてて。そのメモは何物にも代えがたい財産になっています。MIGLAXを通じて人脈も広がったし、すごくいい経験をしていると思います。
森:グローバル未来塾で学んだのは、「視点は海外に行くことで変わるのではなく、そのときの自分の心構え次第」ということ。せっかく素晴らしい講演を聞いても、自分の心構えができてなくて身にならなかった悔しい経験を何度かしたんです。だから普段の生活から自分の心構えを整えたり問題意識を持つことの重要性は感じています。MIGLAXの活動を通して、団体を運営するには外に向けた活動と内側に向けての動き、両方のバランスが大事ということに気付かされました。
MIGLAX設立にあたって(末松 大)
素晴らしい仲間に恵まれ、MIGLAXという団体を立ち上げることができました。
設立メンバーの楠くん、藤川くん、森さん、高2の夏という受験に向けて忙しくなる時期にそれぞれ部活や校外の活動など忙しい中、団体を立ち上げようという呼びかけに応じてくれてありがとう。
また、最初のプロジェクトを行うにあたって多くのサポートをしていただいた認定NPO法人ソルト・パヤタス事務局長の井上広之様、グローバル未来塾事務局の方、本当にありがとうございました。
団体を一から立ち上げることや大人の方と協力して一つのプロジェクトを遂行することなど、とても貴重な経験をすることができました。
これからも忙しくなるけど、団体の運営やプロジェクトを立ち上げ、遂行していきたいと思います。
末松 大(すえまつ・だい)さん。AICJ高等学校2年生。学校では陸上部に所属し、主に短距離で活躍。
森ひなた(もり・ひなた)さん。広島大学附属高等学校2年生。学校では軽音楽部に入り、ヴォーカル&ギターを務める一面も。
MIGLAX (Mirai-Global-Pax)
広島の高校生4人が「グローバル未来塾inひろしま」での出会いをきっかけに、国際平和に貢献するための活動を行う任意団体として設立。啓発・募金活動のほか、現地NPO法人を通じてフィリピンで作られたハンドメイド刺繍入りのタオルやマスクを仕入れ、売上を現地に還元する取組を行っている。
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