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国際平和拠点ひろしま

Leaning from Hiroshima’s Reconstruction Experience: Reborn from the Ashes vol4Ⅹ おわりに

「広島の家」の活動はある組織が始めたものではなく,シュモー氏個人の思いが,多くの人たちに広がり実現することになった。被爆の惨状を知り心を痛め,被爆者の苦しみや悲しみに思いを寄せた一人一人の思いが結集したものであった。シュモー氏が意図したようにその思いを言葉で伝えるだけでなく,自ら広島を訪れ,夏の暑い最中,日本の人たち,広島の人たちと協力しながら汗水を流し,市民と同じものを口にして自炊しながら生活を送る姿は多くの人たちの心を動かした。計画を進めるにあたってシュモー氏がじっくりと現地の状況を確認し,何が必要なのかを理解し,さまざまな試みを行ったことも大きかった。また,家づくりだけでなく,病院でのボランティア活動や地元の人たちと交流することで市民は支援に携わる人たちの人となりを理解し,親近感を覚えたのだった。
ティブズ氏は「日本人はみなとても親切で,礼儀正しかった。各地から集まったボランティア,そして近くの小学生,大学生と出会えたことは素晴らしかった。日本の人たちと知り合い,彼らの文化に触れることを楽しむことができた。私が日本語を学ぼうと努力している様子をみんな見守ってくれ,私をすぐに受け入れてくれた99。」と語っている。シュモー氏が平和な世界をつくる源と考えた国や人種,宗教を超えた友情が広がった。力を合わせて行うことの大切さを実感させ,将来を担う若者たちの人生に大きな影響を与えた活動であった。
現代の人種や宗教,社会の対立が懸念される世界でシュモー氏の「広島の家」の活用に込めた理念を今一度思い返したい。平和をつくりだすのは,私たち一人一人の役割であり,互いを尊重し理解する心なのだと。

 

当時の貴重な資料を提供していただいた「広島の家」の活動に参加された方々,そのご家族,現在にシュモー氏たちの想いを伝え続ける方々,「広島の家」に関わる全ての人に感謝申し上げたい。


99 デイジー・ティブズ氏の証言 2012年 シュモーハウス展示「広島の家」の建設に参加した人たち

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