当サイトを最適な状態で閲覧していただくにはブラウザのJavaScriptを有効にしてご利用下さい。
JavaScriptを無効のままご覧いただいた場合には一部機能がご利用頂けない場合や正しい情報を取得できない場合がございます。

国際平和拠点ひろしま

Leaning from Hiroshima’s Reconstruction Experience: Reborn from the Ashes vol4Ⅲ 何を継承するのか

非体験者である次世代のわれわれは,何を継承するのか。そのために,まずそもそも継承すべき被爆体験とは何かを考えたい。そこで,本稿では,被爆体験を三つの大きな領域に区分して考えたい。第一に,「あの日のこと」である。いわゆる1945年8月6日と9日の投下直後の脳裏から離れない地獄のような惨劇の実態,あるいはその記憶である。第二が,「その後のこと」である。原爆放射線に起因する原爆後障害に関連する体験である。第三が,「被爆者の思い・願い」である12)。

事実,被爆者自身も次世代に伝えたいこととして,主にこの三領域の被爆体験を挙げている。2015年の朝日新聞アンケー卜調査では,「次世代に伝えたいことは何ですか」という質問を設けているが,次表に示すように,回答者の内,56%が「原爆投下直後の悲惨さ」を挙げている。つまり,投下直後の「あの日」の地獄のような情景を伝えたいと思っている。また,48%が「何十年も続く放射線障害の恐ろしさ」を挙げている。「その後」の原爆後障害を伝えたいと答える。また,55%は「平和の尊さ」を挙げる。これはいわば,被爆体験に基づく「核なき世界」の思想を中心とする平和への思いである。被爆者自身も伝えたい被爆体験をこの三つに集約していると言えよう。

表 1 被爆者自身が次世代に伝えたいこと

(2015年朝日新聞アンケー ト調査より )

回答(複数回答) 頻度 三領域
原爆投下直後の悲惨さ 56% 「あの日のこと」
何十年も続く放射線障害の恐ろしさ 48% 「その後のこと」
平和の尊さ 55% 「願い・思い」
助け合うことの大切さ 16%  
健康のありがたさ 32%  
政治・軍を暴走させないこと 29%  
何事もあきらめないこと 9%  

 

 

 

 

 

 

 


12) 因みに,濱谷(2005)は,<あの日>,および<それから>の日々,被爆した人びとの心身に生起した苦しみを,<心の傷>,<体の傷>,<不安>という三つの被害領域(要因群)から捉えている。

< 前のページに戻る次のページに進む >

 

目次に戻る