核兵器不拡散条約(NPT)締約国へ広島県知事の書簡を送付しました。
令和5年7月26日、広島県は、7月31日から第11回核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議 第1回準備委員会が、オーストリア・ウィーンで開催されるのを前に、日本を除く(※)全てのNPT締約国(190か国)に対して、以下のとおり、核兵器のない平和な国際社会の実現に向けた具体的行動への要望と将来の広島訪問を求める広島県知事の書簡を送付しました。
※日本政府に対しては、別途個別に提出する予定です。
(以下本文)
今月末より、第11回核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議第1回準備委員会が開催され、核軍縮・不拡散に向けた新たな協議が始まることを、心より歓迎いたします。
昨年の運用検討会議では、2015年の同会議に続いて、最終文書に合意することができず、このことは、核軍縮・不拡散への道のりがさらに後退することを意味し、核軍縮、更には核廃絶を求める私たちにとっても、大変な失望となりました。
そのような中、昨年11月のG20バリサミットで採択された首脳宣言では、「核兵器の使用や使用の威嚇は許されない。(中略)今日の時代は戦争の時代であってはならない。」との内容が盛り込まれ、さらに、今年5月の広島G7サミットでは、G7の首脳が「『核兵器のない世界』の実現に向けた現実的な取組を進める」ことで一致し、核兵器廃絶に向けて合意できたことは、大きな希望となりました。
しかし、その一方では、ロシアによるウクライナ侵略が長期化し、その中で、プーチン大統領による度重なる核兵器使用の恫喝や、核兵器使用の「前例」発言が行われ、実戦で核兵器が使用される可能性が高まっています。北朝鮮による核兵器及びミサイル開発や、一部の国が核戦力の増強を図るなど、核兵器使用のリスクはかつてないほどに高まっています。
このような極めて困難な状況の中、本県は、核軍縮に向けた多国間協議の場である「ひろしまラウンドテーブル」を先日開催しました。世界中から参加した国際政治や安全保障の専門家が、「核戦争の危機を越えて」をテーマに議論を行い、「核リスク削減のための対策」「軍備管理の復活」「核抑止力の再考」という3つの行動の呼びかけと、核軍縮における主要国の実績を評価する「ひろしまウォッチ」の作成について記述した議長声明をとりまとめました。同議長声明を同封しますので是非ともご一読ください。
被爆地広島からの呼びかけとして真摯に受け止め、核兵器のない平和な国際社会の実現に向けた、具体的な行動を取っていただくことを要望いたします。
最後になりましたが、貴職のご健勝とご活躍を祈念するとともに、近い将来、ぜひとも被爆地広島を訪問し、被爆の実相に触れ、核兵器のない平和な国際社会の実現に向けて、ともに歩んでいただくことを期待しております。
敬具
へいわ創造機構ひろしま 代表
広島県知事 湯﨑 英彦
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