Hiroshima Report 2018(3) 核セキュリティの最高水準の維持・向上に向けた取組
A)民生利用におけるHEU及びプルトニウム在庫量の最小限化
高濃縮ウラン(HEU)は核爆発装置の製造にも用いることができるため、その存在自体が兵器用と民生用という「コインの表裏」である。そして、テロリストにとっての「魅力度」という観点からも、こうした核分裂性物質が国に対して、相応の核セキュリティ上のリスクをもたらす可能性は否定しえない。2001年の米国同時多発テロの勃発は、それまでの国家対国家の文脈での核拡散の懸念から打って変わって、こうしたテロリストを含む非国家主体への核分裂性物質の拡散の懸念を高める契機となった115。そして米国エネルギー省と国家核安全保障庁(NNSA)は、2004年に世界各国の民生用サイトで使用されている米露両国を起源としたHEUについて、それぞれ米露へと返還することを要請し、あわせてHEU炉の低濃縮ウラン(LEU)炉への転換を求めるGTRIを打ち出した。GTRIは、テロリストにとって魅力ある核分裂性物質に関して、それらが盗取されることへのリスクを国際社会に注意喚起し、具体的な行動をとるよう促すものであったと言えよう。しかし、HEU及びプルトニウムの最小限化が国際社会の取り組むべき核セキュリティ上の重要課題だと認知されるに至った大きな要因としては、やはり2009年の米国オバマ前大統領によるプラハ演説116のインパクトと、その後の取組が大きかった。実際に、2010年以降の一連の核セキュリティサミットプロセスでは、HEUの最小限化が最重要課題の一つに掲げられ、2014年のハーグ核セキュリティサミットでは、新たにプルトニウムについても各国の必要性に沿うかたちで、その在庫量を最小限にとどめることがコミュニケで謳われた117。2016年3月のワシントン核セキュリティサミットで米国が発表したファクトシート118によれば、30カ国、50施設でHEU及びプルトニウムが撤去され、あるいは低濃縮化が達成されている。そして、2017年にインドネシアが国内HEU撤去を完了した119結果、南米と中央ヨーロッパ諸国に続いて、東南アジアがリスクのある核物質が存在しない地域となった。
一方、民生利用の範疇を超える論点ではあるものの、2017年の第61回IAEA総会において、軍事目的で利用される核物質についても、高い水準の防護が施されていることを明らかにすべきとの議論があったことにも言及しておきたい。具体的には、核セキュリティを核軍縮や核不拡散と切り離すべきではなく、特に持続可能な核セキュリティの取組を実現する観点からも、核兵器国で備蓄されたHEUやプルトニウムにも目を向けるべきとの見方が示された120ほか、現存する世界の核物質の85%を占める軍事用の核分裂性物質の管理も大きな課題だと指摘された121。これらは、今後の核セキュリティを巡る議論の方向性を考えるうえで見落とせないポイントである。他方、新たな動きとして、IAEAが管理するLEUバンクのホスト国であるカザフスタンから、核セキュリティグローバルサミット(GlobalSummitonNuclearSecurity)を同国アスタナで開催したいとの意向122も表明されており、今後の動向が注目される。こうした経緯を踏まえ、以下、第61回IAEA総会でのステートメントのほか、IAEA主催による核セキュリティ関連のイベントでの各国規制当局関係者の発表などの公刊資料から、HEUの最小限化に資する取組に公に言及されたケースを列挙する。
- 中国:ガーナの小型中性子源炉(MNSR)のLEU化について、IAEA及び米国、ガーナとの協力のもとに実施し、2017年8月に完了123。
- ポーランド:2016年末までに研究炉用HEU燃料の国外撤去が完了した結果、同国の研究炉は全てLEUにて運用中124。
- ベルギー:HEU型の研究炉のBR2はLEU型への変換作業を継続125。
- カナダ:IAEAとの協力のもとに、ブラジルでカナダ由来の高レベル放射性物質の確実な管理及び撤去プロジェクトを推進126。
- インドネシア:国内でHEUをLEUにダウンブレンドするプロセスを実施127。
- ノルウェー:核セキュリティサミットで発出された民生用HEUの利用最小限化にかかるバスケット提案を評価するための国際会議をIAEAとの協力のもとに2018年に開催予定128。
- 米国:2017年11月、米国上院及び下院軍事委員会が2018年度の国防授権法(NDAA)に関する会議報告書に、海軍原子炉用LEU燃料の開発や余剰の兵器用プルトニウム処分などを明記129。
- 日本:2017年12月、六ヶ所村の再処理プラントに関して、同プラントの事業者である日本原燃株式会社から2021年の上半期まで操業開始を延期すると発表130。また、2016年12月に廃炉が決定した高速増殖炉「もんじゅ」は2017年12月に完全に閉鎖された131。なお、原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律(再処理等拠出金法)の2016年の成立132により、再処理事業は経済産業大臣の認可事業となった。プルトニウムバランスについても国会の付帯決議によって、経済産業大臣が原子力委員会に意見を聞かねばならないこととなっている133。
B)不法移転の防止
核検知、核鑑識(nuclearforensics)、法執行及び税関職員の執行力強化のための新技術の開発、IAEA移転事案データベース(ITDB)への参加は、核物質の不法移転防止のための取組として重要である。特にITDBは、核物質及びその他の放射性物質の不法な所有、売買・取引、放射性物質の不法散布、行方不明の放射性物質の発見などに関係した事例を情報共有するためのデータベースとして、IAEAの核セキュリティ計画を支える要素134であるのみならず、核セキュリティ上の脅威の存在を現実のものとして広く受け止めるのにも役立つ統計的資料として、近年その存在感を一層高めている。
ITDB参加国数は134カ国(2016年12月末時点)であり135、本報告書執筆時点で最新となる2016年のIAEA年次報告書によれば、2016年には189件の事案がITDBに報告136されており、2015年の件数が226件137であったことと比べれば、報告件数上は37件の減少となっている。また、IAEAの2017年の核セキュリティ報告138によれば、ITDB開始以来、2017年6月までに3,138件の事案が報告されており、2016年7月から2017年6月までの1年間に区切れば、162件の事案がITDBに報告されている。なお、2016年7月以前で、過去の報告でカバーされていなかったものを加えると、2016年から2017年までの同期間中に合計115件の事案が報告されたこととなる。当該区切りで報告された162件の内訳として、まず移転(trafficking)にかかる事案が4件、悪意ある使用(malicioususe)にかかる事案が2件、詐欺事案が1件あった。これらの7件のいずれもHEUやプルトニウム、あるいはIAEAの原子力安全基準で区分Iに分類された放射線源ではなく、また事案を報告した国で管轄権を有する当局によって、すべての放射性物質及び放射線源が押収されている。他方で、移転や悪意ある使用の意図が不明な事案は30件あり、その内訳としては放射線源の盗難が13件、紛失が17件であった。これらのうち、上記基準における区分II及びIIIの放射線源にかかる1件を含む19件において、放射線源は元に戻っていない。このほかに規制を外れたものの、移転や悪意ある使用、あるいは詐欺には該当しない核物質にかかる事案として、125件が報告されている。これらの大半は、許可を受けていない廃棄や積み出し、そして過去に遺失した放射線源の予期せぬ発見などであったとされる。
IAEAの2017年版ITDBファクトシートによれば、1993年から2016年12月31日までの間にITDBに報告された事案の総件数は3,068件にのぼり、その内訳としては、グループ1(移転及び悪意ある使用に関する確認済みの事案、あるいはほぼ確実と思われる事案)が270件、グループ2(移転や悪意ある使用に関係するか否かを確定するための情報が不足している事案)が904件、そしてグループ3(移転や悪意ある使用に関連していない事案)が1,894件あった139。このように、膨大な数の事案を登録されるITDBであるが、機微情報の保護という観点でITDBに報告される事案や不法な取引の詳細が公開されていない140ため、報告された事案とその個別の対応などについて、各国の取組を直接評価することは実質的に不可能となっている。こうした背景のもと、2016年から2017年にかけて公表された不法移転の防止措置、輸出管理を巡る法令整備、国境での放射性物質の検知装置設置、核鑑識に関する能力の強化(詳細は後述する)などに関する各種の取組は以下のとおりである。
- カナダ:不法移転の探知および防止のための能力強化をヨルダンに対して実施141。
- チリ:チリ原子力委員会のもとで国境付近での核物質の検知プロジェクトを推進。この関係で、2017年9月にアルゼンチンとともに放射性物質にかかる緊急事態管理演習(PaihuenII)を実施し、それぞれの国内及び二国間での核テロ脅威への対応について検証を実施142。
- エジプト:核物質及びその他の放射性物質に対する不法行為を厳罰化する旨、制裁的措置をエジプト刑法典に導入143。
- インドネシア:主要港に放射線測定ポータルモニターを設置144。
- パキスタン:核検知アーキテクチャとして、複数の出入国地点に放射線のモニタリングポストを設置145。
他方、国際機関の取組にも目を向ければ、核テロ防止に関するデータ収集、捜査支援、各国法執行機関間の信頼醸成と協調のためのフォーラムを提供する国際刑事警察機構(INTERPOL)では、2017年にウクライナ(7月)、タンザニア(7月)、パナマ(8月)、チェコ共和国(11月)でそれぞれ不法移転の防止を軸とした核テロ対策訓練や、捜査に関するトレーニングコースを実施した146。これらは不法移転に対する認識拡大を意図し、法執行機関の核及び放射性物質の検出・阻止能力の強化を目的に実施される「オペレーション・ストーン(OperationStopTraffickingOfNuclearElements(STONE))」や、核物質の密輸入にかかる警察や税関、国境警備隊などによる越境する捜査の調整能力強化を目的に空港や港湾で実施される「オペレーション・コンジット(OperationConduit)」、そして核密輸入対策ワークショップや放射性・核関連捜査コース、机上演習といったINTERPOLの核セキュリティ対策147の一環として実施されたものである。
以下の表3-6では、平和目的のHEU及びプルトニウム在庫量を最小限化する取組、ITDBへの参加、及び核物質・その他の放射性物質の不法移転の防止のための措置の実施について、各種の公式声明において取組の意思表示があったケースを示した。
C)国際評価ミッションの受け入れ
核物質防護の対象施設、及び輸送の物理的防護システムの評価に焦点を置く国際評価ミッションのIPPASとは、加盟国の要請に基づき、IAEA主導で各国の核物質防護専門家から構成されるチームが当該国の政府及び原子力施設を訪問し、施設の核物質防護措置の内容の確認、並びに政府関係者及び原子力事業者へのヒアリングなどを通して、IAEA核物質防護勧告(INFCIRC/225)に準拠した防護措置を実施する上での必要な助言などを行うものである。核セキュリティサミットプロセスを通じて散見されたように、IPPASミッションの受け入れは、各国にとって核セキュリティ強化の取組に積極的であることを対外的にアピールできるとともに、国内の核セキュリティ体制強化という側面でも、国際規範に基づく第3者機関による外部評価という、ある種の公的認証を受けられるのに等しい利点が指摘できる148。各種の核セキュリティ関連条約・ガイドラインなどはあるが、事の性格上、最終的に具体的な実施の詳細は各国政府に任されるため、ともすれば独りよがりになりがちであり、このように外部の目を入れて相互に改善箇所・方法を指摘し合うピア・レビュープロセスは、実際の実施措置を強化するうえで有用である。その意味で、IPPASミッションで得られた外部評価結果が、先々の国内における核セキュリティ強化の方向性を再検討する際にも参考に
なる。なお、2017年にIAEAが発表した核セキュリティ関連イベントリスト149によれば、国際評価ミッションに関わるイベント数は14件にのぼる。これは、前年度に同カテゴリのイベント数が26件150であったことを踏まえると、10件以上の減少となった。
IPPASミッションの実績に関して、2017年、IAEAは9月に中国151で、また10月にドイツ152でのIPPASミッションを完了したほか、11月に豪州でのIPPASミッションを完了した153ことを発表している。調査対象国以外では7月にハンガリー154、10月にリトアニア155、12月にコンゴ民主共和国156でのIPPASミッションの完了が発表されている。2017年のIAEA総会において、ニュージーランドはIPPASミッションの受け入れ完了を発表している157ほか、トルコが2018年にIPPASミッション受け入れ予定である旨表明している158。スイスは2017年のGICNT総会の場で2018年にIPPASミッションを受け入れる意向を表明した159。また、日本は2018年のIPPASフォローアップミッションの受け入れをIAEAと協議中である160。
IAEAでは核セキュリティ体制整備・強化を支援するべく、IPPAS以外にも要請ベースで実施される国際核セキュリティ諮問サービス(INSServ)や統合核セキュリティ支援計画(INSSP)などを実施している。INSServとは、要請国に求められる核セキュリティ体制の要件全般を検討し、改善が必要な点をIAEAが助言するサービスである161。INSSPは、長期間にわたって持続可能な、核セキュリティに関連する作業のためのプラットフォームを提供しており、IAEA、関係国及び資金を提供するドナーがリソースを最適化し、重複を避け、技術的・財務上の観点からも核セキュリティ関連活動を可能ならしめるものである162。
これらの諮問サービスに関して、2017年1月にINSSP参加での開発から実施に至るメリットを巡るトピック会議163がウィーンで開催された。3月には南アフリカ開発共同体のためのINSSPに関する地域調整会議がボツワナ・ハボローネで開催された164。
D)技術開発―核鑑識
2010年以来、核セキュリティサミットプロセスでは、一貫して核鑑識能力の構築と多国間協力が推奨され165、2016年のワシントン核セキュリティサミットでも核鑑識に関するバスケット提案166に30カ国が名を連ねるなど、核セキュリティにおける技術開発上の取組として、核鑑識の重要性に対する認知度が高まってきた。IAEAの「核セキュリティシリーズNo.2核鑑識支援(技術指針)改訂版」167では、核鑑識の位置付けに関して不法移転され、捜査当局によって押収、採取された核物質及び放射性物質について、核物質、放射性物質及び関連する物質の組成、物理・化学的形態などを分析し、その物品の出所、履歴、輸送経路、目的を分析・解析する技術的手段であるとし、核テロに対する脅威認識が広まる中、こうした核鑑識が核セキュリティ強化の取組を補完するための重要な技術の1つとなっていると指摘する。実際の核鑑識を巡る取組においては、不法移転された核物質や放射性物質、あるいはその他の付随物の拿捕及びその分析により核の属性を割り出し、物質の特徴を明らかにし、そしてこれらの物質が製造された過去の経緯についても解析が行われることとなる168。
2017年に実施された核鑑識に関する取組としては、4月に核鑑識にかかる地域トレーニングコースが南アフリカ・プレトリアで開催された169ほか、6月に日本原子力研究開発機構により、東京で核鑑識と地域協力にかかる国際シンポジウムが開催された170。7月には核鑑識ピア・レビュー諮問ミッションに関する技術会合171が、また同期間中に核鑑識及びアフリカ諸国との協力に関する技術会合172がそれぞれウィーンで開催された。9月には核鑑識に関する初級地域セミナーがモスクワで開催され173、10月に核鑑識に関する実践的導入のための国際トレーニングコースがハンガリー・ブダペストで開催された174。
他方、多国間での核鑑識協力の取組として、「核物質の不法移転に関わる国際技術ワーキンググループ(ITWG)」の存在がある。ITWGは冷戦終結後、核物質の不法移転に対処するべく、G8核不拡散専門家グループ(NPEG)の後援を受けて1996年に設立され、今日に至るまで20年以上にわたって活動を続けている。具体的には、各種の演習や訓練、各国の核鑑識能力を国際社会のなかで活用し、ベストプラクティスを同定するための物質比較演習(CMX)や、規制から外れた核物質であるとか、放射性物質の起源の同定に役立つ各国の核鑑識ライブラリの実効性を明らかにするための演習などを実施してきた175。また、核物質、放射性物質や放射能汚染された物質の核鑑識分析のためのガイドラインの策定を通じて、核鑑識のベストプラクティスの共有を進めるとともに、「放射性物質及び核物質によって汚染された犯罪現場での証拠収集ガイドライン」(2011年)176や、「各国国内における核鑑識ライブラリと国際的な住所氏名録のフレームワーク提案」(2011年)177などを取りまとめてきた。
ITWGとしての2017年の活動に関して、6月に第22回ITWG年次会合がドイツ・カールスルーエで開催され、CMX-5の成果と教訓のレビューや、実施過程にある各国の核鑑識ライブラリ演習「Gal-axySerpent」を巡る議論、そして2018年に実施予定の新たなCMXについて検討が行われた178。なお、ITWGの2018年の年次会合はスイスで開催される予定である179。
こうした核鑑識にかかるもう1つの多国間協力の枠組みとして、GICNTのもとに設置された核鑑識作業部会(NFWG)が挙げられる。このNFWGの枠組みでも、これまで多数のワークショップや机上演習が実施されてきた180。2017年には第10回シニアレベルGICNT総会が6月に東京で開催された181。NFWGとの関連で、豪州は2017年から2018年にかけて、東南アジア諸国との核鑑識にかかる活動の実施に向けて調整中182だとされる。
核テロ対策における抑止力としての側面も注目される核鑑識だが、主要国の核鑑識能力に関する公開情報は依然として限定的なものに留まっている。参考のために以下、2014年度版以降の『ひろしまレポート』で掲載してきた調査対象各国の核鑑識能力に関する表を再掲する(表3-7を参照)183。
E)キャパシティ・ビルディング及び支援活動
核セキュリティサミットプロセスの開始に前後して、核セキュリティにかかる国内でのトレーニングコースの設置といった教育・研修機能の強化、あるいは地域諸国の専門家を対象とした中心的拠点(COE)の設置といった形で、多くの国や地域で核セキュリティに関するキャパシティ・ビルディングや、関連する国際支援活動が活発化してきている。この関連では、カナダが2017年にアフリカおよび南米地域における規制能力強化のためのIAEAの活動に対して、財政的な支援を実施すると表明している184。
核セキュリティを基軸とする関心各国でのCOEの動きについて、IAEA総会における声明や、核セキュリティ関連の国際シンポジウムなどでの各国規制当局関係者の発表で言及があったものは以下のとおりである。
中国は2016年に設置したCOEをアジア太平洋地域での核セキュリティ教育及び訓練に活用するとの意図を表明している185。パキスタンの核セキュリティCOE(PCENS)は、国内外の専門家に原子力安全、核セキュリティ、サイバーセキュリティ、核物質計量管理、内部脅威に関する教育を実施しているほか、国立安全セキュリティ研究所(NISAS)及びエンジニアリング応用科学研究所(PIEAS)にて同様に国内外向けのトレーニングを実施している186。カナダはマレーシア、タイ、フィリピンに対して、それぞれ核施設における核物質防護協力を実施している187。インドネシアは核セキュリティと緊急対応のための中核的研究拠点(I-CoNSEP)を設置している188。日本の日本原子力研究開発機構核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)では、中国(SNSTC)及び韓国(INSA)との間でアジア地域ネットワーク(ARN)と呼ばれる機関間交流189を深めつつ、バングラデシュ、カザフスタン、モンゴル、マレーシア、ベトナム、ヨルダン、トルコ、サウジアラビアといった国々との共同セミナーを開催している190。エジプトは2012年に設置したエジプト核セキュリティサポートセンター(ENSSC)のもとで、国内における核セキュリティ文化の醸成につながるトレーニングや、関係各機関への技術協力を実施しているほか、IAEAの協力下で放射線検出及び核物質防護に係る能力強化を進めている191。ロシアでは、ROSATOM技術アカデミーのもとに設置されたグローバル原子力安全及び核セキュリティ研究所(GNSSI)が核セキュリティに係る教育とトレーニングを実施しており、2017年時点で54カ国896名がこれに参加している192。以上のようなCOEの設置やトレーニング実施への各国の取組は、グローバルな核セキュリティに係るキャパシティ・ビルディングに寄与するだけでなく、地域内の専門家や事業者、関係機関間での核セキュリティに対する注意の喚起、また講師の相互派遣といった各国COE間での協力を通じた連携など数多くのメリットがある。それと同時に、過去数年間に各地域で複数設置されるに至ったCOEの活動面での重複を避け、効率的な連携や情報共有の緊密化、そしてIAEAなどを軸としたより広範なネットワークの維持・拡大、国際支援を通じた教育・訓練の強化や意識啓発を図っていくことは、依然として重要な課題である。
こうした課題に対処するうえで、2012年にIAEA主導で発足した「核セキュリティ訓練・支援センター国際ネットワーク(NSSCNetwork)」が各COE間の連携及び、関連機関間でネットワーク形成の基軸として果たす役割に注目が集まっている。2017年には2月に各国NSSCネットワーク年次会合193がウィーンにて開催された。また、同種の取組としては、核セキュリティ教育に係る技術開発や情報共有を進め、卓越性をさらに強化するためのIAEA主催による国際核セキュリティ教育ネットワーク(INSENNetwork)の存在があり、2017年7月にINSENネットワーク年次会合194がやはりウィーンで開催された。
F)IAEA核セキュリティ計画及び核セキュリティ基金
2018年1月現在、IAEAにおける4カ年ごとの「核セキュリティ計画」(NuclearSecurityPlan)の最新版は「2018~2021年における第5次活動計画(核セキュリティ計画2018-2021)」195である。この「核セキュリティ計画」を実施するために、IAEAでは2002年に核テロリズムの防止、検知及び対処に係る「核セキュリティ基金」(NSF)を設立し、以来、IAEA加盟国には自発的な資金の拠出が要請されている。本報告書執筆時点で最新となる2016年のIAEA年次報告書(※2016年1月から12月までをカバーする)によれば、ベルギー、カナダ、中国、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、韓国、ニュージーランド、ルーマニア、ロシア、スペイン、スイス、UAE、英国、米国がNSFへの財政的な関与を約束したとされ、同年度におけるNSFの歳入は4,740万ユーロであった196。これは前年度比で1,700万ユーロの増額となっている。
2017年の第61回IAEA総会やGICNT総会などでの各国声明から明らかになっている調査対象国のNSFへの具体的な関与の表明状況は、以下のとおりである。英国が850万ポンドの拠出を表明197、パキスタンは金額には言及せず2018年度のNSFへの貢献を表明198した。オランダは新たな「核セキュリティ計画」の実施に向けて、NSFに100万ユーロを拠出するとし199、またニュージーランドも今後15万ドルの拠出を行うとの意向を表明200している。ベルギーは2010年以降のNSFへの貢献が200万米ドルを超えたことを表明201した。
G)国際的な取組への参加
今日において、核セキュリティにかかる国際的な取組は重層的な構造となっている。主立った取組としては、国連憲章第7章に基づき、大量破壊兵器(WMD)等の非国家主体への拡散を禁ずるための法的措置を講じ、厳格な輸出管理制度の策定などを加盟国に求める不拡散に関する安保理決議第1540号(2004年)202をはじめとして、INTERPOLによる核セキュリティ関連での各国法執行機関への支援や、IAEA主催による核セキュリティに関する国際会議のほか、各種の関連する会議やワークショップなどに象徴される国際機関におけるアプローチ、そして2016年に終了した核セキュリティサミットプロセスといった多国間フォーラムが挙げられる。これらの取組に加えて、注目されるべき核セキュリティにかかる多国間協力の枠組みにG8グローバル・パートナーシップ(G8GP)と、GICNTという2つのアプローチがある。
2002年6月のカナダ・カナナスキス・サミットでの合意を起点とするG8GPは、当初、ロシア及びその他の地域における各種の不拡散プロジェクトに向こう10年間にわたって、米国が100億米ドル、その他のG7諸国(フランス、ドイツ、日本、英国、米国、イタリア、カナダ)があわせて100億米ドルを拠出する(“10plus10over10”)203こととされた。その後、G8メンバー国(G7+ロシア)に加えて、EUとドナー参加国である豪州、韓国、スウェーデン、スイスなどの協力を得て、化学兵器の破壊、退役した原子力潜水艦の安全な解体及び輸送、核及び放射性物質の検知能力の向上、過去にWMDに携わった科学者や技術者の民生分野への就業支援、カザフスタンからの核物質の安全な除去と移転など、主としてロシアにおける非核化支援事業を中心に、各種の不拡散プロジェクトが推進されてきた。また、核セキュリティとの関連では原子力安全及び核セキュリティグループ(NSSG)を立ち上げ、核セキュリティサミットやIAEAによる核セキュリティ関連の国際会議などと連携してきた経緯がある。しかし、2014年3月のロシアによるクリミア併合を受けて、G7首脳の合意による懲罰的措置としてロシアを排除することが決定204され、その結果、G7GPとの呼称に変更205されるに至っている。2017年5月のイタリア・タオルミーナ・サミットのコミュニケでは、拡大する原子力利用を背景に、原子力安全、核不拡散とともに核セキュリティの重要性が言及206された一方で、議長国イタリアのイニシアティブにより、新たにアフリカに焦点を当てた取組が打ち出されたほか、化学及びバイオ技術が悪意ある行為に転用される潜在的脅威への対応などが検討されることとなった207。また、NSSG報告においては、IAEAや国連、INTERPOLやGICNTといった各種の核セキュリティ関連の国際的な取組との重複を避けつつ、限られたリソースを効果的に運用する方向で、NSSGとしてのグローバルな核セキュリティ体制を強化することが打ち出された208。
他方、もう1つの核セキュリティ分野での重要な国際的取組に挙げられるものとして、2006年のサンクトペテルブルグサミットにおいて米露主導で合意されたGICNTの存在がある。核鑑識の分野でのGICNTの取組については前述したとおりであるが、あくまでも自発的な国際協力の枠組みとして、GICNTには2017年6月の時点で豪州、中国、フランス、ドイツ、インド、イスラエル、日本、韓国、パキスタン、ロシア、スウェーデン、スイス、英国、米国など88カ国のパートナー国に加えて、オブザーバーとして5つの国際機関が参加している209。GICNTでは核物質その他の放射性物質の物理的防護措置の改善、民生用原子力施設におけるセキュリティの向上、不法移転の検知能力の改善、テロリストに対する財政的支援の防止などを含む8原則のもと、「GICNTの原則に関する声明(SOP)」を発出し、核セキュリティに係る目標として、抑止、防止、検知及び対応を目指した活動を行っている210。GICNTでは2010年に設置された履行及びアセスメントグループ(IAG)において、優先的な検討課題と位置づけられた核検知・核鑑識・対応及び緩和の各項目に関して、それぞれ核検知作業部会(NDWG、議長国英国)、前述した核鑑識作業部会(NFWG、議長国カナダ)、そして対応と緩和作業部会(RMWG、議長国アルゼンチン)を設置し、分野ごとの検討を実施している211。
GICNTに関する個別の取組としては、2017年1月にカナダと国連薬物・犯罪事務所(UNODC)及びスロバキア主催によるワークショップ「VigilantMarmot」がスロバキア・ブラチスラバで開催され、各国の核セキュリティの法的枠組みを見直す上での課題が検討された212。このほか、3月には欧州委員会共同研究センター(EC-JRC)主催のもと、各国の核物質検出アーキテクチャを巡る啓発と関与を促すことを目的としたワークショップ「MagicMaggiore」がイタリア・イスプラで開催され213、5月には英国とブルガリアの共催により、各国の核セキュリティ能力維持のための国レベルでの核セキュリティ演習計画を議題としたワークショップ「Sen-tinel」が実施された214。また、6月に日本で第10回シニアレベルGICNT総会が開催され、NDWG、NFWG及びRMWGの優先課題を含む2017年から2019年にかけてのGICNTとしての計画が合意されている215。なお、中国が2018年から2019年にかけて、原子力緊急事態対応及び放射線源の安全に係る地域セミナーをホストする意向を示している216ほか、英国が2018年2月にロンドンで核テロ事態における対応と緩和に関するGICNTワークショップの開催を表明している217。これまでに述べた核セキュリティに関するIAEA諮問ミッション(本報告書ではIPPASミッションを基準に評価)の各国受入れ状況、核鑑識への対応、核セキュリティ分野でのキャパシティ・ビルディング及びその支援活動などは、いずれも核セキュリティに関連するパフォーマンスの向上に裨益し、調査対象国の核セキュリティ体制強化の取組を示す指標になると考えられる。また、NSFへの貢献や、G8GP(G7GP)、GICNTへの参加も、こうした核セキュリティ体制の整備に向けたコミットメントを示すものとして評価できる。こうした前提に基づき、以下の表3-8では、上記の各項目(核セキュリティ・イニシアティブ)への各国の参加・取組状況を示した。
[115] “Past and Current Civilian HEU Reduction Efforts,” Nuclear Threat Initiative website, December 20, 2017, http:// www.nti.org/analysis/articles/past-and-current-civilian-heu-reduction-efforts/.
[116] Remarks By President Barack Obama in Prague as Delivered, The White House Office of the Press Secretary, April 5, 2009, https://www.whitehouse.gov/the-press-office/remarks-president-barack-obama-prague-delivered.
[117] “Hague Communiqué,” 2014 Hague Nuclear Security Summit, March 25, 2014.
[118] The White House Office of the Press Secretary, “Fact Sheet: The Nuclear Security Summits: Securing the World from Nuclear Terrorism,” March 29, 2016, https://obamawhitehouse.archives.gov/the-press-office/2016/03/29/fact- sheet-nuclear-security-summits-securing-world-nuclear-terrorism.
[119] NTI, “Civilian HEU Dynamic Map,” Nuclear Threat Initiative website, December 2017, http://www.nti.org/gmap/ other_maps/heu/index.html.
[120] Statement by H. E. Ambassador Marcel Biato, Permanent Representative of Brazil to the IAEA at the 61st IAEA General Conference, Vienna, September 18-22, 2017, https://www.iaea.org/sites/default/files/gc61-brazil-statement. pdf.
[121] Chile Declaration of the Permanent Representative Ambassador Armin Andereya at the 61th General Conference of the IAEA, September 20, 2017, https://www.iaea.org/sites/default/files/gc61-chile-final-statement.pdf.
[122] Statement of the Minister of Energy of the Republic of Kazakhstan K.A Bozumbayev at the 61st Session of the IAEA General Conference, September 2017, https://www.iaea.org/sites/default/files/gc61-kazakhstan-statement.pdf.
[123] Statement at the 61th IAEA General Conference by TANG Dengjie, Head of the Chinese Delegation, September 2017, https://www.iaea.org/sites/default/files/gc61-china-final-statement.pdf.
[124] Statement By Andrzej J. Piotrowski, Undersecretary of State Ministry of Energy Poland on the occasion of the 61th Session of the General Conference of the IAEA, September 2017, https://www.iaea.org/sites/default/files/gc61- statement-poland-final.pdf.
[125] Declaration Nationale Belge, Intervention de Monsieur Jan Bens, Directeur Général de l’Agence Fédérale de Contrôle Nucléaire, 61ème Session De La Conférence Générale De L’AIEA, Septembre 20, 2017, https://www.iaea.org/ sites/default/files/gc61-belgium-statement.pdf.
[126] Canadian Statement at the IAEA 61th General Conference, https://www.iaea.org/sites/default/files/gc61-canada- statement.pdf.
[127] Statement by His Excellency Ambassador Dr. Darmansjah Djumala, Ambassador Extraordinary and Plenipotentiary/Permanent Representative of the Republic of Indonesia Head of Delegation of the Republic of Indonesia At the 61st General Conference of the IAEA, September 2017, https://www.iaea.org/sites/default/files/gc61- indonesia-statement-final.pdf.
[128] Norway National Statement at the 61th General Conference of the IAEA, September 2017, https://www.iaea.org/ sites/default/files/gc61-norway-statement.pdf.
[129] Frank von Hippel, “Fissile Material Issues in the U.S. National Defense Authorization Act for Fiscal Year 2018,” IPFM Blog, December 17, 2017, http://fissilematerials.org/blog/2017/12/fissile_material_issues_i.html.
[130] “Rokkasho Plant will not Start until 2021,” IPFM Blog, December 22, 2017, http://fissilematerials.org/ blog/2017/12/rokkasho_plant_will_not_s.html.
[131] “Monju Reactor is Finally Shut Down,” IPFM Blog , December 13, 2017, http://fissilematerials.org/blog/2017/12/ monju_reactor_is_finally_.html.
[132]「『再処理等拠出金法案』が閣議決定されました」経済産業省 web サイト、http://www.meti.go.jp/pre ss/2015/02/20160205001/20160205001.html。
[133]「 第 190 回国会閣法第 17 号附帯決議」参議院 web サイト、http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_rchome.nsf/ html/rchome/Futai/keizaiA434A071B3E18FCE49257F9C00271C6D.htm。
[134] IAEA, “ITDB: Incident and Trafficking Database,” https://www.iaea.org/sites/default/files/16/12/16-3042_ns_ to_itdb_web-20160105.pdf.
[135] IAEA, “IAEA Incident and Trafficking Database (ITDB) Incidents of Nuclear and Other Radioactive Material Out of Regulatory Control,” IAEA Website, https://www.iaea.org/sites/default/files/17/12/itdb-factsheet-2017.pdf.
[136] IAEA Annual Report 2016, GC(61)/3, https://www.iaea.org/sites/default/files/publications/reports/2016/gc61- 3.pdf, p. 86.
[137] IAEA Annual Report 2015, GC(60)/9, https://www.iaea.org/About/Policy/GC/GC60/GC60Documents/English/ gc60-9_en.pdf, pp. 90-91.
[138] IAEA, Nuclear Security Report 2017, GOV/2017/31-GC(61)/14, July 25, 2017, https://www.iaea.org/About/ Policy/GC/GC61/GC61Documents/English/gc61-14_en.pdf, p. 3.
[139] IAEA, IAEA Incident and Trafficking Database (ITDB) Incidents of Nuclear and Other Radioactive Material out of Regulatory Control 2017 Fact Sheet, https://www.iaea.org/sites/default/files/17/12/itdb-factsheet-2017.pdf, p. 2.
[140] Ibid., p. 1.
[141] Canadian Statement at the IAEA 61th General Conference, https://www.iaea.org/sites/default/files/gc61-canada- statement.pdf.
[142] Chile Declaration of the Permanent Representative Ambassador Armin Andereya at the 61th General Conference of the IAEA, September 20, 2017, https://www.iaea.org/sites/default/files/gc61-chile-final-statement.pdf.
[143] Fathi Elsisi, “Sanctions as a Legal Deterrence Mean in the National Physical Protection Regime,” paper presented at the International Conference on Physical Protection of Nuclear Material and Nuclear Facilities, November 13-17, Vienna, Austria, https://www.iaea.org/sites/default/files/17/11/cn-254-elsisi-presentation.pdf.
[144] Statement by His Excellency Ambassador Dr. Darmansjah Djumala, Ambassador Extraordinary and Plenipotentiary/Permanent Representative of the Republic of Indonesia Head of Delegation of the Republic of Indonesia At the 61st General Conference of the IAEA, September 2017, https://www.iaea.org/sites/default/files/gc61- indonesia-statement-final.pdf.
[145] Statement by Khalil Hashmi, Director General (Disarmament), MFA Head of Pakistan Delegation at the 10th Plenary Meeting of the GICNT, June 2, 2017, http://www.gicnt.org/statements/documents/2017-plenary/Pakistan.pdf.
[146] “News and Events,” INTERPOL website, https://www.interpol.int/Crime-areas/CBRNE/News-and-Events.
[147] Radiological and Nuclear Terrorism, INTERPOL website, March 2017, https://www.interpol.int/en/content/ download/34610/453663/version/5/file/Radnuc-trifold-EN-web.pdf.
[148] 公益財団法人日本国際問題研究所軍縮・不拡散促進センター『2017 年版ひろしまレポート-核軍縮・核不拡散・ 核セキュリティを巡る 2016 年の動向』2017 年 3 月、99 頁。
[149] “Meetings, Conferences and Symposia: Meetings on Nuclear Safety and Security,” IAEA website, http://www-ns. iaea.org/meetings/default.asp?tme=ns&yr=2017&s=10&l=79&submit.x=7&submit.y=7.
[150] “Meetings, Conferences and Symposia: Meetings on Nuclear Safety and Security,” IAEA website, http://www-ns. iaea.org/meetings/default.asp?tme=ns&yr=2016&s=10&l=79&submit.x=5&submit.y=7.
[151] IAEA Completes Nuclear Security Advisory Mission in China, September 8, 2017, https://www.iaea.org/ newscenter/pressreleases/iaea-completes-nuclear-security-advisory-mission-in-china.
[152] IAEA Completes Nuclear Security Advisory Mission in Germany, October 6, 2017, https://www.iaea.org/ newscenter/pressreleases/iaea-completes-nuclear-security-advisory-mission-in-germany.
[153] IAEA Completes Nuclear Security Advisory Mission in Australia, November 10, 2017, https://www.iaea.org/ newscenter/pressreleases/iaea-completes-nuclear-security-advisory-mission-in-australia.
[154] IAEA Completes Nuclear Security Advisory Mission in Hungary, July 7, 2017, https://www.iaea.org/newscenter/ pressreleases/iaea-completes-nuclear-security-advisory-mission-in-hungary.
[155] IAEA Completes Nuclear Security Advisory Mission in Lithuania, October 20, 2017, https://www.iaea.org/ newscenter/pressreleases/iaea-completes-nuclear-security-advisory-mission-in-lithuania.
[156] IAEA Completes Nuclear Security Advisory Mission in the Democratic Republic of the Congo, December 15, 2017, https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/iaea-completes-nuclear-security-advisory-mission-in-the- democratic-republic-of-the-congo.
[157] New Zealand Statement Delivered by H.E. Nicole Roberton, New Zealand Ambassador at the 61th General Conference of the IAEA, September 2017, https://www.iaea.org/sites/default/files/gc61-new-zealand-statement.pdf.
[158] Republic of Turkey Statement Delivered by Ambassador Birnur Fertekligil at the IAEA 61st General Conference, September 18-22, 2017, https://www.iaea.org/sites/default/files/gc61-turkey-statement.pdf.
[159] Statement by Minister Peter Nelson, Deputy Head of Mission of the Embassy of Switzerland in Japan at the 10th Plenary Meeting of the GICNT, June 1, 2017, http://www.gicnt.org/statements/documents/2017-plenary/Switzerland. pdf.
[160] Naohito Uetake, “Current Nuclear Security Regime and Regulatory Framework in Japan: Efforts for Compliance with NSS-13 and CPPNM Amendment,” paper presented at the International Conference on Physical Protection of Nuclear Material and Nuclear Facilities, November 13-17, Vienna, Austria, https://www.iaea.org/sites/default/ files/17/11/cn-254-uetake-presentation.pdf.
[161] International Nuclear Security Advisory Service (INSServ), IAEA website, https://www.iaea.org/services/review- missions/international-nuclear-security-advisory-service-insserv.
[162] Integrated Nuclear Security Support Plan (INSSP), IAEA website, http://www-ns.iaea.org/security/inssp.asp?s=4.
[163] Topical Meeting on INSSPs: Benefits to Member States from their Development to their Implementation, January 23, 2017, https://www.iaea.org/events/topical-meeting-on-inssps-benefits-to-member-states-from-their-development- to-their-implementation.
[164] Regional Coordination Meeting on Integrated Nuclear Security Support Plans for Southern African Development Community States, March 6–10, 2017, https://www.iaea.org/events/regional-coordination-meeting-on-integrated- nuclear-security-support-plans-for-southern-african-development-community-states.
[165] The White House, Office of the Press Secretary, “Work Plan of the Washington Nuclear Security Summit,” April 13, 2010.
[166] “Joint Statement on Forensics in Nuclear Security,” 2016 Washington Nuclear Security Summit, April 5, 2016, http://www.nss2016.org/document-center-docs/2016/4/1/joint-statement-on-forensics-in-nuclear-security.
[167] IAEA Nuclear Security Series No.2-G (Rev.1), “Nuclear Forensics Support,” 2006, http://www-pub.iaea.org/ books/IAEABooks/10797/Nuclear-Forensics-in-Support-of-Investigations.
[168] Ibid., p. 3.
[169] Regional Training Course on Introduction to Nuclear Forensics, April 3-6, 2017, https://www.iaea.org/events/ regional-training-course-on-introduction-to-nuclear-forensics.
[170] “ITWG Nuclear Forensics Update,” No.3, June 2017, https://www.nf-itwg.org/newsletters/ITWG_Update_no_3. pdf, p.5.
[171] Technical Meeting on Nuclear Forensics Peer Review Advisory Missions, July 11-13, 2017, https://www.iaea. org/events/technical-meeting-on-nuclear-forensics-peer-review-advisory-missions.
[172] Technical Meeting on Nuclear Forensics and Cooperation with African States, July 11-13, 2017, https://www. iaea.org/events/technical-meeting-on-nuclear-forensics-and-cooperation-with-african-states.
[173] Regional Seminar on Introduction to Nuclear Forensics, September 4-8, 2017, https://www.iaea.org/events/ regional-seminar-on-introduction-to-nuclear-forensics.
[174] International Training Course on Practical Introduction to Nuclear Forensics, October 2-6, 2017, https://www. iaea.org/events/international-training-course-on-practical-introduction-to-nuclear-forensics.
[175] “EU-US Nuclear Forensics International Technical Working Group (ITWG) Joint Statement,” 2016 Washington Nuclear Security Summit, April 1, 2016, http://www.nss2016.org/document-center-docs/2016/4/1/eu-us-nuclear- forensics-international-technical-working-group-itwg-joint-statement.
[176] ITWG “Guideline,” ITWG website, http://www.nf-itwg.org/sites/default/files/pdfs/ITWG_Guideline_for_RN_ Evidence_Collection_FINAL.pdf.
[177] “Nuclear Forensics Libraries,” ITWG website, http://www.nf-itwg.org/sites/default/files/pdfs/National_Nuclear_ Forensic_Libraries_TOR_FINAL.pdf.
[178] “Nuclear Forensics Practitioners Strengthen Best Practices and International Cooperation,” U.S. Department of State, Bureau of International Security and Nonproliferation website, July 12, 2017, https://www.state.gov/t/isn/rls/ other/2017/272553.htm.
[179] Ibid.
[180] “Key Multilateral Events and Exercises,” GICNT website, http://www.gicnt.org/documents/GICNT_Past_ Multilateral_Events_June2015.pdf.
[181] “ITWG Nuclear Forensics Update,” No.3, June 2017, https://www.nf-itwg.org/newsletters/ITWG_Update_no_3. pdf, p. 5.
[182] Australia Statement at the 10th Plenary Meeting of the GICNT, June 1-2, 2017, http://www.gicnt.org/ statements/documents/2017-plenary/Australia.pdf.
[183] 日本国際問題研究所軍縮・不拡散促進センター『ひろしまレポート-核軍縮・核不拡散・核セキュリティを巡る 動向:2014 年』2014 年 3 月、66 頁;日本国際問題研究所軍縮・不拡散促進センター『ひろしまレポート-核軍縮・ 核不拡散・核セキュリティを巡る 2014 年の動向』2015 年 3 月、84 頁。
[184] Canadian Statement at the IAEA 61th General Conference, https://www.iaea.org/sites/default/files/gc61-canada- statement.pdf.
[185] Statement at the 61th IAEA General Conference by TANG Dengjie, Head of the Chinese Delegation, September 2017, https://www.iaea.org/sites/default/files/gc61-china-final-statement.pdf.
[186] Statement by the Leader of the Pakistan Delegation, 61st Annual General Conference of the IAEA, September 18-22, 2017, https://www.iaea.org/sites/default/files/gc61-pakistan-statement.pdf.
[187] Canadian Statement at the IAEA 61th General Conference, https://www.iaea.org/sites/default/files/gc61-canada- statement.pdf.
[188] Statement by His Excellency Ambassador Dr. Darmansjah Djumala, Ambassador Extraordinary and Plenipotentiary/Permanent Representative of the Republic of Indonesia Head of Delegation of the Republic of Indonesia At the 61st General Conference of the IAEA, September 2017, https://www.iaea.org/sites/default/files/gc61- indonesia-statement-final.pdf.
[189] Naoko Noro, “ISCN’s Activities to Promote Universalization of INFCIRC/225/Rev.5 (NSS 13),” paper presented at the International Conference on Physical Protection of Nuclear Material and Nuclear Facilities, November 13-17, Vienna, Austria, https://www.iaea.org/sites/default/files/17/11/cn-254-noro-presentation.pdf.
[190] Nobumasa Akiyama, “Japan’s Commitment to the Universalization of CPPNM and Its Amendment,” paper presented at the International Conference on Physical Protection of Nuclear Material and Nuclear Facilities, November 13-17, Vienna, Austria, https://www.iaea.org/sites/default/files/17/11/cn-254-akiyama-presentation.pdf.
[191] Mohamed Helmyhazzaa, “A Proposal for the Role of Nuclear Security Support Center to Sustain a National Nuclear Security Regime,” paper presented at the International Conference on Physical Protection of Nuclear Material and Nuclear Facilities, November 13-17, Vienna, Austria, https://www.iaea.org/sites/default/files/17/11/cn-254- hazzaa-presentation.pdf.
[192] A. Kuskov, “Training and additional professional education of the specialists in the field of nuclear security in RF,” paper presented at the International Conference on Physical Protection of Nuclear Material and Nuclear Facilities, November 13-17, Vienna, Austria, https://www.iaea.org/sites/default/files/17/11/cn-254-kuskov-presentation.pdf.
[193] Annual Meeting of the International Network for Nuclear Security Training and Support Centres (NSSC Network), February 20–24, 2017, https://www.iaea.org/events/annual-meeting-of-the-international-network-for- nuclear-security-training-and-support-centres-nssc-network.
[194] Annual Meeting of the International Nuclear Security Education Network (INSEN), July 24–28, 2017, https:// www.iaea.org/events/annual-meeting-of-the-international-nuclear-security-education-network-insen.
[195] Nuclear Security Plan 2018-2021, GC(61)/24, September 14, 2017, https://www.iaea.org/About/Policy/GC/ GC61/GC61Documents/English/gc61-24_en.pdf.
[196] IAEA, “IAEA Annual Report 2016,” https://www.iaea.org/About/Policy/GC/GC61/GC61Documents/English/ gc61-3_en.pdf, p. 87.
[197] UK National Statement at the 61th General Conference of the IAEA, September 2017, https://www.iaea.org/ sites/default/files/gc61-uk-statement.pdf.
[198] Statement by the Leader of the Pakistan Delegation, 61st Annual General Conference of the IAEA, September 18-22, 2017, https://www.iaea.org/sites/default/files/gc61-pakistan-statement.pdf.
[199] Statement by Ms Anke ter Hoeve-van Heek, Deputy Permanent Representative of the Kingdom of the Netherlands to the IAEA, September 20, 2017, https://www.iaea.org/sites/default/files/gc61-netherlands-statement. pdf.
[200] New Zealand Statement Delivered by H.E. Nicole Roberton, New Zealand Ambassador at the 61th General Conference of the IAEA, September 2017, https://www.iaea.org/sites/default/files/gc61-new-zealand-statement.pdf.
[201] Belgium Statement at the 10th Plenary Meeting of the GICNT, June 1-2, 2017, http://www.gicnt.org/statements/ documents/2017-plenary/Belgium.pdf.
[202] Joint Statement on Promoting Full and Universal Implementation of UNSCR 1540 (2004), 2016 Washington Nuclear Security Summit, April 5, 2016, http://www.nss2016.org/document-center-docs/2016/4/1/joint-statement- on-1540-committee.
[203] NTI, “Global Partnership Against the Spread of Weapons and Materials of Mass Destruction (“10 Plus 10 Over 10 Program”),” June 20, 2017, http://www.nti.org/learn/treaties-and-regimes/global-partnership-against-spread- weapons-and-materials-mass-destruction-10-plus-10-over-10-program/.
[204] Ibid.
[205] “G7 Global Partnership Against the Spread of Weapons and Materials of Mass Destruction,” G7 2017 Italy website, http://www.g7italy.it/it/node/190.
[206] G7 Taormina Leaders’ Communiqué, http://www.g7italy.it/sites/default/files/documents/G7%20Taormina%20 Leaders%27%20Communique_27052017_0.pdf.
[207] Ibid.
[208] “Italian G7 Presidency 2017 Report,” Nuclear Safety and Security Group (NSSG), http://www.g7italy.it/sites/ default/files/documents/NSSG-Report_FINAL_0.pdf.
[209] “Global Initiative to Combat Nuclear Terrorism Partner Nations List,” June 2017, http://www.gicnt.org/ documents/GICNT_Partner_Nation_List_June2017.pdf.
[210] “Overview,” GICNT website, http://www.gicnt.org/index.html.
[211] “Global Initiative to Combat Nuclear Terrorism Fact Sheet,” GICNT website, November 2017, http://www.gicnt. org/documents/GICNT_Fact_Sheet_Nov2017.pdf.
[212] “Global Initiative to Combat Nuclear Terrorism 2017 Plenary Meeting Joint Co-Chair Statement,” http://www. mofa.go.jp/files/000261774.pdf.
[213] Ibid. [214] Ibid.
[215] Statement by Japan at the 61th IAEA General Conference, Minister of State Masaji Matsuyama, September 18, 2017, https://www.iaea.org/sites/default/files/gc61-japan-statement_v2.pdf.
[216] Remarks by Chinese Delegation at the 10th Plenary Meeting of the GICNT, June 1, 2017, http://www.gicnt.org/ statements/documents/2017-plenary/China.pdf.
[217] UK National Statement at the 10th Plenary Meeting of the GICNT, June 1-2, 2017, http://www.gicnt.org/ statements/documents/2017-plenary/UK.pdf.