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国際平和拠点ひろしま

(3)核セキュリティの最高水準の維持・向上に向けた取組

2021年も前年に続きIAEAによる活動を含め、核セキュリティに関する各種の国際的な取組の多くは新型コロナウイルスの世界的な感染拡大(パンデミック)により延期あるいはオンラインで実施されるなどした。他方で、このような規模でのパンデミックは、国内外で移動制限を含む対応措置が講じられるなかでの緊急時対応を含めた核セキュリティ措置の確保、またそのための国際協力の確保の重要性と課題を提起した。こうした状況を受け、より強靭性のある安全・安心な社会構築が必要とされるポストコロナ時代も視野に議論や意見交換が活発に行われている105。

 

A) 民生利用におけるHEU及び分離プルトニウム在庫量の最小限化

核兵器を含む核爆発装置に利用可能なHEU及び分離プルトニウムの在庫量を最小限化する取組は、最高水準の核セキュリティを目指すうえで重要な要素の1つに数えられる106。2004年のGTRIに始まり、2010年以降の一連の核セキュリティサミット・プロセスを通じて取組が行われた結果、今日では南米、中央ヨーロッパ諸国、東南アジアがリスクの高い核物質が存在しない地域となった。こうした取組に関し、たとえば日本は、2014 年の核セキュリティサミットにおける日米共同声明での合意に基づき2016年に日本原子力研究開発機構(JAEA)の高速炉臨界実験装置(FCA)からHEU及び分離プルトニウムを全量撤去したほか、日米両国は、2016年の核セキュリティサミットにおいて、京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)のすべてのHEU燃料を米国に搬出するために協働すると表明した107。その後、2018年8月に民生用原子力協力に関する日米二国間委員会会合で、2022年3月までの搬出が約束された108。
以下に、公開情報から得られた調査対象国による民生用のHEU の最小限化に資する2021年の取組を列挙する。

➢ カナダ:カナダ原子力研究所(CNL)は、1月に、HEUターゲットの残留物質(TRM)のカナダから米国への移送をすべて安全に終え、TRM返還プロジェクトが無事に成功裏に完了したと発表した109。なお、このプロジェクトは2019年から進められ、2021年の完了までの間に367kg以上のHEUがカナダから撤去された110。また、カナダは9月に米国エネルギー省とともに、カザフスタンの研究炉に残存するHEUを撤去し、希釈・処分のためにロシアに移送することを支援することを目的
とした250万カナダドルに相当するプロジェクトを立ち上げた111。
➢ カザフスタン112:4月に、国立原子力センターが黒鉛減速型パルス型試験炉(IGR)のHEU燃料を希釈するプロセスを完了したと発表した。また、HEU新燃料がウルバ冶金工場で希釈された。他方、IGR研究炉施設には、照射済のHEU燃料がまだ貯蔵されている。
➢ ノルウェー113: 9月初頭、ノルウェーと米国は、ノルウェーにあるすべてのHEUの撤去に関する協力のための了解覚書(MOU)に署名し、今後2〜3年以内に計画を次の段階へと進める予定である。
➢ 米国:2021年に、新たな協力取極について交渉する企業の選定を含め、HEUを使用せずにモリブデン99(Mo-99)の国内生産を支援するために産業界と協力している114。
➢ オランダ、ノルウェー、韓国115:2022年1月に開催予定だった2020年NPT運用検討会議に民生用の在庫及び使用におけるHEUの最小限化及び廃絶に関する作業文書を共同で提出した。

上述のHEU最小限化の取組はすべて米国との協力のもと行われたものであり、米国はオランダとの間でも技術的な課題があるHEU燃料の希釈の解決策に関する研究を行うことにコミットしている116。
民生用のHEUの在庫量については、2019年8月にノルウェーが、また2020年1月に豪州が、自発的な報告をIAEAに提出した。2021年に新たに任意の報告を行った国はなかった。これらの報告は、2017年に発出された「民生利用における高濃縮ウランの最小限化と削減にかかる共同声明(INFCIRC/912)」に添付された自発的報告用の定型様式を用いて行われたものである117。定型様式を使用することによって情報開示が望まれる情報の共有が期待できるほか、定期的に提出がなされれば、当該国のHEU最小限化の取組を国際社会が評価することも可能となる。この共同声明には21カ国が参加しており、調査対象国からは豪州、カナダ、チリ、韓国、メキシコ、オランダ、ナイジェリア、ノルウェー、フィリピン、ポーランド、スウェーデン、英国及び米国が参加している118。上述のオランダ、ノルウェー及び韓国が2020年NPT運用検討会議に向けて提出した作業文書は、各国がINFCIRC/912に賛同し、この報告メカニズムを実施することを検討するよう促している119。
分離プルトニウムの在庫量を最小限に維持することにかかる調査対象国による2021年の取組については、公開情報からは確認できなかった。

 

B) 不法移転の防止

核検知、核鑑識、法執行及び税関職員の執行力強化のための新技術の開発、IAEA移転事案データベース(ITDB)への参加は、核物質の不法移転防止のための取組として重要である。特にITDBは、核物質及びその他の放射性物質の不法な所有、売買・取引、放射性物質の不法散布、行方不明の放射性物質の発見などに関係した事例を情報共有するためのデータベースとしても、IAEAの核セキュリティ計画を支える要素120であるのみならず、核セキュリティ上の脅威を現実のものとして広く受け止めるのにも役立つ統計的資料として、近年その存在感を一層高めている。2020年版の「ITDBファクトシート」によれば、2019年12月末時点でのITDB参加国数は139カ国である121。(調査対象国の参加状況については、表3-6を参照。)
本報告書執筆時点で最新となる「2020年版IAEA年次報告」によれば、2020年は125件の事案がITDBに報告された122。前年は189件であり、報告件数上は64件減少した。また、IAEAの『2021年版核セキュリティ報告』123によれば、1995年のITDB開始以来、2021年6月末までに3,878件の事案がITDBに報告された。2020年7月から翌年6月末までの1年間では報告件数は111件であったが、そのうちこの報告期間内に発生した事案は77件であった124。新たに報告された111件の内訳は以下のとおりである125。

➢ 不法移転にかかる事案:2件(1件は信用詐欺事案)。いずれもHEUやプルトニウム、あるいはIAEAの原子力安全基準で区分Ⅰに分類された放射線源ではなかった。また、事案を報告した国で管轄権を有する当局によってこれらの物質は押収された。
➢ 情報不足のため、不法移転または悪意ある使用を企図したものであったか意図が不明な事案:19件。内訳は放射線源の盗難が15件、無許可の所持が1件、紛失が3件。19件はいずれも原子力安全基準における区分Ⅲの放射線源に関する事案であった。また、19件中17件について物質は未回収である。
➢ 規制管理を外れた物質で、不法移転、悪意ある使用、あるいは詐欺には該当しない放射性物質にかかる事案:90件。大半は無許可での廃棄や積み出し、あるいは過去に遺失した放射線源の予期
せぬ発見などであった。

なお、ITDBでは参加国の機微情報の保護の観点から報告された事案や不法な取引の詳細を公開していない。
2021年に公開情報から得られた不法取引に関連する事案として、インドで5月に天然ウラン7.1kgを所持していた者2名がマハラシュトラ州で逮捕されたほか、6月には闇市場での売買を目的にウランと思われる物質6.4㎏を所持していたとして7名がジャールカンド州で逮捕された126。また、8月にもコルカタ市で放射性物質を違法に販売しようとした容疑で2名が逮捕された127。容疑者は計250kgの放射性物質を何者かから購入したと主張したが、犯罪捜査局は実験室から盗取したと見ている。いずれにしても短期間で複数の事例が発生しており、これらの物質のセキュリティの一層の強化が求められる。
調査対象国の不法移転の防止措置に関する取組については、インドネシアが2021年2月にIAEAの「規制外の物質にかかる警報と警告評価のための専門家支援に関する国内ワークショップ」を開催した128。
以下の表3-6では、平和目的のHEUを最小限化する取組、ITDBへの参加、及び核物質・その他の放射性物質の不法移転の防止のための措置の実施に関して、各種の公式声明において取組の意思表示があったケースを示した。

 

C) 国際評価ミッションの受け入れ

核物質及びその他の放射性物質の防護、関連施設及び活動に関する国際文書やIAEAのガイダンスの実施について国際的な専門家が助言をする国際評価ミッションの1つに国際核物質防護諮問サービス(IPPAS)がある。IPPASミッションは、加盟国の要請に基づき、IAEAの主導により核物質防護専門家から構成される国際的なチームが当該国の政府と原子力施設を訪問し、国の核物質防護体制及び施設の核物質防護措置の内容の確認、並びに政府関係者及び原子力事業者へのヒアリングなどを通して、IAEAの核物質防護勧告(INFCIRC/225)に準拠した防護措置を実施するうえで必要な助言などを行うものである129。
IPPASミッションの実施件数は、2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり0件であったが、2021年にはニジェール、ベラルーシ、ブルキナファソ、トルコ、チェコ及びセネガルの6カ国で実施された130。調査対象国であるトルコは、2003年に最初のIPPASミッションを受け入れており、今回は2度目となった。トルコは2015年7月にCPPNM/Aを批准しており、今回のIPPASミッションでは条約義務が国内核セキュリティ体制に反映されているか否かについて、国際的な評価を受ける機会となった131。このように、過去にIPPASミッションを受け入れ、その後フォローアップミッションを要請し、核物質防護の強化に継続的に取り組んでいる国々もある。IAEAはIPPASミッション受け入れの3〜4年後にフォローアップミッションによる評価を受けることを推奨している。
2021年9月のIAEA総会では、今後のIPPASミッションの受け入れについて発言を行った調査対象国はなかったが、UAEがIAEAのレビューメカニズムの重要性に言及し、IPPASをはじめとする主なピアレビューミッションをこれまでに受け入れたと報告した132。
近年のIPPASミッションにかかる動向として、機微情報を保護しつつ、その報告書の一部を公表することが取組の透明性や説明責任の観点から奨励されている。こうした動向を受け、オランダ、スウェーデン、豪州などに続いて2019年12月に日本もIPPASミッション及びフォローアップミッションの報告書の一部を公開した133。前年に続き2021年も新たにこのような公開を行った国はなく、より多くの国による取組が期待される。
IAEAでは、核セキュリティ体制整備・強化を支援すべく、IPPAS以外にも、要請に基づき実施される国際核セキュリティ諮問サービス(INSServ)や統合核セキュリティ支援計画(INSSP)策定のためのミッションなども提供している。INSServは要請国に求められる核セキュリティ体制の要件全般を検討し、改善が必要な点について国際専門家からなるIAEAのチームが助言を行うサービスである。この専門家の養成を目的として、IAEAは2021年6月に「INSServ指針に関する国際ワークショップ」を開催した134。
INSSPは支援要請各国が体系的かつ包括的に自国の核セキュリティ体制を向上させることを目的として作成される支援計画であると同時に、各国に支援を行うIAEA、関係国及びドナーが支援の重複を避け、技術的・財務上の観点からもリソースを最適化し、当該国の核セキュリティ関連活動を持続可能とするものである。IAEAの『2021年版核セキュリティ報告』によれば、2020年7月から2021年6月の期間に新たに5カ国がINSSPの正式な承認を終えた。これにより、2021年6月時点で正式承認を終えた国は計91カ国となった135。調査対象国については、前述の正式承認を終えた5カ国にポーランドが含まれるほか、エジプトがINSSP実施のためのIAEAの調整会合をオンラインで開催した136。

 

D) 技術開発―核鑑識

核鑑識は、核物質及び放射性物質が関係した不正取引や悪意のある行為の実行者を特定し、刑事訴追を可能としうる核セキュリティ上重要な技術であり、さらなる技術開発と国内体制及び国際的なネットワーク体制の構築のための取組やそのための支援が行われてきている137。
このような核鑑識技術に関する多国間協力の取組として重要な位置付けにあるのが、1995年に設立された「核鑑識に関する国際技術ワーキンググループ(ITWG)」(旧称「核物質の不法移転に関する国際技術ワーキンググループ」)である138。2021年6月にオンラインで開催されたITWG年次会合では、25年以上にわたるグループの国際的な核セキュリティへの貢献や成果のレビューなどが行われ、35カ国から100名以上の専門家が参加した139。また、同年9月には、放射性犯罪現場管理及び核鑑識ラボ分析から成る「第7回ITWG 協同物質比較演習(CMX-7)」の開催が予定されていたが、本稿執筆時点において公開情報からは開催の有無は明らかではない140。なお、CMXは取組の開始当初(CMX-1)は、参加する分析ラボがわずか6機関であったものの、前回(CMX-6)では豪州、オーストリア、アゼルバイジャン、ブラジル、カナダ、チェコ、中国、フランス、ドイツ、ハンガリー、イスラエル、日本、カザフスタン、韓国、リトアニア、モルドヴァ、オランダ、ポーランド、ルーマニア、ロシア、シンガポール、南アフリカ、スウェーデン、スイス、トルコ、ウクライナ、英国、米国、欧州委員会( EC ) ( 共同研究センター〔JRC〕)が参加した141。また、ITWGは核鑑識ライブラリ開発に関する仮想机上演習「ギャラクシーサーペント演習(Galaxy Serpent Exercise)」も実施してきており、5回目となる演習を2022年春に開始すべく準備を行っている142。
核鑑識にかかるもう1つの重要な多国間協力の枠組みが、後述する核テロリズムに対抗するためのグローバル・イニシアティブ(GICNT)内に設置された核鑑識作業部会(NFWG、議長国はカナダ)である。NFWGにおいても多国間協力を通じた核鑑識能力の強化の観点から、多数のワークショップや机上演習が実施されている。GICNTはITWGと緊密に協力しており、前述の6月に開催されたITWG年次会合にも参加しブリーフィングを行った143。

 

E) 人材育成・能力構築及び支援活動

核セキュリティサミット・プロセスの開始に前後して、教育・研修機能を含む国内の核セキュリティの持続性を強化する手段として核セキュリティ訓練・支援センター(NSSC)の設置、あるいは地域諸国の専門家を対象とした中心的拠点(COE)の発足など、多くの国や地域において核セキュリティに関する人材育成・能力構築にかかる国際支援活動の取組が継続的に実施されてきた。
IAEAはこの分野における新たな取組として、核セキュリティに関する各国の対応能力の強化に向けて訓練及び演習を提供することを目的とした核セキュリティ訓練センター( IAEA Nuclear Security Training and Demonstration Centre)をサイバーズドルフ(Seibersdorf)に設立する作業を開始しており、2021年7月にその着工を発表した。このセンターは、各国のNSSCの機能を補完する位置付けにあり、2023年に運用が開始される予定である144。これに関し、IAEA総会で韓国がセンターの設立及びサイバーセキュリティ訓練プログラムでIAEAと緊密に協力していくと述べた145。また、サウジアラビアも、訓練センターの着工に祝意を示すとともに、1,000万ドルの拠出を行ったことに言及した146。
調査対象国による核セキュリティを基軸とするCOE関連の2021年の取組については、IAEA総会において以下の発言がなされた。

➢ 日本147:新型コロナウイルス感染拡大のなかでも、日本原子力研究開発機構核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(JAEA-ISCN)によるオンラインセミナーの実施などを含め、IAEAとの協力のもと、地域の人材育成活動を通じて世界的な核セキュリティの向上を続けていく。JAEAがIAEAの核セキュリティ及び廃止措置・放射性廃棄物の分野における協働センターとして近々指定される予定であり、双方の分野においてIAEA及び加盟国に貢献していく。

なお、IAEAによれば、JAEAは11月に核セキュリティ分野における8番目のIAEAの協働センターに指定された148。特に人材育成やIAEAの研究プロジェクトを通じた研究開発分野におけるIAEA核セキュリティ事業への日本の貢献が強化されることが期待されている。

 

訓練・支援における国際ネットワーク

世界各地に近年設置された数多くのCOEの地域内外での活動面での重複を避け、効率的な連携や情報共有の緊密化、そしてIAEAなどを軸としたより広範なネットワークの維持・拡大、国際支援を通じた教育・研修の強化や意識啓発を図っていくことが重要である。この関連で、2012年にIAEA主導で発足した「NSSC国際ネットワーク」は、各国COEの間での連携やネットワーク構築の基軸として重要な役割を担っている149。2021年時点で、66カ国から75の機関がNSSCネットワークに参加しており、地域別では、アジア太平洋が25機関、欧州が22機関、アフリカが20機関、ラテンアメリカが6機関、北米が2機関となっている150。調査対象国の参加国には、ブラジル、カナダ、チリ、中国、エジプト、フランス、インドネシア、日本、カザフスタン、韓国、パキスタン、フィリピン、ロシア、米国などがある。このNSSCネットワークの年次会合が2021年4月にオンラインで開催された151。9月には、アジア地域のNSSCネットワークとIAEAが、メンバー間の協力の発展にかかる進捗状況をレビューし、地域的及び国際的な核セキュリティ活動の計画と実施に関する調整をさらに促進するための会合をオンラインで開催した152。
IAEAの『2021年版核セキュリティ報告』によれば、パンデミックがNSSCsの役割及び機能に与えた影響を理解し、関連する良好慣行(グッドプラクティス)を共有するため、NSSCネットワーク内に設置された作業グループがネットワークのメンバーに対して調査を行った153。その結果、イベントや活動の中止や延期によるものを含め、すべてのNSSCの中核的な機能が影響を受けたことが判明した一方で、オンラインの活動を実施するための新たな斬新なアプローチも開発されたとのことである154。

 

教育分野における国際ネットワーク

こうしたNSSCネットワークと同様の取組として、核セキュリティ教育にかかる技術開発や情報共有を進め、卓越性をさらに強化するためのIAEA主催による国際核セキュリティ教育ネットワーク(INSEN)の存在がある。IAEAの『2021年版核セキュリティ報告』によれば、INSENには2021年時点で66カ国から198の教育機関が参加している155。参加国は前年比で1カ国増えたほか、教育機関については4機関が新たに参加し、近年増加傾向にある。調査対象国の参加国には、オーストリア、ブラジル、カナダ、エジプト、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、日本、カザフスタン、オランダ、ナイジェリア、パキスタン、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、スウェーデン、トルコ、英国、米国などがある156。2021年のINSENの取組としては、3月にINSENリーダーシップ会合がオンラインで開催され、INSENの現在進行中の活動や核セキュリティ教育へのパンデミックの影響に関する議論が行われた157。また、IAEAと理論物理国際センター(ICTP)による国際核セキュリティスクールが2020年9月及び2021年5月から6月にかけてロシア語で開催され、8つの加盟国から23名が参加したほか、2021年4月には英語で開催され、36の加盟国から52名が参加した158。

 

F) IAEA核セキュリティ計画及び核セキュリティ基金

IAEAは4カ年ごとに「核セキュリティ計画」(Nuclear Security Plan)を策定してきており、2021年9月に2022〜2025年を対象とした第6次活動計画159が策定された。策定にあたっては、IAEA総会決議やICONS2020の閣僚宣言が考慮された。この計画では、IAEAが実施すべき優先課題として、物理的防護分野の活動の強化、防止、検知及び対応、内部脅威の緩和、核セキュリティ文化、機微情報やコンピュータ・ベースのシステムの防護強化が挙げられ、加盟国からの要請に基づき支援を提供するとされている160。また、分野横断的な活動として、CPPNM/Aの普遍化及び条約履行支援、コンピュータ・セキュリティ、法規制枠組みの整備・強化支援、IPPASなどの諮問サービス・ミッション、サイバーズドルフの核セキュリティ訓練センターの設置などが挙げられた161。さらに、既存及び新たな核セキュリティ上の脅威についても核セキュリティの向上に資するリスク管理活動の実施に留意し対応するため、要請に基づき支援を行うとしている162。
この「核セキュリティ計画」を実施するために、IAEAでは2002年に核テロリズムの防止、検知及び対応にかかる核セキュリティ基金(NSF)を設立し、以来、IAEA加盟国に対し自発的な資金の拠出が要請されている。核セキュリティに関するIAEAの通常予算の割当は近年漸増しているものの、その増加については途上国を中心に否定的な意見が根強いことから限定的となっている163。
各国によるNSFへの貢献については、『2021年版核セキュリティ報告』によれば、2020年7月1日から2021年6月30日までの1年間に、カナダ、中国、エストニア、ECフィンランド、フランス、ドイツ、日本、オランダ、ニュージーランド、韓国、ノルウェー、ロシア、サウジアラビア、スペイン、スウェーデン、スイス、英国及び米国の19のIAEA加盟国、並びにその他のドナーがNSFに拠出した164。また、本報告書執筆時点で最新である「2020年版IAEA年次報告によれば、2020年度のNSFの歳入は5,000万ユーロであり前年度比で1,700万ユーロの増額となった165。

 

G) 国際的な取組への参加

核セキュリティの水準向上のための国際的な取組は、今日重層的な構造を形成している。こうした核セキュリティにかかる国際社会の主だった取組としては、国連憲章第7章に基づき、国連加盟国に大量破壊兵器などの拡散を禁ずるための法的措置を講じ、厳格な輸出管理制度の策定などを求める不拡散に関する安保理決議第1540号(2004年)166をはじめとして、国際刑事警察機構(INTERPOL)による核セキュリティ関連での各国法執行機関への支援や、IAEA主催による核セキュリティに関する国際会議のほか、各種の関連する会合やワークショップなどに象徴される国際機関におけるアプローチ、そして2016年に終了した核セキュリティサミット・プロセスといった多国間フォーラムが挙げられる。
核セキュリティサミット・プロセスについては、2016年のプロセス終了後も核セキュリティの水準向上における国際的な取組を継続的に行うための複数の仕組みが設けられており、その中心に位置するのが「グローバルな核セキュリティ強化のための持続的な行動に関する共同声明」を通じて設立された核セキュリティ・コンタクトグループ(NSCG)である。NSCGの目的は、各国による核セキュリティへの持続的な関与と実施を促進すること、また強化され、持続的かつ包括的なグローバルな核セキュリティ・アーキテクチャを構築することである。具体的な活動としては、IAEA総会に合わせて年に1度開催する会合に加えて、関連する会合も開催するとされている。設立当初のNSCG参加国は40カ国であったが、その後カナダが主導国となりNSCGの原則声明(Statement of Principles)を明示した文書をIAEAの情報文書INFCIRC/899として発出し、未参加国の参加を呼び掛けている167。2021年11月時点で、豪州、中国、フランス、ドイツ、インド、イスラエル、日本、韓国、パキスタン、スウェーデン、スイス、英国、米国など48カ国に加えて、EU、IAEA、INTERPOL及び国連の4つの地域・国際機関がオブザーバーとして参加している168。
NSCGに加えて、核セキュリティサミット・プロセスでは多数のバスケット・イニシアティブが打ち出されており、たとえば日本がリード国を務める「輸送セキュリティ(INFCIRC/909)」、米国が主導する「内部脅威緩和(INFCIRC/908)」、豪州が主導する「核鑑識(INFCIRC/917)」、フランスが主導する「高放射能線源のセキュリティ(INFCIRC/910)」などがある169。このうち「内部脅威緩和( INFCIRC/908)」を進展させる取組として、2020年に国際作業グループ(IWG)が設置された。IWGは最良慣行や資源を共有するための場を提供することを意図したものである170。米国とベルギーがIWGの共同議長を務めつつ、カナダ、チリ、フィンランド、ハンガリー、イスラエル、日本、ヨルダン、マレーシア、モロッコ及びナイジェリアが参加する運営委員会(Steering Committee)を主導している171。IWGは、2021年1月に第2回目の会合をオンラインで開催したほか、3月には初となるニュースレターを発行するなど、活発に活動している172。
さらに、前述の各種多国間フォーラムの取組に加えて、核セキュリティにかかる多国間協力の枠組みとして、G7原子力安全セキュリティ・グループ(NSSG)、大量破壊兵器及び物質の拡散に対するG7グローバル・パートナーシップ(G7GP、旧称G8 グローバル・パートナーシップ)、並びにGICNTによる取組がある。
NSSGは、毎年3回の会合を開催し報告書を作成しており、2021年は英国の議長のもと3度の会合が開催された。会合では、原子力安全及びセキュリティ政策についての議論と経験の共有が行われ、12月に声明が発出された173。声明では、多様な原子力人材への支援、公衆との信頼性の確立、小型モジュール原子炉及び高度な原子力技術、並びにチェルノブイリ廃止計画を含む主要な政策テーマについて協働するための重点分野や機会が特定された174。
G7は2021年4月に不拡散局長級会合声明を発出し、核セキュリティに関して以下の点に言及した175。

➢ 非国家主体による核・放射性物質の取得の脅威への対抗上の課題に対する政治的な関心を高め、これらの物質がもたらすリスクを管理するため、国内及び国際的な措置の実施を加速させる決
意である。
➢ HEUの最小限化を世界的規模で進めるとのコミットメントを確認する。経済的及び技術的に可能な場合には、民生用HEUの在庫をさらに削減、またはなくすことを奨励する。
➢ 核テロ防止条約及びCPPNM/Aの普遍的な遵守及び履行を支持し、CPPNM未締約国に対しCPPNM/A批准国となり、これらの条約を完全に履行することを要請する。
➢ CPPNM/Aに関し、すべての締約国に対して、運用検討会議に参加するとともに、会議に先立ち同条約第14条で求められる情報を提出するよう要請する。
➢ IAEA、NSCG、GICNTなどの活動を支援し、各国による核・放射線セキュリティ強化に対する支援を引き続き行っていくことを約束する。
➢ HEUの最小限化及び高放射能線源に関連するリスク管理に焦点を当てることを計画している。
➢ 核・放射線セキュリティ・サブワーキング・グループ(NRSWG)は、HEUの最小限化を2021年の主要なイニシアティブ案件と特定し、意識向上における取組の再活性化を行う予定である176。

2006年のサンクトペテルブルク・サミットにおける米露主導の合意に基づくGICNTは、核セキュリティ分野におけるもう1つの重要な国際的取組である。核鑑識の分野でのGICNTの取組については前述したとおりだが、あくまでも自発的な国際協力の枠組みとして、GICNTには2021年4月時点で豪州、中国、フランス、ドイツ、インド、イスラエル、日本、韓国、パキスタン、ロシア、スウェーデン、スイス、英国、米国など89カ国のパートナー国に加えて、IAEA、INTERPOL、国連テロ対策オフィス(UNOCT)など6つの国際機関がオブザーバー参加している177。
2019年以降の活動を踏まえ、今後の方向性などについて政府高官レベルで議論を行うGICNTの全体会合が2021年にハンガリーで開催される予定となっていたが、開催に関する情報は得られなかった178。GICNTでは「対応と緩和」、「核鑑識」及び「核検知」の3つの作業グループを中心に活動が行われている。2019年度は核物質及びその他の放射性物質の検知能力支援や核鑑識能力の向上、核セキュリティ事案に関連した災害対応などを扱った共同演習やワークショップなどが実施されたが、これらについても2020年に続いて2021年もGICNTに関する個別の取組は、公開情報からは窺い知ることができなかった。
多国間の取組に加えて、二国間による核セキュリティ強化の取組も複数行われている。たとえば、日本は2010年11月に、日米核セキュリティ作業グループ(NSWG)の設立を発表し、人材育成、核鑑識、輸送セキュリティ、HEUの最小限化などの分野で両国の関係省庁を中心に協力を進めてきている179。米国とカナダについても、NNSAとカナダ原子力エネルギー公社が2020年10月に、原子力安全及び核セキュリティ分野でのより効果的な二国間の協働を可能とするために協力及び情報交換に関する覚書に署名し180、カナダにある米国起源のHEUや他の物質の米国へのさらなる返還のための協力が行われている181。また、米国と韓国についても、2015年の改定韓米原子力協力協定に基づき開始された二国間のハイレベル委員会のもとに核セキュリティ作業グループが設置されており、協力が進められている。上述の2021年3月の「アジアの核セキュリティの検討に関する地域ワークショップ」の開催も、本作業グループで韓国が提案しNNSAとIAEAとの協議を経て開催されたものである182。米韓両国は、グローバルな核セキュリティレジームの強化においてリーダーシップを示してきており、特にHEUの最小限化、核関連施設のサイバーセキュリティの向上、並びにIAEAの核セキュリティ活動の強化で国際社会を牽引してきたとしている183。

 


105 たとえば、日本では核不拡散・核セキュリティ総合支援センターが2021 年12 月に「ポストコロナ時代の核不拡散・核セキュリティ」との副題のもと、原子力の平和利用、核不拡散及び核セキュリティに関する国際フォーラムを開催した。フォーラムでは、コロナ禍で直面した課題への対処法を整理し、良好事例を共有するとともに、将来同様の事態が発生した際に備えた強靭性のある安全・安心な社会の構築に向けすべきことについて議論が行われた。「原子力の平和利用、核不拡散及び核セキュリティに関する国際フォーラム」核不拡散・核セキュリティ総合支援センター、https://www.jaea.go.jp/04/iscn/activity/2021-12-15/announce.html; Nikolas Roth, Christopher Hobbs and Daniel Salisbury, “Nuclear Security in a Time of Crisis,” Stimson Center, October 5, 2021.
106 分離プルトニウムについては、2014 年の核セキュリティサミット(ハーグ)のコミュニケで初めて「最小限レベルを維持すること」が明記された。ICONS 2020 の閣僚宣言では、用途にかかわらずHEU 及び分離プルトニウムを保有しているすべてのIAEA 加盟国に対して、それらが適切にセキュリティを確保し計量管理されていることを確実にすることが要請された。また、加盟国に対し、技術的及び経済的に実行可能な場合には、民生用のHEU在庫量を自発的にさらに最小限化することが奨励された。“Ministerial Declaration,” ICONS 2020, February 2020, p. 1.
107 外務省「第4 回米国核セキュリティサミット 核セキュリティ協力に関する日米共同声明(骨子)」。
108 外務省「共同声明:民生用原子力協力に関する日米二国間委員会第5 回会合(仮訳)」2018 年8 月8 日、https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000388659.pdf
109 “CNL Completes Repatriation of HEU Target Residue Material to United States,” Canadian Nuclear Laboratories, January 26, 2021, https://www.cnl.ca/cnl-completes-repatriation-of-heu-target-residue-material-to-united-states/.
110 The U.S. Department of Energy, Prevent, Counter, and Respond-NNSA’s Plan to Reduce Global Nuclear Threats FY 2022-FY 2026 Report to Congress, December 2021, Chapter 2, p. 4.
111 “National Report by Canada,” NPT/CONF.2020/35, November 9, 2021, p. 18.
112 “Kazakhstan Moves Downblended Fuel of IGR Reactor to Storage,” IPFM Blog, April 23, 2021, https://fissilematerials.org/blog/2021/04/kazakhstan_moves_downblen.html.
113 “Statement of Norway,” IAEA General Conference, September 2021, pp. 1-2.
114 The U.S. Department of Energy, Prevent, Counter, and Respond-NNSA’s Plan to Reduce Global Nuclear Threats FY 2022-FY 2026 Report to Congress, Chapter 2, p. 4.
115 NPT/CONF.2020/WP.14, November 8, 2021.
116 The U.S. Department of Energy, Prevent, Counter, and Respond-NNSA’s Plan to Reduce Global Nuclear Threats FY 2022-FY 2026 Report to Congress, Chapter 2, p. 4.
117 “Joint Statement on Minimising and Eliminating the Use of Highly Enriched Uranium in Civilian Applications,” INFCIRC/912, February 16, 2020; “Australia’s 2019 INFCIRC/912 HEU Report,” IPFM Blog, January 23, 2020, http://fissilematerials.org/blog/2020/01/australias_2019_infcirc91.html.
118 INFCIRC/912, April 20, 2017. なお、HEU の在庫量に関する報告については、フランス、ドイツ及び英国が「国際プルトニウム管理指針(INFCIRC/549)」に基づく民生用分離プルトニウム在庫量の報告において自発的に追加して報告を行っている。
119 NPT/CONF.2020/WP.14, p. 4.
120 IAEA, “ITDB: Incident and Trafficking Database.”
121 IAEA, “IAEA Incident and Trafficking Database (ITDB) Incidents of Nuclear and Other Radioactive Material out of Regulatory Control 2020 Fact Sheet,” p. 1.
122 IAEA, IAEA Annual Report 2020, GC (65)/5, September 2021, p. 101.
123 IAEA, Nuclear Security Report 2021, p. 6.
124 111 件には2020 年7 月以前に発生した事案も含まれている。
125 IAEA, Nuclear Security Report 2021, pp. 10-11.
126 “Jharkhand: 6 kg Mineral Uranium Seized, 7 Arrested,” Indian Express, June 4, 2021, https://indianexpress.com/article/india/jharkhand-6-kg-mineral-uranium-seized-7-arrested-7343338/; Sang-Min Kim, “India Arrests Alleged Uranium Traders,” Arms Control Today, July/August 2021, https://www.armscontrol.org/act/2021-07/news-briefs/india-arrests-alleged-uranium-traders.
127 “Two Arrested in India with Radioactive Substances Worth over $570 Million,” Express Tribune, August 26, 2021, https://tribune.com.pk/story/2317250/two-arrested-in-india-with-radioactive-substances-worth-over-570-million.
128 IAEA, Nuclear Security Report 2021, p. 21.
129 2014 年に発行されたIPPAS ガイドラインに基づいて評価が行われる。IAEA, “International Physical Protection Advisory Service (IPPAS) Guidelines,” IAEA Service Series, No. 29, 2014.
130 IAEA, “Peer Review and Advisory Services Calendar.”
131 “IAEA Completes Nuclear Security Advisory Mission in Turkey,” IAEA Press Releases, November 12, 2021.
132 “Statement of the United Arab Emirates,” IAEA General Conference, September 2021, p. 3.
133 原子力規制委員会「国際原子力機関(IAEA)の国際核物質防護諮問サービス(IPPAS)ミッション報告書及び同フォローアップミッション報告書の公開について」2019 年12 月24 日。
134 IAEA, Nuclear Security Report 2021, p. 23.
135 Ibid., p. 9.
136 Ibid.
137 核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)によると、核鑑識の事例は少なく、世界的に標準的な手法は未確立であるため、ISCN は開発した手法について、米国エネルギー省や欧州委員会(EC)/共同研究センター(JRC)との共同研究により技術の検証を行う、また国際演習に参加し技術力の確認を行うなどしてきている。このように、国際協力のもとで技術開発を行うことが重要となっている。ISCN「核鑑識技術開発の現状と今後の計画」2018 年10 月4 日、https://www.jaea.go.jp/04/iscn/activity/2018-10-04/2018-10-04-05.pdf。
138 ITWG は核鑑識の分野における最良慣行の特定、発展及び共有に資する幅広い演習を行ってきている。60 近い国々から300 名以上の専門家がITWG の活動に参加した実績がある。“JRC Co-Chairing the ITWG Annual Meeting,” The European Commission’s Science and Knowledge Service, June 22, 2021, https://ec.europa.eu/jrc/en/science-update/jrc-co-chairing-itwg-annual-meeting.
139 Ibid.
140 Ibid.
141 Jon M. Schwantes, “Trends in Nuclear Forensic Analyses: 20 Years of Collaborative Materials Exercises,” ITWG Nuclear Forensics Update, No. 10, March 2019, p. 6.
142 ITWG, “ITWG Nuclear Forensics Update,” No. 19, June 2021, p. 7.
143 “JRC Co-Chairing the ITWG Annual Meeting.”
144 “Statement to the Sixty-Fifth Regular Session of the IAEA General Conference,” September 20, 2021, https://www.iaea.org/newscenter/statements/statement-to-the-sixty-fifth-regular-session-of-the-iaea-general-conference.
145 “Statement of Republic of Korea,” IAEA General Conference, September 2021, p. 2.
146 “Statement of Saudi Arabia,” IAEA General Conference, September 2021.
147 “Statement of Japan,” IAEA General Conference, September 2021, pp. 6-7.
148 Shant Krikorian and Vasiliki Tafili, “IAEA and Japan Atomic Energy Agency to Work together in Decommissioning, Radioactive Waste Management, and Nuclear Security,” November 29, 2021, https://www.iaea.org/newscenter/news/iaea-and-japan-atomic-energy-agency-to-work-together-in-decommissioning-radioactive-waste-management-and-nuclear-security. この合意のもと、1)核物質及び関連施設のセキュリティの向上、2)核及びその他の放射性物質の輸送における核セキュリティ、3)規制外の放射性物質への組織的な対応のためのインフラ、4)人材育成のための教育・訓練プログラム、5)核セキュリティ検知アーキテクチャを含む分野での協力が予定されている。
149 NSSC ネットワークに関する基本情報は以下を参照。IAEA, “Understanding Nuclear Security Support Centres (NSSCs) in FIVE QUESTIONS,” https://www.iaea.org/sites/default/files/20/08/nssc-five-questions.pdf.
150 “Chair’s Welcome,” IAEA NSSC Network Newsletter, Issue 8, October 2021, https://us6.campaign-archive.com/?u=958dfcbed8f359a6db0bb9c87&id=91ab6ed3b0.
151 IAEA, Nuclear Security Report 2021, p. 29.
152 “Chair’s Welcome,” IAEA NSSC Network Newsletter, Issue 8, October 2021, https://www.iaea.org/sites/default/files/21/10/chair_welcome_issue_8.pdf.
153 IAEA, Nuclear Security Report 2021, pp. 29-30.
154 Ibid.
155 Ibid., p. 28.
156 “Annual Meeting of the International Nuclear Security Education Network (INSEN), Chair’s Report,” July 2019; “Working Group Meeting of the International Nuclear Security Education Network (INSEN), Chairman’s Report,” February 2015.
157 IAEA, Nuclear Security Report 2021, p. 29.
158 Ibid; “Joint ICTP-IAEA 2021 International School on Nuclear Security,” The Abdus Salam International Centre for Theoretical Physics, http://indico.ictp.it/event/9546/.
159 IAEA, Nuclear Security Plan 2018-2021, GC (61)/24, September 14, 2017.
160 IAEA, Nuclear Security Plan 2022-2025: Report by the Director General, GC(65)/24, September 15, 2021, p. 4.
161 Ibid., p. 5.
162 Ibid.
163 “Support for the International Atomic Energy Agency,” NTI Nuclear Security Index, https://www.ntiindex.org/story/support-for-the-international-atomic-energy-agency/.
164 IAEA, Nuclear Security Report 2021, p. 1.
165 IAEA, IAEA Annual Report 2019, GC (64)/3, p. 82.
166 “Joint Statement on Promoting Full and Universal Implementation of UNSCR 1540 (2004),” 2016 Washington Nuclear Security Summit, April 5, 2016.
167 “Statement of Principles Nuclear Security Contact Group.”
168 “Members,” Nuclear Security Contact Group, http://www.nscontactgroup.org/members.php.
169 NSCG のホームページ(http://www.nscontactgroup.org/)を参照。“INFCIRC 909: A Global Tool for Transport Security”; “INFCIRC 908: A Global Tool for Insider Threat Mitigation”; “INFCIRC 910: A Global Tool for Radioactive Source Security.”
170 “Advancing INFCIRC/908: Building International Partnerships to Mitigate Insider Threats,” Proceedings of the INMM-ESARDA Joint Annual Meeting August 23-26 and August 30-September 1, 2021.
171 “Terms of Reference,” Advancing Insider Threat Mitigation (INFCIRC/908) International Group, https://insiderthreatmitigation.org/assets/docs/010_IWG_Terms_of_Reference_v-07.pdf.
172 “Know Your Insiders, Newsletter of the Advancing INFCIRC/908 Mitigating Insider Threats,” International Working Group, March 2021.
173 “G7 Nuclear Safety and Security Group: Statement 9 December 2021,” GOV.UK, December 13, 2021, https://www.gov.uk/government/publications/g7-nuclear-safety-and-security-group-statement-2021/g7-nuclear-safetyand-security-group-statement-9-december-2021.
174 Ibid.
175 “G7 Non-Proliferation Directors Group: Statement,” Policy Paper, April 19, 2021, https://www.gov.uk/government/publications/g7-non-proliferation-directors-group-statement-19-april-2021.
176 “A Message from the United Kingdom-2021 GP President,” https://www.gpwmd.com/a-message-from-theunited-
kingdom-2021-gp-president?a5241a13-2015-4961-83d6-9d645d11a9a8.
177 “Global Initiative to Combat Nuclear Terrorism Partner Nations List.”
178 “Global Initiative to Combat Nuclear Terrorism (GICNT),” Nuclear Threat Initiative, May 28, 2020.
179 外務省「日米核セキュリティ作業グループ(NSWG)」2018 年8 月31 日。
180 “U.S., Canada Sign MOU on Safeguards and Nonproliferation,” American Nuclear Society, October 19, 2020, https://www.ans.org/news/article-2296/us-canada-sign-mou-on-safeguards-and-nonproliferation/.
181 “United States, Canada Complete Nuclear Material Shipping Campaign,” January 12, 2021, https://www.energy.gov/nnsa/articles/united-states-canada-complete-nuclear-material-shipping-campaign.
182 Ministry of Foreign Affairs of Republic of Korea, “Regional Workshop on Asia’s Consideration of Nuclear Security,” Press Releases, March 25, 2021.
183 Ministry of Foreign Affairs Republic of Korea, “4th Meeting of ROK-U.S. Nuclear Security Working Group Takes Place,” Press Releases, September 23, 2020, http://www.mofa.go.kr/eng/brd/m_5676/view.do?seq=321231.

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