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国際平和拠点ひろしま

Hiroshima Report 2024(3) 核セキュリティの最高水準の維持・向上に向けた取組

A) 民生利用におけるHEU及び分離プルトニウム在庫量の最小限化

核兵器を含む核爆発装置に利用可能なHEUの使用の最小限化及び分離プルトニウムの在庫量を最小限とする取組は、最高水準の核セキュリティを目指すうえで重要な要素の1つに数えられる119。民生用HEUの最小限化については、2004年のGTRIに始まり、2010年以降の一連の核セキュリティサミット・プロセスを通じて取組が行われた結果、今日ではラテンアメリカ、カリブ、中央ヨーロッパ及び東南アジアがHEU(未照射)の存在しない地域となった120。

 

高濃縮ウラン

➢ 中国121:「超小型原子炉用燃料について、HEUから低濃縮ウラン(LEU)への転換に関する協力に引き続き参加し、各国がHEUの使用を最小限に抑えるよう支援する」。
➢ カザフスタン122: 5月に国立原子力センターのIVG.1M炉のLEU燃料による電力起動が無事達成された。これにより、国内にある3つのうち2つの原子炉がLEU燃料に転換された。残るパルス型黒鉛炉についてはLEU燃料への転換に向けて解析作業などを実施中である。
➢ 日本123:「昨年9月に、HEUを保有する最後の研究用原子炉である近畿大学原子炉(UTR-KINKI)からHEU燃料を取り出し、LEUを使用する原子炉に転換することを決定し、この決定の実施準備を開始した」。
➢ ノルウェー124:エネルギー技術研究所は、米国のNNSA及びサバンナリバー国立研究所とともに、ノルウェーのHEUをLEUに希釈することによってすべて廃絶するためのプロジェクトで協働している。ノルウェーに残存するHEUの多くにはトリウムが混淆しているため、他のHEU処分技術よりも課題が多い。2024年に希釈が開始される予定であり、今後数年でプロジェクトが完了すればノルウェーはHEUのない国となる。

米国は、核物質のセキュリティを向上させ、核テロ行為を防止するために、以下を含む政策をとるとした125。

兵器利用可能な核物質の生産と保有を、国家安全保障上の重要な利益を支えるために必要な量のみとし、最小限にする。
新たな民生用原子炉やその他の民生目的での兵器利用可能な核物質の使用は、その使用が米国の重要な国益を支援する場合を除き控える。
兵器利用可能な核物質の生産と備蓄を避け、実行性のある技術(viable technologies)が既存の民生用核物質の代替を可能とするアプローチに民生用原子力の研究開発を集中させる。
国家安全保障上または民生利用の必要性を超える核物質を安全かつ確実な方法で処分する。

EUは、すべての国に対し、技術的・経済的に実行可能な場合には、民生用HEUの在庫と使用を最小限に抑え、この点に関する進捗状況を含め、経験を共有するよう促した126。

また、米国のNNSAとカザフスタンのエネルギー省は 、9月のIAEA総会の機会を利用し、カザフスタンにおけるHEU在庫の最小限化に関する共同声明に署名した127。共同声明では、IVG.1M研究炉の使用済HEU燃料の安全な貯蔵と最終的な希釈に関する協力を継続すること、インパルス黒鉛炉(IGR)の照射済HEU燃料の希釈及び固定化を2027年に完了させ、IGRのLEU燃料への転換に関する代替案を特定するためのロードマップを作成することなどに合意がなされている。

他方、HEU最小限化の国際的な取組を主導してきた米国では、アイダホ国立研究所が商業パートナーとともに溶融塩化物高速炉 (MCFR) プロジェクトの一環として溶融塩化物炉実験(MCRE)の実施を計画しているが、環境アセスメント案によるとMCREは600kg以上の兵器級のHEUを燃料として使用するとされている。MCFRは濃度の高いLEUを使用すると予測されているが、実験ではコスト削減策としてHEUが使用される模様である128。こうした動きに対し、HEU最小限化の取組に逆行するものであるとの批判がなされている129。

上述の各国によるHEU最小限化の取組に加えて、ドイツと英国は2023年も、プルトニウム管理報告(INFCIRC/549)の中で民生用HEUの在庫量についてそれぞれ自発的に報告を行った130。この2カ国以外に同様の報告を行った本調査対象国はなかった。

なお、民生用HEU在庫量に関する報告については、2017年に発出された「民生利用におけるHEUの最小限化と削減にかかる共同声明(INFCIRC/912)」において、本共同声明に添付された自発的報告用の定型様式を用いて行うことが奨励されている131。定型様式を使用することによって情報開示が望まれる情報の共有が期待できるほか、定期的に提出がなされれば、当該国のHEU最小限化の取組を国際社会が評価することも可能となる。この共同声明には21カ国が参加しており、HEUを保有する6つの本調査対象国が含まれる。しかしながら、本定型様式を用いてこれまでに報告を行った国は豪州とノルウェーのみであり、2023年に新たに報告を行った国はなかった132。

4月に開催されたG7不拡散局長級会合では、G7は「全世界においてHEU在庫を最小限に抑えることにコミットし、民生用HEUの在庫を経済的及び技術的に実現可能な場合にはさらに削減または廃棄することを奨励」133する内容の声明が発出された。

 

分離プルトニウム

HEUについてはIAEA総会で採択された核セキュリティ決議において、技術的及び経済的に実施可能な場合にはその使用を最小限にすることの重要性が認識されている一方、分離プルトニウムの最小限化には言及がなされていない。なお、2014年のハーグ・核セキュリティサミットのコミュニケでは、「国内需要と一致する形で、在庫量を最小限に維持する」ことが奨励された134。

2023年の本調査対象国による取組状況については、日本では、2月に電気事業連合会が発表した最新のプルトニウム利用計画について、原子力委員会が新たに回収されるプルトニウムはなく、約0.7トンのプルトニウムが消費されることから2023年度のプルトニウム保有量は約44.5トンになる見込みであるとした。そのうえで、2023年度のプルサーマル炉の運転計画や六ケ所再処理施設などの操業の見通し、海外保有のプルトニウムの混合酸化物(MOX)燃料加工に向けた取組状況などを踏まえ、本利用計画は現時点において妥当であるとの考えを示した135。

日本では、プルトニウム保有量を減少させること、及びその保有量が2018年時点での水準を超えないようにすることを2018年7月に原子力委員会が決定して以降、保有量は毎年徐々に減少している136。NTIによれば、日本のように分離プルトニウムの在庫量に上限を設ける誓約をした国は他にないという137。他方で、日本の在庫量は依然として圧倒的に多く、非核保有国の全保有量のほぼ99%を占めている。

 

B) 不法移転の防止

核検知、核鑑識、法執行及び税関職員の執行力強化のための新技術の開発、IAEA移転事案データベース(ITDB)への参加は、核物質の不法移転防止のための取組として重要である。ITDBは、核物質及びその他の放射性物質の不法な所有、売買・取引、放射性物質の不法散布、行方不明の放射性物質の発見などに関係した事例を情報共有するためのデータベースであり、核セキュリティ上の脅威を現実のものとして広く受け止めるのに役立つ統計的資料として注目されている。

本稿執筆時点で最新の「2023年版ITDBファクトシート」によれば、ミャンマーがITDBに新たに参加し、2022年末時点での参加国数は143カ国となった(調査対象国の参加状況については、表3-6を参照)138。1993年のITDB開始から2022年12月末までに4,075件の事案がITDBに報告された。2022年には31カ国から146件の事案が報告され、前年から26件増加した。IAEAは、「これらは、不法取引や悪意のある使用を含む核物質やその他の放射性物質に関わる不正な活動や事象が平均的に続いていることを示している」139と指摘している。

ITDBでは事案のタイプを、①不法移転または悪意のある使用に関連する、あるいは関連する可能性がある事案、②意図しない事案、③不法移転または悪意のある使用に関係しない、あるいは関係しない可能性が高い事案の3つに分けている。

上述の4,075件のうち、①に該当するのは344件、②は1,036件、③は2,695件であった。そのうち全体の14%は核物質140、59%はその他の放射性物質、27%は放射性汚染または他の物質が絡んだ事案であったという。1993年以降のすべての盗取事案の約52%が許可された輸送中に発生した事案であったとされる。過去10年間ではその割合は約62%となっており、IAEAは輸送中の放射性物質の防護対策強化の重要性が浮き彫りとなったとしている。

また、盗取または紛失(あるいは不確かな状況下での紛失)として報告された物質の大部分は、工業用、物質分析用または医療用で使用される放射線源に関わるものであった141。

盗難事案の約88%は違法取引や悪意のある使用を意図したものであったかが不明である一方、報告された盗難事案の3.5%が違法取引に関連したものであることが確認された。なお、ITDBでは参加国の機微情報の保護の観点から報告された事案や違法な取引の詳細を公開していない。

こうした核物質やその他の放射性物質の不法移転に関連して、各国は国の核セキュリティ検知アーキテクチャの構築に取り組んでおり、IAEAはその設計及び実施のためのロードマップの作成を通じて支援を行っている。本稿執筆時点で最新のIAEAの『核セキュリティレビュー』によれば、2022年にはアフリカ地域で新たに5カ国がロードマップを起案し、ロードマップを使用する国が総計36カ国になった142。

また、各国の大規模公共イベントにおける核セキュリティの確保も重要となっており、2023年5月にはUAEのドバイで大規模公共イベントのための核セキュリティシステム及び措置の開発と実施に関する国内向けのワークショップが開催された143。

 

C) 国際評価ミッションの受け入れ

核物質及びその他の放射性物質の防護、関連施設及び活動に関する国際文書やIAEAのガイダンスの実施について国際的な専門家が助言を行うIAEAの国際評価ミッションには、IPPAS、国際核セキュリティ諮問サービス(INSServ)、統合核セキュリティ支援計画(INSSP)策定のためのミッションなどがある144。また、2022年3月には、新たに放射線安全及び核セキュリティのための規制インフラミッション(RISS)が開始された145。

とりわけ注目度の高いIPPASミッションについては、2023年はナイジェリア、クウェート、ザンビアに加えて146、本調査対象国であるオランダ及びスイスの計5カ国が受け入れた。9月に実施されたザンビアのミッションをもって、1996年のIPPASミッション開始以降の実施件数は計100件となった。オランダとスイス以外の3カ国については本ミッションの受け入れは初めてであり、「グローバルサウス」の国々にもミッション受け入れの広がりが見られた。

オランダについては、2012年の前回ミッションに続き5度目の受け入れとなった。コンピュータ・セキュリティを含む国の核セキュリティ体制全般に加え、CPPNM及びA/CPPNMの履行についてもレビューを受けた147。

スイスは2018年に受領したミッションのフォローアップとして今次ミッションを受け入れ、IPPASの5つのモジュールすべてについて初めてレビューを受けた148。ミッションチームからは「放射性物質のセキュリティに関するモジュールが追加されたことは、スイスの物理的防護に対する総合的なアプローチを強調したものである」とのコメントがなされた149。

今後のIPPASミッション受け入れについては、日本が2022年12月に2度目となるIPPASミッションの受け入れを決定し、2023年4月にミッション受け入れに関する準備状況を公表した。それによると2024年半ば頃(6月、7月)の受け入れを目途に準備を進めているとのことである150。

積極的なIPPASミッション及びフォローアップミッション受け入れの動きが本調査対象国の西側諸国で顕著な一方で、一度も受け入れていない国も一定数あり二分化している状況が見受けられる(表3-7を参照)。

 

また、各国の核セキュリティの実施状況に関する透明性や説明責任の観点から、機微情報を保護したうえでミッションの報告書の一部を公表する動きがある。オランダ、スウェーデン、豪州、カナダなどに続いて、2019年12月に日本もIPPAS及びフォローアップミッションの報告書の一部を公開した(表3-6を参照)151。他方で、2020年以降、同様の動きは見られていない。

INSServは、規制を外れた放射性物質に対する各国の核セキュリティ体制のレビューを目的として2006年に開始されたミッションであり、2023年はベトナムとジョージアが受け入れた152。これまでに計85回のミッションが実施されている。

 

D) 技術開発―核鑑識

核鑑識は、核物質やその他の放射性物質が関係した不正取引や悪意のある行為の実行者を特定し、刑事訴追を可能としうる重要な技術である。その技術開発と国内体制及び国際的なネットワーク体制の構築のための取組や支援が行われてきている。放射線犯罪現場の管理及び核鑑識の分野における能力構築は各国にとって引き続き重要となっている。2023年9月のIAEA総会で採択された核セキュリティ決議では、「支障がなければ、国の核鑑識ライブラリ153の構築を検討する(パラ55)」ことが未検討の国々に対して奨励された154。7月には、IAEAの「核鑑識能力の確立:分析技法の適用」と題する技術文書(Technical Document)が発行された155。

核鑑識に関し、日本の文部科学省はタイの原子力庁とともに、1月にバンコクで核セキュリティ及び保障措置に関するワークショップを共同で開催し、その特別イベントとして核鑑識に関する机上演習を実施した。12カ国(豪州、中国、日本、カザフスタン及び韓国の本調査対象5カ国を含む)から38名が参加した156。米国は3月に核鑑識の方法論に関するIAEAの国際訓練コースを開催した157。

7月に開催された第11回NPT運用検討会議第1回準備委員会には、豪州が19カ国(豪州、カナダ、ドイツ、フィンランド、フランス、日本、韓国、メキシコ、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、スイス、英国及び米国の14の本調査対象国を含む)を代表して「核セキュリティのための核鑑識技術」と題する作業文書を提出した158。作業文書は、各国に対し、以下の点を奨励している。

➢ 核鑑識能力を開発・強化し、核鑑識能力の強化や各国への関連訓練支援の提供などの分野において、適宜、IAEA及び核鑑識に関する国際技術ワーキンググループ(ITWG)の支援を活用すること
➢ 核鑑識能力を効果的に活用するために、既存の国家的対応枠組みを評価し、適応させること
➢ 研修の効果を高め、研修の提供が域内各国のニーズに合致することを確保する観点から、核鑑識に関連する将来の地域研修活動の重点分野を特定するために域内で協力すること。

多国間協力の取組については、1995年に設立されたITWGが活発に取組を行っており、約50カ国がこれまでにITWGの年次会合に参加している159。

2023年6月には、ジョージアのトビリシ(Tbilisi)でITWGの第26回年次会合が開催され、約80名が参加した160。本調査対象国では、豪州、カナダ、ドイツ、カザフスタン、南アフリカ、英国、米国などが参加した。会合では、IAEA、国際刑事警察機構(INTERPOL)及び核テロリズムに対抗するためのグローバル・イニシアティブ(GICNT)161が最新の活動などについて報告したほか、ITWGの主要な活動の1つである協同物質比較演習(CMX)162の第7次演習の主な成果について報告がなされた163。ITWGのしたには複数のタスクグループが形成され活発に活動がなされており、たとえば「ライブラリタスクグループ」は、国家核鑑識ライブラリ構築のためのウェブベースの国際的な机上演習である「ギャラクシー・サーペント演習」の最新の実施状況についてレビューを行うなどした。最新である第5次演習(GSv5)には約180名から成る30のチームが参加している164。

なお、6月及び9月に発行されたITWGのニュースレターでは、米国との協力のもとでの南アフリカ原子力公社(Necsa)の核鑑識能力確立の取組が紹介されている165。南アフリカは過去10年間の主な活動として、先進的な核鑑識研究所を設立し、ウラン鉱石精鉱及び放射性物質の法科学的指紋採取のための分析法を開発し、国の核鑑識ラボの原型(prototype)を設置したという。

 

E) 人材育成・能力構築及び支援活動

核セキュリティ体制を確立し、実施し、維持するための組織や人員の能力構築は、国家の重要な責務となっている166。IAEAは、核セキュリティの取組、それを維持するための各国の能力を強化するための協調的な教育及び訓練プログラムの提供において重要な役割を果たしている167。

2023年10月3日、核テロに対処するための各国の能力強化を支援するための国際的な施設としては初となるIAEAの「核セキュリティ訓練・実証センター(NSTDC)」がウィーン近郊のサイベルズドルフに開設された。IAEAによれば、このセンターでは「訓練コース参加者が、核物質やその他の放射性物質の物理的防護、核物質や施設に関わる犯罪行為の検知及び対応について学ぶために、2,000平方メートルを超える規模で専門的な技術インフラと設備が提供される」168。

また、原子力施設の物理的防護、情報及びコンピュータ・セキュリティ、核鑑識、大規模公共イベントの開催準備、核物質の輸送など、さまざまな分野における訓練が提供されるとのことである169。IAEA核セキュリティ部のブグロワ(Elena Buglova)部長は、「この新しいセンターの創設により、IAEAは専門の最新設備、コンピュータベースのシミュレーションツール、先進的な訓練手法を用いて、既存のギャップに対処するための独自の訓練活動を提供できる」と述べた170。

NSTDCの建設と開発には、ベルギー、カナダ、デンマーク、韓国、サウジアラビア、スイス、英国及び米国が計1,400万ユーロを寄付した171。

教育分野では、2023年8月にIAEAの核セキュリティ国際スクールがウィーンで開催された。これには、2020年に開始されたIAEAの「マリー・スクウォドフスカ・キュリーフェローシップ・プログラム(Marie Sklodowska-Curie Fellowship Programme)」に参加する46カ国から56名の女性フェローも参加した172。

 

訓練・支援における国際ネットワーク

人材育成や能力構築のための訓練に関するIAEAの活動は、各国の核セキュリティ訓練・支援センター(NSSC)、NSSC国際ネットワーク(以下、NSSCネットワーク)の活動を含め、各国との緊密な協力のもと、実施されている。

2012年にIAEAによって設置されたNSSCネットワークは、各国NSSCの間での連携やネットワーク構築の基軸として重要な役割を担っている173。68カ国及び10のオブザーバー機関から75の機関がNSSCネットワークに参加している。本調査対象国のNSSCネットワーク参加国は、ブラジル、カナダ、中国、フランス、日本、カザフスタン、韓国、パキスタン、ロシア、米国などである174。これまでに、アフリカ地域グループ、アジアのアラブ諸国グループ、アジア地域ネットワーク、ハンガリー・リトアニア・ウクライナ・コンソーシアム、ラテンアメリカNSSC及び東南アジア諸国地域グループの6つの地域あるいは小地域(sub-region)のNSSCネットワークのグループが設立されている175。

2023年2月には、タイでNSSCネットワークの年次会合が開催され、42カ国及び2つのオブザーバー機関から70名以上が参加した。この会合の目的は、「NSSCを設立している、または設立を計画しているIAEA加盟国が一堂に会し、NSSCの開発・運営に関連する主要な技術テーマに関する情報やリソースの共有を促進するとともに、NSSCネットワーク作業部会間で個別に、または協力して、次年度の活動を計画し、優先事項を議論すること」であった176。

本調査対象国による2023年の人材育成の取組については、中国が10月30日から11月3日にかけて、アジア太平洋地域におけるNSSCsのための人材開発に関するIAEAの地域ワークショップ・技術交換会合を国家核セキュリティ技術センター(SNSTC)で開催した177。また、日本については、JAEA・ISCNが10月に核物質及び原子力施設の物理的防護に関する地域訓練コースを開催した178。また、人材育成に関して米国は、3月のIAEA理事会において「核セキュリティや原子力部門全体を含め、どのような分野や職業も女性にとって手の届かないものであってはならない」、「多様なチームや人材は、国連の持続可能な開発目標の目標5(ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る)を達成するうえで重要であるだけでなく、目の前にある複雑な核セキュリティの課題に取り組むために必要な人材や資源を確保するためにも不可欠である」(括弧内引用者)と述べた179。

 

教育分野における国際ネットワーク

教育の分野においても、IAEAと教育及び研究機関などのパートナーシップを通じて持続可能な核セキュリティ教育を促進するため、国際核セキュリティ教育ネットワーク(INSEN)が2010年に設立されている180。
 INSENには、2023年8月時点において、計72カ国から204のメンバーと13のオブザーバーが参加している181。最新のIAEAの『核セキュリティレビュー』によると、2022年に9カ国から11機関が、また3機関がオブザーバーとしてINSENに新たに加わった182。本調査対象国では、ブラジル、カナダ、フランス、ドイツ、インド、日本、カザフスタン、オランダ、パキスタン、ロシア、南アフリカ、スウェーデン、トルコ、英国、米国などの機関が参加している。

近年、新たに核セキュリティの学位プログラムを開講するINSEN参加機関の数が増加したほか、既存の学位プログラムの中で核セキュリティに関するコースやモジュールを教える機関の数も増加したという183。2023年の活動としては、2月にリーダーシップ会議がウィーンで開催され、今年度の行動計画の進捗状況の評価、核セキュリティワーキンググループの活動についての議論、年次総会の準備が行われた184。

 

F) IAEA核セキュリティ計画及び核セキュリティ基金

IAEA理事会は、2002年3月に初となる核テロリズムに対する防護のための包括的な行動計画を承認し、その実施のための核セキュリティ基金(NSF)を設立した。以来、IAEA加盟国は自発的に本基金に拠出を行うことが要請されている。2005年以降は、さらなる「核セキュリティ計画」が4年毎に策定され、2023年は2021年に採択された第6次(2022~2025年を対象)の計画に基づいて活動が進められた185。

NSFはIAEA加盟国などによる自発的な拠出によって成り立っている。2023年の「核セキュリティ決議」のパラ12では、すべてのIAEA加盟国に対して、「二国間、地域、国際レベルでの様々な取り決めを通じて、核セキュリティ強化に向けたIAEAの取組に対し、適宜、必要な政治的、技術的、財政的な支援の提供を検討すること」を要請した186。

2023年のIAEAの『核セキュリティレビュー』によれば、2022年にNSFに拠出あるいは拠出表明を行った国は、本調査対象国のうち12カ国(カナダ、中国、フィンランド、フランス、ドイツ、日本、オランダ、韓国、ロシア、スイス、英国及び米国)を含む15カ国であった187。

2022年のNSFの歳入額は2,900万ユーロであり、前年より約500万ユーロ少なく、近年で最も低い額となった188。2023年10月に開設されたNSTDCは1,800万ユーロを超える費用で建設されており、15のドナーからの拠出金によって賄われた189。

なお、IAEAは加盟国の優先事項として特定された多くの活動を実施するために依然として多額の資金が必要だとしている190。その理由として、NSFへの拠出金の大部分にはドナーから使用に際して条件が付されており、それら以外の活動に充てることができないためだとしている。

NSFに関し、G7は2023年4月に発出した声明の中で、「IAEAがこの分野での活動を継続できるよう、特に新規参入国が最高水準の原子力安全、核セキュリティ及び核不拡散を守りながら原子力技術にアクセスできるよう支援するため、可能であれば財政的及び/または技術的な貢献を行うよう、すべてのIAEA加盟国に奨励し」た191。

 

G) 国際的な取組への参加

核セキュリティ水準向上のための国際的な取組は今日重層的な構造を成している。その主だった取組には、大量破壊兵器の不拡散に関する安保理決議1540号(2004年)の履行支援、IAEA主催によるICONSや2016年に終了した核セキュリティサミット・プロセスといった多国間フォーラムが挙げられる。さらにこれらに加えて、多国間協力の枠組みとしてGICNTやG7といったイニシアティブによる取組もある。

 

国連安全保障理事会決議1540号

国連安保理決議1540号は、非国家主体への核、化学及び生物兵器並びにそれらの運搬手段の拡散を防止する国内管理制度を確立するために各国が有効な措置を講じること、また、かかる目的のために物理的防護の適切かつ有効な措置を開発及び維持すべきであることなどを決定した文書である192。各国は、本決議で求められた義務事項に関する報告を国連に提出することが求められている。こうした報告書の提出は、各国の核セキュリティ措置に関する透明性を高め、措置の実施に関する国際的な保証に資する。本調査対象国の本報告提出状況は表3-6に示すとおりである。

なお2023年には、本調査対象国のうちインド及びトルコの2カ国が国連に最新の情報を提出した。インドについては、2010年の核セキュリティサミットでの首相のコミットメントに基づいて設立された、原子力安全及び核セキュリティに関する教育促進のための中心的拠点(COE)である原子力エネルギーパートナーシップグローバルセンターの近年の活動を報告した193。トルコは、2021年にIPPASミッションを受け入れた実績や2022年3月に施行された原子力規制法(Nuclear Regulation Law)などに関する更新情報を報告した194。

 

IAEA核セキュリティに関する国際会議(ICONS)195

2024年5月に「ICONS2024:未来の創造」と題する第4回会議の開催が予定されており、開催に向けた準備の一環として、2023年3月に第1回プログラム委員会がウィーンで開催された196。11月のIAEA理事会において、IAEA事務局長は「すべての加盟国が可能な限り高い(政治)レベルで参加すること」(括弧内引用者)を求めた197。ICONS2024に関し、豪州は「この会議は、新たな脅威に直面する中で核セキュリティを確保するための情報を共有し、ベストプラクティスを議論する機会を提供する。ICONS2024への全加盟国の積極的な関与と、核セキュリティ機関の将来の核セキュリティ活動に情報を提供する野心的な閣僚宣言を期待している」と述べた198。また、米国は、「現在の核セキュリティの状況を総合的に評価し、よりよい未来を築くために協力する重要な機会である。我々は、加盟国に対し、閣僚レベルの参加者を送り、具体的な成果物や行動計画を持参するよう引き続き要請する」としている199。

4月に発表されたG7のNPDG声明は、「我々は、2024年IAEA核セキュリティ国際会議(ICONS2024)の成功に貢献することに引き続きコミットする: 未来を形作る。この会議は、世界的に核セキュリティに対する認識を高め、強化するための重要な機会となる」と述べている200。また、G7グローバル・パートナーシップ(G7GP、旧称G8グローバル・パートナーシップ)のもとに設置されている原子力安全セキュリティ・グループ(NSSG)は12月に2023年の活動報告書を公表したが、そのなかで、ICONSについて、G7各国のICONSでの優先事項が共有され、A/CPPNM及び核テロ防止条約の普遍化、輸送セキュリティ、新たな技術(new technologies)、サイバーセキュリティ、ウクライナ、小型モジュール炉(SMR)のような新型原子炉の推進に向けた協力などが議論されたとのことである。また、NSSGは、「建設される原子力施設の数の増加、平和利用のための原子力科学技術の発展と拡大、技術の進化に伴い、現代の課題に対処するための核セキュリティの枠組みの強化に一層焦点を当てる必要がある」としている201。

 

核セキュリティサミット・プロセス202

核セキュリティサミット・プロセスは2016年に終了したが、その後も「グローバルな核セキュリティ強化のための持続的な行動に関する共同声明」に基づいて設立された核セキュリティ・コンタクトグループ(NSCG)などを通じて取組が継続されている。しかしながら、近年の新たな参加国やNSCGの具体的な活動に関する公開情報は見つからなかった。

核セキュリティサミット・プロセスで打ち出された、有志国が特定のテーマに関する共同声明を通じて取組を進める「バスケット・イニシアティブ」203については、米国が主導する「内部脅威緩和(INFCIRC/908)」に関する取組が進んでいる。たとえば、2023年には「内部脅威ニュースレター」が発刊され、2022年に実施された取組を振り返るとともに、今後の取組として2024年3月にベルギーで開催予定の内部脅威に関する国際シンポジウムの計画などが記されている204。ICONSなどで参加が呼びかけられ、2020年にはスイスとスロベニアがINFCIRC/908に参加したが、以降、新たな国による参加は確認できていない。2023年3月のIAEA理事会において、ノルウェーは「これらの共同声明に参加する(endorsing)ことは、加盟国が核セキュリティの取組を改善する自らのコミットメントを実証する具体的な一歩となる」と発言した205。

 

GICNT206

GICNTについては、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻を受け一時的に活動を停止したものと思われ、前述のITWG年次会合への参加以外について情報はない。GICNTは、核セキュリティに関するグローバルな能力強化のための重要な多国間イニシアティブである。多数の途上国を含む89カ国及びIAEA、INTERPOL、国連テロ対策オフィス(UNOCT)など6つの国際機関が参加し、訓練やワークショップといった実践的な活動や実用的な指針の作成など、活発な取組を行ってきた。本調査対象国についても、イラン、南アフリカ、北朝鮮の3カ国を除くすべて国がGICNTに参加している(表3-7参照)。

 

G7

G7による核セキュリティに関連する活動には、大量破壊兵器及び物質の拡散に対するG7GP207、NPDG、NSSG、GP作業部会のもとに設置されたサブ・ワーキンググループである核・放射線セキュリティ作業部会(NRSWG)がある。2023年は、日本がG7の議長国を務めた。以下は、2023年のそれぞれの活動の概要をまとめたものである。

NPDGは4月に開催した会合で声明を発出し、核テロの脅威は依然としてG7-NPDGにとって重大かつ恒常的な懸念事項であるとし、喫緊の課題についての立場を表明した208。具体的な内容については本稿の各主要項目において記述したが、それら以外の主な点として、たとえば次世代の平和目的の原子力技術に関し、核リスクを低減することができるよう原子炉と施設設計の初期段階における原子力安全、核セキュリティ及び保障措置への配慮を強く奨励した209。

GP作業部会は11月に長崎で開催され、15のメンバー国、EU、その他の国際機関などから約140名が参加し、大量破壊兵器などの拡散防止に向けた議論やそのための具体的な取組に関する意見交換が行われた210。

NSSGについては、前述のとおり12月に2023年の活動報告書を公表し、核セキュリティの関連ではICONSについて記載がなされた211。NRSWGは3月に東京で会合を開催し、21カ国が参加した。そこでは、核セキュリティに関するウクライナの最新情報、A/CPPNMの普遍化、人材育成などについて議論がなされた212。


119 2020年のICONSの閣僚宣言では、「核セキュリティ確保のために特別の注意を要する高濃縮ウラン及び分離プルトニウムを何らかの形で使用するために保有している全ての加盟国に対し、これらの物質が当該国によって及びその国内において適切に保全され、及び計量されるよう確保することを求めるとともに、加盟国に対し、技術的及び経済的に実行可能な場合には、高濃縮ウランの民生用の在庫量を、任意に、さらに最小限にすることを奨励する(パラ9)」とされている。外務省「2020年核セキュリティ国際会議閣僚宣言(仮訳)」2020年2月10日。
120 “Secretary Moniz Remarks on Nuclear Security at IAEA Conference,” U.S. Department of Energy, December 5, 2016, https://www.energy.gov/articles/secretary-moniz-remarks-nuclear-security-iaea-conference.
121 Ray Acheson and Laura Varella, “Report on Cluster Three,” NPT News in Review, Reaching Critical Will, Vol. 18, No. 5, August 9, 2023, p. 12.
122 “Statement by Kazakhstan,” at the 67th IAEA General Conference, September 25, 2023.
123 “Statement by Japan,” at the 67th IAEA General Conference, September 25, 2023.
124 “NNSA Administrator Visits Norway, A Key Ally, To Discuss Mutual Goals and Review Progress on an Innovative Nonproliferation Effort,” NNSA, April 6, 2023, https://www.energy.gov/nnsa/articles/nnsa-administrator-visits-norway-key-ally-discuss-mutual-goals-and-review-progress.
125 “FACT SHEET: President Biden Signs National Security Memorandum to Counter Weapons of Mass Destruction Terrorism and Advance Nuclear and Radioactive Material Security,” The White House, March 2, 2023.

126 Ray Acheson and Laura Varella, “Report on Cluster Three,” NPT News in Review, Reaching Critical Will, Vol. 18, No. 5, August 9, 2023, p. 12.
127 “Joint Statement between the National Nuclear Security Administration of the U.S. Department of Energy and the Ministry of Energy of the Republic of Kazakhstan,” National Nuclear Center, September 26, 2023, https://www.nnc.kz/en/news/show/464.
128 “US Reactor Experiment to Use HEU,” IPFM Blog, May 21, 2023, https://fissilematerials.org/blog/2023/05/us_reactor_experiment_to_.html; “US Government Urged to Stop The HEU Test Reactor Project,” IPFM Blog, May 30, 2023, https://fissilematerials.org/blog/2023/05/us_government_urged_to_st.html.
129 “Proposed MCRE Reactor Violates U.S. Nonproliferation Policy of HEU Minimization,” Nonproliferation Policy Education Center, May 30, 2023, https://npolicy.org/proposed-mcre-reactor-violates-u-s-nonproliferation-policy-of-heu-minimization/; Alan J. Kuperman, “U.S. Plan to Put Weapons-Grade Uranium in a Civilian Reactor Is Dangerous and Unnecessary,” Scientific American, October 20, 2023, https://www.scientificamerican.com/article/u-s-plan-to-put-weapons-grade-uranium-in-a-civilian-reactor-is-dangerous-and-unnecessary/などを参照。
130 INFCIRC/549/Add.2-26, August 31, 2023 (ドイツ); INFCIRC/549/Add.8/26, November 16, 2023(英国)。
131 “Joint Statement on Minimising and Eliminating the Use of Highly Enriched Uranium in Civilian Applications,” INFCIRC/912, February 16, 2020. オランダ、ノルウェー及び韓国が2020年NPT運用検討会議に向けて提出した作業文書は、各国がINFCIRC/912に賛同し、この報告メカニズムを実施することを検討するよう促している。NPT/CONF.2020/WP.14, p. 4.

132 INFCIRC/912/Add.4, March 5, 2020 (豪州); INFCIRC/912/Add.3, August 19, 2019 (ノルウェー). なお、フランス、ドイツ及び英国は、国際プルトニウム管理ガイドライン(INFCIRC/549)に基づく民生用プルトニウム在庫量の報告において、自主的に追加する形で、HEU在庫についても報告している。
133 “Statement of the G7 Non-Proliferation Directors Group.”
134 “The Hague Nuclear Security Summit Communiqué,” Ministry of Foreign Affairs of Japan, March 25, 2014, https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000032669.pdf.
135 原子力委員会「電気事業連合等から公表されたプルトニウム利用計画について(見解)」2023年2月28日、http://www.aec.go.jp/jicst/NC/sitemap/pdf/230228_kenkai.pdf。
136 原子力委員会「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方」2018年7月31日、http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2018/siryo27/3-2set.pdf。
137 Nuclear Threat Initiative (NTI), The 2023 NTI Nuclear Security Index, July 2023, p. 36.

138 IAEA, “IAEA Incident and Trafficking Database (ITDB) 2023 Factsheet,” https://www.iaea.org/sites/default/files/22/01/itdb-factsheet.pdf.
139 Ibid.

140 その内訳は、HEUが12件、プルトニウムが3件、プルトニウム-ベリリウム中性子源が5件であった。
141 放射線源を含む機器は、転売やスクラップとしての価値が高いと思われるため、潜在的な窃盗犯にとって魅力的である可能性があるとIAEAは指摘している。
142 IAEA, Nuclear Security Review 2023, August 2023, p. 27.
143 Ibid, p. 19.
144 IAEAが派遣する加盟国とIAEA専門家からなる国際チームが、ミッション受け入れ国が実施している核セキュリティ状況をレビューする。2005年のA/CPPNM及びIAEA核セキュリティシリーズ文書に記載されている国際的なガイドラインやグッドプラクティスに照らして、規制の枠組みから輸送、情報、コンピュータ・セキュリティの取り決めに至るまで、あらゆる側面についてレビューが行われる。
145 IAEA, Nuclear Security Review 2023, p. 9.
146 “IAEA Concludes International Physical Protection Advisory Mission in Nigeria,” IAEA News, July 14, 2023; “IAEA Completes International Physical Protection Advisory Service Mission in Kuwait,” IAEA News, June 8, 2023; “IAEA Concludes International Physical Protection Advisory Service Mission in Zambia,” IAEA News, September 8, 2023.

147 “IAEA Concludes International Physical Protection Advisory Service Mission in the Netherlands,” IAEA News, October 16, 2023.
148 5つのモジュールとは、核セキュリティ体制、原子力施設、輸送、情報・コンピュータ・セキュリティ、放射性物質の核セキュリティ、及び関連施設・活動である。“IAEA Concludes International Physical Protection Advisory Follow-Up Mission in Switzerland,” IAEA News, November 10, 2023, https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/iaea-concludes-international-physical-protection-advisory-follow-up-mission-in-switzerland.
149 Ibid.
150 “Statement by Japan,” at the 67th IAEA General Conference, September 25, 2023; 原子力規制庁「国際原子力機関(IAEA)の国際核物質防護諮問サービス(IPPAS)ミッションの受け入れに係る準備状況」、2023年4月12日、https://www.nra.go.jp/data/000426587.pdf。
151 “Report of the Netherlands,” February 2012, https://www.autoriteitnvs.nl/binaries/anvs/documenten/rapporten/2014/12/24/ippas/international-physical-protection-advisery-service-ippas-v2.pdf; “Report of Sweden,” October 2016, https://www.stralsakerhetsmyndigheten.se/contentassets/27a6dd9e94e54dc189cecfa7c7f2f910/draft-follow-up-mission-report-sweden.pdf; “Report of Australia,” November 2017, https://www.dfat.gov.au/sites/default/files/2017-ippas-follow-up-mission-report.pdf; “Report of Canada,” October 2015, http://www.nuclearsafety.gc.ca/eng/pdfs/IPPAS/Canadas-IPPAS-Mission-Report-2015-eng.pdf; “Report of Japan,” February 2015, https://www.nra.go.jp/data/000295552.pdf.

152 IAEA, Nuclear Security Report 2023, p. 20.
153 国家核鑑識ライブラリとは、規制管理外で発見された核物質などを特定するための国のシステムである。国内で生産、使用、貯蔵される核物質などに関する参考情報と専門知識から構成される。既知の物質に関する情報や、規制管理外の核物質やその他の放射性物質の分析測定から得られたデータとの比較によって、規制管理外の物質を特定するために使用される。IAEA, “Development of a National Nuclear Forensics Library: A System for the Identification of Nuclear or Other Radioactive Material out of Regulatory Control,” IAEA-TDL-009, 2018, p. 1.
154 IAEA, “Nuclear Security Resolution,” September 2023, p. 10. 国家核鑑識ライブラリの構築の要否は各国の専権事項となっており、ISCNによると、その構築を進めている国の数は世界的に見てもかなり少ない。「核鑑識ライブラリー構築はどのくらい進んでいるのか」ISCN、2021年12月、https://www.jaea.go.jp/04/iscn/activity/2021-12-15/2021-12-15-07.pdf。
155 IAEA, “Establishing a Nuclear Forensic Capability: Application of Analytical Techniques,” 2023, https://www.iaea.org/publications/15286/establishing-a-nuclear-forensic-capability-application-of-analytical-techniques.
156 “Report of FNCA 2022 Workshop on Nuclear Security and Safeguards Project January 10-12, 2023, Bangkok, Thailand,” Forum for Nuclear Cooperation in Asia, https://www.fnca.mext.go.jp/english/nss/e_ws_2022.html.
157 IAEA, Nuclear Security Report 2023, p. 18.
158 NPT/CONF.2026/PC.I/WP.7/Rev.1, August 10, 2023.
159 ITWG, “Nuclear Forensics Update,” No. 24, September 2022, p. 2.
160 Michael Curry and Maria Wallenius, “Co-Chairs’ Summary of the ITWG-26 Annual Meeting,” ITWG Nuclear Forensics Update, No. 28, September 2023, p. 1; “MOIA Hosted the 26th Annual Meeting of the Nuclear Forensics International Technical Working Group (ITWG),” U.S. Embassy Tbilisi, June 23, 2023.
161 GICNT内には核鑑識作業部会(NFWG、議長国はカナダ)が設置されている。NFWGにおいても多国間協力を通じた核鑑識能力の強化の観点から、多数のワークショップや机上演習が実施されており、ITWGとも緊密に協力している。
162 CMXは、取組開始当初、参加する分析ラボがわずか6機関であったものの、近年のCMXには20を超える機関が参加している。
163 Michael Curry and Maria Wallenius, “Co-Chairs’ Summary of the ITWG-26 Annual Meeting,” ITWG Nuclear Forensics Update, No. 28, September 2023, p. 1.
164 Ibid, p. 2.
165 Aubrey Newwamondo, Jeaneth Kabini, Banyana Kokwane and Rachel Lindvall, “Establishing A Nuclear Forensics Laboratory at NESCA in South Africa,” ITWG Nuclear Forensics Update, No. 27, June 2023, pp. 4-5.
166 IAEA, “Building Capacity for Nuclear Security Implementing Guide,” IAEA Nuclear Security Series, No. 31-3, 2018, p. 1.
167 IAEA, Nuclear Security Plan 2022-2025, GC(65)/24, September 15, 2021, p. 18.
168 “IAEA Training Centre for Nuclear Security Opens Doors to Build Expertise in Countering Nuclear Terrorism,” IAEA Press Release, October 3, 2023, https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/iaea-training-centre-for-nuclear-security-opens-doors-to-build-expertise-in-countering-nuclear-terrorism; “Nuclear Security Training and Demonstration Centre,” IAEA, https://www.iaea.org/about/organizational-structure/department-of-nuclear-safety-and-security/division-of-nuclear-security/iaea-nuclear-security-training-and-demonstration-centre.
169 “Nuclear Security Training and Demonstration Centre.”

170 “IAEA Training Centre for Nuclear Security Opens Doors to Build Expertise in Countering Nuclear Terrorism,” IAEA Press Release, October 3, 2023.
171 “IAEA Nuclear Security Training and Demonstration Centre Nears Completion,” IAEA, August 15, 2022, https://www.iaea.org/newscenter/news/iaea-nuclear-security-training-and-demonstration-centre-nears-completion.
172 MSCFPは、奨学金、インターンシップ、研修やネットワーキングの機会を通じて、原子力分野における次世代の女性リーダーを支援することを目的としている。2020年からの過去3年間で、原子力科学技術分野のさまざまな学歴を持つ169名のフェローが核セキュリティスクールに参加した。IAEA, “Marie Sklodowska-Curie Fellows Trained in Nuclear Security,” September 4, 2023, https://www.iaea.org/newscenter/news/marie-sklodowska-curie-fellows-trained-in-nuclear-security.
173 NSSC Networkの基本情報は以下を参照。IAEA, “Understanding Nuclear Security Support Centres (NSSCs) in FIVE QUESTIONS,” https://www.iaea.org/sites/default/files/20/08/nssc-five-questions.pdf.
174 IAEA, Nuclear Security Review 2023, August 2023, p. 12, Appendix C, p. 1.
175 “The Chair’s Report on the 2023 Annual Meeting of the International Network for Nuclear Security Training and Support Centres (NSSC Network),” IAEA, https://www.iaea.org/sites/default/files/23/06/chairs_report_annual_meeting_2023.pdf.
176 Ibid.

177 “Regional Workshop and Technical Exchange on Human Resource Development for Nuclear Security Support Centres in the Asia and the Pacific Region,” https://elesen.aelb.gov.my/ipakar/upload/20230721111938.23-02983E_Encl.pdf?p_kur_iklanDir=Asc&p_kur_iklanPageSize=5&id=1697.
178 “Statement by Japan,” at the 67th IAEA General Conference, September 25, 2023.
179 “U.S. Statement under Agenda Item 3,” at the IAEA BoG Meeting, March 6, 2023.
180 IAEA, “International Nuclear Security Education Network (INSEN),” https://www.iaea.org/services/networks/insen. INSENの活動には、査読付き教材の開発、核セキュリティのさまざまな分野における教員の能力開発、共同研究活動、学生交流プログラム、学位論文の監督・評価、知識管理、核セキュリティ教育の推進、その他関連業務が含まれる。
181 Andrea Rahandini, “Nuclear Security Education: IAEA Partners with Universities and Research Institutions,” IAEA News, August 1, 2023, https://www.iaea.org/newscenter/news/nuclear-security-education-iaea-partners-with-universities-and-research-institutions; IAEA, Nuclear Security Review 2023, August 2023, p. 12.
182 IAEA, Nuclear Security Review 2023, August 2023, p. 13.
183 Ibid, pp. 12-13.
184 Ibid, p. 10.

185 IAEA, Nuclear Security Plan 2022-2025: Report by the Director General, GC(65)/24, September 15, 2021.
186 IAEA, “Nuclear Security Resolution,” September 2023, p. 3, p. 5.
187 IAEA, Nuclear Security Review 2023, p. 31.
188 2018年、2019年、2020年、2021年の拠出額はそれぞれ3,300万ユーロ、3,800万ユーロ、4,500万ユーロ、3,400万ユーロであった。
189 “IAEA Training Centre for Nuclear Security Opens Doors to Build Expertise in Countering Nuclear Terrorism,” IAEA Press Release, October 3, 2023.
190 Ibid, pp. 32-33.
191 “Statement of the G7 Non-Proliferation Directors Group.”

192 UN Security Council, “Resolution 1540 (2004),” S/RES/1540 (2004), April 28, 2004.
193 “National Submission of India,” S/AC.44/2023/2, August 8, 2023, p. 7.
194 “National Submission of Türkiye,” February 8, 2023, https://www.un.org/en/sc/1540/documents/TurkiyeReport8Feb2023.pdf.
195 核セキュリティサミット・プロセスを通じてもたらされた政治的ハイレベルのコミットメントによる国際的な取組の機運を維持すべく、2013年に閣僚級の会議が開催されたのがその起源である。その後、2016年に第2回会議が開催され、以降は4年毎に開催されてきている。各国が核セキュリティへの取組の成果や新たなコミットメントの発表を行ったり、追加的な財政的・人的・技術的貢献を表明したりする機会を提供する重要な場となっている。
196 IAEA, Nuclear Security Report 2023, p. 3.
197 “IAEA Director General’s Introductory Statement to the Board of Governors,” IAEA, November 22, 2023.
198 “Statement by Australia on Agenda Item 4,” at IAEA BoG Meeting, September 11, 2023, Australian Embassy and Permanent Mission to the United Nations Austria, https://austria.embassy.gov.au/vien/IAEASeptBoard_4.html.
199 “Statement by the U.S.-Agenda Item 8,” at the IAEA BoG Meeting, U.S. Mission to International Organizations in Vienna, November 2023, https://vienna.usmission.gov/u-s-statement-agenda-item-iaea-board-of-governors-meeting-november-2023/.
200 “Statement of the G7 Non-Proliferation Directors Group.”
201 “Japanese G7 Presidency 2023 Report Nuclear Safety and Security Group (NSSG),” Ministry of Foreign Affairs of Japan, December 1, 2023, https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100593408.pdf.
202 2010年にオバマ(Barack Obama)米国大統領のイニシアティブで開始され、2016年までに計4回(2012年韓国、2014年オランダ、2016年米国)開催された。
203 他には、日本がリード国を務める「輸送セキュリティ(INFCIRC/909)」、「民生用HEUの使用の最小限化及び廃絶(INFCIRC/912)」、豪州が主導する「核鑑識(INFCIRC/917)」などがある。“What Are INFCIRCs?” Nuclear Threat Initiative, https://www.ntiindex.org/story/what-are-nuclear-security-infcircs/.
204 “Know Your Insiders,” Newsletter of the Advancing INFCIRC/908 “Mitigating Insider Threats” International Working Group, January 2023, http://insiderthreatmitigation.org/assets/docs/2022_IWG_Newsletter_20230131_PNNL-SA-181576.pdf.
205 “Statement by Norway on Nuclear Security: Nuclear Security Review 2023,” at IAEA BoG Meeting, March 2023.
206 2006年のG8サンクトペテルブルグ(St. Petersburg)・サミットでロシアと米国が共同で発表したイニシアティブであり、国際的な取組によって核テロの脅威に対抗することを目的としている。
207 2002年のカナナスキス(Kananaskis)・サミット(カナダ)で、WMDとその関連物質等の拡散防止を主な目的として、当時のG8(ロシアを含む)で合意されたイニシアティブである。現在はG7が主導し、30カ国及びEUが参加している。
208 “Statement of the G7 Non-Proliferation Directors Group.”
209 具体的な取組とは、1) 最高水準の原子力安全、保障措置及び核セキュリティを設計上取り入れること、2) 兵器に使用可能な核物質の不必要な使用と蓄積を避けること、3) 核物質の盗取と転用の機会を最小化すること、4) 弾力的な安全メカニズムを含むこと、である。
210 外務省「第2回グローバル・パートナーシップ作業部会の開催(結果概要)」2023年11月10日、https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_009847.html。
211 “Japanese G7 Presidency 2023 Report Nuclear Safety and Security Group (NSSG),” Ministry of Foreign Affairs of Japan, December 1, 2023, https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100593408.pdf.
212 「G7グローバル・パートナーシップの核・放射線セキュリティ・サブワーキング・グループ(NRSWG)のセッション開催報告」『ISCN Newsletter』No. 317、2023年5月、52-53頁。

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