(4) 核兵器の削減
A)核兵器及び核兵器を搭載可能な運搬手段の削減
新戦略兵器削減条約(新START)
米露はこれまでのところ、2011年2月に発効した新戦略兵器削減条約(新START)を履行してきた。条約のもとでの削減状況は、米国務省のホームページで定期的に公表されている(表1-4)。また米国は、米露の戦略(核)戦力の保有数に加えて、自国の運搬手段毎の保有数を表1-5のように公表してきた。新STARTのもとでの削減期限である2018年2月5日になされた両国の申告では、配備戦略(核)運搬手段、配備・非配備戦略(核)運搬手段発射機、及び配備戦略(核)弾頭のすべてについて、条約で規定された数的上限を下回った。その後も両国の戦略核戦力はこの上限を超えていない。
両国は条約発効以来、条約で規定された回数の現地査察を毎年実施してきた56。また、発効以来の通告の交換は、米国務省のホームページに2018年末時点では18,923件と公表されていたが、2019年末時点では記載されていない57。2017年まで、米露双方から他方の条約違反は指摘されなかったが、2018年4月にロシアは、米国による新STARTのもとでの保有数削減について、条約のもとでの一般的な慣行に合致しない方法で達成されたものだと批判した。具体的には、一定数の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射機及びB-52H戦略爆撃機について、核弾頭が搭載できない方法で転換されたか、ロシアによる確認がなされないまま行われたことなどを指摘した58。
2021年2月に条約の期限を控える新STARTの重要な課題が、その後の二国間核軍備管理のあり方である。トランプ大統領は2017年1月の就任前から新STARTに批判的で、条約に基づき5年間延長するとのロシアの提案に対しても、消極的な態度を隠さなかった。2019年4月になると、ロシアだけでなく中国を含め、また戦略核戦力だけでなく他の核戦力や運搬手段をも規制する新たな合意に向けて、米政府内で協議が開かれていると報じられた59。5月15日の上院公聴会では、トンプソン(AndreaThompson)国務次官が、新START延長問題に関してはいかなる決定も下されておらず、検討を要する事項として、ロシアの戦略戦力近代化、ロシアによる軍備管理条約違反の歴史、米国及び同盟国の安全保障の必要性、中国の透明性の欠如を挙げた60。
こうした米国の主張に対して、ロシアは、新STARTの期限延長を米国に求めている。また、条約対象外の核戦力・運搬手段については、新STARTとは分けて議論すべきだと述べる一方、ロシアは戦略防衛兵器にかかる米国の動向に大きな関心を有しているとして、米国を牽制した61。
米露は5月の外相会談で、新START延長問題に関して協議を進めることで一致した。米国は、トランプ大統領が条約延長の是非に関して2020年に判断するとの見通しを示している。これに対してロシアは11月24~26日、新STARTのもとで初めて米国の査察官に、12月の配備に先立ち新型の極超音速滑空飛翔体のアバンガルド(Avangard)を視察させた62。これについて、ロシア戦略ロケット軍前参謀総長は、「新STARTで想定される標準的な手続きである。米国に条約延長への追加的な刺激を与えるものだ」63と述べた。また11月27日、ロシアのリャブコフ(SergeiRyabkov)外務次官は、米国に対して新STARTの5年間延長を正式に提案し、米国が5年間の延長を望まない場合は、短期間の延長も検討すると述べた64。12月にはプーチン(VladimirPutin)大統領が、「年内できるだけ早い時期に前提条件なしで新STARTを延長する用意がある」65とも発言した。しかしながら、米国側からは前向きな反応はなく、2019年中には条約延長問題に関して、明確な方向性は合意されなかった。
INF 条約
米国は 2014 年、初めて公式にロシアの INF 条約違反を指摘した。それ以来、米露 は相互に他方の INF 条約違反を指摘し、批 判してきた。米国が指摘してきたのは、ロ シアが条約に違反する形で 9M729 地上発射 巡航ミサイル(GLCM)の発射実験を実施 し、配備を開始するとともに、その製造・ 配備数を増加させているという問題であっ た。これに対してロシアは、自国の条約違 反を否定するとともに、弾道ミサイル防衛 (BMD)の迎撃ミサイルの飛翔実験で標 的となるミサイルが中距離ミサイルと同様 の性格を有していること、米国が製造する 無人飛行機は条約の GLCM の定義によって カバーされるものであること、並びに東欧 及び日本での配備が予定される地上型イー ジス(Aegis Ashore)BMD の Mk-41 発射 システムは GLCM を発射する能力があるこ となどから、米国が INF 条約に違反してい ると主張してきた。米国は、BMD 用 Mk- 41 には巡航ミサイル発射用とは異なる設定 のものが用いられており、巡航ミサイルを 発射できず、このため INF 条約に違反するものではないとして、ロシアの主張を否定 している66。
2019 年 1 月 15 日、米露はジュネーブで INF 条約問題に関して協議したが、進展は なかった67。その翌週には、米国が CD でロ シアに対して、9M729 及び発射機を検証可 能な形で廃棄する必要があると主張した68。 ロシアは 1 月 23 日に、9M729 を公開し、 9M728 の改良型で最大射程距離は 480km であること、その最大射程距離について、 製造段階でロケット部分に注入される燃料 の量によって決定され、軍が変更を加える ことはできないことなどから、INF 条約違 反ではないことなどを説明した69。しかし ながら、米国は、静的な展示によっては条 約違反疑惑は解消できない(トンプソン国 務次官)として、ロシアの展示及び説明を 一蹴した70。
トランプ米大統領は 2018 年 10 月に INF 条約脱退の意向を表明していたが、その後 の協議でも状況は打開されず、米国は 2 月 2 日、ロシアに対して条約からの脱退を正 式に通告し、同時に条約義務の履行停止を宣言した71。条約の規定に基づき、通告から 6 カ月後の 8 月 2 日、米国による脱退が 発効し、これに伴い条約は失効した。
この間、ロシアは米国の脱退通告に対し て、自国の条約違反を改めて否定し、米国 の脱退を非難した72。3 月 4 日にはプーチン 大統領が条約の履行を停止するとの大統領 令に署名した。さらに 7 月 3 日にはプーチ ン大統領が INF 条約の効力を一時停止する 法律に署名し、即日発効した。またプーチ ン大統領は、米国による脱退発効後の声明 で、1 つの締約国による脱退によって、 INF 条約は自動的に効力を失い、このため 8 月 2 日をもって条約はもはや存在しない とし、そのすべての責任は米国にあると強 調した73。また 9 月には、地上発射型中距離 ミサイルの製造に着手する方針を表明する と同時に、米国が先行してミサイルを配備 しない限り、ロシアはミサイルを配備する ことはないと述べた74。
米国による 2019 年 2 月の脱退通告に対 して、NATO は、これを全面的に支持する とし、問題はロシアによる条約違反である との声明を発表した。同時に、NATO は軍 縮や核不拡散の取組を維持し、「ロシアとの建設的な関係を切望し続ける」と対話を 重視する姿勢も示した75。また、プーチン 大統領が INF 条約の失効に際して、ロシア と米国・NATO による地上発射中距離ミサ イル配備のモラトリアムを提案したのに対 して、NATO は、「ロシアは既に欧州向け のミサイルを配備しており、信用できない」 とし、モラトリアムに応じない考えを示し た76。なお、ストルテンベルグ(Jens Stol- tenberg)事務局長は、欧州へのミサイル配 備の是非については明確にしていない一方 で、核弾頭を搭載する地上発射ミサイルを 展開するつもりはないことを繰り返し明確 に述べている77。
米国の公式の声明はロシアの不遵守疑惑 に焦点を当てているが、多くの専門家は、 INF条約に拘束されていない中国のミサイ ル兵器の増加に対する懸念が、トランプ政 権の条約撤回決定のもう1つの重要な要因 であると指摘している。
日本は、2月の米国による脱退通告に際 して、菅義偉官房長官が記者会見で、「軍 備管理、軍縮において歴史的役割を果たし てきたことから、今後、同条約が終了せざるをえない状況は望ましくないが、米国が 同条約の義務を停止する旨を発表するに至 った問題意識は理解している」78と述べた。 また、米国の脱退が発効した際には、同様 の論点を繰り返すとともに、条約非締約国 が中距離ミサイルを開発・配備している状 況を考える必要があり、透明性の向上を含 め、東アジアにおける軍備管理のあり方を 議論する必要があると発言した79。
米露以外の核保有国
米露以外の核保有国では、フランスと英 国が一方的核兵器削減措置を講じてきた。 このうち英国は、運用可能な弾頭(ope- rationally available warheads ) の 必 要 数 を 120 発以下、2020 年代半ばまでに核兵器ス トックパイルを 180 発以下とするとしてき たが、2015 年 1 月 20 日、トライデント D5・SLBM に搭載する核弾頭数を 48 から 40 に削減するとの 2010 年のコミットメン トを完了し、実戦的に使用可能な弾頭数が 120 発になったと公表した80。フランスは、 米露に新 START 延長及び後継条約に関す る交渉などを求めたが、自国によるさらな る削減については言及していない81。
5 核兵器国の中で核兵器の配備数や保有 数あるいは削減計画などの具体的な姿を全 く公表していないのが中国である。中国は、 国家安全保障に必要な最小限のレベルの核 兵器を保有していると繰り返し述べ、民間 研究機関などの分析でも核戦力を急速に増 加させているわけではないとの見方が主流 である。他方、少なくとも現状では、中国 は核兵器の削減には着手しておらず、質的 側面での能力向上も続いていると見られる。
中国は 2019 年 NPT 準備委員会でも、最 大の核戦力を保有する国が大幅な削減を検 証可能かつ不可逆的で法的拘束力のある形 で行うことが、他の核兵器国が核軍縮の多 国間交渉に参加する必要条件だという従来 からの主張を繰り返した82。また中国はし ばしば、他の核兵器国の核戦力が中国と同 レベルになれば、中国は多国間交渉に参加 するとも発言してきた83。
その中国に対して、米国は INF 条約脱退 問題及び新 START 延長問題に際して、ロ シアとともに新たな核軍備管理に関する議 論に参加すべきだと主張した84。また、ド イツのメルケル首相も、INF 条約終了後の 国際的な軍縮交渉に参加するよう中国に求めた85。さらに、河野太郎外務大臣も、INF 条約失効後に中国を含む国連安保理常任理 事国 5 カ国が新たな軍縮の枠組みを議論す るよう促した86。
しかしながら、中国は現時点での核軍備 管理交渉への参加に強く反対している。中 国外務省の耿爽(Geng Shuang)副報道局 長は記者会見で、「INF 条約の多国間化は、 政治的、軍事的及び法的分野をカバーする 複雑な問題が関係し、多くの国の懸念を招 いている。中国は、この条約の多国間化に 反対する」と明確に述べた87。また 5 月には、 米露に比べて中国は核兵器の量が少なく 「安全保障に必要な最低水準を維持して」 おり、「中国はいかなる 3 カ国間の核軍縮 協定協議にも参加しない」と明言した88。 上述のドイツの主張に対しては、「中国は (核兵器を)厳格に防御的必要性に従って 能力を開発しており、いかなる者に対して も脅威をもたらしていない。このため、 INF 条約の多国間化に反対する」と反論し た89。また、河野外務大臣の発言に対して も、「条約が多国間化されれば、複雑な政 治的、軍事的及び法的問題の全般に影響を与えるであろう。…中国側は同意しない」 と述べた90。
インド、パキスタン、イスラエル、北朝 鮮の状況はいずれも明確ではないが、少な くとも核兵器(能力)の削減を実施あるい は計画しているとの発言や分析は見られない。
B) 核兵器の一層の削減に関する具体的計画
核兵器の一層の削減に関する新たな具体 的計画・構想を 2019 年に明らかにした核 保有国はなかった。上述のように、米露間で戦略・非戦略核戦力の一層の削減に関す る協議が進展することもなかった。また、 中国、フランス及び英国は、多国間の核兵 器削減プロセスの開始には、まず米露が核 兵器を一層大幅に削減すべきだとの立場を 変えていない。南アジアでは、パキスタン が、インドが核兵器を放棄すれば自国も同 様に放棄すると述べるにとどまる。北朝鮮 は後述するように、南北及び米朝首脳会談 で「朝鮮半島の非核化に向けた作業」を約 束したが、核兵器の削減に関する具体的な計画は示しておらず、また「非核化」が何を意味するかも明確にはしていない。
C) 核兵器能力の強化・近代化の動向
核保有国は、核軍縮に関するコミットメ ントを繰り返す一方で、核兵器能力の強化 や近代化を継続してきた。
中国
中国は核戦力の開発・配備の状況につい て一切公表していないが、その近代化を積 極的に推進してきた。2019 年 10 月の軍事 パレードでは、射程距離 1 万 5,000km で 1 基に 10 個の核弾頭を搭載可能な移動式複数 個別誘導弾頭(MIRV)化大陸間弾道ミサ イル(ICBM)の DF-41 を「我が国の戦略 核兵器の重要な柱」であると紹介した。こ の軍事パレードでは、ICBM の DF-5B や DF-31AG・ICBM、中距離弾道ミサイルで 対艦攻撃能力も持つとされる DF-26、戦略 爆撃機の H-6K や H-6N、SLBM の JL-2、 さらには巡航ミサイルの DF-100、並びに 極超音速滑空飛翔体の DF-ZF(2014 年以 降、9 回の実験が行われている)を搭載す る DF-17 なども公開した91。
米国防総省が発表した中国の軍事力に関 する 2019 年の報告書では、中国の ICBM・発射基を 90 基、また DF-26 を含む中距離 弾道ミサイル(IRBM)は大幅に増加して 発射基が 80 基、ミサイルが 80~160 基と の見積もりが明らかにされた92。また中国 は、4 隻の晋級弾道ミサイル搭載原子力潜 水艦(SSBN)(Type 094)が運用状態に、 また 2 隻が建造中であること、次世代 SSBN(Type 096)は 2020 年代初頭に建造 開始が見込まれ、後継の JL-3・SLBM(射 程 9,000km)が搭載されると報じられてい ることなどが記載された93。その JL-3 は 12 月末に発射実験が実施されたと報じられた。 2 月に公表された米議会の米中経済安全保 障調査委員会の報告書によれば、保有する 2,000 発以上のミサイルのうち、95%が INF 条約下で禁止対象の中距離ミサイル (このうち射程 1,000km 以上のミサイルは 400~600 基程度)だとされる94。
中国はロシアとの関係を深めており、10 月にはプーチン大統領が、ロシアがミサイ ル攻撃警戒システムの構築について中国を 支援していると発言した95。
フランス
オランド(François Hollande)大統領 (当時)は 2015 年 2 月の核政策に関する 演説で、自国の核抑止力が 3 セットのSLBM16 基(計 48 基)、及び中距離空対 地ミサイル 54 基で構成されていると公表し た96。
フランスは、4 隻のル・トリオンファン 級 SSBN に搭載する SLBM を 2016 年まで に M45 から M-51(射程 8,000km)に転換 した。2017 年 12 月には、そのアップグレ ード版である M51.2(新型の核弾頭を搭載) の運用も開始され、2020 年までにすべての SSBN に搭載される予定である。2025 年ま でに、M51.3 の開発完了が計画され、射程 延長及び命中精度向上のため新型のミサイ ル第 3 段が組み込まれる97。また、フランス は、空対地中距離巡航ミサイル(ASMPT) の後継として ASN4G の設計開発を開始し、 2035 年の導入を計画している98。
ロシア
ロシアは、対米核抑止力の維持を主眼と しつつ、冷戦期に建造された核戦力の更新をはじめとして様々な運搬手段の開発・配 備を積極的に推進してきた。2018 年 1 月に はショイグ(Sergei Shoigu)国防相が、 2021 年までにロシアの核戦力の 90%が最 先端兵器となると述べ99、同年 12 月の時点 では戦略核戦力については 82%に到達した と報告した100。
ICBM については、移動式・固定式 RS- 24(Yars)の配備が進んでいる。また、1 基に 10~16 発の核弾頭を搭載可能な RS-28 (Sarmat)の実験が繰り返されている。 2020 年末までに実験段階を完了し、2021 年までに SS-18 からの転換が開始されると 見込まれている101。海洋配備の核戦力につ いては、ボレイ級 SSBN への転換が始まり、 3 隻が就役し、5 隻が建造中である102。また 10 月末には、新型のボレイ A・SSBN から 初の SLBM 発射実験が行われた103。
動向がより注目されたのが、新型の核運 搬手段の開発動向である104。まず、アバンガルド極超音速滑空飛翔体(射程は少なく とも5,500km以上)はマッハ20で飛翔し、 高い機動性を有するため、弾道ミサイル防 衛による迎撃が困難だとされる。2018年12 月に発射実験を実施した後、ロシアは2019 年末に初めて実戦配備したと発表した105。 また、原子力推進で射程10,000km以上の長 距離核魚雷・Status-6の動向も注目されて いる106。敵の沿岸近くで高出力の核弾頭を 爆発させ、放射能を帯びた海水及びデブリ の津波を作り出し、沿岸近くの港湾、都市 及び経済インフラなどに深刻な放射能汚染 を引き起こして何世代にもわたって居住不 能にすることを意図したものだとされる107。 2019年1月には、近年中に32基を配備する と報じられている108。他方、プーチン大統 領が2018年3月の演説で言及したSSC-X-9 (スカイフォール)原子力推進巡航ミサイ ルは、開発に難航していると見られている109。2019年8月に発生したロシア軍の実験 場(アルハンゲリスク州セベロドビンスク 近郊)における爆発事故では、直後に周辺 地域で放射線量の上昇が観測されたと報じ られた。ロシア国営原子力企業のロスアト ムは「ミサイルを構成する放射性同位体の 動力源」に関わる実験中に事故が起きたと 説明したが、原子力推進エンジンとの関連 が指摘された110。
INF 条約失効で注目される地上発射中距 離ミサイルに関しては、ロシアが 9M729 を すでに 4 個大隊(100 基程度)を配備して いると報じられた111。ロシアはその正否を 明らかにしていない。他方、ロシアは 9M729 が INF 条約に違反するミサイルでは ないとして、米国や NATO が求める廃棄に は応じないと明言した112。またロシアは、 INF 条約が失効すれば、ロシアは 2 年以内 に新型の地上発射中距離ミサイル―艦船搭載用のカリブル(Kalibr)巡航ミサイルの 地上発射型、あるいは長射程の地上配備極 超音速巡航ミサイルなど―を開発する必要 があるとしている113。
英国
英国は 2017 年 10 月、既存のヴァンガー ド級 SSBN に替わる 4 隻の新型ドレッドノ ート級 SSBN の建造を開始した。このプロ ジェクトには 310 億ポンドの予算が計上さ れ、新型 SSBN の一番艦は 2030 年代初頭 の就役が予定されているが、技術的問題に より建造には遅れが生じている。また、建 造費の増加により、英国軍の装備調達費を 今後、逼迫させることになる可能性も指摘 されている114。これと並行して、英国は米 国が実施しているトライデントII・D5 ミ サイル寿命延長プログラムに参加している。 また、弾頭の転換に関する英国の決定は 2019~2020 年まで先送りされていると報 じられた115。
米国
冷戦期に配備が開始された米国の戦略運 搬手段の更新時期が近づいており、後継と なる ICBM、SSBN 及び戦略爆撃機(並び にこれに搭載される空中発射巡航ミサイル (LRSO))の開発が検討されてきた116 。 2018 年 2 月に公表された核態勢見直し (NPR)では、前政権までの以下のような 計画を踏襲する方針が示された117。
➢ コロンビア級 SSBN を 12 隻建造し、そ の一番艦を 2031 年に運用開始
➢ 450基のミニットマンIII・ICBMを400 基の GBSD(新型 ICBM)に転換
➢ B-21 次世代戦略爆撃機、及びこれに搭載される LRSO を開発・配備
また、NPR2018 では非戦略核戦力の強 化策として、短期的には少数の既存の SLBM に低威力核弾頭を搭載すること、ま た長期的には核兵器搭載可能な潜水艦発射 巡航ミサイル(SLCM)の取得を追求する ことを明らかにした118。このうち SLBM 用低威力核弾頭(W76-2、爆発威力は約 5kt) は、2019 年 1 月に 1 発目がテキサス州パン テックス(Pantex)の生産工場で完成し119、2 月には国家核安全保障局(NNSA)より 第一ロット生産完了が報告された120。
INF条約脱退後の動向としては、脱退成 立直後の8月19日に地上発射巡航ミサイル (トマホーク海洋発射巡航ミサイルの地上 発射型)の発射実験を実施した。発射実験 で使用された垂直発射システムのMk41に ついては、BMDの迎撃ミサイル発射シス テムとは異なる構造(configuration)であ るとした121。また12月には通常弾頭搭載用 地上発射IRBMのプロトタイプの発射実験 が行われ、500km以上飛行した後に公海上 に着水した。国防総省はIRBMについて、5 年以内の配備は見込んでいないとしている 122。なお、米議会は国防授権法で、2020会 計年度には地上発射中距離ミサイルの購 入・配備に支出することを禁止することで 合意した123。
インド
インドは引き続き、「戦略核の三本柱」 の構築に向けて精力的にそれらの開発を推 進している。開発中のアグニ 5・移動式 ICBM は、2018 年 1 月、5 月及び 12 月に 発射実験が実施された124。またインドは、 射程 8,000~10,000km のアグニ 6・ICBM も開発している。SSBN に関しては、2017 年 11 月に 2 隻目が進水し、インドはより大 型の原子力潜水艦を建造する計画も有して いる125。2018 年 11 月には、最初の原子力 潜水艦が「抑止パトロール」を完了したこ とを明らかにした126。SSBN に搭載される SLBM―射程 700km の K-15 及び射程 3,000km の K-4―も開発中である。
イスラエル
イスラエルは、ジェリコ 3・IRBM(射程 距離 4,800~6,500km)を開発してきたと見 られるが、配備の有無は不明である。核弾頭搭載可能な SLCM の配備も伝えられ、 2017 年 10 月にはこれを搭載可能なドルフ ィン級潜水艦 3 隻をドイツから新たに購入 するとの契約を締結したと発表した(現有 5 隻)127。
パキスタン
パキスタン128は、対印抑止力の構築を主 眼として、核弾頭搭載可能な短距離及び準 中距離ミサイルの開発・配備に注力してき た。2019 年 1 月には短距離弾道ミサイル Nasr の発射実験を複数回実施した129。また 5 月には、シャヒーン 2・MRBM の発射実 験を実施した130。
コーツ(Dan Coats)米情報局長官は 2018 年 2 月の上院情報委員会公聴会で、 「パキスタンは、核兵器の製造、並びに短 距離戦術兵器、海洋配備巡航ミサイル、空 中発射巡航ミサイル及び長距離弾道ミサイ ルを含む新型核兵器の開発を継続している。 これら新型核兵器は、地域におけるエスカ レーションの力学及び安全保障に新たなリ スクをもたらしている」とした131。
北朝鮮
北朝鮮は核兵器及びその運搬手段である 弾道ミサイルの開発・実験を活発に展開し ていたが、2018 年に入ると一転して平和攻 勢に転じた。金正恩(Kim Jong-un)朝鮮 労働党委員長は 2019 年 1 月の新年の辞で、 前年からの核・ミサイル実験停止を継続す ること、さらに核兵器の「生産・実験・使 用・拡散」をしないことを言明した。実際 に、2019 年には核爆発実験、及び中・長距 離弾道ミサイルの発射実験を実施しなかっ た。しかしながら、北朝鮮は 2019 年に短 距離弾道ミサイルや多連装ロケットを少な くとも 10 回(計 20 発)以上発射した。ま た、北朝鮮の核・ミサイル活動は、完全に 凍結されたわけではないと見られ、以下の ような動向が報じられた。
➢ 米国の情報機関は、北朝鮮が 2018 年の 米朝首脳会談後、新たに 12 発の核兵器 を製造したと見積もっている132。
➢ 寧辺(ニョンビョン)近郊のウラン濃 縮施設が稼働している可能性がある133。 また、寧辺以外の場所にウラン濃縮施設が維持されている可能性がある134。
➢ 天野之弥 IAEA 事務局長(当時)は 2019 年 3 月の理事会の冒頭で、実験用 軽水炉の建設が続いていると見られる こと、ウラン濃縮施設が稼働している
兆候が見られることなどを報告した135。
➢ 東倉里(トンチャンニ)のミサイル関 連施設の復旧が完了し、稼働可能な状 態になった可能性があるとの分析が報告された136。
➢ 新浦(シンポ)の造船所で新型潜水艦の建造を継続していると見られ137、9 月には SLBM「北極星 3(Pukguksong- 3)」の発射実験を実施した138。
➢ 朝鮮中央通信は、同国の西海(ソへ) 衛星発射場で 12 月 7 日に「極めて重要 な実験」に成功し、この実験は「遠か らず北朝鮮の戦略的地位を変えるだろ う」と報じた139。この実験について、 民間の研究機関は液体燃料ロケットエ ンジンの燃焼実験だったとの見方を示 した140。北朝鮮は同月 14 日にも、同じ西海衛星発射場で「重大な実験」を行 ったと発表し、国防科学院の談話では、「国防科学の研究成果は、わが国の戦 略的核戦争抑止力を一層強化するため に適用されるだろう」とした141。
56 The U.S. Department of State, “New START Treaty Inspection Activities,” https://www.state.gov/new-start- treaty-inspection-activities/.
57 The U.S. Department of State, “New START Treaty,” https://www.state.gov/new-start/.
58 Ministry of Foreign Affairs of Russian Federation, “Russia’s Assessment of the US Department of State’s Report on Adherence to and Compliance with Arms Control, Nonproliferation, and Disarmament Agreements and Commitments,” April 24, 2018, http://www.mid.ru/en/foreign_policy/news/-/asset_publisher/cKNonkJE02Bw/ content/id/3192916. また、Vladimir Isachenkov, “Russia Challenges US Compliance with Nuclear Arms Treaty,” Associated Press, September 9, 2018, https://apnews.com/d9eeccab26d64019ab3ea1954eb89280 も参照。
59 Kylie Atwood and Nicole Gaouette, “Trump Admin Aiming for Major Nuclear Deal with Russia and China,” CNN, April 26, 2019, https://edition.cnn.com/2019/04/25/politics/trump-nuclear-deal-russia-china/index.html.
60 Andrea Thompson, “Statement for the Record,” Testimony before the Senate Committee on Foreign Relations, May 15, 2019.
61 Patrick Tucker, “New New START a Nonstarter: Russian Ambassador,” Defense One, March 12, 2019, https://www.defenseone.com/politics/2019/03/new-new-start-nonstarter-russian-ambassador/155474/.
62 “Russia Says It Showed Hypersonic Nuclear Missile System to U.S. Inspectors,” Reuters, November 26, 2019, https://www.reuters.com/article/us-russia-usa-missiles/russia-says-it-showed-hypersonic-nuclear-missile-system- to-u-s-inspectors-idUSKBN1Y01Z0.
63 “Demonstration of Russia’s Avangard System May Stir US into Extending New START—expert,” Tass, November 27, 2019, https://tass.com/politics/1093061.
64 Faizan Hashmi, “Russia Proposes to US Extending New START For 5 Years or Less—Deputy Foreign Minister,” Urdupoint, November 27, 2019, https://www.urdupoint.com/en/world/russia-proposes-to-us-extending-new-start- for-772649.html.
65 Tom O’Conner, “Russia is ‘Ready to Immediately’ Extend Nuclear Arms Limit Treaty, Says U.S. is not Answering,” Net week, December 5, 2019. https://www.newsweek.com/russia-immediately-extend-nuclear-treaty-1475778
66 The U.S. Department of State, “INF Myth Busters: Pushing Back on Russian Propaganda Regarding the INF Treaty,” Fact Sheet, July 30, 2019, https://www.state.gov/inf-myth-busters-pushing-back-on-russian-propaganda-regarding- the-inf-treaty.
67 Vladimir Isachenkov, “Kremlin Calls Idea that Trump Worked for Moscow ‘Absurd,’” ABC News, January 17, 2019, https://abcnews.go.com/International/wireStory/russia-us-offer-inspect-controversial-weapon-60411901.
68 David Brennan, “U.S. Tells Russia to Destroy ‘Illegal Missile’ That Poses ‘Potent and Direct Threat,’” Newsweek, January 21, 2019, https://www.newsweek.com/russia-missile-us-inf-treaty-nuclear-donald-trump-robert-wood- disarmament-ssc-1299250.
69 Vladimir Isachenkov, “Russia Presents info on Missile US Says Violates Pact,” Star Tribute, January 23, 2019, http://www.startribune.com/russia-presents-info-on-missile-us-says-violates-pact/504739272/.
70 Neil MacFarquhar, “Russia Shows Off New Cruise Missile and Says It Abides by Landmark Treaty,” New York Times, January 23, 2019, https://www.nytimes.com/2019/01/23/world/europe/russia-inf-cruise-missile.html.
71 Michael R. Pompeo, “Remarks,” Press Briefing Room, Washington, D.C., February 1, 2019, https://www.state.gov/ remarks-to-the-press-12/.
72 “Russia Will Counter Destructive Steps on Arms Control—Foreign Ministry,” Tass, February 2, 2019, http://tass.com/politics/1042945.
73 “Statement by the President of Russia on the Unilateral Withdrawal of the United States from the Treaty on the Elimination of Intermediate-Range and Shorter-Range Missiles,” August 5, 2019, http://en.kremlin.ru/ events/president/news/61271.
74 Gabrielle Tétrault-Farber and Vladimir Soldatkin, “Putin Says Russia Will Make New Missiles, Warns of Arms Race,” Reuters, September 5, 2019, https://www.reuters.com/article/us-russia-forum-missiles/putin-says-russia-will- produce-new-missiles-after-demise-of-nuclear-pact-idUSKCN1VQ18O.
75 NATO, “Statement on Russia’s Failure to Comply with the Intermediate-Range Nuclear Forces (INF) Treaty,” Issued by the North Atlantic Council, Brussels, February 1, 2019, https://www.nato.int/cps/en/natohq/news_ 162996.htm.
76 “Russia’s Proposed Moratorium on Missile Deployment ‘Not a Credible Offer,’ Says NATO,” Tass, September 26, 2019, https://tass.com/defense/1079859.
77 “NATO Rules out New Missiles in Europe, Says It Does not Want Arms Race,” Wio News, February 15, 2019, http://www.wionews.com/world/nato-rules-out-new-missiles-in-europe-says-it-does-not-want-arms-race-196965.
78 “Japan Reluctantly Endorses ‘Undesirable’ U.S. Exit from INF Nuclear Arms Pact with Russia,” Kyodo, February 4, 2019, https://www.japantimes.co.jp/news/2019/02/04/national/politics-diplomacy/japan-reluctantly-endorses- undesirable-u-s-exit-inf-nuclear-arms-pact-russia/#.XWnoV5P7RnY.
79 “Press Conference by the Chief Cabinet Secretary,” August 2, 2019, https://japan.kantei.go.jp/tyoukanpress/ 201908/2_a.html. (in Japanese)
80 “UK Downsizes Its Nuclear Arsenal,” Arms Control Today, Vol. 45, No. 2 (March 2015), http://www. armscontrol.org/ACT/2015_03/News-Brief/UK-Downsizes-Its-Nuclear-Arsenal.
81 “Statement by France,” Cluster 2, 2019 NPT PrepCom, May 2, 2019. 82 NPT/CONF.2020/PC.III/WP40, April 26, 2019.
83 “China Has No Plans to Join Russia-US Disarmament Talks,” Tasnim News Agency, November 8, 2019, https://www.tasnimnews.com/en/news/2019/11/08/2135956/china-has-no-plans-to-join-russia-us-disarmament- talks.
84 “Statement by the United States,” General Debate, UNGA, October 10, 2019 などを参照。
85 Robin Emmott, “China Rebuffs Germany’s Call for U.S. Missile Deal with Russia,” Reuters, February 17, 2019, https://www.reuters.com/article/us-germany-security-china/china-rebuffs-germanys-call-for-u-s-missile-deal-with- russia-idUSKCN1Q50NZ?il=0.
86 “China Does Not Support Creation of New Multilateral Deal Replacing INF Treaty,” Sputnik News, July 30, 2019, https://sputniknews.com/world/201907301076404441-beijing-says-does-not-support-creation-of-new- multilateral-deal-replacing-inf-treaty/.
87 “Foreign Ministry Spokesperson Geng Shuang’s Remarks on the US Suspending INF Treaty Obligations and Beginning Withdrawal Process,” Ministry of Foreign Affairs of China, February 2, 2019, https://www.fmprc.gov.cn/ mfa_eng/xwfw_665399/s2510_665401/2535_665405/t1635268.shtml.
88 “Foreign Ministry Spokesperson Geng Shuang’s Regular Press Conference,” May 6, 2019, https://www. fmprc.gov.cn/mfa_eng/xwfw_665399/s2510_665401/2511_665403/t1661163.shtml.
89 Emmott, “China Rebuffs Germany’s Call for U.S. Missile Deal with Russia”; “Merkel Urges China to Join Disarmament Efforts,” Fox News, February 16, 2019, https://www.foxnews.com/world/merkel-urges-china-to-join- disarmament-efforts.
90 “China Does Not Support Creation of New Multilateral Deal Replacing INF Treaty.”
91 Hans M. Kristensen, “Military Might Takes Center Stage at Chinese 70-Year Anniversary Parade,” Federation of American Scientists, October 1, 2019, https://fas.org/blogs/security/2019/10/china-military-parade/ などを参照。
92 Office of the Secretary of Defense, Annual Report to Congress: Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China 2019, May 2019, p. 117.
93 Ibid., p. 66.
94 Jacob Stokes, “China’s Missile Program and U.S. Withdrawal from the Intermediate-Range Nuclear Forces (INF) Treaty,” Staff Research Report, U.S.-China Economic and Security Review Commission, February 4, 2018, p. 3, https://www.uscc.gov/sites/default/files/Research/China%20and%20INF_0.pdf.
95 Daria Litvinova, “Russia is Helping China Build a New Missile Attack Warning System, Putin Says,” CBS news, October 4, 2019. https://www.cbsnews.com/news/russia-to-help-china-build-new-missile-attack-warning-system- vladimir-putin-says-today-2019-10-04/.
96 François Hollande, “Nuclear Deterrence—Visit to the Strategic Air Forces,” February 19, 2015, http://basedoc. diplomatie.gouv.fr/vues/Kiosque/FranceDiplomatie/kiosque.php?fichier=baen2015-02-23. html#Chapitre1.
97 Hans M. Kristensen and Matt Korda, “French Nuclear Forces, 2019,” Bulletin of the Atomic Scientists, Vol. 75, No. 1 (2019), p. 52.
98 Ibid., p. 53.
99 “Defense Chief Sets Sights on Beefing Up Russia’s Nuclear Triad with Advanced Weaponry,” Tass, January 10, 2018, http://tass.com/defense/984435.
100 Russian Ministry of Defense, “Supreme Commander-in-Chief of the Russian Federation Attends Extended Session of the Russian Defence Ministry Board Session,” December 18, 2018, http://eng.mil.ru/en/news_page/country/ more.htm?id=12208613@egNews.
101 Hans M. Kristensen and Matt Korda, “Russian Nuclear Forces, 2019,” Bulletin of the Atomic Scientists, Vol. 75, No. 2 (2019), p. 77; David Brennan, “Russia’s ‘Invulnerable’ Satan 2 Nuclear Missile will be Ready to Fire by the End of 2020, Space Agency Official Says,” Newsweek, July 8, 2019, https://www.newsweek.com/russia-satan-2-nuclear- missile-rs-28-sarmat-ready-fire-2020-1447994.
102 Kristensen and Korda, “Russian Nuclear Forces, 2019,” p. 78.
103 Thomas Nilsen, “Bulava Ballistic Missile Launch from Brand New Strategic Sub in White Sea,” Barents Observer, October 30, 2019, https://thebarentsobserver.com/en/security/2019/10/bulava-ballistic-missile-launch-brand-new- strategic-sub-white-sea.
104 ロシアが開発する新型ミサイルの動向については、Jill Hruby, “Russia’s New Nuclear Weapon Delivery Systems: An Open-Source Technical Review,” Nuclear Threat Initiative, November 2019 なども参照。
105 Kristensen and Korda, “Russian Nuclear Forces, 2019,” p. 77; Brennan, “Russia’s ‘Invulnerable’ Satan 2 Nuclear Missile.”
106 “Is Russia Working on a Massive Dirty Bomb,” Russian Strategic Nuclear Forces, November 10, 2015, http:// russianforces.org/blog/2015/11/is_russia_working_on_a_massive.shtm.
107 Kyle Mizokami, “How Can We Stop Russia’s Apocalypse Nuke Torpedo?” National Interest, August 17, 2018, https://www.popularmechanics.com/military/weapons/a22749605/how-can-we-stop-russiasapocalypse-nuke- torpedo/.
108 Franz-Stefan Gady, “Russia to Deploy Over 30 Nuclear-Capable ‘Poseidon’ Underwater Drones,” Diplomat, January 14, 2019, https://thediplomat.com/2019/01/russia-to-deploy-over-30-nuclear-capable-poseidon-under water-drones/.
109 “Russia’s Nuclear Cruise Missile is Struggling to Take Off, Imagery Suggests,” NPR , September 25, 2018, https:// www.npr.org/2018/09/25/649646815/russias-nuclear-cruise-missile-is-struggling-to-takeoff-imagery-suggests.
110 Thomas Nilsen, “Rosatom Says Five Employees Killed in Blast While Testing Isotope and Liquid Propellant Engine,” Barents Observer, August 10, 2019, https://thebarentsobserver.com/en/security/2019/08/latest-rosatom-says-five- employees-killed-blast-while-testing-isotope-and-liquid.
111 Michael R. Gordon, “On Brink of Arms Treaty Exit, U.S. Finds More Offending Russian Missiles,” Wall Street Journal, January 31, 2019, https://www.wsj.com/articles/on-brink-of-arms-treaty-exit-u-s-finds-more-offending- russian-missiles-11548980645; “Russia Has Deployed More Medium-Range Cruise Missiles Than Previously Thought,” Radio Free Europe, February 10, 2019, https://www.rferl.org/a/report-russia-has-deployed-more- medium-range-cruise-missiles-than-previously-thought/29761868.html.
112 “Russia Says it Won’t Destroy Missiles U.S. Claims Break INF Treaty,” Moscow Times, March 19, 2019, https:// www.themoscowtimes.com/2019/03/19/russia-says-it-wont-destroy-missiles-us-claims-break-inf-treaty-a64864.
113 “Russia to Develop New Missile Systems in 2 Years after Treaty Pullout,” AFP, February 5, 2019, https://www. egyptindependent.com/russia-to-develop-new-missile-systems-in-2-years-after-treaty-pullout.
114 Paris Gourtsoyannis, “Cost of Trident ‘Could Sink Mod Budget,’” The Scotsman, January 3, 2019, https://www. scotsman.com/news/politics/cost-of-trident-could-sink-mod-budget-1-4851198.
115 Claire Mills and Noel Dempsey, “Replacing the UK’s Nuclear Deterrent: Progress of the Dreadnought Class,” U.K. Parliament, House of Commons Briefing Paper, June 19, 2017.
116 米国による核兵器能力の近代化については、Amy F. Woolf, “U.S. Strategic Nuclear Forces: Background, Developments, and Issues,” CRS Report, March 6, 2018, pp. 9-41; “U.S. Nuclear Modernization Program,” Fact Sheet and Brief, Arms Control Association, August 2018, https://www.armscontrol.org/factsheets/USNuclearModerni zation などを参照。
117 The U.S. Department of Defense, Nuclear Posture Review 2018, February 2018. pp. 48-51.
118 Ibid., pp. 54-55.
119 Julian Borger, “US Nuclear Weapons: First Low-Yield Warheads Roll off the Production Line,” Guardian, January 28, 2019, https://www.theguardian.com/world/2019/jan/28/us-nuclear-weapons-first-low-yield-warheads-roll-off- the-production-line.
120 NNSA, “NNSA Completes First Production Unit of Modified Warhead,” February 25, 2019, https://www. energy.gov/nnsa/articles/nnsa-completes-first-production-unit-modified-warhead.
121 Aaron Mehta, “Watch the Pentagon Test Its First Land-Based Cruise Missile in a Post-INF Treaty World,” Defense News, August 19, 2019, https://www.defensenews.com/pentagon/2019/08/19/pentagon-tests-first-land-based- cruise-missile-in-a-post-inf-treaty-world/.
122 Robert Burns, “US Plans Tests This Year of Long-Banned Types of Missiles,” Associated Press, March 13, 2019, https://www.apnews.com/ea243a96bc254378ba92f1e3e8761389.
123 Theresa Hitchens, “Congress Stalls INF-Busting Missiles & Nuke Treaty Withdrawal,” Breaking Defense, December 11, 2019, https://breakingdefense.com/2019/12/congress-stalls-inf-busting-missiles-nuke-treaty-with drawal.
124 Dinakar Peri, “India Successfully Test-Fires Nuclear-Capable Agni-5,” The Hindu, June 4, 2018, http://www.the hindu.com/news/national/india-successfully-test-fires-nuclear-capable-agni-5/article24071775.ece; “India Success- fully Test-Fires Nuclear-Capable Agni-5 Missile,” The Time of India, December 10, 2018, https://timesofindia. indiatimes.com/india/india-successfully-test-fires-nuclear-capable-agni-5-missile/articleshow/67025807.cms.
125 Franz-Stefan Gady, “India Launches Second Ballistic Missile Sub,” Diplomat, December 13, 2017, https://the diplomat.com/2017/12/india-launches-second-ballistic-missile-sub/; Dinakar Peri and Josy Joseph, “A Bigger Nuclear Submarine is Coming,” The Hindu, October 15, 2017, http://www.thehindu.com/news/national/a-bigger- nuclear-submarine-is-coming/article19862549.ece.
126 “India Says Nuclear Submarine Makes First Patrol, Modi Warns Against ‘Misadventure,’” Reuters, November 5, 2018, https://www.reuters.com/article/us-india-submarine/india-says-nuclear-submarinemakes-first-patrol-modi- warns-against-misadventure-idUSKCN1NA1HK.
127 “Israel Signs MoU to Purchase Dolphin-class Submarines from Germany,” Naval Technology, October 25, 2017, https://www.naval-technology.com/news/newsisrael-signs-mou-to-purchase-dolphin-classsubmarines-from- germany-5956187/.
128 パキスタンの核戦力に関しては、Hans M. Kristensen, Robert S. Norris and Julia Diamond, “Pakistani Nuclear Forces, 2018,” Bulletin of the Atomic Scientists, Vol. 74, No. 5 (2018), pp. 348-358.
129 “Pakistan Launches NASR Missile Again to Counter Indian Cold Start Doctrine,” EurAsian Times, February 1, 2019, https://eurasiantimes.com/pakistan-launches-nasr-missile-again-to-counter-indian-cold-start-doctrine/.
130 Asad Hashim, “Pakistan Military Says It Test-Fired Ballistic Missile Shaheen-II,” Aljazeera, March 29, 2019, https://www.aljazeera.com/news/2019/05/pakistan-military-test-fired-ballistic-missile-shaheen-ii- 190523080246734.html.
131 Daniel R. Coats, “Worldwide Threat Assessment of the US Intelligence Community,” February 13, 2018.
132 Sharon Shi and Clément Bürge, “While Trump and Kim Talk, North Korea Appears to Expand Its Nuclear Arsenal,” Wall Street Journal, July 27 2019, https://www.wsj.com/articles/while-trump-and-kim-talk-north-korea-appears-to- expand-its-nuclear-arsenal-11564059627?reflink=share_mobilewebshare.
133 Frank V. Pabian and Jack Liu, “North Korea’s Yongbyon Nuclear Facilities: Well Maintained But Showing Limited Operations,” 38 North, January 9, 2019, https://www.38north.org/2019/01/yongbyon010919/.
134 「北朝鮮のウラン施設、最大 10 カ所 米韓当局が分析か」『朝日新聞』2019 年 1 月 22 日、https://www. asahi.com/articles/ASM1P52X8M1PUHBI01F.html。
135 Yukiya Amano, “IAEA Director General’s Introductory Statement to the Board of Governors,” March 4, 2019, https://www.iaea.org/newscenter/statements/iaea-director-generals-introductory-statement-to-the-board-of- governors-4-March-2019.
136 Jack Liu, Irv Buck and Jenny Town, “North Korea’s Sohae Satellite Launch Facility: Normal Operations May Have Resumed,” 38 North, March 7, 2019, https://www.38north.org/2019/03/sohae030719/.
137 “North Korea’s Sinpo South Shipyard: Submarine Shipbuilding Continuing at Slow Pace,” North 38, April 12, 2019. https://www.38north.org/2019/04/sinpo041219/; Joseph Bermudez and Victor Cha, “Sinpo South Shipyard: Construction of a New Ballistic Missile Submarine?” Beyond Parallel, August 28, 2019.
138 Helen Regan, Will Ripley, Ryan Browne and Jake Kwon, “North Korea Says it Test Fired a New Type of Submarine- Launched Ballistic Missile,” CNN, October 3, 2019, https://edition.cnn.com/2019/10/02/asia/north-korea-missile- launch-intl-hnk/index.html.
139 “Statement of Spokesman for Academy of National Defence Science Issued,” KNCA, December 8, 2019, http://www.kcna.co.jp/item/2019/201912/news08/20191208-04ee.html.
140 Vann H. van Diepen, “Resumed North Korean ICBM Testing: Possible Technical Objectives,” 38 North, December 9, 2019, https://www.38north.org/2019/12/vvandiepen120919/.
141 “Spokesman for Academy of Defence Science of DPRK Issues Statement,” KCNA, December 14, 2019, http://www. kcna.co.jp/item/2019/201912/news14/20191214-05ee.html.