当サイトを最適な状態で閲覧していただくにはブラウザのJavaScriptを有効にしてご利用下さい。
JavaScriptを無効のままご覧いただいた場合には一部機能がご利用頂けない場合や正しい情報を取得できない場合がございます。

国際平和拠点ひろしま

Hiroshima Report 2024特別寄稿:G7広島サミットの成果と今後の日本政府の取組

日本国内閣総理大臣 岸田 文雄

今回、『ひろしまレポート2024年版』が発行されるにあたり、一言御挨拶を申し上げます。G7広島サミットを特集テーマに据えた今回の報告書は、G7広島サミットの成果を中心に、核軍縮などをめぐる日本や世界各国の取組や行動について理解を深める上で、重要な役割を果たしています。広島県をはじめ、この報告書の作成に御尽力された全ての皆様に敬意を表します。
国際社会が歴史的な転換点にある中で開催されたG7広島サミットでは、分断と対立ではなく、協調の国際社会の実現に向けて、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くこと、そしてグローバル・サウスと呼ばれる国々をはじめとした国際的なパートナーへの関与を強化することという2つの視点を柱としました。招待国、招待機関を交え、G7を超えた幅広いパートナーが協力して国際社会が直面する諸課題に取り組むことを確認したこと、さらに、G7、招待国、ウクライナの首脳間で、世界の平和と安定に関する議論を行い、法の支配や国連憲章の諸原則の重要性につき認識を共有することができたことは大きな成果であると考えます。
また、G7広島サミットは、被爆地であり平和の象徴となった広島で初めて開催されたものであり、「核兵器のない世界」の実現に向けたG7首脳等のコミットメントを確認する上でも歴史的意義を有するものでした。各国首脳が原爆資料館を訪問し、被爆の実相に触れ、平和記念公園の慰霊碑に献花を行い、また、G7首脳間の胸襟を開いた議論を経て、「核兵器のない世界」へのコミットメントが確認され、また、これらを踏まえ、核軍縮に関する初めてのG7首脳独立文書となる「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」が発出されました。「核兵器のない世界」に向けた国際社会の機運を高めることができたと考えています。
私は、この「G7首脳広島ビジョン」を強固なステップ台としつつ、2022年の核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議で提唱した「ヒロシマ・アクション・プラン」の下での取組を1つ1つ実行していくことで、現実的で実践的な取組を継続・強化していく考えです。
具体的には、例えば、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効や核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の早期交渉開始に向けた取組を積み重ねていきます。早速2023年9月には、ニューヨークでFMCTハイレベル記念行事を主催し、多くの政治レベルの参画を得て、FMCTの早期交渉開始に向けた意思と関心を再び高めることができたと考えています。
この『ひろしまレポート』を含む広島県の取組、そこにある平和への強い思いは、「核兵器のない世界」の実現に向けた原動力・推進力です。唯一の戦争被爆国である日本の総理大臣として、引き続き広島県の皆様とともに「核兵器のない世界」に向けて力を尽くして参ります。

< 前のページに戻る次のページに進む >

 

目次に戻る