Hiroshima Report 2024(6) 国家安全保障における核兵器の役割・重要性の低減
A) 国家安全保障戦略・政策、軍事ドクトリンにおける核兵器の役割及び重要性の現状
2010年代後半以降、大国間競争及び地政学的競争が顕在化するなかで、核保有国は国家安全保障における核兵器の役割及び重要性を再認識してきた。2023年に新たな核戦略・政策を打ち出した核保有国はなかったが、安全保障を巡る厳しい状況が続くなかで、核保有国及びその同盟国は核抑止力への依存を引き続き高めているようにみえる。なかでもロシアと北朝鮮は、2023年を通じて自国の核兵器の戦略的価値に関するレトリックを強め、自国の核戦力の重要性を強調した。
ウクライナへの攻撃を続けるロシアは、2023年も核恫喝を繰り返した。1月にはメドベージェフ(Dmitry Medvedev)安全保障会議副議長が、「通常戦争で核保有国が敗北すれば、核戦争が引き起こされかねない」と述べた144。3月には、ロシアが実効支配するクリミア半島の奪還に向けてウクライナ軍が攻撃すれば、「核抑止ドクトリンで規定されたものを含むすべての防衛手段を使用する根拠になるのは明白だ」145と述べ、核攻撃の可能性を示して威嚇した。さらに7月には、「一般的に、どのような戦争も、たとえ世界大戦であっても、即座に終わらせることができる。平和条約が結ばれれば、あるいは1945年に米国が広島・長崎に原爆を投下したように核兵器を用いればよい。実際に、米国はその後、軍事作戦を終了した。その代償は、30万人近い市民の命であった」146と発言した。その直後にも、「NATOと一体となった攻勢が成功し、国土の一部が奪われることになったとしよう。…そうなれば、ロシア大統領令の規定により、核兵器を使用しなければならなくなるであろう」147と述べた。
ロシアの核恫喝は、2023年NPT準備委員会などで、主として西側諸国から強く非難された。米国は、「ウクライナに対するロシアのいわれのない戦争は、ロシアの無責任な核のレトリック…と同様に、悲劇的に続いている。ロシアの行動は、条約やその政治的プロセスとは無関係なサイドショーとは言い難い。むしろ、NPTの取引の核心や、NPTが可能にする核抑制のシステムを攻撃している」148と発言した。日本も、「ウクライナに対するロシアの侵略の過程における言動によって、NPT体制の核心的価値が著しく脅かされ、挑戦を受けている。核兵器国が、核兵器使用の浅はかな脅しをもって、非核兵器国に政治的意思を押し付けることは、まったく容認できない」149と述べた。
これに対して、ロシアは以下のように述べて反論した。
現段階では、核兵器を保有し続けることが、我が国にとって、ある種の外的脅威に対する唯一の可能な対応策である。西側諸国が挑発し、煽動したウクライナ危機は、我々の懸念の正当性を裏付けている。…こうした状況下で、我が国の核兵器をさらに削減することは、我が国の安全保障を劇的に低下させるだけでなく、通常兵器で大きな優位性を持つNATO諸国にとって、ロシアに対する大規模な侵略という考えを、実際に非常に現実的な選択肢に変えてしまうであろう150。
ロシアは10月25日、大規模な報復核攻撃の演習を実施し、ヤルスICBM、シネワSLBM及び空中発射巡航ミサイルが発射された。プーチン大統領は12月、「新たな軍事、政治的リスクが出現するなか、パワーバランス、戦略的バランスを維持する『核の3本柱』の役割は大きく高まった」151と述べた。
北朝鮮は前年に続いて2023年も、様々なタイプのミサイル発射訓練・実験を積極的に実施するとともに、国家安全保障における核兵器の役割を拡充するとの発言を繰り返した。
2022年12月26~31日に開催された朝鮮労働党中央委員会総会の報告が2023年1月1日にKCNAに掲載され、核戦略に関しては、「我が国の核戦力は戦争を抑止し、平和と安定を守ることを第一の任務と考えるが、抑止に失敗した場合は、防衛ではない第二の任務を遂行する」とした。また、「迅速な核反撃能力を持つ別のICBMシステムを開発することを基本任務として提示」したが、これは固体燃料式のミサイルを意味していると考えられる。さらに「北朝鮮を『主敵』とし、『戦争準備』を公然と喧伝する南朝鮮の傀儡勢力が、我々の疑いない敵であると想定されてきた今、戦術核兵器の大量生産の重要性と必要性を強調し、国の核戦力の幾何級数的増加が求められている」とした152。
上述のような2つの任務からなる核態勢は、その後も繰り返し言及された。金正恩総書記は3月9日に、ミサイル部隊である「火星砲兵(Hwasong artillery unit)」が「実戦を想定した様々な模擬訓練を様々な状況下で多様に着実に強化することで、2つの戦略任務、すなわち、第一に戦争を抑止すること、第二に戦争の主導権を握ることを遂行するための最大の完成度を備えるよう厳格に備えるべきだと強調」153した。3月18~19日には、戦術核運用部隊の合同戦術訓練が実施され、金総書記は、「核兵器国であるだけでは戦争を抑止することはできない。…戦争抑止という重要な戦略的使命を果たし、国の主権を確実に守ることができるのは…核戦力が、実際に敵を攻撃できる手段として完成され、迅速かつ正確に発動できる核攻撃態勢が整備され、常に敵に恐怖を与えるようになって初めて可能になる」と述べた154。
米国家情報局長室(ODNI)は6月、国家情報委員会(NIC)が2023年1月に作成した報告書「北朝鮮:2030年までの核兵器活用シナリオ」を公表した。報告書では、北朝鮮が核兵器を活用する可能性として強制(coercive)、攻撃(offensive)及び防御(defensive)の3つの目的を挙げ、「このうち、強制的に活用する可能性が最も高い」と分析した。そのうえで、「北朝鮮は強制外交のため、核兵器というカードを引き続き使用する可能性が高く、核・弾道ミサイルの質と量が高まるほど危険な強制行動を考慮するのは明白だ」とした155。
核戦力の急速な増強が指摘される中国に対しては、その国家安全保障における核兵器の役割も高めているのではないかと懸念されているが、中国は以下のように述べて否定している。
中国は常に自衛の核戦略を追求し、いかなる時、いかなる状況においても、核兵器を最初に使用しないことを約束し、非核兵器国や非核兵器地帯に対して核兵器を使用しない、あるいは使用する脅威を与えないことを無条件に約束する。国際情勢がどのように変化しようとも、中国は常に核戦力を国家の安全保障に必要な最小限のレベルに維持し、いかなる核保有国とも核の均衡を求めず、核軍拡競争にも関与しない。中国は核の傘を提供せず、核兵器を海外に配備しない156。
B) 核兵器の先行不使用(NFU)
核兵器の先行不使用(NFU)、あるいは敵の核兵器使用を抑止することが核兵器の「唯一の目的(sole purpose)」だとする政策に関して、2023年にも核保有国の政策に変化は見られなかった。5核兵器国のなかでは、中国のみがNFUを宣言しており、2023年もこのコミットメントに繰り返し言及した。他の核兵器国はNFUあるいは「唯一の目的」といった政策の採用を拒否している。中国は、すべての核兵器国が核兵器のNFUを約束し、これに関する国際的な法的文書を交渉・締結すべきであるとも主張している。米国は、中国がNFUを適用する状況についての言説には曖昧性があるとの見方を示しているが、中国は否定している。
NPT非締約国のなかでは、インドがNFUを宣言しつつ、インドへの大規模な生物・化学兵器攻撃に対する核報復オプションを留保している。これに対して、インドの「コールド・スタート」戦略に対抗する目的で小型核兵器やSRBMを取得したパキスタンは、NFUを宣言せず、通常攻撃に対する核兵器の使用可能性を排除していない。北朝鮮も2022年9月に制定した法令「核戦力に関する政策」で、核兵器を先行使用する可能性があることを示した157。北朝鮮指導者は近年、核兵器先行使用の可能性を繰り返し強く示唆している。
C) 消極的安全保証
非核兵器国に対して核兵器の使用または使用の威嚇をしないという消極的安全保証(negative security assurances)に関して、2023年に政策変更を行った核兵器国はなかった。無条件の供与を一貫して宣言する中国を除き、核兵器国はそうした保証に一定の条件を付している。
このうち英国及び米国は、NPT締約国で、核不拡散義務を遵守する非核兵器国に対しては、核兵器の使用または使用の威嚇を行わないと宣言している。ただし英国は「安全保障・防衛・開発・外交政策統合見直し」で、「化学兵器や生物兵器などのWMDの将来的な脅威や、それに匹敵する影響を与える可能性のある新たな技術の出現により、この保証を見直す必要が生じた場合には、その権利を留保する」158とした。
フランスは2015年2月、「NPT締約国でWMD不拡散の国際的な義務を尊重する非核兵器国に対しては核兵器を使用しない」として、その前年に公表したコミットメントを精緻化した159。ただしフランスは、消極的安全保証を含め核態勢にかかる「コミットメントは国連憲章第51条の自衛権に影響を与えるものではない」160との立場を変えていない。
ロシアは、核兵器国と同盟関係にある非核兵器国による攻撃の場合を除いて、NPT締約国である非核兵器国に対して核兵器の使用または使用の威嚇を行わないとしている。ロシアによる核恫喝を伴うウクライナへの侵略は、消極的安全保証にも、またロシアなどが1994年にウクライナと交わしたブダペスト覚書にも反する行為であるとして、西側諸国などはロシアを非難してきたが、ロシアは、ウクライナに対して核兵器使用の威嚇を行っていないなどと反論している161。
消極的安全保証は、NPTの文脈で、核兵器の取得を放棄する非核兵器国がその不平等性の緩和を目的の1つとして、NPT上の核兵器国に提供を求めるものであるが、インド、パキスタン及び北朝鮮も同様の宣言を行っている。2023年にも、これらの国々の宣言に変化はなかった。インドは、「インド領域やインド軍への生物・化学兵器による大規模な攻撃の場合、核兵器による報復のオプションを維持する」としつつ、非核兵器国への消極的安全保証を宣言している。パキスタンは、無条件の消極的安全保証を宣言してきた。北朝鮮は、2022年に制定した法令で、「非核兵器国が他の核兵器国と連携して北朝鮮に対する侵略や攻撃行為に加担しない限り、これらの国々を対象として核兵器で威嚇したり、核兵器を使用したりしない」と規定した。
消極的安全保証は、非核兵器地帯条約議定書で定められたものを除き、法的拘束力のある形では非核兵器国に供与されていない。NAM諸国はNPT準備委員会で、「すべての核兵器国が、すべての非核兵器国に対して、あらゆる状況下における核兵器の使用または使用の威嚇に対して、効果的、無条件、非差別的、撤回不可、普遍的かつ法的拘束力のある安全の保証を提供するための緊急交渉も優先事項として、さらに遅延なく推進すべきであると強調する」162との従来の主張を繰り返した。しかしながら、消極的安全保証の法制化に向けた実質的作業の開始を支持すると論じる中国163を除き、他の4核兵器国は一貫して消極的である164。
2023年の国連総会で採択された決議「核兵器の使用または使用の威嚇に対して非核兵器国を保証する効果的な国際協定の締結」では、「核兵器の使用または使用の脅威から非核兵器国を保証するための効果的な国際的取り決めについて、早期に合意に達することが緊急に必要である」165ことなどが論じられた。この決議への加盟国の投票行動は下記のとおりであった。
➢ 賛成123(ブラジル、中国、エジプト、インド、インドネシア、イラン、日本、カザフスタン、メキシコ、パキスタン、サウジアラビア、シリアなど)、反対0、棄権62(豪州、オーストリア、カナダ、フランス、ドイツ、イスラエル、韓国、北朝鮮、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ロシア、南アフリカ、スウェーデン、スイス、トルコ、英国、米国など)
D) 非核兵器地帯条約議定書への署名・批准
これまでに成立した非核兵器地帯条約に付属する議定書では、核兵器国が条約締約国に対して法的拘束力のある消極的安全保証を提供することが規定されている。しかしながら、表1-5に示すように、2023年末時点で5核兵器国すべての批准を得たのはラテンアメリカ及びカリブ核兵器禁止条約(トラテロルコ条約)議定書だけである。2023年に、非核兵器地帯条約議定書に新たに署名・批准した核兵器国はなかった。
5核兵器国のいずれもが署名していない東南アジア非核兵器地帯条約(バンコク条約)議定書について、東南アジア非核兵器地帯委員会執行委員会はNPT準備委員会で、バンコク条約の「議定書に留保なしで署名し、批准する意思のある個々の核兵器国が、署名に踏み切ることができるようにする可能性を検討し続けている」166と発言した。インドネシアのマルスディ(Retno Marsudi)外相は7月に、核兵器国が条約に署名・批准しやすいよう、東南アジア諸国連合(ASEAN)が議定書の要点を見直す予定であることを明らかにした167。5核兵器国はこれまでも議定書に署名する意向を表明し、また条約締約国と5核兵器国との協議が継続していると繰り返し言及してきたが、これが実際にどこまで進んでいるかは明らかにされていない。
消極的安全保証を規定した非核兵器地帯条約議定書について、署名や批准の際に解釈宣言と称して実質的に留保を付す核兵器国がある。非核兵器地帯条約締約国をはじめとして、NAM諸国やNACなども核兵器国に対して、非核兵器地帯条約議定書への留保や解釈宣言を再考・撤回するよう求めてきた。たとえばNAM諸国は、「非核兵器地帯を確立する条約の目的及び趣旨と相容れない、関連する留保や一方的な解釈宣言の撤回を強く求める」168と述べ、ラテンアメリカ及びカリブ地域核兵器禁止条約機構(OPANAL)は、「この問題の相互合意による解決策を見出すため、これらの国々との対話メカニズムの確立を目指してきた。今回の準備委員会が、この問題に関するさらなる議論の場となることを希望する」169と発言した。
しかしながら、(無条件の消極的安全保証を認めている中国を除く)核兵器国からの前向きな姿勢は見られない。ロシアは、「我々の留保は、非核兵器地帯を設置する関連条約の下での義務を厳格に遵守することを意図する国の利益に何ら影響を与えるものではないことを明確に理解されたい。留保は、非核兵器地帯参加国が締結した協定の条項の遵守を保証するための手段にすぎない」170と述べた。米国も、「非核兵器地帯条約議定書の批准に関連してなされた米国の解釈上の声明について、我々は、いかなるものもこれらの条約及び関連議定書の目的及び趣旨と矛盾するものではないことを明確にしたい」171と発言した。
E) 拡大核抑止への依存
ロシア・ベラルーシ
プーチン大統領は3月25日、ロシアがベラルーシに戦術核兵器を配備すると発表した。プーチン大統領は、7月1日にベラルーシで戦術核兵器の貯蔵施設の建設を完了するとし、米国が数十年にわたってNATO諸国の領域に戦術核兵器を配備してきたと述べつつ、核兵器の管理はベラルーシに移譲しないなど、ロシアによる配備は核不拡散体制には違反しないと述べた172。プーチン大統領は、ベラルーシに核弾頭搭載可能なイスカンデルSRBMをすでに移転し、またベラルーシ空軍機10機について核兵器を搭載できるように改造するのを支援したとも付言した173。
ベラルーシのルカシェンコ(Aleksandr Lukashenko)大統領は5月25日、ロシアからベラルーシへの戦術核兵器の移送が開始されたことを明らかにし、これに先立って両国は、ロシアの戦術核兵器をベラルーシ領内に設置することを認める文書に署名した174。ルカシェンコ大統領は12月、ロシアからベラルーシ領内への戦術核兵器の搬入が10月に完了したことを明らかにした175。
この間、ルカシェンコ大統領はこの問題に関して、攻勢的な発言を繰り返した。5月末には、「ロシア・ベラルーシ国家連合に参加する」意思のある国には核兵器が与えられると主張した176。6月13日には、ベラルーシ領内に配備されるロシアの戦術核兵器について、「ベラルーシに対する攻撃があれば、使用の決断をためらうことはない」177とした。ただし、ロシアは核兵器の管理・使用の権限はロシアが引き続き有していることを繰り返し明言している178。
NATO諸国
米国は、NATO加盟国のベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ及びトルコに、航空機搭載の重力落下式核爆弾をあわせて100発程度配備するとともに、核計画グループ(NPG)への加盟国の参加、並びに核兵器を保有しない加盟国による核攻撃任務への軍事力の提供といった核共有(nuclear sharing)を継続している。
2022年6月に採択された「NATO戦略概念」では、前回(2010年)の戦略概念よりも(拡大)核抑止の重要性を明確化した書きぶりとなった179。NATO加盟国は2023年も引き続き、拡大核抑止がNATOの安全保障戦略にとって極めて重要である旨の発言を行った。このうち、ドイツは6月に公表した「国家安全保障戦略」で、「核兵器が存在する限り、核抑止力を維持することはNATOと欧州の安全保障に不可欠だ」と強調した180。また、ポーランドのモラヴィエツキ(Mateusz Morawiecki)首相は、米国の核兵器を自国に受け入れる形で核共有に参加したいとの意向を改めて表明した181。しかしながら、米国がこれを検討している兆候はない。
10月には、例年実施されているNATO核兵器演習「Steadfast Noon」が、NATO加盟31カ国中13カ国の戦闘機や偵察機、並びに米国のB52戦略爆撃機など最大60機が参加して実施された。
NATO加盟を申請しているスウェーデンは、ビルストロム(Tobias Billström)外相が、「スウェーデンは何らの留保もなくNATOに加盟する。しかしながら、他の北欧諸国と同様、平時に自国の領土で核兵器を保有することは想定していない」182と発言した。
インド太平洋地域
NATO諸国以外の同盟国の領域に米国の核兵器は配備されていないが、日米間では拡大抑止協議(EDD)、また米韓間では拡大抑止政策委員会(EDPC)が、それぞれ拡大抑止に関する協議メカニズムとして設置されてきた。
6月の日米EDDについて、両国は「地域における抑止に貢献する通常戦力及び米国の核能力を検討し、同盟の戦力態勢の最適化及び抑止効果を増大させる活動の重要性を強調」したこと、「米国は、地域における米国の戦略アセットの可視性を増大させるとのコミットメントを改めて表明」したこと、日米は「同盟の調整を向上させ、敵対するミサイル脅威に対する同盟の能力及び態勢を強化することを確約」したことなどが報告された183。
また、12月に開催された日米EDDでは、「双方は、地域の安全保障環境に関する評価を共有し、地域における抑止に貢献する同盟の通常戦力及び米国の核能力を検討し、同盟の戦力態勢の最適化及び抑止効果を増大させる活動の重要性を強調し…、地域における核戦力が多様化・拡大するにつれて、一層深刻化・複雑化する核リスクに対応する、戦略的な軍備管理及びリスク低減に関するアプローチについて議論を行」ったことなどが報告された184。
米国との核共有への関心を高めてきた韓国は、2023年1月に尹錫悦(Yoon Suk Yeol)大統領が、「核兵器は米国に帰属するが、計画、情報共有、演習、訓練は韓国と米国が共同で行うべきだ」185との考えを述べた。ジャン=ピエール(Karine Jean-Pierre)米ホワイトハウス報道官は、「核の共同演習については議論していない」186と述べ、また米国は韓国への核兵器の配備、あるいは韓国との核兵器の共同運用の可能性については一貫して否定してきた。他方で、米国も拡大抑止の強化の必要性は認識しており、2月には北朝鮮による核兵器使用を想定した米韓「抑止戦略委員会机上演習」が米国防総省で実施された。
2023年4月の米韓首脳会談で採択された「ワシントン宣言」では、拡大抑止の維持・強化に関して、以下のように言及された。
米国は、その「核態勢の見直し」の宣言政策に沿って、朝鮮半島におけるいかなる核兵器の使用についても韓国と協議するためにあらゆる努力を払うことにコミットし、同盟国はこれらの協議を促進するために強固な通信インフラを維持する。尹大統領は、世界的な核不拡散体制の礎石であるNPT及び米韓原子力平和利用協力協定の下での韓国の義務に対する長年のコミットメントを再確認した。
両大統領は、拡大抑止を強化し、核・戦略計画を議論し、北朝鮮がもたらす核不拡散体制への脅威を管理するため、新たに核協議グループ(NCG)を設置することを発表した。さらに同盟は、有事における米国の核作戦に対する韓国の通常作戦支援のための共同実行と計画を可能にし、朝鮮半島における核抑止の適用に関する合同演習と訓練活動を改善するために取り組む。
バイデン大統領は、韓国と韓国国民に対する米国のコミットメントは永続的かつ鉄壁であり、北朝鮮による韓国に対するいかなる核攻撃にも、迅速かつ圧倒的で決定的な対応をとることを再確認した。…米国は、米国の核弾道ミサイル潜水艦の韓国訪問に見られるように、朝鮮半島への戦略アセットの定期的な可視化をさらに強化し、両軍の連携を拡大・深化させていく187。
ワシントン宣言で合意されたNCGは、年4回開催されることとなり、核に関する情報共有、様々な状況を想定した机上演習、米国の核作戦を韓国が支援する計画の検討などが行われる。その初会合は7月18日にソウルで開催され、北朝鮮による核兵器使用を抑止するため、核攻撃があった場合の対応を具体化していくことで合意するとともに、「米国と同盟国に対する北朝鮮のいかなる核攻撃も容認できず、北朝鮮政権の終末につながる」188と北朝鮮を強く牽制した。また、ワシントン宣言で言及された米戦略アセットの定期的に展開の一環として、SSBN「ケンタッキー」が釜山に寄港したことも明らかにされた。
9月にはソウルで第4回ハイレベル拡大抑止戦略協議グループ(EDSCG)会合が開催され、「米韓双方は、韓国に対する北朝鮮のいかなる核攻撃にも、迅速、圧倒的かつ断固として対応することを再確認した。また、米国側も、北朝鮮による米国やその同盟国に対するいかなる核攻撃も容認できず、金正恩体制の終焉につながることを改めて強調した」189。
日米韓の安全保障協力も大きく進展した。2023年8月に米キャンプ・デービッドで開催された単独での初の日米韓首脳会談では、「キャンプ・デービッド原則」、「キャンプ・デービッドの精神」、及び「日本、米国及び韓国間の協議するとのコミットメント」という3つの成果文書が発表された。「キャンプ・デービッド原則」には3カ国の共通のビジョンが列挙され、その1つとして、「日米韓3カ国は、核兵器不拡散条約の締約国として、不拡散へのコミットメントを遵守する。我々は、核兵器のない世界の実現が国際社会の共通の目標であることを再確認し、核兵器が二度と使用されないことを確保するよう引き続きあらゆる努力を尽くす」190と記された。「キャンプ・デービッドの精神」では、共通の利益を守るための日米韓による広範な取組が記載され、複数領域にわたる3カ国共同訓練の定期的な実施、弾道ミサイル防衛協力の強化、北朝鮮のサイバー活動に関する3カ国作業グループの設置、情報共有の拡大、外部からの情報操作への対抗などが含まれた191。「日本、米国及び韓国間の協議するとのコミットメント」では、「日米韓3カ国の首脳は、我々の共通の利益及び安全保障に影響を及ぼす地域の挑戦、挑発及び脅威に対する3カ国の対応を連携させるため、3カ国の政府が相互に迅速な形で協議することにコミットする」192ことが明記された。
10月には朝鮮半島南方で、日本の航空自衛隊と米韓両空軍が初めての合同空中訓練を実施し、米国の戦略爆撃機B52Hも参加した。12月には、日韓の防衛当局が、日韓間でミサイルの探知情報を(米国を経由しつつ)リアルタイムで共有するシステムが稼働したと発表した。
批判と反論
拡大核抑止に対しては、NPT準備委員会などの場で様々な批判と反論がなされた。
NAM諸国は、「締約国による核兵器の水平拡散や核共有は、条約第1条の下で核兵器国が、また条約第2条の下で非核兵器国が引き受けた核不拡散義務に対する明白な違反である。したがって、これらの締約国に対して、軍事同盟の枠組みを含め、平時・戦時を問わず、いかなる状況下でも、またいかなる種類の安全保障上の取極においても、他国との核共有に終止符を打つよう求める」193とした。ブラジルやイランなども、NATOの核共有をNPT違反だとして批判した。南アフリカは、「非核兵器国の領土に核兵器を配備し、同盟国の軍隊に核兵器使用の訓練を施すことは、条約の文言はともかく、その精神と目的とは相容れない」194と述べた。
中国は、以下のように述べて、米・同盟国の拡大抑止に関する動向を批判した。
中国は関連諸国に対して、国家安全保障及び集団安全保障のドクトリンにおける核兵器の役割を縮小し、グローバル・ミサイル防衛システムの開発と配備を中止し、アジア太平洋及び欧州における陸上配備型中距離ミサイルの配備を控え、いわゆる「拡大抑止」の強化を中止し、海外に配備された核兵器を撤退させ、アジア太平洋における「核共有」取極の再現の試みを断念し、核リスクを低減するための実際的な行動をとるよう求める。この点で、核兵器国も非核兵器国も積極的な役割を果たすべきである195。
ロシアも、欧州及びアジアにおける米国の拡大核抑止に関して、以下のように述べた196。
西側諸国からの脅威が全体的に増大するなかで、ロシア領内の広範な標的を即座に攻撃できるよう設計された米国の核兵器が欧州に保持されていることは、我々にとって大きな懸念であり、代償措置が必要である。これらの兵器を米国領土に完全に撤去し、欧州の関連インフラは解体されなければならない。
米国がすでにいわゆる「拡大抑止」を実践している世界の他の地域にも、このような方式を拡大しようとする米国の措置は、地域と世界の安全保障にとって顕著な否定的意味を持つ。特に、米韓の共同「核計画」に関する取極は、アジア太平洋地域の緊張を高め、軍拡競争に拍車をかけるものである。我々は、この形式を日本にも拡大しようという公式の呼びかけに懸念を抱いている。
上述のような批判に対して、ドイツは、「(ロシアによるベラルーシへの核兵器配備と)NATOの核共有協定との比較はミスリーディングである。旧東欧圏諸国には核兵器は配備されていない。NATOの核共有取極は、これまでも、そしてこれからも、NPTに完全に合致しており、1970年のNPT発効よりも以前から実施されていた。NATOの首脳は一貫して、核の取極は常にNPTに完全に合致しており、NPTは依然として核軍縮への唯一の信頼できる道であると述べてきた」197と反論した。バルト三国も、NATO核戦力の目的が「平和を維持し、強制を防ぎ、侵略を抑止すること」であるのに対して、ロシアによるベラルーシへの核兵器配備はNPT及びブダペスト覚書へのコミットメントに違反するものであり、グローバルな安全保障環境に悪影響を及ぼしていると批判した198。日本は答弁権を行使し、核共有を米国と協議する考えはないと明言した。
F) 核リスク低減
核軍縮の停滞・逆行が続き、核兵器の使用可能性も高まりつつあると懸念されるなか、近年、そうした懸念に対応するとともに、核軍縮に関して合意し得る数少ない具体的な施策として、核リスクの低減に対する関心が高まっている。「核リスク低減」にどのような措置を含めるかには相違がある。非核兵器国は、意図せざる核兵器使用の防止だけでなく意図的な核兵器使用の防止も核リスク低減に含め、さらに核兵器の削減や透明性の向上など核軍備管理・軍縮措置を幅広く核リスク低減の文脈で提案している。これに対して、核兵器国は、相対的に意図せざる核兵器使用の防止に重点を置いて核リスク低減に関する議論を展開している。『ひろしまレポート』では核リスク低減について、双方の主張や提案を取り上げつつ、主として「意図せざる核兵器使用の防止」と捉えて分析・評価する。
核兵器国の取組
2023年のNPT準備委員会で、中国は、核リスク低減に関する議論は、共通で包括的、協力的かつ持続可能な安全保障というビジョンを堅持すること、戦略的安定を維持し、すべての国の安全保障を損なわないという基本原則が戦略的リスク低減の努力において堅持されるべきであること、危機管理よりも危機予防を優先すべきであること、核リスク低減には核兵器国と非核兵器国の共同の努力が必要であること、並びに核リスク低減と核軍縮の関係を適切に取り扱うことといった原則に従うべきだとしたうえで、以下のような措置―その多くは、核リスク低減に焦点を当てたものではなく、中国が提唱してきた核軍縮措置であった―を列挙しつつ、核リスク低減の対話と協力を推進すべきだと論じた199。
➢ 核兵器の先行不使用
➢ 核兵器の照準解除、警戒態勢低減
➢ 特定国の集団安全保障政策における核兵器の役割の低減(核共有の終了や海外配備核兵器の撤去など)
➢ 消極的安全保証に関する法的文書
➢ 核戦争の防止
➢ 核不拡散体制の維持(非核兵器国に兵器級核分裂性物質などを移転しないことなど)
➢ 原子力施設の安全・セキュリティ
➢ 世界の戦略的安定(ミサイル防衛システムの開発・配備の中止など)
➢ 新興技術がもたらす安全保障上の課題
➢ 核軍縮検証
ロシアは、「原則的な問題として、核リスク低減は、戦略的リスクの最小化という、より広い文脈のなかで、関連する諸要因の相互関係を考慮した包括的なアプローチに基づいて検討されるべきであると考える。この分野における新たな措置は、損なわれた国際安全保障体制を修復し、公平な対話を通じて核兵器国間に生じる矛盾の根本原因に対処することにより、核兵器国間の紛争の可能性を最小化するプロセスにシームレスに統合されるべきである」200と述べた。
他方、サリバン米国家安全保障担当大統領補佐官は、戦略的リスク削減に関する多国間フォーラム、特に5核兵器国間の対話の重要性を指摘し、5核兵器国は「対話、透明性、合意の組み合わせを通じて、核リスクと軍拡競争の圧力を管理する機会を提供する」と述べた。また、核兵器の指揮・統制・使用に関する「ヒューマン・イン・ザ・ループ」(核兵器使用の決定には必ず人間が関与すること)の維持、5核兵器国間の危機管理連絡チャネルの確立、核政策・ドクトリン・予算に関する透明性の確保、並びに非核戦略的能力と核抑止力の相互作用を管理するためのガードレールの設定といったリスク削減策を提案した201。
5核兵器国は2022年1月以降、核リスク低減を含め核問題に関する共同声明を発出していない。他方、2022年2月のロシアによるウクライナ侵略以降は開催されてこなかった5核兵器国の会合については、2023年2月初めの核不拡散問題に関する作業部会に続いて、6月13~14日に実務者専門家会合がカイロで開催され、詳細は明らかにされていないものの、戦略的リスク及びリスク低減措置が議論された。
また、米中間では、11月6日にオバマ政権以降では初めてとなる局長級の軍備管理協議が開催されたのに続いて、同月15日の米中首脳会談では、ハイレベルの軍・軍コミュニケーション、米中国防政策調整協議、米中軍事海洋協議の再開に合意した202。
非核兵器国の提案
NPT準備委員会では、非核兵器国からも、核リスク低減に関して様々な提案がなされた。
この問題に近年、積極的に提案を行ってきたストックホルム・イニシアティブ(カナダ、ドイツ、インドネシア、日本、カザフスタン、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、韓国、スウェーデン、スイスなど14カ国が参加)は、NPT準備委員会で、広義の核リスク低減措置に言及した。また、オーストリアやメキシコなどTPNWに賛同する11カ国も、広義の核リスク低減に関して作業文書を提出した203。NAM諸国は、特に核兵器の非人道性の観点から核リスク低減の必要性・重要性を強調した204。また、豪州及びフィリピンは2023年3月にブリスベンで、第2回ASEAN地域フォーラム核リスク低減ワークショップを共催した。
NACやNAM諸国は、核リスク低減の必要性を一定程度認めつつ、他方でそれは核兵器の保有を正当化するものではなく、あくまでも核兵器廃絶までの間の暫定的な措置で、核軍縮の代替策ではないと強調した。イランはさらに、「いわゆる『リスク低減措置』を、現状を維持し、核兵器国間の新たな核軍拡競争を管理しようとする試みと見ている」205とも主張した。南アフリカも、「抑止力の価値を維持しながらリスクを低減する努力をすることは矛盾しており、核軍縮に何の価値も貢献もない」206と述べ、さらに厳しく批判した。
144 Guy Faulconbridge and Felix Light, “Putin Ally Warns NATO of Nuclear War If Russia Is Defeated in Ukraine,” Reuters, January 19, 2023, https://www.reuters.com/world/europe/putin-ally-medvedev-warns-nuclear-war-if-russia-defeated-ukraine-2023-01-19/.
145 「クリミア攻撃されれば『核兵器使用の根拠になる』 ロシア前大統領」『朝日新聞』2023年3月24日、https://digital.asahi.com/articles/ASR3S6K7FR3SUHBI02M.html。
146 “War Can Be Ended Quickly Either Through Peace Treaty or Nuclear Weapons: Top Russian Official,” Anadolu Ajansi, July 5, 2023, https://www.aa.com.tr/en/europe/war-can-be-ended-quickly-either-through-peace-treaty-or-nuclear-weapons-top-russian-official/2937713#.
147 Josh Pennington, Alex Stambaugh and Brad Lendon, “Medvedev Says Russia Could Use Nuclear Weapon If Ukraine’s Fightback Succeeds in Latest Threat,”CNN, July 31, 2023, https://edition.cnn.com/2023/07/31/europe/medvedev-russia-nuclear-weapons-intl-hnk/index.html.
148 “Statement of the United States,” General Debate, First PrepCom for the 11th NPT RevCon, July 31, 2023.
149 “Statement of Japan,” Cluster 1, First PrepCom for the 11th NPT RevCon, August 3, 2023.
150 “Statement of Russia,” Cluster 1, First PrepCom for the 11th NPT RevCon, August 3, 2023.
151 “Expanded Meeting of Defence Ministry Board,” Kremlin, December 19, 2023, http://en.kremlin.ru/events/president/news/73035.
152 “Report on 6th Enlarged Plenary Meeting of 8th WPK Central Committee,” KCNA, January 1, 2023, http://www.kcna.co.jp/item/2023/202301/news01/20230101-18ee.html.
153 “Respected Comrade Kim Jong Un Watches Fire Assault Drill,” KCNA, March 10, 2023, http://www.kcna.co.jp/item/2023/202303/news10/20230310-01ee.html.
154 “Nuclear Counterattack Simulation Drill Conducted in DPRK,” KCNA, March 20, 2023, http://www.kcna.co.jp/item/2023/202303/news20/20230320-01ee.html.
155 National Intelligence Council, “North Korea: Scenarios for Leveraging Nuclear Weapons Through 2030,” January 2023.
156 “Statement of China,” Cluster 1, First PrepCom for the 11th NPT RevCon, August 3, 2023.
157 “Law on DPRK’s Policy on Nuclear Forces Promulgated.”
158 United Kingdom, Global Britain in a Competitive Age.
159 NPT/CONF.2015/10, March 12, 2015.
160 Ibid.
161 たとえば、“Statement by Russia in Exercise of the Right of Reply,” 10th NPT RevCon, August 2, 2022 などを参照。
162 NPT/CONF.2026/PC.I/WP.14, June 14, 2023.
163 NPT/CONF.2020/41, November 16, 2021.
164 フランスは、非核兵器国の安全の保証に関する1995年4月の一方的声明でなされた「コミットメントが法的拘束力のあるものだと考え、そのように述べてきた」との立場である。NPT/CONF.2015/PC.III/14, April 25, 2014.
165 A/RES/78/18, December 4, 2023.
166 “Statement by the Philippines on behalf of the ASEAN,” First PrepCom for the 11th NPT RevCon, July31, 2023.
167 “SEANWFZ: US Committed to Non-Proliferation Regime: Blinken,” ANTARA News, July 15, 2023, https://en.antaranews.com/news/288390/seanwfz-us-committed-to-non-proliferation-regime-blinken.
168 NPT/CONF.2026/PC.I/WP.10, June 14, 2023.
169 “Statement by the Agency for the Prohibition of Nuclear Weapons in Latin America and the Caribbean (OPANAL),” First PrepCom for the 11th NPT RevCon, July31, 2023.
170 “Statement by Russia,” First PrepCom for the 11th NPT RevCon, August 1, 2023.
171 “Statement of the United States,” Cluster 2, First PrepCom for the 11th NPT RevCon, August 7, 2023.
172 “Putin Says Russia Will Station Tactical Nukes in Belarus,” Associated Press, March 26, 2023, https://www.asahi.com/ajw/articles/14870313.
173 “Why Does Russia Want Tactical Nuclear Weapons in Belarus?” Mainichi Newspapers, March 28, 2023, https://mainichi.jp/english/articles/20230328/p2g/00m/0in/016000c.
174 “Moscow, Minsk Sign Documents on Placing Russian Tactical Nuclear Weapons in Belarus,” Radio Free Europe / Radio Liberty, May 25, 2023, https://www.rferl.org/a/russia-belarus-tactical-nuclear-weapons-agreement-signed/32427691.html.
175 “Belarus Leader Says Russian Nuclear Weapons Shipments Completed, Raising Concern in Region,” Associated Press, December 25, 2023, https://www.voanews.com/a/belarus-leader-says-russian-nuclear-weapons-shipments-are-completed-raising-concern-in-the-region/7412211.html.
176 Mariya Knight, Uliana Pavlova and Helen Regan, “Lukashenko Offers Nuclear Weapons to Nations Willing ‘to Join the Union State of Russia and Belarus’,” CNN, May 28, 2023, https://edition.cnn.com/2023/05/28/europe/lukashenko-nuclear-weapons-belarus-russia-intl-hnk/index.html.
177 “Leader of Belarus Says He Wouldn’t Hesitate to Use Russian Nuclear Weapons to Repel Aggression,” Associated Press, June 13, 2023, https://apnews.com/article/russia-belarus-lukashenko-nuclear-weapons-6f97b76288f8cb9c0490c5151d588b3e.
178 “Belarus Leader Says Nuclear Arms Will Not Be Used,” Reuters, June 30, 2023, https://www.reuters.com/world/europe/belarus-leader-says-nuclear-arms-will-not-be-used-2023-06-30/.
179 NATO, Strategic Concept, June 29, 2022, p. 8.
180 Germany, National Security Strategy, 2023, p. 32.
181 Joseph Trevithick, “Poland Wants to Host NATO Nukes to Counter Russia,” The War Zone, June 30, 2023, https://www.thedrive.com/the-war-zone/poland-wants-to-host-nato-nukes-to-counter-russia.
182 Tobias Billström, “Statement of Foreign Policy 2023,” Government Offices of Sweden, February 15, 2023, https://www.government.se/speeches/2023/02/statement-of-foreign-policy-2023/.
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187 “Washington Declaration,” White House, April 26, 2023, https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2023/04/26/washington-declaration-2/.
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189 U.S. Department of State, “Extended Deterrence Strategy and Consultation Group,” September 15, 2023, https://www.state.gov/joint-statement-on-extended-deterrence-and-consultation-group/.
190 「キャンプ・デービッド原則」日米韓首脳会談、2023年8月18日、https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100541769.pdf。
191 「日米韓首脳共同声明:キャンプ・デービッドの精神」日米韓首脳会談、2023年8月18日、https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100541771.pdf。
192 「日本、米国及び韓国間の協議するとのコミットメント」日米韓首脳会談、2023年8月18日、https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100541773.pdf。
193 “Statement by the NAM countries,” Cluster 2, First NPT PrepCom, August 4, 2023.
194 “Statement of South Africa,” General Debate, First PrepCom for the 11th NPT RevCon, July 31, 2023.
195 “Statement of China,” General Debate, First PrepCom for the 11th NPT RevCon, August 1, 2023.
196 “Statement of Russia,” Cluster 1, First PrepCom for the 11th NPT RevCon, August 3, 2023.
197 “Statement by Germany,” First PrepCom for the 11th NPT RevCon, July31, 2023.
198 “Statement by Estonia, Latvia and Lithuania,” General Debate, First PrepCom for the 11th NPT RevCon, July31, 2023.
199 NPT/CONF.2026/PC.I/WP.30, August 2, 2023.
200 “Statement of Russia,” Cluster 1, First PrepCom for the 11th NPT RevCon, August 3, 2023.
201 Theresa Hitchens, “White House Pushes P-5 Agreement on Missile Launch Notification, Prods China to Talk,” Breaking Defense, June 2, 2023, https://breakingdefense.com/2023/06/white-house-pushes-p-5-agreement-on-missile-launch-notification-prods-china-to-talk/.
202 “Readout of President Joe Biden’s Meeting with President Xi Jinping of the People’s Republic of China,” November 15, 2023, https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2023/11/15/readout-of-president-joe-bidens-meeting-with-president-xi-jinping-of-the-peoples-republic-of-china-2/.
203 NPT/CONF.2026/PC.I/WP.24, July 25, 2023.
204 NPT/CONF.2026/PC.I/WP.5, June 13, 2023.
205 “Statement of Iran,” Cluster 1, First PrepCom for the 11th NPT RevCon, August 3, 2023.
206 “Statement of South Africa,” Cluster 1, First PrepCom for the 11th NPT RevCon, August 3, 2023.