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国際平和拠点ひろしま

Hiroshima - ICAN Academy2019核兵器と安全保障を学ぶ広島‐ICANアカデミー 『研修成果発表及び意見交換会』

令和元年(2019年)に広島県とノーベル平和賞受賞団体「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」が核兵器と安全保障を学ぶ広島-ICANアカデミーを初めて開催しました。

最終日である8月8日には,参加者が研修の成果を発表し一般聴講者との意見交換を行いました。

 

その他の2019核兵器と安全保障を学ぶ広島-ICANアカデミー開講レポートはこちら

 

概要

◆ 日 時:令和元年8月8日(木)10:00-12:00

◆ 場 所:TKPガーデンシティ広島「パール(会議室)」
      (広島市中区中町8-18 広島クリスタルプラザ2F)

◆ 来場者:約30名

発表及び意見交換

(1)グループ1

William Fremont-Barnes(英国), Cameron Finch(米国), Haruka Miyata(日本・広島), Remco Frank(オランダ)

題名:人類共通のもの 被爆者証言の共有(Common Humanity   Sharing the stories of the Hibakusha)

内容 

・李鐘根氏と小倉桂子氏の被爆体験講話

何気ない日常の一コマが命運を分けたことや,生き残った者としての後悔と罪悪感,差別を恐れ長らく被爆体験を語らなかったことなどを紹介。被爆者の高齢化が進む中,若い世代に伝えていくことが必要と主張。

・被爆ピアノ

ショパンを愛した河本明子さんのエピソードや,ピアノを復元し平和のメッセージを伝えていることを紹介。

・グローバル・ヒバクシャ

広島・長崎だけではなく,核実験や原発事故による被曝者について紹介。マーシャル諸島やカザフスタンの核実験場の放射線被害が世代を超えて生じていることを説明。これらの事実を社会に共有する必要がある。

提言

被爆者の体験を共有する場として,オンライン・プラットフォームの構築を提言。地図上のある地点をクリックするとその場所で被爆した方の体験を読むことができるような仕組みを多言語で作ることができないか。

(2)グループ2

Nour Assaf(フランス/レバノン), Jannis Keppelmann(ドイツ),  Magritte Gordaneer(米国)

題名:軍縮における国際法と規範(International Law and Norms in Disarmament)

内容 

・核兵器廃絶の規範(norm)

規範とは社会によって決定される行動様式。出現期,多段的実施,内部化の三段階を取る。核兵器不拡散条約(NPT)などとは異なり,核兵器廃絶の規範は依然として社会に受け入れられていない。

・国際法

規範は条約や国際的な合意などの形をとる。条約や合意は,二国間のものと多国間のものとう二種類の形態をとる。多国間条約の例として,NPTや核兵器禁止条約(TPNW)がある。これらの条約は,十分な数の国々の署名や批准が得られない,また,中距離核戦力(INF)全廃条約やイランの核合意などのように脱退が自由にできるという限界がある。

・国際慣習法

法的確信(opinio juris)と一般的慣行(general practice)で構成。多くの国々は核兵器に依存していないため一般的慣行はもっている。法的確信はどうか。この点が国際法の専門家が,TPNWの発効を望んでいる理由。

提言

規範を変えていくためには,上からのプレッシャー,市民社会の下からのプレッシャーというものが有効ではないか。より多くの人が参加すれば,より大きなプレッシャーを政府に与えることができる。

(3)グループ3

Ding Yi(中国), Sara Beth Marchert(米国)

題名:何が核兵器に固執する根本的な動機なのか 北朝鮮の事例から(What are the principle motivations for a state to pursue nuclear weapons? A Case Study of the Democratic People’s Republic of Korea)

内容 

・核兵器保有の動機

大きく分けて,①安全保障,②国内政治(官僚主義,経済的利益,技術的優位性),③規範(大国は核兵器を保有する)の三つに分けられる点を紹介。

・北朝鮮の場合

①米国の脅威,②韓国との統一と圧力(経済的・商業的劣位を核保有によって補う),③ロシアと中国による北朝鮮との同盟関係の見直しが核兵器保有の動機となったと説明。

提言

朝鮮半島を非核地域とすることにより,安全保障上の不安を払拭する。
国力を軍事力ではなく,環境や平和への取組など,新たな基準によって評価する仕組みを作る。

(4)グループ4

Su-Yi Lew(オーストラリア),Satoshi Yanaizu(日本),Karel Brackeniers(ベルギー)

題名:代替的な安全保障の説明 核抑止の概念にどのように立ち向かうのか(Alternative security narrative How to challenge the concept of nuclear deterrence?)

内容 

・講義の中で核保有国の外交官は,もし今核兵器が一斉になくなったら,世界は破滅的な結果が生じると主張。米ロは相互確証破壊(MAD)という考えのもと核抑止を主張。また,日本やドイツのように核の傘に入っている国があるということが,核兵器の利益を一国の者から国際的なものにしている。
・もっとも広範に受け入れられている軍縮アーキテクチャーはNPT。

提言

新しい安全保障の論理展開として,国家は国益に沿って行動するアクターであることを踏まえて軍事的な利益以外に,経済的利益や,核廃絶を推進することで国の位置づけを向上できるのではないか。

(5)グループ5

Grace Shong(韓国),Maxence Gallice(フランス),Galina Salnikova(ロシア)

題名:Civil Society in Action Youth getting involved in disarmament!

内容 

・様々なアクターによる活動

500を超える市民社会の組織が核軍縮と廃絶のために活動しており,市民社会の重要性は,政府への圧力と一般市民への啓発などであると説明。

提言

・平和教育・情報発信

中国新聞社の取組を例に,グローバル・ヒバクシャのストーリーを,雑誌やラジオ,映画祭などで発信すると世界中に広がる。SNSも活用する。

研修成果を発表する受講生

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