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国際平和拠点ひろしま

(2) 核セキュリティ・原子力安全にかかる諸条約などへの加入、参加、国内体制への反映

A) 核セキュリティ関連の条約への加入状況

2001 年9 月11 日の米国同時多発テロ以来、原子力発電施設へのテロリストの攻撃が現実的な脅威となるなか、核セキュリティのみならず、原発での事故を防止する観点に立つ原子力安全や、原子力の軍事転用を防止するための保障措置も含めて、それぞれのオーバーラップする領域(セーフティとセキュリティのインターフェース)に焦点を当てた取組が進められている31。この点に関し、ICONS 2020 の共同議長報告は会議の議論のなかで、セキュリティとセーフティのインターフェースが重要な分野として、核物質の輸送、原子力発電所の物理的防護計画、使用済放射線源の廃棄、保障措置の実施、核セキュリティ計画の作成、並びに規則の制定及び実施が強調されたとしている32。
核セキュリティ及び原子力安全に関する条約としては、核物質の防護に関する条約(核物質防護条約、CPPNM)とその改正(CPPNM/A)、核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約(核テロ防止条約)に加えて、原子力の安全に関する条約(原子力安全条約)、原子力事故の早期通報に関する条約(原子力事故早期通報条約)、使用済燃料管理及び放射性廃棄物管理の安全に関する条約(放射性廃棄物等安全条約)、及び原子力事故又は放射線緊急事態の場合における援助に関する条約(原子力事故援助条約)などが成立してきた。原子力安全条約以降の条約では、安全上の防護措置を課すことが定められている。こうした防護措置は核セキュリティ上の防護措置にも援用できることから、本報告書において核セキュリティに関連する国際条約とみなしている。本調査対象国のこれらの条約への加入状況は、表3-4 のとおりである。
核セキュリティ関連条約については、ICONS 2020 の閣僚宣言において、2021 年に開催予定のCPPNM 運用検討会議に向けて、締約国が条約の普遍化及び履行を推進し続けること、並びに核テロ防止条約などの関連する国際的な法的文書の重要性が再確認された33。
これらの条約の普遍化に向けた取組に関して、IAEA では事務局長がCPPNM の未締約国及びCPPNM/A の未批准国に対し、それらの条約の締結または批准を奨励する公式書簡を2020 年1 月に発出した34。また、7 月にはCPPNM の未締約国及びCPPNM/A の未批准国を対象としたウェビナーをIAEA が開催した35。

2021 年CPPNM 運用検討会議に向けた準備については、IAEA は条約締約国による条約の履行及び妥当性に関する検討を促すことを目的として6 月に法律及び技術専門家会合を開催したほか36、12 月にも準備のための技術会合を開催した。2016 年のCPPNM/A 発効後初となるこの運用検討会議では、各国の核セキュリティが持続可能かつ前向きに改善されている実態が詳らかになることが強く期待される。
また、これらの条約に関する他の国際機関の取組については、国連薬物犯罪事務所(UNODC)がバルバドス政府との共催で、2020 年2 月に核テロ防止条約、CPPNM及びCPPNM/A の普遍化と効果的な履行の促進を目的として一部のカリブ諸国を対象とした地域ワークショップを開催し、参加した12 カ国の間で情報交換が行われた37。さらに、2 月にはフィリピンにおいて核テロ防止条約に関する国内ワークショップを開催したほか、3 月にはIAEAとの協力の下、ウガンダにおいて核テロ防止条約の締結及びCPPNM/A の批准とそれらの履行を促すためのハイレベルの会合と国内ワークショップを実施した38。
これらの条約に関する2020 年9 月時点における新たな署名・批准は以下のとおりである。

CPPNM39(1987 年発効):2020 年9月時点の締約国数162 カ国。アンゴラ及びエリトリアが新たに加入。2016 年以降の新たな加入国数は2017 年を例外として毎年2〜3カ国であり、継続的な増加が維持されてきている。
CPPNM/A40(2016 年発効):2020 年9 月時点の批准国数125 カ国。アンゴラ及びエリトリアが新たに批准。近年の新規批准国数は、2016 年が15 カ国、2017 年が7 カ国、2018 年が3 カ国、2019 年が5 カ国であり、2020 年は近年で最も少ない結果となった。

核テロ防止条約(2007 年発効)41:2020 年11 月時点の締約国数117 カ国。セントクリストファー・ネービスが新たに批准。近年の新規締約国数は、2016 年が7 カ国、2017 年が6 カ国、2018 年が1 カ国、2019 年が2 カ国となっている。
原子力安全条約(1996 年発効)42:2020 年9 月時点の締約国数89 カ国。アンゴラが新たに批准。2019 年の批准国数は3 カ国。
原子力事故早期通報条約(1986 年発効)43:2020 年9月時点の締約国数127 カ国。コートジボワールとエリトリアが新たに批准。2019 年の批准国数は1カ国。
原子力事故援助条約(1987 年発効)44:2020 年9 月時点の締約国数122 カ国。コートジボワール、エリトリア及びナミビアが新たに批准。2019 年の批准国数は2 カ国。
放射性廃棄物等安全条約(2001 年発効)45:2020 年3 月時点の締約国数83 カ国。エリトリアが新たに批准。2019 年の批准国数は2 カ国。

このように、すべての条約について締約国数の漸増が見られた。また、1つの国が複数の条約に新たに加入しており、さらに今回の新たな条約加入国はすべてアフリカ地域の国々であったことから、これらの条約の普遍化推進の重点的な取組による成果であることが窺える。
次に、本調査対象国のこれらの条約の署名・批准にかかる動向について、ICONS2020 における公式声明での言及は以下のとおりである。

➢ フィリピン46:外務省がCPPNM/A 及び核テロ防止条約の批准に向けて必要な国内プロセスを再開した。
➢ パキスタン47:核テロ防止条約への加入を引き続き積極的に検討している。

これら2 カ国以外に核セキュリティ関連条約への加入を巡る進展に動きは見られなかった。
続いて、核セキュリティ関連条約の国内体制への反映について、本調査対象国がICONS 2020 における公式声明などで明らかにした内容を以下にまとめる。

➢ インドネシア48:核物質、放射線源及び規制を外れた物質のセキュリティに関する規定を取り入れた原子力エネルギー法の改正を行っている。
➢ ニュージーランド49:国内の放射性及び核物質の確実な保管及び管理を可能な限り徹底すべく、最新の放射線安全法を実施している。
➢ エジプト50:IAEA の支援を得て起草した、核物質及び放射線源の移動を厳重に規制する法令を2020 年初頭までに整備する予定である。
➢ UAE51:強固な法規制枠組みを確立し、これらの条約(CPPAM/A 及び核テロ防止条約)及びグローバルな最良慣行の完全な実施を確保するための様々な措置を取り入れた。

また、条約の完全な履行との関連では、CPPNM第14 条は締約国に対し条約の実施のための国内法令を寄託者であるIAEA に通報することを義務付けており、近年では各国の核セキュリティに関する措置の透明性や情報共有の観点からも、かかる通報が重視されてきている。この点に関し、IAEA の2020 年の「核セキュリティ報告」によれば、2019 年7 月から2020 年6 月までの期間に新たに8カ国が第14 条に基づき情報を提出した52。なお、提出時期は不明であるが、イスラエルはICONS 2020 での公式声明において、その義務を果たしたと発表した53。
さらに、2021 年CPPNM 運用検討会議に関して、ICONS 2020 やIAEA 総会などで本調査対象国が言及した内容についても以下にまとめる。

➢ 豪州54:締約国が条約の国内実施の向上のために行っている慣行を活発に共有するような生産的な運用検討会議となることを期待する。
➢ ベルギー55:2021 年運用検討会議及びその準備作業がCPPNM 及びCPPNM/A の効率性を評価する一助となるとともに、条約の普遍化と効果的な実施を促進するものとなることを期待する。
➢ ノルウェー56:今後も定期的な運用検討会議を継続すべきであり、CPPNM/A の普遍化及びすべての条約義務の効果的な実施のためのIAEA の取組を完全に支持する。
➢ ナイジェリア57:スイスとともに2021年CPPNM 運用検討会議の共同議長を務める。

B)「核物質及び原子力施設の物理的防護に関する核セキュリティ勧告」改訂5 版(INFCIRC/225/Rev.5)
IAEA は2011 年に「核物質及び原子力施設の物理的防護に関する核セキュリティ勧告」改訂5版(INFCIRC/225/Rev.5)を刊行した。これが2020 年時点で最新の「勧告」である。INFCIRC/225/Rev.5 の勧告措置に準拠した物理的防護措置を導入・履行するとともに課題を炙り出し、個別の対応策をいかに打ち出すかはすべて国家の責任であり、各国の規制当局と事業者の取組に委ねられている。
したがってINFCIRC/225/Rev.5 で勧告された措置について、各国がその導入や適用状況にかかる情報発信を行うことは重要であるが、2016 年の核セキュリティサミット・プロセスの終了後、そうした情報発信の量は減少している。そうしたなかで開催されたICONS 2020 において、本調査対象国が直接的・間接的に同勧告措置への対応について言及した内容は以下のとおりである。

➢ パキスタン58:INFCIRC/225/Rev.5 に則した核物質及び原子力施設の物理的防護に関する規則であるPAK/925 を施行した。
➢ イラン59:新たに建設中の2 基の原子力発電所にかかるロシアとの契約は、関連するINFCIRC/225/Rev.5 の勧告を視野に入れている。
➢ イスラエル60:IAEA の「核物質及び原子力施設の物理的防護に関する勧告」に加えて、国際的なイニシアティブへの参加を通じて得た慣行も実施しているほか、国内の原子力施設では国際的な要請事項や勧告に加えて、国内法や最良慣行を超える最高水準の物理的防護措置を講じている。
➢ ナイジェリア61:関連するIAEA の核セキュリティシリーズの指針や勧告を施設、並びに核物質及び放射性物質の取り扱いにおいても適用している。

なお、INFCIRC/225/Rev.5 は刊行から10 年が経とうとしており、IAEA はその改訂の必要性に関する議論を継続するプロセスをバーチャルで開始した62。この改訂にかかる議論に関して、カナダはICONS2020 で自発的に公表した進捗報告のなかで、主導的な役割を果たしていると報告した63。
法令整備の分野については、以下のような言及がなされた。

➢ イスラエル64:物理的セキュリティ及びサイバーセキュリティをも含む核セキュリティのあらゆる側面について、政府機関から規制当局に至るまで、すべての監督責任と説明責任を法律で定めている。
➢ ポーランド65:核物質及び原子力施設の物理的防護に関する2008 年の規制の改正を行っている。
➢ ブラジル66:ハイレベルの省庁間諮問組織である原子力プログラム開発委員会(The Committee for Nuclear Pro-gram Development)が、原子力技術及び物質の安全、セキュリティ及び保障措置に関連した文化を改善するための規制や勧告に責任を持つ独立した規制当局の設置を決定した。

脅威の同定及び評価については、以下のような言及がなされた。

➢ カナダ67:セキュリティの必要性が高い原子力施設の設計基礎脅威(DBT)を更新するため、徹底した分析及び評価プロセスを現在実施している。
➢ ポーランド68: DBT に関する国内ワークショップの開催を2020 年3 月に予定しており、これは新たなDBT 策定のためのタスクフォース設置を支援するものとなる。
➢ パキスタン69:既存の脅威評価/DBTの対象となっているすべての原子力施設においてパフォーマンス基準による規制手法を実施している。

妨害破壊行為に対する物理的防護措置については、パキスタンが枢要区域(vitalareas)の機器や構造物への妨害破壊行為に対する防護のための措置を規制で要求していることを明らかにした70。また、メキシコについても2020 年に核物質及び原子力施設に対する妨害破壊行為からの防護措置に関する国内トレーニングコースを実施する予定であると発表した71。

内部脅威への対策も核セキュリティ上の重要な課題の1 つとなっている72。この分野における取組として、IAEA は2020 年1 月、核セキュリティシリーズNo.8 として2008年刊行の「内部脅威に対する予防及び防護措置」の改訂版をNo.8-G(Rev.1)として発行した。この改訂版は、内部脅威に対処するための措置の選択、実施及び評価に関する最新の指針を国、国の当局及び事業者、並びに荷送者や運搬者に提示するものである73。
内部脅威対策の取組に関して、本調査対象国がICONS 2020 の公式声明や配布資料、またサイドイベントで言及した内容は以下のとおりである。

➢ パキスタン74:個人の信頼性及び信用性の初回確認及び継続監視を行うための内部脅威緩和措置の確立、維持及び実施を規制で要求している。また、内部脅威者による行為の機会を最小限にすべく、標的物に対する人または機器による無許可のアクセスを拒否できるように物理的防護システムを設計しなければならないこととしている。
➢ メキシコ75:核物質に対する内部脅威の防止及び防護措置に関する国内トレーニングコースを2020 年に実施する予定である。
➢ ベルギー76:内部脅威の緩和に関する初の試験的なIAEA の上級トレーニングコースを2021 年に開催する予定である。
➢ 米国77: 2016 年に米国が提案した「内部脅威の緩和に関する共同声明」(INFCIRC/908)を前進させるため、国際的な作業グループを新たに設立する。
➢ フランス78:セキュリティに関する新たな問題、特に内部脅威への対応にコミットしており、「内部脅威の緩和に関する共同声明」への参加を表明する。

サイバー脅威については、世界の原子力施設で四半世紀の間に23 件のサイバー攻撃事例があったとされているほか79、新技術の発展や急速な技術進化も見られることから、情報セキュリティ及びコンピュータ・セキュリティの強化は従来にも増して重要な課題となっている。ICONS 2020 の閣僚宣言では、コンピュータ・セキュリティに対する脅威とともに、原子力関連施設、核物質及び放射性物質の使用、貯蔵並びに輸送を含む関連活動に対するサイバー攻撃の脅威に関する認識が示され、IAEA 加盟国に対し、機微情報及びコンピュータ・ベースのシステムの保護の強化が要請されている。また、IAEA に対し、コンピュータ・セキュリティ分野における国際協力を発展させ、加盟国からの要請に基づく支援をさらに続けるよう奨励されている80。こうしたコンピュータ・セキュリティの重要性を受け、ICONS 2020 ではこのテーマに特化した8 つの技術セッションが開催され、リスク管理、脅威評価、今後の動向と活動など様々な観点から議論が行われた。たとえば、サイバー攻撃がもつ動的な性質が脅威評価あるいはDBT の策定や使用における従来の伝統的なアプローチにいかなる挑戦をもたらすのかといった点や、脅威や搾取を検知しそれらから防護するための戦略を策定するために、かかる脅威や搾取のシナリオの模擬・分析が可能な強靭性のある核プロセスのシミュレーションを行う必要性に関する議論がなされた81。
この分野における2020 年のIAEA の取組としては、「核セキュリティのためのコンピュータ・セキュリティ(仮称)」及び「原子力施設のためのコンピュータ・セキュリティ技術(仮称)」と題する実施指針案の刊行の承認がある。またIAEA は、コンピュータ・セキュリティの必要性にかかる意識向上を目的として、核セキュリティ事案の防止・検知及び事案対応に関する「サイバー・ビレッジ」と称する技術的なデモンストレーションをICONS 2020 のサイドイベントとして実施した82。
ICONS 2020 の本調査対象国の公式声明におけるコンピュータ・セキュリティに関する言及は以下のとおりである。

➢ ブラジル83:原子力システムのサイバーセキュリティも政府の優先事項である。新たなサイバーセキュリティ国家戦略の下、政府は長年必要とされてきたサイバー脅威に対するガバナンス、防止及び緩和のための指針(guideline)を示した。これには規範的側面や戦略的パートナーシップも含まれ、IAEAとの国際的な協力が重視されている。
➢ カ ナ ダ 84 : 原子力安全委員会(Canadian Nuclear Safety Commission:CNSC)が、関連する許認可要件要項にサイバーセキュリティ上の要件を盛り込み、事業者は2019 年から2020 年を完了目標として新たな基準を実施している。また、CNSC は国内の原子力発電所でサイバーセキュリティ検査を実施しており、新たな基準の実施が完了した時点で更新されたプログラムを検査することとしている。さらに、国の原子力ラボについてもサイバーセキュリティ上の要求事項に関する検査を行う予定である。
➢ 英国85:進化する技術に合わせ、サイバーセキュリティに関するさらなるグローバルな取組が必要であると認識している。2017 年に民生用原子炉のための「サイバーセキュリティ戦略」を発表した。そのなかで、原子力部門がサイバー攻撃から防御され、また回復することを可能とする措置が提示されている。
➢ 日本86:技術進化を適切に考慮したうえで、サイバーセキュリティを含め、原子力施設における核セキュリティ措置をさらに向上させることは重要な課題であると捉えている。
➢ パキスタン87:安全上及び物理的防護上の重要な機能に関連するコンピュータ、通信システム及びネットワークをサイバー攻撃から防護することを規制で要求している。
➢ ドイツ88:コンピュータ・セキュリティに関する事項を勧告レベルの文書に盛り込むため、またこの分野におけるキャパシティ・ビルディングを強化するためのIAEA の取組を強く支持する。
➢ 豪州89:3 月に東アジア及び太平洋諸国を対象とした原子力施設のコンピュータ・セキュリティ上の緊急時対応に関するIAEA の地域トレーニングコースを開催した。

核セキュリティ文化に関しては、本調査対象国が以下の発表や取組を行った。

➢ ブラジル90:核セキュリティ文化の醸成に関与している。核セキュリティ上の脅威への対応にかかる技術的スキルや最良慣行の共有に関して、すべての原子力利用国からのあらゆる貢献を重視している。
➢ エジプト91:IAEA とともに、2020 年2月に核セキュリティ文化の自己評価に関する国内ワークショップを実施した。

➢ サウジアラビア92:1 月に原子力安全及び核セキュリティのインターフェースを含む双方の文化に関する国内ワークショップをIAEA とともに実施した。


31 International Nuclear Safety Group, “INSAG-24: The Interface Between Safety and Security at Nuclear Power Plants,” IAEA, 2010.
32 “Co-Presidents’ Report,” ICONS 2020, February 2020, p. 23.
33 “Ministerial Declaration,” ICONS 2020, February 2020, p. 2.
34 IAEA, Nuclear Security Report 2020, GOV/2020/31-GC (64)/6, August 12, 2020, p. 22.
35 “Webinar on the Convention on the Physical Protection of Nuclear Material (CPPNM) and Its Amendment,”
https://www.iaea.org/sites/default/files/20/07/the-convention-on-the-physical-protection-of-nuclear-material-cppnm-and-its-amendment.pdf. CPPNM の未加入国には核物質を保有しておらず加入のメリットや必要性を感じていない国もあるため、加入によるメリットについての理解向上を通じても条約加入の促進が図られている。
36 IAEA, IAEA Annual Report 2019, GC (64)/3, pp. 12-13; IAEA, “Nuclear Security Report 2020, GOV/2020/31-GC(64)/6,” August 12, 2020, p. 4.
37 “UNODC Supports CARICOM Countries to Act against Risks of Nuclear Terrorism,” UNODC, 2020, https://www.unodc.org/unodc/en/terrorism/latest-news/2020_unodc-supports-caricom-countries-to-act-against-risks-ofnuclear-terrorism.html.
38 “UNODC Promotes the International Legal Framework Against Nuclear Terrorism in the Philippines,” UNODC,2020, https://www.unodc.org/unodc/en/terrorism/latest-news/2020_unodc-promotes-the-international-legal-framework-against-nuclear-terrorism-in-the-philippines.html; “UNODC Promotes the International Legal Framework Against Nuclear Terrorism in Uganda,” UNODC, 2020, https://www.unodc.org/unodc/en/terrorism/latest-news/2020_unodc-uganda-nuclear-terrorism.html.
39 権限のない核物質の受領、所持、使用、移転、変更、処分または散布により人的・財産的被害を引き起こすことや、核物質の盗取などの行為を犯罪化することを義務付けており、核プログラムを保有していない国々を含めた条約の普遍化の取組が引き続き重要である。
40 平和利用目的の核物質及び原子力施設の防護に関して法的拘束力を有する唯一の国際約束である。普遍化については、アンゴラ及びエリトリアのように、CPPNM 未締約国はCPPNM/A も合わせて批准することが望ましく、その点での働きかけの強化、またCPPNM にしか加入していない37 カ国によるCPPNM/A 批准に向けた取組及びそれらの国々に対する批准の働きかけや支援などの外交努力が重要である。

41 悪意をもって放射性物質または核爆発装置などを所持・使用する行為や、放射性物質の発散につながる方法による原子力施設の使用、または損壊行為を犯罪化することなどを締約国に義務付けている。
42 原子力発電所の安全性の確保や安全性向上を目的としており、締約国は、原子力発電所の安全性確保のために法律上、行政上の措置を講じ、本条約に基づき設置される検討会で報告し、また他の締約国の評価を受けることなどが義務付けられている。
43 原子力事故が発生した際、IAEA に事故の発生事実や種類、発生の時刻や場所を速やかに通報し、情報提供することを締約国に義務付けている。
44 締約国に対し、使用済燃料及び放射性廃棄物の安全性確保のために法律上、行政上の措置を講じ、本条約に基づいて設置される検討会に報告し、また他の締約国の評価を受けることなどを義務付けている。
45 原子力事故や放射線緊急事態に際して、その拡大を防止し、またその影響を最小限にとどめるべく、専門家の派遣や資機材提供などの援助を容易にするための国際的枠組みを定めている。
46 “Statement of the Philippines,” ICONS 2020, February 2020, p. 2.
47 “Statement of Pakistan,” ICONS 2020, February 2020.
48 “Statement of Indonesia,” ICONS 2020, February 2020.

49 “Statement of New Zealand,” ICONS 2020, February 2020.
50 Inna Pletukhina, “A Moving Target Nuclear Security during Transport,” IAEA Bulletin, February 2020, p. 19.
51 “Statement of the United Arab Emirates,” ICONS 2020, February 2020.
52 IAEA, Nuclear Security Report 2020, GOV/2020/31-GC (64)/6, August 12, 2020, p. 23.
53 “Statement of Israel,” ICONS 2020, February 2020, p. 2.
54 “Statement of Australia,” ICONS 2020, February 2020.
55 “Statement of Belgium,” ICONS 2020, February 2020.
56 “Statement of Norway,” ICONS 2020, February 2020.
57 “Statement of Nigeria,” ICONS 2020, February 2020, p. 1.

58 “Statement of Pakistan,” ICONS 2020, February 2020; Ministry of Foreign Affairs Government of Pakistan,
Pakistan’s Nuclear Security Regime, February 2020, p. 5.
59 “Statement of Iran,” ICONS 2020, February 2020.
60 “Statement of Israel,” ICONS 2020, February 2020, p. 3.
61 “Statement of Nigeria,” ICONS 2020, February 2020.
62 IAEA, Nuclear Security Report 2020, GOV/2020/31-GC (64)/6, August 12, 2020, p. 3
63 “Government of Canada: National Progress Report,” ICONS 2020, February 2020, p. 2.
64 “Statement of Israel,” ICONS 2020, February 2020, p. 3.
65 “Statement of Poland,” ICONS 2020, February 2020, p. 2.
66 “Statement of Brazil,” ICONS 2020, February 2020.
67 “Government of Canada: National Progress Report,” ICONS 2020, February 2020, p. 2.

68 “Statement of Poland,” ICONS 2020, February 2020, p. 2.
69 Ministry of Foreign Affairs Government of Pakistan, Pakistan’s Nuclear Security Regime, February 2020, p. 8.
70 Ibid., p. 5.
71 “Statement of Mexico,” ICONS 2020, February 2020.
72 内部脅威に関連する事案としては、たとえば2014 年にベルギーのドゥール原子力発電所において、同所に対して不満を持つ内部者がタービン潤滑油を不当に排出した結果、原子炉が運転停止に追い込まれた事案など、いくつかの深刻な既知の事例がある。“The Enduring Need to Protect Nuclear Material from Insider Threats,” CRDF Global, April 26, 2017, https://www.crdfglobal.org/insights/enduring-need-protect-nuclear-material-insider-threats.
73 IAEA, “Preventive and Protective Measures against Insider Threats,” IAEA Nuclear Security Series, No.8-G(Rev.1),January 2020.

74 PNRA, “Regulations on Physical Protection of Nuclear Material and Nuclear Installations-(PAK/925),” July 12,2019, p. 8.
75 “Statement of Mexico,” ICONS 2020, February 2020.
76 “NNSA Administrator, Belgium Ambassador announce new international working group to address insider threats,”
National Nuclear Security Administration, February 11, 2020, https://www.energy.gov/nnsa/articles/nnsa-administrator-belgium-ambassador-announce-new-international-working-group-address; “Statement of Belgium,” ICONS2020, February 2020.
77 “Statement of the United States of America,” ICONS 2020, February 2020. 米国はICONS に向けてINFCIRC/908のプロモーションのためのYouTube 動画を作成し、INFCIRC/908 の紹介とともに賛同国における取組が約7 分間にわたって紹介されている(https://www.youtube.com/watch?v=PC110FjKVw0)。
78 “Statement of France,” ICONS 2020, February 2020; INFCIRC/908/Add.3, February 18, 2020. なお、2020 年9 月にスロベニアも新たに賛同に加わり、2020 年11 月現在、31 カ国及びINTERPOL がINFCIRC/908 に賛同している。INFCIRC/908/Add.4, October 6, 2020; “FACT SHEET: IAEA Information Circular (INFCIRC) 908: Mitigating Insider Threats,” February 19, 2020.
79 Alexandra Van Dine, Michael Assante and Page Stoutland, “Outpacing Cyber Threats: Priorities for Cybersecurity at Nuclear Facilities,” Nuclear Threat Initiative, p.15.
80 “Ministerial Declaration,” ICONS 2020, February 2020, p. 1.

81 “Co-Presidents’ Report,” ICONS 2020, February 2020, pp. 17-18.
82 IAEA, Nuclear Security Report 2020, GOV/2020/31-GC (64)/6, August 12, 2020, p. 10.
83 “Statement of Brazil,” ICONS 2020, February 2020.
84 “Government of Canada: National Progress Report,” ICONS 2020, February 2020, p. 3.
85 “Statement of United Kingdom,” ICONS 2020, February 2020, p. 17.
86 “Statement of Japan,” ICONS 2020, February 2020, p. 2.

87 Ministry of Foreign Affairs Government of Pakistan, Pakistan’s Nuclear Security Regime, February 2020, p. 5.
88 “Statement of Germany,” ICONS 2020, February 2020, p. 4.
89 IAEA, Nuclear Security Report 2020, GOV/2020/31-GC (64)/6, August 12, 2020, p. 10.
90 “Statement of Brazil,” ICONS 2020, February 2020.
91 IAEA, Nuclear Security Report 2020, GOV/2020/31-GC (64)/6, August 12, 2020, p. 12.
92 Ibid.

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