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国際平和拠点ひろしま

コラム4 HOPe ユース大使が考える「持続可能 な未来」と「核兵器」のつながり

初代HOPe ユース大使

私たちは、2021 年10 月に、へいわ創造機構ひろしま(HOPe)から初代「HOPe核なき持続可能な未来ユース大使」に任命された。広島出身の大学生と高校生、同年に広島県主催のひろしまジュニア国際フォーラムに参加したカンボジア人の高校生計3 名で活動をしている。
広島県では、被爆75 年を機に、核兵器の廃絶に向けた「ひろしまイニシアティブ」を策定し、1)国連における核兵器廃絶目標の合意、2)核兵器を拒否する世界的規範の強化、3)核軍縮の促進と核兵器に依存しない安全保障の探求、4)協働のためのプラットフォームの構築という4 本の柱を打ち出した。HOPe は、「ひろしまイニシアティブ」の推進を目的に、2021 年4 月に設立された。現在は、4 本柱をもとに、2030 年で期限を迎える現在の持続可能な開発目標(SDGs)の後継にあたる国連目標(ポストSDGs)へ明確に核兵器廃絶を位置付けること、これにより国連において核兵器廃絶目標に合意することを目指した取組を進めている。
この取組において、課題意識を共有する「ユース」は欠かせない存在である。ユース大使は、未来を生きる当事者として、特に、核兵器と私たちの住む世界の「持続可能性」とのつながりに注目して、一緒に活動している。強大な破壊力を持つ核兵器は、私たちがいま努力している持続可能な未来の実現に、どのように影響しているのか。もし核兵器がなかったら、どのような世界が可能なのだろうか。これらについて、社会を構成する様々な主体(ステイクホルダー)とともに具体的に示していくことが、より多くの人々に核兵器の問題を自分事として考えてもらい、廃絶に向けて声を合わせていくことにつながると考えている。
2021 年度は、ユース大使も出席を予定していた核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議などの国際会議が新型コロナ禍によって軒並み延期となってしまったが、同じ目標を持つユース同士のコミュニティ発足を目指し、広島県内外のユース17 名とともにHOPe 主催のユース提言作成ワークショップを12 月から計4 回にわたって開催するといった活動を続けている。ワークショップでは、核兵器の分野と持続可能性の分野で活動するユース同士の交流によって、若い世代ならではの視点とツールを用いて、SDGs と核兵器とのつながりを見つけ、同世代に伝える方法を模索している。ワークショップへの参加を通して得た気づきや課題について、私たちユース大使の声を紹介する。皆さんと一緒に、核兵器なき持続可能な未来を作っていければ嬉しく思う。

 

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SDGs と核兵器には、どのようなつながりがあるのか。参加前、私は答えを見つけられずにいたが、ワークショップの中で交流してみると、SDGs または核兵器についての知識がどちらかに偏っているメンバーが私以外にも多くいることがわかった。核兵器の問題の知識については、住んでいる地域によって差がある。一方で、SDGs は多くの学校で教えられており、世界の共通認識にもなっている。17 の目標を達成するために努力することは当然という考えが世界に広がっていることを、改めて意識した。
私には、被爆体験を風化させずに伝え、もう2 度と繰り返さないという被爆者の決意を、被爆者の方々が亡くなられてもつないでいきたいという思いがある。それは、平和な世界の構築に向けて取り組むという点でSGDs と共通している。持続可能性と核兵器について、双方を理解しようとする姿勢を大切にしながら、核兵器の問題が,世界から人類共通の課題として認識されるように取組を進めていきたい。

(山崎麻菜美)

ワークショップの中盤で、「核兵器×SDGs×私の未来」について参加者が各々の考えを発表した。他の参加者の発表を聞き、みな自分が関心を持つ分野を中心に未来を予想していると感じた。しかし、誰も核兵器が実際に使われる未来は予想しておらず、ユース世代にとって核兵器は遠い課題なのだと感じた。別の社会人参加者からは、SDGs は人間が作り出したグローバルイシューの解決を目的としているが、自らの利益が損なわれることを恐れている人もおり、なぜ非協力的な人がいるのか、どのようにしたらその人たちが協力に向かうのか考える必要がある、という意見も出た。どのように多くの人に伝え、一緒に考えてもらうのか。「提言作成」と聞いた時、私は一方的に行う宣言のようなものを作成するのだと考えていた。しかし、一回きりの発表にとどまらず、さまざまな方法で社会を動かそうという試み全般を指すのだと、広くとらえることができるようになった。また、提言作成において、伝える相手を明確にすることや、いかに相手の興味を引く内容にするかも大切だと学んだ。ワークショップでは現在、教育、就活、SNS、イベントを通じた提言作成グループができ、各々オンラインで相談をしながら作業を進めている。今後、より具体的で、実現可能性のある提言を作成していきたい。

(佐藤優実)

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