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国際平和拠点ひろしま

核兵器禁止モニター2020

核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のパートナー団体であるNorwegian People’s Aidが作成,発行している核兵器禁止モニター(Nuclear Weapons Ban Monitor)の2020年版が発行されましたので紹介します。

Nuclear Weapons Ban Monitorは2018年から発行され,核兵器に関する政策などについて国際連合(国連)加盟国193か国,国連オブザーバー2か国(バチカン市国,パレスチナ),その他2か国(クック諸島,ニウエ)の計197か国を評価しています。Nuclear Weapons Ban Monitorは非政府の研究プログラムで,事実上の核兵器禁止条約(TPNW)の監視体制でもあります。

参考:Nuclear Weapons Ban Monitor, https://banmonitor.org/about

 

サマリー

Nuclear Weapons Ban Monitor 2020のサマリーの一部を紹介します。

156か国:評価国197か国の内,156か国は安全保障政策に核兵器の役割を除外している。核軍縮をサポートしているだけでなく,実際に核兵器を拒絶している。

 

41か国:9核兵器保有国及び32傘下国は核兵器の保有または使用の可能性に関する安全保障戦略を維持し続けている。傘下国の内,2か国(アルメニア共和国,ベラルーシ共和国)はロシアの傘下国であり,残りの30か国はアメリカの傘下国である。

 

138か国:70%にあたる138か国はTPNWの支持者である。TPNWの批准国51か国と批准国以外の署名国37か国に加え,国連決議への投票行動に基づき50か国をその他の支持者と分類した。

 

平均(批准スピード):他の大量破壊兵器の条約(1)と比較して批准スピードは大差ない結果である。一方,核兵器不拡散条約(NPT)と比較すると大幅に遅れている結果となっている(2)。

 

(1)他の大量破壊兵器の条約は,包括的核実験禁止条約(CTBT),生物兵器禁止条約(BWC),化学兵器禁止条約(CWC)である。

(2)TPNWの署名開放から3年と3か月経過した2020年12月時点で,TPNWの批准国は51か国だったのに対し,NPTの署名開放から3年と3か月経過した際の批准国は66か国であった。

参考:Nuclear Weapons Ban Monitor 2020,  p5-6, p21

https://banmonitor.org/files/Nuclear-Weapons-Ban-Monitor/TNWBM-2020.pdf

 

日本の評価

日本の評価については次のように掲載されています。

日本は,2017年の核兵器禁止条約交渉会議には参加しておらず,2018年,2019年,2020年の国連決議「核兵器禁止条約」に反対票を投じている。2020年10月に加藤官房長官は「核兵器禁止条約は,日本のアプローチとは異なるため,署名をしないという立場を変えるつもりはない」と明言した。日本の市区町村99.5%にあたる1,733市区町村が加盟する平和首長会議を代表して広島市長,長崎市長が日本政府に対してTPNWの批准及び締約国会議へのオブザーバー参加を要請している。

また,核兵器禁止条約第1条で禁止している項目の内,(f)核兵器にかかる援助の要求・受諾が不適合である。

参考:Nuclear Weapons Ban Monitor 2020,  p264,

https://banmonitor.org/files/Nuclear-Weapons-Ban-Monitor/TNWBM-2020.pdf

 

関連情報

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