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国際平和拠点ひろしま

(9) 核戦力、兵器用核分裂性物質、核戦略・ドクトリンの透明性

2010 年NPT 運用検討会議で採択された最終文書で、核兵器国は、核軍縮に向けた具体的な措置の進展に関して、2014 年NPT 準備委員会で報告するよう求められた(行動5)。最終文書では、これに加えて、核兵器国を含む締約国に対して、累次の運用検討会議で合意された核軍縮措置の実施にかかる定期報告の提出(行動20)、並びに信頼醸成措置として報告の標準様式への合意など(行動21)が求められた。
英国は2021 年に公表した「安全保障・防衛・開発・外交政策統合見直し」で、透明性に一定の制約を課すとして、以下のような方針を明らかにした。

必要に応じて核兵器を使用するという我々の決意と能力に疑いの余地はないが、いつ、どのように、どのような規模で核兵器の使用を検討するかについては、意図的に曖昧にする意向である。安全保障と技術の環境が変化していることを考慮して、我々はこの長年にわたる意図的な曖昧さの政策を拡張し、運用中の備蓄、配備された弾頭、配備されたミサイルの数を公表しないこととする。この曖昧さは、潜在的な侵略者の計算を複雑にし、先制攻撃の優位性を求める者による意図的な核使用のリスクを低減し、戦略的安定に貢献する214。

米国は、トランプ前政権下で核関連情報の公表が減少し、それまで公表していた核弾頭の保有数や廃棄数についても、2018 年以降は公表しないとの決定を下した。これに対して、2021 年1 月に発足したバイデン政権は方針を転換し、NNSA は同年10 月に、前政権下で未公表だった分を含め、各年の核弾頭貯蔵数(配備済み及び保管中の弾頭が含まれるが、退役し解体待ちの弾頭は含まれない)を公表した。NNSA は、各年の核弾頭廃棄数もあわせて公表した215。他方、爆発に至らない核兵器関連の実験の状況については、2015 年第1 四半期を最後に更新されず、2018 年以降は過去の情報についての掲載も確認できなかった。
核問題に関して透明性が他の核兵器国よりも低いと批判されている中国は、核兵器の先行不使用や非核兵器国への安全の保証などを挙げつつ、中国の核戦略と意図はより透明性が高く、予測可能であると反論している216。
NPDI が2012 年NPT 準備委員会に提出した作業文書「核兵器の透明性」には、大別して、核弾頭、運搬手段、兵器用核分裂性物質、核戦略・政策について報告を行うためのテンプレート案が添付されている217。このテンプレートを用いて核保有国の透明性に関する動向をまとめると、概ね表1-7のようになる。


214 United Kingdom, Global Britain in a Competitive Age, p. 77.
215 NNSA, “Transparency in the U.S. Nuclear Weapons Stockpile.”
216 Gu Liping, “Fu Cong: China Has Transparent and Defensive Strategy, It’s Not a Nuclear Threat,” CGTN, October 16, 2020, http://www.ecns.cn/news/politics/2020-10-16/detail-ihaazqys6709048.shtml.
217 NPT/CONF.2015/PC.I/WP.12, April 20, 2012.





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