当サイトを最適な状態で閲覧していただくにはブラウザのJavaScriptを有効にしてご利用下さい。
JavaScriptを無効のままご覧いただいた場合には一部機能がご利用頂けない場合や正しい情報を取得できない場合がございます。

国際平和拠点ひろしま

Hiroshima Report 2024(10) 核戦力、兵器用核分裂性物質、核戦略・ドクトリンの透明性

5核兵器国の透明性に関する基本的な政策に大きな変化はなかった。米国は2021年に各年の核弾頭貯蔵数を公表したものの、その後は情報を公開していない。核問題に関して透明性が他の核兵器国よりも低いと批判されている中国は、意図と政策の透明性を強調する一方で、保有する核戦力の種類や数、あるいは核戦力近代化の今後の具体的な計画など能力面に関しては情報を明らかにしていない。

2023年NPT準備委員会では、オーストリア、日本及び米国が国別報告を提出した。豪州、オーストリア、ブラジル、カナダ、エジプト、ドイツ、日本、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、韓国、スウェーデン、スイスなどが「透明性・説明責任に関する共同声明」245を発出し、核兵器国に透明性の向上を求めた。また、軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)は作業文書に、「NPTの履行に関する今後の国別報告テンプレート:条約締約国のカテゴリー別にトピックを網羅するための提案―指標マトリックス」として、テンプレートを別添した246。また、オーストリア及びメキシコなど247、並びにニュージーランド及びスイスなど248がそれぞれ提出した作業文書でも、核兵器国が国別報告に記載すべき具体的項目が列挙された。NACは、「この運用検討サイクルでは、核軍縮義務及びコミットメントの履行に関する透明性と測定可能性の強化を通じて、説明責任を強化するための明確な措置を策定すべきである。これらの措置には、核兵器国による報告書の改善や、これらの報告書に関する準備委員会会合及び運用検討会議での構造化された対話の確立が含まれるべきであるが、これらに限定されるものではない」と提案した249。

NPDIが2012年NPT準備委員会に提出した作業文書「核兵器の透明性」には、大別して、核弾頭、運搬手段、兵器用核分裂性物質、核戦略・政策について報告を行うためのテンプレート案が添付されている250。このテンプレートを用いて核保有国の透明性に関する動向をまとめると、概ね表1-6のようになる。


245 “Joint Statement on transparency and accountability,” Cluster 3 Specific Issues, First PrepCom for the 11th NPT RevCon, August 9, 2023.
246 NPT/CONF.2026/PC.I/WP.18, June 29, 2023.
247 NPT/CONF.2026/PC.I/WP.24, July 25, 2023.
248 NPT/CONF.2026/PC.1/WP.6, June 13, 2023.
249 NPT/CONF.2026/PC.I/WP.5, June 13, 2023.

250 NPT/CONF.2015/PC.I/WP.12, April 20, 2012.

< 前のページに戻る次のページに進む >

 

目次に戻る