Hiroshima Report 2023(3) 核セキュリティの最高水準の維持・向上に向けた取組
A) 民生利用におけるHEU及び分離プルトニウム在庫量の最小限化
核兵器を含む核爆発装置に利用可能なHEUの使用の最小限化及び分離プルトニウムの在庫量を最小限とする取組は、最高水準の核セキュリティを目指すうえで重要な要素の1つに数えられる168。2004年のGTRIに始まり、2010年以降の一連の核セキュリティサミット・プロセスを通じて取組が行われた結果、今日では南米、中央ヨーロッパ諸国、東南アジアがリスクの高い核物質が存在しない地域となった。第10回NPT運用検討会議でもこの問題は議論され、EUが「技術的及び経済的に可能な場合には民生用HEUを最小限化することを奨励」したほか169、韓国、オランダ及びノルウェーはこのテーマに関する作業文書を提出し、民生用のHEUの最小限化及び廃絶における国際協力や経験の共有を奨励した170。なお、本運用検討会議の最終文書案には「関係国による(HEU最小限化の)自主的な努力、また技術的・経済的に可能な場合には、民生用の高濃縮ウランの在庫と使用をさらに最小化する関係国の努力を歓迎する」(括弧内引用者)ことが記載された171。
高濃縮ウラン
2022年は日本とカザフスタンでHEUの最小限化の取組に大きな進展が見られた。まず、日本については、以下の進展が挙げられる。
➢ 「3月に東京大学の『弥生』研究炉、日本原子力研究開発機構の重水臨界実験装置及び同機構の研究用原子炉JRR-4からすべてのHEUを除去した。これは2018年に東京で開催された日米民生用原子力協力会合で初めて発表された約束を実行したものである」172。米国の国家核安全保障庁(NNSA)によれば、この撤去では30kg以上のHEUが日本から米国に移送された173。「これらのHEUは、サウスカロライナ州エイキン(Aiken)のサバンナリバー(Savannah River)サイトとテネシー州オークリッジ(Oakridge)のY-12国家保安複合施設に安全に輸送された。これは低濃縮ウランに希釈されるか、または処分される」174。NNSAの高官によると、「このHEU撤去は、新型コロナウイルスの世界的蔓延及び渡航制限のため一層挑戦的なものになったなかで、何年にも及ぶ緊密な協力と労力を伴う作業の結果である」175。日本からのこれらのHEUの除去は、5月23日に発出された日米首脳会談の共同声明のなかで、世界規模でHEUの保有量を最小化するという日米両国共通の目標を促進させるための核セキュリティに関する協力における最近の進展として言及された176。
➢ 「京都大学の臨界集合体実験装置(KUCA)から45kgのHEUを除去した。このHEUは米国に移送され、今後希釈される予定である」177。
➢ 近畿大学原子炉からもHEU燃料を除去することを決定したことを発表した。「この炉は日本にある最後のHEU炉であり、(2022年)9月にこの炉はLEUを使用するものに転換される予定」178(括弧内引用者)である。
次にカザフスタンについては、以下の進展があった。
➢ 「10年間以上に及ぶカザフスタンと米国の協力を経て、3月にIVG.1M炉をHEUからLEU燃料を使用する炉へと転換した。この炉は、カザフスタンで3番目にLEU燃料炉に転換した炉となった」179。
➢ 「9月に、黒鉛減速パルス型試験炉(IGR)からの未照射黒鉛HEU新燃料を希釈する作業を完了した。この原子炉からの照射済燃料を処分すべく、カザフスタンの専門家が乾式混合技術を開発した。この技術は照射済黒鉛燃料処分の解決において将来役立つことが期待される」180。
これらの国々に加えて、ノルウェーが、米国と協力してノルウェーに残存するHEU在庫の希釈と廃絶のための作業を現在も続けていることを発表した181。またベルギーも技術的・経済的に可能な場合には、民生用途でのHEUの使用を最小限に抑える努力を続けていることを発表した182。このように、複数の国でHEUの最小限化の取組が進められているが、いずれの取組も数年にわたる多大な努力を要するものである。それ故に、前述の韓国、オランダ及びノルウェーが提出した作業文書では、この取組のモメンタム維持のため、既に達成された最小限化の取組から得られた経験を「共有しなければならない」、「利用しなければならない」と強調して述べ、この取組における国際協力を奨励している183。これはHEU最小限化の取組をさらに進展させるうえで重要な指摘と言えよう。
民生用のHEUの在庫量の自発的なIAEAへの報告については、フランス、ドイツ及び英国が例年とおりプルトニウム管理報告(INFCIRC/549)のなかで報告した以外に2022年に報告を行った調査対象国はなかった。こうした報告は、2017年に発出された「民生利用における高濃縮ウランの最小限化と削減にかかる共同声明(INFCIRC/ 912)」において、本共同声明に添付された自発的報告用の定型様式を用いて行うことが奨励されている184。定型様式を使用することによって情報開示が望まれる情報の共有が期待できるほか、定期的に提出がなされれば、当該国のHEU最小限化の取組を国際社会が評価することも可能となる。この共同声明には21カ国が参加しており、調査対象国からは豪州、カナダ、韓国、メキシコ、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、英国及び米国が参加している185。また、上述の韓国、オランダ及びノルウェーによる作業文書は、各国にINFCIRC/912の取組に参加し、この報告メカニズムの実施を検討するよう促している186。なお、これまでに豪州とノルウェーの2カ国がこの様式を使用して報告をIAEAに提出した187。
分離プルトニウム
分離プルトニウムについては、2014年に開催された核セキュリティサミットのコミュニケにおいて、「各国の必要性に応じて、在庫量を最小限に維持すること」が奨励されている188。本調査対象国による2022年の取組や状況について公開情報から確認できた情報は以下のとおりである。
➢ 日本:日本電気事業連合会は2月に、2022年から2024年度のプルトニウム利用計画を明らかにした。関西電力が高浜原発3、4号機でプルトニウム0.7tをそれぞれ新たに原子炉で使用する予定である189。また6月、JAEAは、新型転換炉ふげん(廃炉作業中)の使用済核燃料の再処理をフランス企業に委託する契約を締結したと発表した。取り出したプルトニウムはフランス側に譲渡される。JAEAは譲渡に関し、「利用目的のないプルトニウムを持たないという政府の方針を考慮して決めた」190としている。
➢ 米国:2021年にIAEAの核物質分析所からプルトニウムを米国に搬出したことをA/CPPNM運用検討会議で発表した。「米国は、国防上の必要性から余剰とされたプルトニウムの恒久的処分に向けて取り組んでおり、現在IAEAの保障措置のもとにある物質が処分プロセス全体を通して維持されるように、IAEAと協議している。こうした保障措置のアプローチが実施されると、IAEAは余剰とされた40tのプルトニウムの処分を検証できるようになる」191とのことである。
B) 不法移転の防止
核検知、核鑑識、法執行及び税関職員の執行力強化のための新技術の開発、IAEA移転事案データベース(ITDB)への参加は、核物質の不法移転防止のための取組として重要である。特にITDBは、核物質及びその他の放射性物質の不法な所有、売買・取引、放射性物質の不法散布、行方不明の放射性物質の発見などに関係した事例を情報共有するためのデータベースとしても、IAEAの核セキュリティ計画を支える要素192であるのみならず、核セキュリティ上の脅威を現実のものとして広く受け止めるのにも役立つ統計的資料として、近年その存在感を一層高めている。「2022年版「ITDBファクトシート」によれば、2021年時点でのITDB参加国数は142カ国である193(調査対象国の参加状況については、表3-8を参照)。
本報告書執筆時点で最新となる「2021年版IAEA年次報告」によれば、2021年は120件の事案がITDBに報告された194。また、IAEAの「2022年版核セキュリティレビュー」によれば、1993年のITDB開始以来、2021年12月末までに3,928件の事案がITDBに報告された195。ITDBでは事案のタイプを、①不法な移転または悪意のある使用に関連する、あるいは関連する可能性がある事案、②意図しない事案、及び③不法な移転または悪意のある使用に関係しない、あるいは関係しない可能性が高い事案の3つに分類している。3,928件のうち、①に該当するのは320件、②は1,034件、③は2,574件であった。そのうち全体の14%は核物質が絡んだ事案であった196。その内訳は、HEUが12件、プルトニウムが3件、プルトニウム-ベリリウム中性子源が5件であった197。また、事案の49%が輸送中に関連した事案であったとのことであり、このことは輸送中の放射性物質への対策の重要性を示唆している。なお、ITDBでは参加国の機微情報の保護の観点から報告された事案や不法な取引の詳細を公開していない。2022年4月、9回目となる情報交換のためのITDB連絡者会合がウィーンで開催された198。
表3-8では、民生用のHEUを最小限化する取組に関して、各種の公式声明において取組の意思表示があったケースを示すとともに、ITDBへの参加状況を示した。
こうした核物質やその他の放射性物質の不法移転に関連して、IAEAは、2022年1月に放射線検知及び監視のための無人航空機の使用に関するウェビナーを開催したほか、3月に偽装、詐欺及び不審物の核セキュリティ上の影響に関するウェビナーを開催した199。さらに、5月及び6月に、核セキュリティ情報交換・調整に関する2件のワークショップを開催した200。このワークショップの目的は、強化された情報交換と協力を通じて、核物質及びその他の放射性物質の不正取引を防止し、これに対応するための国家、地域及び国際的な能力を強化することであった。
第10回NPT運用検討会議の最終報告書案には次のパラグラフが盛り込まれた201。
締約国の領域内にある核物質及びその他放射性物質の不正取引を防止・検知し、それに対応するための国内能力向上の重要性を強調する。(パラ48)
C) 国際評価ミッションの受け入れ
核物質及びその他の放射性物質の防護、関連施設及び活動に関する国際文書やIAEAのガイダンスの実施について、国際的な専門家が助言をする国際評価ミッションの1つに国際核物質防護諮問サービス(IPPAS)がある202。1996年から2021年末までの25年間に、57カ国において96件のレビュー(22件のフォローアップレビューを含む)が実施された203。
IPPASミッションの2022年の実績としてはフィンランド1件のみであったが204、2021年は6件であり、「2022年版核セキュリティレビュー」では、加盟国間に「強い関心がある」と記述している205。フィンランドは、2009年に最初のIPPASミッションを、その後2012年にフォローアップミッションを受け入れており、今回は3度目となった。2011年にA/CPPNMを批准しており、今回のIPPASミッションでは条約の履行についてもレビューを受けた206。IPPASチームは、フィンランドが核セキュリティ能力をさらに強化し、核セキュリティ体制が確立されていることを確認したとしている207。近年、自発的にこのような客観的な評価を受け、さらにフォローアップミッションも受け入れることで、国や施設の核セキュリティのレビューに努める国が増えてきている。
そうした傾向は本調査対象国においても顕著である。2022年、スイス、英国及び米国の3カ国が今後のミッション受け入れ予定について発表した。スイスは2023年にフォローアップミッションを受ける予定であり、英国はIPPASミッションの受け入れを計画しているとのことである208。米国は、2度目となるIPPASの実施要請をIAEAに要請している最中であることをA/CPPNM運用検討会議で発表した209。加えて、日本の原子力規制委員会は、10月26日、2024年半ば頃を目途にIPPASミッションの受け入れをIAEAに正式に要請することを承認した210。こうした積極的なIPPASミッション受け入れの動きが本調査対象国の西側諸国で顕著な一方で、一度も受け入れをしていない国も一定数あり、二分化している状況が見受けられる(表3-9を参照)。
また、IPPASミッションに関する近年の動向として、各国の核セキュリティの実施状況に関する透明性や説明責任の観点から、機微情報を保護したうえでミッションの報告書の一部を公表する動きがある。オランダ211、スウェーデン212、豪州213、カナダ214などに続いて、2019年12月に日本もIPPASミッション及びフォローアップミッションの報告書の一部を公開した215(表3-6を参照)。
IAEAはIPPAS優良実践(Good Practices)データベースと呼ばれるIPPAS実施国で観察された優良実践のデータベースを用意しており、これまでに532の優良実践事例が登録されている216。この点に関し、オランダは、「IAEAに国際的な核物質防護諮問サービス・ミッションの実施を要請している。これらのミッションの勧告は実施され、優良実践が共有されている」と第10回NPT運用検討会議に提出した国別報告書で言及した217。
IAEAでは、核セキュリティ体制整備・強化を支援すべく、IPPAS以外にも、要請に基づき実施される国際核セキュリティ諮問サービス(INSServ)218や統合核セキュリティ支援計画(INSSP)219策定のためのミッションなども提供している。IAEAの「2022年版核セキュリティ報告」によれば、2022年1月から2022年6月の期間に、6カ国(ギニア、アルメニア、ベナン、ハンガリー、スーダン及びフィリピン)でINSSPミッションが実施された220。
これらの核セキュリティに関するIAEAの評価ミッションについては、A/CPPNM運用検討会議の成果文書において、A/CPPNM締約国の条約履行強化の支援がなされるものとして自発的な活用が奨励された221。またNPT運用検討会議の最終文書案にも同様の内容が盛り込まれた222。
D) 技術開発―核鑑識
核鑑識は、核物質及び放射性物質が関係した不正取引や悪意のある行為の実行者を特定し、刑事訴追を可能としうる核セキュリティ上重要な技術であり、さらなる技術開発と国内体制及び国際的なネットワーク体制の構築のための取組やそのための支援が行われてきている。IAEAによれば、各国の放射性犯罪現場管理及び核鑑識科学の分野における能力構築に対する関心は増加し続けている223。日本については、欧米諸国と協力して核鑑識技術開発を進めており、押収・採取された核物質を分析して出所などを割り出す技術の開発などを行っている224。また、日米核セキュリティ作業グループのもとでも核鑑識に関する協力が行われており、「JAEAと米国エネルギー省は、ウラン年代測定や核燃料の特徴分析、また、JAEAにおける国家核鑑識ライブラリーの試行版の立ち上げに関する4つの技術協力プロジェクトを通じて核鑑識能力を向上させた」。さらに、「日米の核鑑識の専門家は、新ウラン年代測定法、電子顕微鏡の画像分析といったプロジェクトを通じて、継続的に連携している」とのことである225。
この分野での2022年の国際的な取組には、IAEAが4月に開催した「核鑑識に関する技術会合:国の基礎(National Foundation)からグローバルインパクトへ」226と題する技術会合が挙げられる。規制を外れた核物質及びその他の放射性物質が関係する事案の防止及び対応における核鑑識の利用などについて議論することを目的として開催された。この会合には、IAEA加盟国64カ国、欧州委員会、国際刑事警察機構(INTERPOL)、国連地域間犯罪司法研究所(UNICRI)などの国際機関から190人が参加した227。本調査対象国では、ドイツ、オランダ、ロシア、米国からの参加者基調講演を行った228。
核鑑識技術に関する多国間協力の取組として重要な位置付けにあるのが、1995年に設立された「核鑑識に関する国際技術ワーキンググループ(ITWG)」(旧称「核物質の不法移転に関する国際技術ワーキンググループ」)である。これまでにITWGの年次会合に参加した国は50カ国を超える229。本調査対象国では、豪州、ベルギー、ブラジル、カナダ、中国、フィンランド、フランス、ドイツ、インド、イスラエル、日本、カザフスタン、韓国、オランダ、パキスタン、ロシア、南アフリカ、スウェーデン、スイス、トルコ、UAE、英国及び米国が参加した。
ITWGの主な活動の1つが協同物質比較演習(CMX)の開催を通じて核鑑識の最良実践(Best Practices)を進展させることであり、2022年までに7回のCMXが開催された。CMXは演習を通じて得たデータのレビューをもって完了となり、2022年10月にはプラハで第7回CMXのデータレビュー会合が開催された230。第8回CMXの開催に向けて準備も始められている。なお、CMXは取組の開始当初は、参加する分析ラボがわずか6機関であったものの、近年のCMXには20を超える機関が参加している231。また、ITWGは核鑑識ライブラリ開発に関する仮想机上演習「ギャラクシーサーペント演習(Galaxy Serpent Exercise)」も実施してきており、これまでに4回の演習が実施された。
核鑑識にかかるもう1つの重要な多国間協力の枠組みが、後述する核テロに対抗するためのグローバル・イニシアティブ(GICNT)内に設置された核鑑識作業部会(NFWG、議長国はカナダ)である。NFWGにおいても多国間協力を通じた核鑑識能力の強化の観点から、多数のワークショップや机上演習が実施されており、ITWGとも緊密に協力している。しかしながら、GICNTは2022年にすべての公式会合及び作業グループの活動を一時的に停止した(本章(3)G)を参照)。
各国の取組については、米国は第10回NPT運用検討会議に提出した国別報告のなかで、「放射性物質または核物質の取引に関連する犯罪を訴追するために必要な核鑑識の専門知識を促進するため、パートナー国に訓練と能力構築支援を提供してきた。核鑑識の方法論に関する訓練や実施ガイドの開発に関してIAEAと幅広く協力してきた」232と述べた。
E) 人材育成・能力構築及び支援活動
核セキュリティ分野の人材育成・能力構築の必要性は引き続き高く、IAEAの「2022年版核セキュリティレビュー」によると、2021年には、110件のIAEAの訓練活動に138カ国から10,000人を超える参加があった233。約半分の訓練活動は新型コロナウイルスの世界的蔓延による制約のためウェビナーでの開催であったが、2020年と比較し、そうした活動は2倍以上となったとされ、IAEAがコロナ禍のなかでも訓練活動の提供に多大な努力を行っていることが分かる。また、指導者を養成するための活動の参加者が3倍になったとのことであり、自国で訓練体制を確立し、自立的かつ持続可能な人材育成に関心を持つ国が増えていると見られる234。パキスタンもそうした国の1つであり、第66回IAEA総会における演説で「パキスタンの中心的拠点(COE)は核セキュリティで求められる人材を訓練するうえで機能している。これらの訓練施設は他の地域及び国際的にも開かれており、利用可能である」235と述べた。例年、人材育成の取組の重要性に言及している日本も、「IAEAと協力して、JAEAのISCNを通じて、新型コロナ感染症蔓延のもとでもより効果的な訓練及び地域の人材育成に取組み、国際的な核セキュリティの強化に貢献していく」236ことを表明した。
この分野での2022年のIAEAの活動としては、たとえば核セキュリティ分野で働く中間管理職及び上級職の管理者間でリーダーシップスキルを構築することを目的として核セキュリティのためのリーダーシップアカデミーが5月に開催された237。
訓練・支援における国際ネットワーク
2012年にIAEAが設置した核セキュリティ支援センター(NSSC)国際ネットワークは、各国NSSCの間での連携やネットワーク構築の基軸として重要な役割を担っている238。66カ国から75の機関がNSSCネットワークに参加しており、地域別では、アジア太平洋が25機関、欧州が22機関、アフリカが20機関、ラテンアメリカが6機関、北米が2機関となっている。調査対象国の参加国には、ブラジル、カナダ、中国、フランス、日本、カザフスタン、韓国、パキスタン、ロシア、米国などがある。2022年7月18日~22日に年次会合がウィーンで開催され、38の国などから59名が参加した239。
NSSCに関連し、米国は2022年NPT運用検討会議に提出した国別報告のなかで「国際的なパートナーと協力し、パートナー国の核セキュリティ訓練能力を拡大するため、NSSC国際ネットワークを含む複数の訓練センターを共同で設計、完成、またはアップグレードした」240と述べた。
教育分野における国際ネットワーク
IAEAには、核セキュリティ教育に関する教育プログラムの確立及び向上において加盟国の教育機関や国を支援する国際核セキュリティ教育ネットワーク(INSEN)が設置されている。INSENには66カ国から198の教育機関が参加している241。調査対象国の参加国には、ブラジル、カナダ、フランス、ドイツ、インド、日本、カザフスタン、オランダ、パキスタン、ロシア、南アフリカ、スウェーデン、トルコ、英国、米国などがある242。2022年の関連する活動には7月にウィーンで開催されたINSENの年次会合及び4月IAEAがイタリアとの協力で開催した国際核セキュリティスクールがある243。
F) IAEA核セキュリティ計画及び核セキュリティ基金
IAEAは4カ年ごとに「核セキュリティ計画」を策定してきており、2022年は、2021年9月に採択された2022~2025年を対象とした第6次活動計画に基づき活動が進められた244。「核セキュリティ計画」を実施するために、IAEAでは2002年に核テロリズムの防止、検知及び対応にかかる核セキュリティ基金(NSF)を設立し、以来、IAEA加盟国に対し自発的な資金の拠出が要請されている。
各国によるNSFへの貢献については、従来は、IAEA年次報告及びIAEA核セキュリティ年次報告に情報が掲載されていたが、2022年からは掲載されなくなった。一方、IAEAは、2022年に新たな報告書となる「核セキュリティレビュー」を初めて発行した245。この報告書には、グローバルな傾向及び2021年のIAEAの活動が含まれており、従来からの核セキュリティ年次報告はこのレビュー報告書を補完する位付けとなった246。「2022年版核セキュリティレビュー」によれば、2021年に15カ国がNSFに拠出し、これには本調査対象国である中国、フィンランド、フランス、日本、韓国、オランダ、ノルウェー、ロシア、スイス、英国及び米国が含まれる247。2021年のNSFへの拠出表明総額は3,400万ユーロであり、2018年と2019年とほぼ同じレベル(それぞれ3,300万ユーロと3,800万ユーロ)であったが、2020年(4,500万ユーロ)と比較すると減少した248。
なお、EUはNSFの主要な拠出機関であり、2009年から2023年までの期間を通して6,000万ユーロを拠出したと発表した249。ドイツは、第66回IAEA総会においてNSFに拠出していることに言及したほか、サイベルスドルフ(Seibersdorf)の訓練センターに対しても相当額の拠出を用意していることを発表した250。カナダも、2012年以降7,800万ドル以上をNSFに拠出したと発表した251。カナダはIAEAの核セキュリティ関連の予算についても言及し、当該予算が通常予算(regular budget)ではなく各国からの任意拠出金に依存しており、その依存度が高まっていると指摘し、「こうした状況は予測不可能性をもたらし、加盟国のニーズにIAEAが適切に対応する能力を弱体化させる」との懸念を示した。そのうえで、「任意拠出金による資金調達に過度に依存することは避けなければならない」と主張し、各国に対し「IAEAがその任務を遂行するための信頼できる十分な技術的、財政的、人的資源を確保する」252よう求めた。また英国も「加盟国に対し、核セキュリティ基金への資金拠出とIAEA通常予算における核セキュリティ活動支援の割合の拡大を引き続き要請していく」としている253。
G) 国際的な取組への参加
核セキュリティの水準向上のための国際的な取組は、今日重層的な構造を形成している。こうした核セキュリティにかかる国際社会の主だった取組には、大量破壊兵器の不拡散に関する安保理決議1540号(2004年)の履行支援254、IAEA主催による核セキュリティに関する国際会議や2016年に終了した核セキュリティサミット・プロセスといった多国間フォーラムが挙げられる。これらに加え、核セキュリティに関する多国間協力の枠組みとしてG7及びGICNTによる取組もある。
安保理決議1540号に関しては、非国家主体への核・化学・生物兵器とそれらの運搬手段の拡散を防止する国内管理制度を確立するために各国が有効な措置を講じ、それを強化すべきであるとし、その目的のために物理的防護の適切かつ有効な措置を開発及び維持すべきであることを決定した255。また、本決議で求められた義務事項についての報告を国連に提出することも要請している。こうした報告書の提出は、各国の核セキュリティ措置に関する透明性を高め、措置の実施に関する国際的な保証に資する。本調査対象国の本報告提出状況については、表3-6を参照されたい。
核セキュリティサミットは、2010年にオバマ(Barack Obama)米国大統領のイニシアティブで開始され、2016年まで計4回隔年開催された。2016年のサミットでは、プロセス終了後も核セキュリティの水準向上における国際的な取組を継続的に行うための複数の仕組みが設けられた。その中心に位置するのが「グローバルな核セキュリティ強化のための持続的な行動に関する共同声明」を通じて設立された核セキュリティ・コンタクトグループ(NSCG)である256。設立当初、NSCG参加国は40カ国であったが、カナダがその後主導国となり、NSCGの原則声明(Statement of Principles)を明示した文書をIAEAの情報文書INFCIRC/899として発出し、未参加国に対し参加を呼び掛けている257。2022年11月時点で、豪州、中国、フランス、ドイツ、インド、イスラエル、日本、韓国、パキスタン、スウェーデン、スイス、英国、米国など48カ国に加えて、EU、IAEA、INTERPOL及び国連の4つの地域・国際機関がオブザーバーとして参加している258。
核セキュリティサミット・プロセスでは、核セキュリティに関する特定のテーマについて、有志国が共同声明を通じて取組を進める「バスケット・イニシアティブ」が打ち出されている259。たとえば日本がリード国を務める「輸送セキュリティ(INFCIRC/909)」、米国が主導する「内部脅威緩和(INFCIRC/908)」260、豪州が主導する「核鑑識(INFCIRC/917)」などがある。2022年はこれらに関する活動が公開情報からは確認できなかった。
G7の核セキュリティに関連する枠組には、不拡散局長級会合、原子力安全セキュリティ・グループ(NSSG)及び大量破壊兵器及び物質の拡散に対するG7グローバル・パートナーシップ(G7GP、旧称G8グローバル・パートナーシップ)がある。2022年、G7はウクライナの原子力施設の危機的な状況に関し、その重要な局面において外相及び不拡散局長級で複数回にわたって声明を発出した261。そのなかで、ロシアに対する非難や、IAEA及びIAEA事務局長によるこの問題への取組や提案に対する支持を素早く繰り返し表明した262。
NSSG263については、毎年3回の会合を開催し報告書を作成している。2022年はこの年のG7議長を務めるドイツが6月にNSSGの活動に関する報告書を公表した264。報告書は、NSSGがチョルノービリ・サイトの原子力安全とセキュリティについてNSSGとして行いうる支援に関して情報交換を行ったことや、安全と核セキュリティ関連の条約の普遍化や履行促進を含むグローバルな核セキュリティ向上のためにさらに協働していくことが決定されたと述べている265。
GICNTは、2006年のG8サンクトペテルブルグ(St. Petersburg)・サミットでロシアと米国が共同で発表したものであり、国際的な取組によって核テロの脅威に対抗することを目的としている266。89カ国とIAEA、INTERPOL、国連テロ対策オフィス(UNOCT)など6つの国際機関による自主的な国際パートナーシップであり、核テロを防止、探知、それに対応するためのグローバルな能力強化に取り組んでいる267。GICNTのホームページによると、これまでに100以上の多国間の活動が行われたほか、11の上級事務レベルの総会が開催された268。GICNTでは、「対応と緩和」、「核鑑識」及び「核検知」の3つの作業グループを中心に活動が行われてきている。有志国家間での訓練やワークショップの実施に力を入れるとともに、作業グループでは核セキュリティに関する実用的な指針も作成するなど、活発に活動してきた269。しかしながら、2022年のある時期以降、GICNTの公式ウェブサイトは、「追って新たに通知があるまで、GICNT及びそのワーキンググループのすべての公式会議を一時停止する」としている。GICNTの共同議長であるロシアが2022年2月にウクライナに侵略したことを受けたものと推測される。
これらの核セキュリティにおける国際協力について西側諸国はこれを重視しており、たとえばウィーン10カ国グループが第10回NPT運用検討会議に提出した作業文書では、「既存の協力メカニズムを改善する取組を強化する必要性」を指摘している270。一方で、NAM諸国は原子力安全や核セキュリティの強化を目的とした措置やイニシアティブは開発途上国の原子力の平和利用の奪いえない権利を侵害、否定、制約、制限するための口実や理由として使用されてはならないとの基本的な立場を表明しており271、NAM諸国の中にはIAEA以外のイニシアティブや取組に否定的な姿勢を取る国もある。
なお、第10回NPT運用検討会議の最終文書案には、以下の文言が盛り込まれた272。
IAEAに対し加盟国との調整のもと、GICNT及び大量破壊兵器・物質の拡散に対するグローバル・パートナーシップを含むその他の核セキュリティ関連のイニシアティブにおいてそれぞれのマンデート及び加盟の範囲内で建設的、調整的な役割を担い、また適切な場合には、関連国際機関及び地域機関と共同して作業を行うよう奨励する。(パラ51)
168 分離プルトニウムについては、2014年の核セキュリティサミット(ハーグ)のコミュニケで初めて「最小限レベルを維持すること」が明記された。ICONS 2020の閣僚宣言では、用途にかかわらずHEU及び分離プルトニウムを保有しているすべてのIAEA加盟国に対して、それらが適切にセキュリティを確保し計量管理されていることを確実にすることが要請された。また、加盟国に対し、技術的及び経済的に実行可能な場合には、民生用のHEU在庫量を自発的にさらに最小限化することが奨励された。
169 Laura Varella and Audrey Kelly, “Report on Main Committee III,” NPT News in Review, Vol. 17, No .4 (August 10, 2022), p. 20.
170 NPT/CONF.2020/WP.14, p. 4; Laura Varella and Audrey Kelly, “Report on Main Committee III,” NPT News in Review, Vol. 17, No .4 (August 10, 2022), p. 20.
171 NPT/CONF.2020/CRP.1/Rev.2 (August 25, 2022), p. 14.
172 “Statement by Japan,” at the 66th IAEA General Conference,” September 2022.
173 “U.S. Removes Over 30 Kilograms of Highly Enriched Uranium from Japan,” NNSA, May 23, 2022, https://www. energy.gov/nnsa/articles/us-removes-over-30-kilograms-highly-enriched-uranium-japan.
174 Ibid.
175 “President Biden and Prime Minister Kishida Announce the Nonproliferation Triumph, Which Was the Result of Years of Cooperation,” NNSA, May 23, 2022, https://www.energy.gov/nnsa/articles/us-removes-over-30-kilograms-highly-enriched-uranium-japan.
176 「首脳共同声明自由で開かれた国際秩序の強化」2022年5月23日。
177 “Statement by Japan,” at the IAEA General Conference, September 2022; “Second Multi-Year HEU Repatriation Campaign Fulfills Countries’ Previous Commitment and Demonstrates Their Dedication to Nuclear Nonproliferation,” NNSA, August 9, 2022.
178 “Statement by Japan,” at the 66th IAEA General Conference,” September 2022.
179 “Top NNSA Leaders Visit Kazakhstan, Discuss Continued Security, Nuclear Nonproliferation Cooperation,” NNSA, October 14, 2022, https://www.energy.gov/nnsa/articles/top-nnsa-leaders-visit-kazakhstan-discuss-continued-security-nuclear-nonproliferation.
180 “Statement by Kazakhstan,” at the 66th IAEA General Conference, September 2022.
181 “Statement by Norway,” at the 66th IAEA General Conference, September 2022; Laura Varella and Audrey Kelly, “Report on Main Committee III,” NPT News in Review, Vol. 17, No. 4 (August 10, 2022), p. 20.
182 Laura Varella and Audrey Kelly, “Report on Main Committee III,” NPT News in Review, Vol. 17, No. 4 (August 10, 2022), p. 20.
183 NPT/CONF.2020/WP.14, p. 4.
184 “Joint Statement on Minimising and Eliminating the Use of Highly Enriched Uranium in Civilian Applications,” INFCIRC/912, February 16, 2020; “Australia’s 2019 INFCIRC/912 HEU Report,” IPFM Blog, January 23, 2020, http://fissilematerials.org/blog/2020/01/australias_2019_infcirc91.html.
185 INFCIRC/912, April 20, 2017. なお、フランス、ドイツ及び英国は「国際プルトニウム管理指針(INFCIRC/ 549)」に基づく民生用分離プルトニウム在庫量の報告においてHEUの在庫量についても自発的に追加して報告している。
186 NPT/CONF.2020/WP.14, p. 4.
187 INFCIRC/912/Add.4, March 5, 2020(豪州);INFCIRC/912/Add.3, August 19, 2019(ノルウェー)。
188 “The Hague Nuclear Security Summit Communiqué,” March 25, 2014, https://www.consilium.europa.eu/media/ 23823/141885.pdf.
189 「迷走プルトニウム:日本の22トンがなぜ英国に」『毎日新聞』2022年10月6日、11頁。
190 「プルトニウムを仏に譲渡、ふげん燃料で原子力機構が発表」『日本経済新聞』2022年6月24日、https:// www.nikkei.com/article/DGXZQOUA24C4V0U2A620C2000000/。
191 “Statement by the U.S. at the A/CPPNM Review Conference.”
192 IAEA, “ITDB: Incident and Trafficking Database.”
193 IAEA, ITDB 2022 Fact Sheet, https://www.iaea.org/sites/default/ files/22/01/itdb-factsheet.pdf.
194 IAEA, Annual Report 2021, GC (66)/4, 2022, p. 106.
195 Nuclear Security Review 2022, p. 23.
196 Ibid.
197 IAEA, ITDB 2022 Fact Sheet.
198 Nuclear Security Report 2022, p. 14.
199 Ibid.
200 Ibid.
201 NPT/CONF/2020/CRP.1/Rev.2, p. 7.
202 IAEAが派遣する加盟国及びIAEAの専門家で構成される国際チームが、ミッション受け入れ国が実施している核セキュリティの状況をレビューするものである。レビューでは、規制枠組みから輸送、情報、コンピュータ・セキュリティの取極めに至るまで検討し、それを2005年の改正核物質防護条約及びIAEA核セキュリティシリーズ文書に記載されている国際的なガイドラインあるいは良好事例と比較して、当該国が実施しているセキュリティシステム対策全搬に対して評価を行い、レビューに基づき改善のための推奨事項を提供している。
203 IAEA, “25 Years of Strengthening Nuclear Security with Physical Protection Peer Advice,” IAEA News, December 23, 2022, https://www.iaea.org/newscenter/news/25-years-of-strengthening-nuclear-security-with-physical-protec tion-peer-advice; Nuclear Security Review 2022, p. 13.
204 IAEA, “Peer Review and Advisory Services Calendar,”; “IAEA Completes Nuclear Security Advisory Mission in Finland,” IAEA Press Release, June 17, 2022, https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/iaea-completes-nuclear-security-advisory-mission-in-finland.
205 Nuclear Security Review 2022, p. 3.
206 “IAEA Completes Nuclear Security Advisory Mission in Finland.”
207 Ibid.
208 “Statement by U.S. at the A/CPPNM Review Conference.”; Office for Nuclear Regulation, “Corporate report Office for Nuclear Regulation corporate plan 2022 to 2023,” June 21, 2022, https://www.gov.uk/government/ publications/office-for-nuclear-regulation-corporate-plan-2022-to-2023/office-for-nuclear-regulation-corporate-plan-2022-to-2023.
209 “Statement by the U.S. at the A/CPPNM Review Conference.”
210 原子力規制庁「国際原子力機関(IAEA)の国際核物質防護諮問サービス(IPPAS)ミッションの受け入れ」 2022年12月21日、https://www.nra.go.jp/data/000414656.pdf。
211 “Netherlands Draft Follow-up Mission Report,” February 2012, https://www.autoriteitnvs.nl/binaries/anvs/ documenten/rapporten/2014/12/24/ippas/international-physical-protection-advisery-service-ippas-v2.pdf.
212 “Sweden Draft Follow-up Mission Report,” October 2016, https://www.stralsakerhetsmyndigheten.se/content assets/27a6dd9e94e54dc189cecfa7c7f2f910/draft-follow-up-mission-report-sweden.pdf.
213 “Australia IPPAS Follow-up Mission Report,” November 2017, https://www.dfat.gov.au/sites/default/files/2017-ippas-follow-up-mission-report.pdf.
214 “Canada IPPAS Mission Report,” October 2015, http://www.nuclearsafety.gc.ca/eng/pdfs/IPPAS/Canadas-IPPAS-Mission-Report-2015-eng.pdf.
215 原子力規制委員会「IAEAのIPPASミッション報告書及び同フォローアップミッション報告書の公開について」2019年12月24日。フォローアップミッション後、IAEAから「前回ミッション以降、日本の核セキュリティ体制には顕著な改善が見られる。その体制は、強固で十分に確立されており、改正核物質防護条約の基本原則に従ったものである」との見解が示された。“IAEA Completes Nuclear Security Advisory Mission in Japan,” December 7, 2018, IAEA Press Release, https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/iaea-completes-nuclear-security-adviso ry-mission-in-japan。
216 Nuclear Security Review 2022, p. 2.
217 “Report Submitted by the Netherlands,” NPT/CONF.2020/5, November 24, 2021.
218 INSServは要請国に求められる核セキュリティ体制の要件全般を検討し、改善が必要な点について国際専門家からなるIAEAのチームが助言を行うサービスである。
219 INSSPは支援要請各国が体系的かつ包括的に自国の核セキュリティ体制を向上させることを目的として作成される支援計画であると同時に、各国に支援を行うIAEA、関係国及びドナーが支援の重複を避け、技術的・財務上の観点からもリソースを最適化し、当該国の核セキュリティ関連活動を持続可能とするものである。
220 Nuclear Security Report 2022, p. 12.
221 ACPPNM/RC/2022/4, April 2022, p. 5.
222 NPT/CONF.2020/CRP/Rev.2, August 22, 2022, p. 7.
223 Nuclear Security Review 2022, p. 25.
224 原子力委員会『令和3年原子力白書』2022年7月、141頁。JAEAにおける取組はこちらを参照。「第3期中長期計画期間の成果と今後に向けて」日本原子力研究開発機構核不拡散・核セキュリティ総合支援センター、2022年3月2日、https://www.jaea.go.jp/04/iscn/activity/2022-03-02/2022-03-02-03.pdf。
225 外務省「日米核セキュリティ作業グループ(NSWG)」2022年11月9日、https://www.mofa.go.jp/mofaj/dns/ n_s_ne/page4_002303.html。
226 本会合については、「核鑑識の能力強化に関するIAEAの最近の活動」『ISCN Newsletter』No. 0307、2022年7月、pp. 20-24に詳しい。
227 ITWG, Nuclear Forensics Update, No. 23, June 2022, p. 4.
228 Ibid, p. 5.
229 ITWG, Nuclear Forensics Update, No. 24, September 2022, p. 2.
230 Ibid.
231 CMX-6には、調査対象国では、豪州、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、イスラエル、日本、カザフスタン、韓国、オランダ、ロシア、南アフリカ、スウェーデン、スイス、トルコ、英国及び米国が参加した。
232 “Actions 5, 20 and 21 of the Action Plan of the 2010 Review Conference of the Parties to the NPT: Report submitted by the United States of America,” December 21, 2021, NPT/CONF.2020/47, p. 25.
233 Nuclear Security Review 2022, p. 16.
234 Ibid.
235 “Statement by Pakistan,” at the 66th IAEA General Conference, September 2022; “Pakistan’s National Centre of Excellence Contributes to Sustaining Nuclear Security,” January 18, 2022, https://www.iaea.org/newscenter/news/ pakistans-national-centre-of-excellence-contributes-to-sustaining-nuclear-security.
236 “Statement by Japan,” at the 66th IAEA General Conference, September 26, 2022.
237 Nuclear Security Report 2022, p. 9.
238 NSSCネットワークに関する基本情報は以下を参照。IAEA, “Understanding Nuclear Security Support Centres (NSSCs) in FIVE QUESTIONS,” https://www.iaea.org/sites/default/files/20/08/nssc-five-questions.pdf.
239 “Annual Meeting of the International Nuclear Security Education Network (INSEN), Chair’s Report,” July 2022, https://www.iaea.org/sites/default/files/22/09/chairs_report_annual_meeting_2022.pdf.
240 “Actions 5, 20 and 21 of the Action Plan of the 2010 Review Conference of the Parties to the NPT: Report Submitted by the United States of America,” December 21, 2021, NPT/CONF.2020/47, p. 25.
241 “Annual Meeting of the INSEN, Chair’s Report.” July 2019.
242 Ibid; “Working Group Meeting of the INSEN, Chairman’s Report,” February 2015.
243 Nuclear Security Report 2022, p. 11.
244 この計画では、IAEAが実施すべき優先課題として、物理的防護分野の活動の強化、防止、検知及び対応、内部脅威の緩和、核セキュリティ文化、機微情報やコンピュータ・ベースのシステムの防護強化が挙げられ、加盟国からの要請に基づき支援を提供するとされている。IAEA, Nuclear Security Plan 2022-2025: Report by the Director General, GC(65)/24, September 15, 2021, p. 4.
245 Nuclear Security Review 2022, p. 8.
246 Ibid.
247 Ibid, p. 8.
248 Ibid.
249 “EU Contributions to Nuclear Safety and Security,” July 2022, https://www.eeas.europa.eu/sites/default/files/ documents/EEAS-JRC_NUCLEARSECURITY%26Safety_28Juy.pdf.
250 “Statement by Germany,” at the 66th IAEA General Conference, September 2022.
251 “Statement by Canada,” at the 66th IAEA General Conference, September 2022.
252 Ibid.
253 “National Report of the UK Pursuant to Actions 5, 20 and 21 of the Action Plan of the 2010 Review Conference of the Parties to the NPT,” NPT/CONF.2020/33, November 5, 2021, p. 15.
254 “Joint Statement on Promoting Full and Universal Implementation of UNSCR 1540 (2004),” 2016 Washington Nuclear Security Summit, April 5, 2016.
255 UN Security Council, “Resolution 1540 (2004),” S/RES/1540 (2004), April 28, 2004.
256 NSCGの目的は、各国による核セキュリティの実施とそれへの持続的な関与を促進すること、また強化され、持続的かつ包括的なグローバルな核セキュリティ・アーキテクチャを構築することである。
257 “Statement of Principles Nuclear Security Contact Group.”
258 “Members,” Nuclear Security Contact Group, http://www.nscontactgroup.org/members.php.
259 “What Are INFCIRCs?” Nuclear Threat Initiative, https://www.ntiindex.org/story/what-are-nuclear-security-infcircs/.
260 「内部脅威緩和(INFCIRC/908)」を進展させる取組として、2020年に国際作業グループ(IWG)が設置された。IWGは最良慣行や資源を共有するための場を提供することを意図したものである。米国とベルギーがIWGの共同議長を務めつつ、カナダ、チリ、フィンランド、ハンガリー、イスラエル、日本、ヨルダン、マレーシア、モロッコ及びナイジェリアが参加する運営委員会(Steering Committee)を主導している。
261 たとえば、以下が挙げられる。“Statement of the G7 Non-Proliferation Directors’ Group on Nuclear Safety and Security at the Zaporizhzhia Nuclear Power Plant,” August 11, 2022, https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/10038 6837.pdf; “G7 Statement on Ukraine,” October 11, 2022, https://www.mofa.go.jp/files/100386840.pdf; “G7 Foreign Ministers’ Statement,” November 4, 2022, https://www.g7germany.de/resource/blob/974430/2059136/cfc18fbb7c 0b7f55b1ce0961cec6ffcf/2022-07-01-report-of-the-g7-nuclear-safety-and-security-group-nssg–data.pdf?down load=1.
262 “G7 Statement on Ukraine,” October 11, 2022; “G7 Foreign Ministers’ Statement,” November 4, 2022.
263 NSSGは、原子力の平和的利用における原子力安全と核セキュリティに関して技術的な情報に基づく政策的な助言をG7首脳に対して行う責任を負うグループとして、2002年のカナナスキス・サミットで設立された。
264 “Report of the G7 Nuclear Safety and Security Group (NSSG) during the German Presidency in 2022,” June 2022, https://www.g7germany.de/resource/blob/974430/2059136/cfc18fbb7c0b7f55b1ce0961cec6ffcf/2022-07-01-report-of-the-g7-nuclear-safety-and-security-group-nssg–data.pdf?download=1.
265 Ibid.
266 外務省「核テロリズムに対抗するためのグローバル・イニシアティブ」2016年6月2日、https://www.mofa. go.jp/mofaj/gaiko/atom/gi.html。
267 “Global Initiative to Combat Nuclear Terrorism Partner Nations List.”
268 GICNTホームページ(https://www.gicnt.org/)を参照。
269 同上。
270 “Working Paper Submitted by G10,” NPT/CONF.2020/WP.3/Rev.1, June 20, 2022, p. 9.
271 “Working Paper Submitted by NAM,” NPT/CONF.2020/WP.25, November 24, 2022, p. 5.
272 NPT/CONF/2020/CRP.1/Rev.2, p. 15.