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国際平和拠点ひろしま

Hiroshima Report 2024コラム3 G7広島サミット開催の意義と長崎県の今後の取組について

大石 賢吾

広島サミット開催の評価・意義

核兵器使用リスクの高まりが懸念されるなど、核兵器を取り巻く国際情勢が厳しさを増す中、昨年、被爆地で開催された広島サミットにおいて、G7参加国首脳が被爆の実相に直接触れ、核兵器のない世界の実現に向けたコミットメントを「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」として発出したことは、非常に大きな意義があるものと捉えています。関係の皆様方のご尽力に改めて敬意を表します。

資料館を訪れた各国首脳が記したメッセージでは、すべての首脳が被爆者に思いをはせ、「核兵器のない世界」を目指すことを誓っており、今回の被爆地訪問により、各国首脳の記憶には、被爆の悲惨さ、核兵器の非人道性が深く刻まれたものと確信しています。

しかしながら、「広島ビジョン」においては、「核戦争は決して行ってはならない」とする2022年1月の核兵器国5カ国共同声明が再確認された一方で、「核兵器は防衛目的のために役割を果たす」という文言も明記され、核抑止力を肯定する内容となっています。

このことは、国際社会における現下の厳しい安全保障環境を反映したものとも言えますが、被爆地長崎としては、今回の広島ビジョンを踏まえ、G7各国のみならず、すべての国々に対し、核兵器廃絶に向けて、具体的行動を起こしていだだくことを強く期待しています。

被爆県としての役割(被爆の実相の継承)

日本は、唯一の戦争被爆国として被爆の惨状を経験しており、その非人道性の観点から、核兵器は必ず廃絶しなければならないという認識が国民に浸透しています。

しかしながら、これまで核兵器廃絶を訴えてきた被爆者がいなくなる時代は、遠くない未来に確実にやってきます。そのため、被爆の実相を若い世代へと継承し、世界へ伝え続けることが、被爆地の重要な使命であると考えています。

今年は、国連軍縮部が設立した「ユース非核リーダー基金」の研修プログラムの一環として、核兵器国及び非核兵器国の未来のリーダーによる広島・長崎へのスタディ・ツアーが計画されています。

これは、次代を担う世界中の多くの若者に、被爆の実相に触れ、核兵器の非人道性について、理解を深めてもらう絶好の機会であり、広島県ともしっかりと連携し、万全の受入態勢を整えてまいりたいと考えております。

この事業を通じて核軍縮に取り組む若いリーダーのグローバルなネットワークが形成され、これからの核軍縮に関する多種多様な議論を交わすプラットフォームとなることを期待しております。

本県の取組、今後の抱負

核軍縮の動きが停滞する中、今後は市民社会の核兵器廃絶に向けた機運醸成こそが、重要になってくるとも考えております。

一昨年より、本県は広島県と連携し、核兵器廃絶を次期持続可能な開発目標(SDGs)の目標に位置づけるための取組を始めました。気候変動問題などと同様に、核兵器の存在が、人類の存続に将来どのような影響を与えうるのかについて、1人1人に自分事として考えてもらうことを目指しています。

そして、核兵器廃絶を目指す市民社会の力が、将来的に国をも動かす大きなうねりになることを期待しています。

被爆県の知事として、今後も広島県をはじめとする関係機関と緊密に連携を図りながら、一日も早い核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向けて取り組んでまいります。

おおいし・けんご:長崎県知事

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